魔法少女きょうこ☆マギカ 流れ者達の平凡な日常(魔法少女まどか☆マギカシリーズ×新ゲッターロボ) 作:凡庸
風見野市在住の魔法少女、佐倉杏子に対する実験報告。
この件はもとより、魔法少女契約後長期間に置いて生存している彼女に対してその精神を探査するために行ったものである。
佐倉杏子は契約後、生産者及び付随物の死を目撃。
以降固有魔法を喪失するも現在に至るまで生存している。
相応の絶望を背負ったものの魔女化を回避している現状は極めて異例であり、これにより彼女の精神は人間の持つ性能とは異なる一種の奇形を発しているものと考えられる。
その為我々はその異常な精神を探るべく実験を提言、承認の上実行に移った。
嘗て別の銀河系にて行った魔法少女の生成に際し、現地の知的生命体の幼稚な精神と凶暴性を抑制するために開発した制御装置を彼女のソウルジェムに搭載したのである。
制御装置は地球での表現及び単位で云えば、長さにして十センチメートルの釘である。
これは対象の魔法少女のソウルジェム内に穿孔し、魂に着床。
過去の感情を魂に固定化し、心理的外傷を負った光景を無意識下で精神に投影し続ける。
以降は感情成分を分析しデータを収集、回収されたデータはソウルジェムの固有波長を介して地球のインキュベーターに送られる。
副作用として穢れの固着が存在するも、データ収集後は被検体を長期生存させる必要もないため、魔女化を誘発すべく装置は摘出せずに放置する。
また元より、魂に着床した制御装置を除去する方法は無い為、遠からずの内に膨大なエネルギーを獲得できる筈である。
嘗て使用した際は原始的な生命体であったため、一本の使用で事足りたものの、未だ精神の未解明部分が多い人類が相手である為、本数は五本を使用する。
使用の際に相応の苦痛が生まれることが予想される為、より高品質なエネルギーを得られる事も利点として挙げられる。
本人が風見野市、ひいては地球内においても相応に強力な個体である為に加工の機会は限られたものの、被検体はあすなろ市にて他個体と戦闘し負傷。
個体名飛鳥ユウリから受けた攻撃による状態異常効果により数日間の昏倒に陥ったため、実験が可能となった。
制御装置は無事にソウルジェムへと穿孔。
魂への着床も確認され、後日データを回収する。
その結果、被検体は常日頃から過去の記憶による精神汚染を受けており、戦闘及び人間社会における非道徳的行為と飲食物の過剰摂取により発散しているものと判明。
予測の範囲を越えない、無意味な自慰行為を思わせる結果には残念であるものの、平常時から発せられる感情量はけして少なくはなく、魔女化の際に期待が持てる。
苦痛は更に増し、絶望感の募りも生じている筈だが、外見上での変化は今のところ見受けられない。
今後、被検体の更なる絶望の蓄積に期待する。
追記
神浜市の魔法少女、里見灯火より多元宇宙論及び隣接次元の存在の提唱を受ける。
隣り合わせの別世界が存在するとの理論は我々から見て幼稚ではあるが、現状を鑑みれば議論に値すると考えられる。
我々の宇宙の熱的死が目前に迫る今、仮に隣接次元及び多元宇宙の存在を肯定するならば魔法少女を用いて解決を図る必要も考えられる。
突飛ではあるが魔法少女の願いを用いての宇宙の書き換え、または世界間の融合も地球人類の精神を以てすれば理論上は不可能ではない。
また同市では奇怪な現象が多く、鏡の結界なる特異点にも似た存在も確認されている。
別の世界があるとすれば、そちら側を観測し技術を接収。
場合によっては魔法少女を兵器化し侵攻を図る事も考慮に入れるべきではと提言する。
地球人の第二次性徴期の雌即ち魔法少女の条理を覆す願いと、現在観測宇宙全域を地球を除き支配下に置いた我々インキュベーターのテクノロジーがあれば、凡その障害は排除可能だと断言できる。
返信
内容を受諾、佐倉杏子については経過観察を続け、魔女化の際には速やかにエネルギーを確保せよ。
但し別添の事項については、個体名里見灯火と議論を行ったが故の精神汚染の可能性が見られる。
場合によっては派遣した個体群の抹消を以ての処理も考慮に入れる。
魔法少女の性能、インキュベーターの科学力に関しては疑う余地はないものの、隣接次元の提言をするにはサンプルが不足している。
原因不明の因果の集積地たる見滝原市、箱庭を形成したあすなろ市諸共、神浜市の調査を続けよ。
また一応ではあるが、多元宇宙の存在についてのサンプルは生物・非生物・エネルギー等種類を問わない。
各種事例に対し報告可能と為ったら速やかに本星へと報告せよ。