魔法少女きょうこ☆マギカ 流れ者達の平凡な日常(魔法少女まどか☆マギカシリーズ×新ゲッターロボ)   作:凡庸

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番外編 流狼と錐花⑮

「そうか」

 

 沈黙を破りキリカが口を開いた。

 

「薄々は、気付いていたんだ。私だってバカじゃない」

 

 そして淡々と言葉を続ける。

 

「悟っていたさ。君がホモだって」

 

「違う」

 

 即座に彼が否定する。

 精神と魂が掛かっているからだ。

 

「違う」

 

 更に否定を重ねた。

 再び沈黙が降りた。

 そしてその沈黙を破ったのは、またしてもキリカだった。

 

「今日、いや…これまで私と一緒に歩いてる中で見た、私を見る男どもの目を覚えているかい?」

 

「ああ」

 

 背後や左右からキリカへと吸い付く粘着質な視線を、彼は幾度も睨み返して蹴散らしていた。

 

「私から見たり感じたりする視線を思うと、あれは視姦というか強姦。

 そして輪姦するような目だね。私の尻や胸、もちろん膣も。

 それと口、手や足もかもしれないな。要は全身を蹂躙してやりたいって感じに見えた」

 

「おい」

 

 彼の声は諫める口調だった。

 それをキリカは「云わせて呉」と返した。

 彼はそれに従い、聞くことにした。

 自らを抑える様に両腕を胸の前で組み、黒が渦巻く瞳でキリカを見る。

 その様子に満足感を覚えたか、キリカは得意げな笑みを浮かべた。

 そして、肘近くまでを黒いベルトで覆った右手で下腹部を摩りながら、

 

「そいつは私を組み敷いて服を剥ぎ取り、私のここに自分のものを強引に捻じ込んで、胎内に肉の杭を打ち込む」

 

 笑顔のままで、最悪な事象を語り始めた。性欲に満ちた視線を送ってきた者によって、自分が強姦されゆく様を。

 

「処女の私は異物が胎内に入る痛みに泣き叫ぶ。

 結合部からは肉の悲鳴みたいに血がだらだらと溢れる。

 まぁそれで、その私を正面から抱きかかえて一心不乱に腰を振る。

 胸の形が変わるくらいに揉まれて、乳首を齧られて血が滲む。

 自分を守る為に粘液が分泌されて、血と粘液が掻き混ぜられて泡が弾ける。

 その様子に興奮して、私を犯す男の腰の動きが速くなる。

 当然刺激も増えて、限界が訪れる。そして私の胎内に男の精が注がれる」

 

 少女のような貌に不快感を滲ませながら、彼はそれを聞き続ける。

 

「熱い粘液が破瓜の傷口を焼いて、私は呻く。

 引き抜かれたそれからはドロリとした白濁と粘液と血が垂れる。

 それを私はぼんやりと見てる。そこに別の男が覆いかぶさり、同じことを繰り返す。

 気が付くと男の数は増えていて、私の性器だけじゃなくお尻の方も蹂躙される。

 激痛を和らげるために、苦痛が次第に慣れていくけど、気持ちよさなんて訪れない。

 胸の間にも挟めさせられて扱かれる。達した事で私の顔と胸が白い粘液に汚される。

 手にも握らされて、この黒髪も肉に絡められて弄ばれて白濁に染まる。

 口の中にも突き込まれて、顔を両手で掴まれて前後に振られて喉奥まで犯される。

 私の口の中で熱が弾けて、口から粘液がどろどろと垂れる。

 でも直ぐに別のものに塞がれる。何時間も何時間も輪姦が続く。

 前と後ろの穴は何度蹂躙されたか知れず、乾く暇もない。

 最初の頃の白濁は黄ばんでいて、据えたような異臭が漂う。

 やがて私は鎖に繋がれて、連中の好きな時に好きなだけ弄ばれる。

 そして幾月かの時を経てその結果が出る」

 

 眼を閉じ、頷きながらキリカは長台詞を続ける。

 

「つまり、私は孕む」

 

 当然とでもいうように、キリカは生物的な結合の結果を述べる。

 

「腹を鞠のように膨らませた私だが、男たちの輪姦は続く。

 膨らんだ腹を上からぐしゃっと掴んで、膣の圧を少しでも高めようとしてくる。

 尻の方も同じで、尻たぶに爪が立てられて血が滲むくらいに力が籠められる。

 命を宿した腹が玩具として弄ばれて、私の口にも二本の肉が突っ込まれる。

 子供の栄養になると嘲られながら、大量の白濁を強制的に飲ませられる。

 そして全身を陵辱される中で私の腹が蠕動して、凌辱の最中に我が子が産まれる。

 しかし抱くことも出来ずすぐに取り上げられて、私は犯され続ける。

 やがて再び孕ませられ、また産まれるか堕胎される。

 ああ、臨月の腹を殴られて流れてしまうのかも」

 

 吐き気を催す状況が、美しい声で滔々と語られる。

 

「それを、君が見ている。見せられている。一部始終をずーーーーっと」

 

 言いながら、キリカは眼を開いた。

 当然の事ではあるが、最初に彼女が見たのはナガレの顔だった。

 元の姿勢のままだったが、その表情は更に激情を秘めていた。

 キリカも思わず黙っていた。

 放射される怒気が彼女の肌を刺し、呼吸さえも忘れさせていた。

 負けじと息を大きく吸って、キリカは続けた。

 

「私を視姦していた連中から見て、隣にいる君は多分恋人か、或いはきょうだいだ。

 ああ、私の方が姉だからね。そんな身近な奴の前で私を犯して穢し尽くす。

 そこから得られる背徳感は、相当なものだろうね。

 そんな妄想を交えながら、私は連中の脳内で犯され続ける。

 そう思うだけで吐き気がする。正直言ってて辛い」

 

 言い終えるとキリカは溜息を吐いた。

 重金属のような吐息であった。

 疲労感は本物らしい。

 

「でもね。君にはそれを許してやる。

 勿論、一部だけどね。私を孕ませる行為を、さっき言った条件でなら許してやれる」

 

 前を見ながら、互いの手を繋いで、尻と結合部は見ずに。

 条件とはそれである。

 

「それでも、無理かい」

 

「ああ。お前らの歳相手には、そういう気分になれねぇんだよ。悪いけどな」

 

「そっか。真面目だね」

 

 長く続いた言葉とは裏腹に、決着はあっさりと着いた。

 少なくとも、今は。

 

「つうか、なんだその胸糞悪い妄想は」

 

「演出」

 

 当然とでも云うようにキリカは言った。

 

「…さっきまでの全部がか」

 

「うん。興奮したかい?」

 

「いや、滅茶苦茶にムカついただけだ」

 

「ふむ。相変わらず倫理観はちゃんとしてるな。安心したよ」

 

 狂気と常に共にある彼女にも、モラルの基準があるらしい。

 

 

「にしても、歳の差か」

 

「ああ。未成年に手を出すのは趣味じゃねえ」

 

「ううむ」

 

 キリカは神妙な顔つきで考え始めた。

 ロクでも無い事だろうなと思いつつ、ナガレはオレンジジュースを飲んだ。

 彼女が語った陵辱劇を思い浮かべた事による喉の苦みを、鮮烈な酸味が多少なりとも拭い去る。

 飲み続ける彼の目の前で、キリカは胸のボタンを一つ外した。

 

「どう?」

 

 言いながら、シャツの前立てに右手の人差し指を引っ掻けて引いた。

 肌色の膨らみと桃色の突起が外気に触れる。

 怪訝な視線のままに、ナガレは首を左右に振った。

 

「じゃあとっておき」

 

 そう言うと椅子を後ろに倒して角度を上げ、ミニスカートの鼠径部を左手で小さくつまんで上げた。

 薄い暗がりの奥に、薄っすらと生えた陰りと肉の縦筋が見えた。

 

「悪いな」

 

 彼は内心うんざりしていたが、努めて表面に出さないようにしていた。

 彼女なりの熱意を汲んだものと思われる。

 

「謝らなくていいよ。そういうの、重い」

 

 指をスカートから離すと、桃色の布は静かに元の位置へと戻った。

 

 

「ちなみに友人。もしもだけどさ」

 

「ん」

 

「君がその見た目と同じ年齢だったら、どうだった」

 

「考えるより、動いてたに決まってら。もちろん避妊はすっけどよ」

 

「私も大概だったが率直に過ぎるぞ、友人。

 って、やはり結果よりも行為を求めるか。このスケベ」

 

「男ってのはそういうモンなんだよ。ていうか、何で子供欲しいんだ?」

 

「産みたいから」

 

「素直だな」

 

「私の美徳さ」

 

 胸を張りながら得意そうにキリカは言った。

 既にボタンは閉じられている。

 妙に几帳面な少女である。

 

「じゃあ、産みたい理由は?」

 

「ああ、それねぇ」

 

 確信に踏み込んだ質問にも、キリカは動じなかった。

 

「最近母さんによく言われるんだ『あの子とどうなの?』『最近見ないけど元気?』って」

 

「ええと、つまり?」

 

 最近見ない。 

 先週は一週間呉亭に泊まっていたのだが、以降の一週間をキリカ母は最近と捉えているらしい。

 

「うん。だから結果を見せてあげようと思って」

 

「結果…ねえ」

 

「勘違いしないで欲しいが、産んで終わりな訳ないからな。ちゃんと育てるよ、私の母君が」

 

 もちろん母乳は私が与えるけどね。とキリカは繋げた。

 

「ああそうそう、赤ちゃんの戸籍とかもどうたらこうたらとかして、母さんが産んだって事にするみたいだよ。協力は惜しまないみたいだ」

 

「…そうか」

 

 予想を超えた願望の源泉と、そしてキリカ母による計画的な事象にさしものナガレも衝撃を受けていた。

 

「うん。当時は母君も中学出たばかりで手探りもいいとこだったから、改めてまた育児をやってみたいんだってさ」

 

「人生ってのは大変だな」

 

「人ひとりが新たに生まれるんだからね、当然さ」

 

「全くだ」

 

 何気ない世間話のように、両者は粘ついた事象を語り合う。

 仲が良い事だけは間違いないらしい。

 

「それだけに残念だね。君は最初からここにいる奴だったら良かったのに」

 

「はっ、そりゃ無理だろうさ」

 

「なんで?」

 

「なんでもだよ。俺って奴はそういう風には出来てねえのさ」

 

「ふぅん。君も面倒な奴だな」

 

「面倒な奴か」

 

 言い回しが気に入ったのか、彼は歯を見せて笑った。

 その様子が面白かったのか、キリカも喉を反らせて笑っていた。

 

「そうさ。元はああだってのに、その見た目になってここにいるんだから」

 

「やっぱ見たか、俺のツラ」

 

「チラッとだけどね。小娘の私から見てもいい男だと思ったよ。発情紫髪の朱音麻衣なら一発で落ちそう」

 

「そこまで色狂いには見えねえけどな、あいつは」

 

「ふふん、果たしてどうだろうね。にしてもほんと奇妙な状況だな。流石は主人公」

 

「ああ。ムカつくくれぇに変なコトになってら。でもな、悪い事ばかりでもねぇのさ」

 

 言うと彼はカットされた苺ケーキを丸ごと放り込み、咀嚼して飲み込んだ。

 

「多分こうでもなってねぇと、俺とお前らとは会う事は無かったろうな」

 

 身に降り注いだ異常な事象に対し、極めて平然とした様子で彼は言った。

 彼なりに今の生活は気に入っているらしい。

 

「悪い事ばかりでもない、か。私にあんな事をされたのに。私は君を喰いかけたんだぞ?」

 

「あン?ああ、流石にしんどかったから毎度は付き合えねえけどな」

 

「私を嫌いにならないのか?」

 

「別に」

 

「友人、お前頭おかしいな」

 

「んだとコラ」

 

 苺タルトを齧りつつ、ナガレはキリカを睨んだ。

 こいつの心はよく分からないな、あと赤好きすぎだろ。

 キリカはそう思った。

 

「ホラよ。育ち盛りなんだから、お前も食いな」

 

 言いながらナガレは皿を差し出した。

 苺のショートケーキが盛られた皿だった。

 

「ん。あんがと」

 

 皿を受け取るキリカ。

 すると、その動きが停止した。

 

「ん?」

 

 異変に気付いたナガレは怪訝そうな声を出した。

 

「そうか」

 

 キリカは小さく呟いた。

 そして、

 

「わかったぞ」

 

 と、宣言するように言った。

 不吉なものを彼は感じた。

 ちなみに、彼女と接する中で不吉で無かったものなど殆どない。

 

 







そろそろこのお店永久出禁になりそう
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