ヒーロー・アドベンチャー・コブラ・ザ・サイコガン 作:ガラガラガララ
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『かぶり屋』という生業がある。
もっとも、まっとうな商売ではない。
かぶり屋というのは、脱税をほう助する闇業者のことだ。
他にも脱税行為ほう助の請負業者に『B勘屋』というのもいる。
B勘屋はニセモノの領収書を販売し、会社の経費を水増しさせることで脱税を手助けする。
ちなみにこのB勘屋という名前の由来は、本物の領収書である『A勘定』に対し、
偽物の領収書の『B勘定』を売買することから、そう呼ばれるようになった。
かぶり屋は、そのB勘屋からの派生業者であり、新しく会社を設立するか、他の会社を買い取り、
架空の取引を行って、領収書を乱発して稼ぐのだ。
そしてB勘屋は単純に偽物の領収書を売買するだけだが、このかぶり屋は違う。
かぶり屋は、自身が顧客会社との取引相手となる。
そして偽造取引を行うことで、より巧妙に脱税を手助けする。
顧客の会社は、架空の取引による水増し経費を計上することで、その分の税金を免れるわけだ。
だからかぶり屋は、領収書以外にも見積書や請求書を用意し、商品と金銭の受け渡しも実際に行ってみせる。
こうすることで、金銭のやり取りや、商品の売買があったという証拠を残すのだ。
勿論、その金は、裏でかぶり屋が、手数料を差し抜いたあとに、顧客の会社に払い戻される。
税務署の調査員が調べても、顧客の会社には、取引をしたという証拠があるので、脱税を追求するのは難しい。
だから税務署は、かぶり屋を探して捜査するのだが、その前に夜逃げをされて所在不明になったりする。
かぶり屋のほうも時期を見て会社を倒産させ、税務署に捕まる前に雲隠れしてしまうわけだ。
ただし、金額や規模によっては、かぶり屋自身が夜逃げに見せかけて、消されている場合も多い。
悪質だと判断されれば、国税局査察部こと通称『マルサ』が、
また、大きな金額の場合は、東京国税局資料調査課こと『リョウチョウ』が出張ってくるからだ。
数億円規模の脱税になれば、この二つは必ず出てくるといっても良い。
そして税務署を誤魔化せても、マルサとリョウチョウだけは、絶対に誤魔化すことはできないといっても過言ではないのだ。
むしろ誤魔化せたら、それだけで今日から、日本随一の脱税屋を名乗ってもいいだろう。
だからこそ、マルサとリョウチョウが出てくる前に、かぶり屋を始末し、証拠を隠滅してしまう。
かぶり屋の鈴木もそういった理由で、とあるフロント企業から消されてしまった。
ここまでなら、裏の社会ではよくある話だ。
問題は殺された鈴木が、土宮町の住民達と付き合いがあり、その仇討ちの為にコブラが出張ってきたことだ。
フロント企業からすれば、これはどうしようもない災難であり、大いなる不幸でもある。
ここから得られる教訓とは何か?
殺す相手は選ぶべきということだ。
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フロント企業の役員である伊佐治は、銃口をこめかみに突きつけられての棒立ち状態だった。
伊佐治が横目で譲を睨みつける。
そんな伊佐治に対し、譲はいつものニヤケた笑みを浮かべるだけだ。
「て、テメエ、こんな真似して……タ、タダで済むと思ってやがんのかよォっ」
「ああ、タダで帰ろうなんて了見はないさ。まずはオタクに鉛弾でもプレゼントしようか」
「ま、待ってくれっ、金が欲しいならくれてやるっ」
そんな伊佐治のセリフを聞き、コブラは、心底うんざりしたとばかりに頭を振って見せた。
「どいつもこいつもどうして命乞いのセリフってのは、同じもんばっかりなんだろうな。正直、聞き飽きちまったよ」
「じゃ、じゃあ、一体何が目的だっていうんだっ」
「そんなもん、オタクが手下使って始末させた鈴木のオッチャンの仇討ちに決まってるさ」
「ま、待てっ、お前は鈴木とどういう関係だったん……」
「じゃあ、あばよ」
伊佐治が喋り終わる前にコブラは撃鉄を落とした。
砕け散る頭蓋骨、飛び散る脳漿、崩れ落ちる伊佐治の亡骸。
「さてと、それじゃあ、帰るとするか」
口笛を吹きながらマンションのベランダに出る。
夜空には銀貨のように輝く月が見えた。
そのまま最上階から飛び降りるコブラ、すると横切った小型の飛空艇がその体をキャッチした。
「このまま夜空のドライブってのも悪くないな」
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「ええ、今回は二対二で、屋内に置ける対人戦闘を行ってもらう」
いつもの、何を考えているのかよくわからない半開きの目をしたイレイザーヘッドが、生徒達にそう告げる。
「みんな頑張ってくれっ!」
イレイザーヘッドの言葉に続き、声援を送るオールマイト、白い歯が眩しい。
ヒーローコスチュームにその身を包んだ、将来のヒーローたる生徒達が途端にザワめき始めた。
コブラは相変わらず、いつもの服装だったが。
「それで俺達に何させようって言うんだ?」
固いリンゴを咀嚼しながら、質問を投げるコブラ、原則として授業中の飲食は禁じられているが、この男に関しては誰も注意はしない。
何を言ったところで、のれんに腕押し、糠に釘だからだ。
「うん、まずはヒーローとヴィランに分かれてチームを作って欲しいんだ。
ヒーローチームの目的は、ヴィランの持つ核爆弾の確保、ヴィランの目的は所持する核爆弾の死守になっている。
ただし、互いのチームのメンバー全員が、相手チームに捕縛された場合も負けだ。
それでは二チームに分かれてくれ。ただし、譲君はひとりで戦ってもらいたい。
これは他の生徒達へのハンディキャップだと思って欲しい」
「ああ、まあ、そりゃ、別にかまわないが」
食べ終わったリンゴの芯を放り投げ、コブラが大きくあくびをする。
全く緊張感が感じられない。
大物なのか、馬鹿なのか、一見して見分けが付かないのもコブラという男だ。
これにはイレイザーヘッドもオールマイトもただ、ただ、呆れるばかりだ。
ただ、生徒達には受けたのか、クスクスという忍び笑いが聞こえてきた。
ちなみにコブラは、ヴィラン側となった。