魔法少女きょうこ☆マギカ 流れ者達の平凡な日常(魔法少女まどか☆マギカシリーズ×新ゲッターロボ) 作:凡庸
今回は久々にあの方が主役です。
夜風が吹いた。
撫でられた若草が一斉に波のようにざわめいた。
陽光は既に駆逐され、天に浮かぶ月が、世界に柔らかな白光を与えている。
東洋の竜の胴体のように長く流れる川のほとりで、二つの影が揺れていた。
年はそれぞれ十五歳ほど。
男の方は精悍な男の原型とでもいうべき凛々しさを持ち、少女もまた大人への
階段を上りつつ、確実に幼さを残した美しさを身に宿していた。
整備され、空き缶や紙袋さえほとんど落ちていない清潔な河川敷には、彼ら以外に人影は無く、
それがより彼らを燃え上がらせていた。
月光の見守る中、若草の上で戯れる恋人たちは手を互いの身に絡め合い、
艶やかな唇を重ね、幼い愛を確かめ合っている。
頭を撫でつつ、相手に覆いかぶさった少年が少女の耳元で小さく囁く。
時が止まったかのように、恋人たちの動きが止まった。
静寂に波紋を投げ入れたのは、少女の小さな頷きと、潤んだ視線。
それが両者を更なる段階へ誘った。
ぼちゃん
巨大な泡が爆ぜたような音が、彼らの背後…川の中で生じた。
少女の服の中に滑らせていた手を引き抜き、少年は振り返った。
少女を背に、少年が音の根元に視線を送る。
睨んでいたといってもいい。
不安がる恋人へ少年は、力強い意志を宿した己の瞳を見せた。
少女の心は乱れていたが、それによって幾分かの落ち着きを取り戻した。
若くして少年は、男子の見本とでも云うべき気骨を備えているようだった。
視線の先に、波打つ水の波紋が見えた。
それはゆっくりと、川の半ばから縁に向けて近付いていった。
恋人たちの元へと。
ぽちゃっという音と共に、水面が盛り上がった。
びたびたという音を滴らせつつ、それは川縁から顕れた。
「何…見てんですか」
夜の帳を纏ったような黒い水の中から来訪し、言葉を発したのは、青白い柱であった。
残酷な月光が、その姿を二人の男女に明瞭に送り届けていた。
栗毛色らしき髪の毛は海藻のようにだらりと肩や頬に貼り付き、
水気を吸ったフリルは苔のような質感へと変わり、細い両手にだぶつく布の腫瘍となっていた。
また上半身は、胸と腹が剥き出しになっていた。
薄っぺらい胸にぽつんと浮いた二つの突起の周辺には、幾筋かの肉の亀裂が生じていた。
肌の上に浮いた色は、月光さえも忌避したかのような、死人の肌に似た青白さであった。
視認した少年と少女の意識に、狂気の手が触れた。
「今日は月が奇麗ですねぇ…ほんと、くっそムカつきますよぉ…」
水より出でた死者が、怨嗟の声を捻り出す。
少年と少女の脳裏に、近頃騒がれている、
近隣及び自分たちの街で多発する少女達の失踪事件の噂が過った。
明らかに凌辱を受けたような服装、死者のような青白い肌、無限の怨嗟に満ちたような声。
非現実としか思えない現象の連打は、幼い恋人たちの心に打撃を与えるに十二分に過ぎていた。
「あー…どうぞどうぞ、卑しく淫らにぐちゃちゃあっと続けてくださいよォ…。
わたしが…最後まで見てて…あげますからァ…」
言い終えるが早いか、少年の背後で絶叫が生じた。
狂乱に陥った少女を少年が抱きかかえ、一目散に河川敷を駆け上がり、
振り返らずに一目散に駆けていく。
二度三度と転びかけ、それでも疾駆を続けたのは立派という他はない。
彼自身が怯え切っていたというのもあるが。
「けっ、色ボケが。ヤるなら最後までヤれってんですよ」
遥か彼方に去り行く恋人たちに向け、唾と共に悪罵を吐き捨てる。
これが誰であるかは言うまでもないだろう。
「穴があったら突っ込むってのが、男ってもんでしょうがクズが」
魂を弄びし道化、優木沙々である。
汚濁に満ちた罵声から数秒後、優木が大きく息を吸った。
そして。
「あぁんの気狂いゴキブリ女がぁあああ!!!!」
道化の咆哮が、夜の世界に木霊する。
呼応したのか、遥か遠くから犬と思しきものの複数の遠吠えが返された。
無惨極まりない姿に成り果てていたが、邪悪さには些かな衰えも無いようだった。
「まったくざっけんじゃねぇですよ!期待させるだけさせやがって!!」
衣服と傷の修復も後回しに、道化が思考を巡らせに掛かった。
題材は、今回の反省点の見直しとそれ伴う悪意の発露である。
それを文字で表すと、以下の様相となる。
あぁ、やっぱり他人なんてアテにするもんじゃないですね。
全く、使えなさ過ぎて涙が出てきそうですよ。
つうか死ね。
どいつもこいつも私をイライラさせやがって、畜生以下のクソゴミどもが。
特にあの腐れメスゴキブリときたら、襲撃は朝一じゃないとなんて言いやがって。
朝早すぎて、食事どころか一人遊びも出来なかったじゃないですか。
やっぱスッキリサッパリしないと、いい仕事はできませんね。
それもこれも、全部あのビッチと女顔、そしてクソ雑魚なメスゴキブリが悪いんですよ。
死ねばいいのに。
あ、もう死んでましたね、失礼失礼。
魂なんてモンは信じちゃいませんが、ちゃっちゃと地獄にでも堕ちてくださいな。
あーあ、それにしても今頃はあいつら、あの汚ぇ寝床に戻って
ねちゃちゃっとよろしくやってるんですかねぇ。
これだから色気違いの下等生物は。
まぁ精々、今は勝利の美酒と快楽に酔うがいいです。
たった二度の敗北程度で、最強の魔法少女の座は小動もしませんからぁ。
つうかあの浮浪者と簒奪者、手負いの私を二人掛かりでボコボコにした挙句、
簀巻きにして川に投げ込むなんて、前世は悪魔かなにかですか?
重りも括り付けられたせいでロクに呼吸も出来ないし、何回意識を失った事か。
川底に引っ掛かって動けなくなったのも十や二十どころじゃないですよ。
お陰で早朝から夜まで一気に時間が飛んじまったじゃねぇですか、クソが。
なぁにが「いっせーのーせ」ですか。
私の両手両足を手に持って、ぶんぶん振り回したかと思ったらぶん投げて。
向こう岸に激突したせいですかね、まだ背中がズキズキ痛いですよ。
あのゴキブリに斧を撃ち込まれたばっかだってのに、奴らには美しいものを
大事にするって考えがないんでしょうか。
無いでしょうねぇ、蛮族みたいなものですもん。
あぁ、だから色気に狂ってやがるんですね。
納得しましたよクソが。
最低限とは言え、魔女の魔法で怪我を治してやったってのに、あんな仕打ちは酷すぎますよ。
今度会った時には、あの赤毛は油を染み込ませた藁に巻いて焼いちまおうか。
或いは両手両足をぶっち切って、洗脳させたそこらの野郎どもに延々と相手させるとか。
アブノーマルってやつでしょうが、世の中の変態さん達には需要がありそうですね。
魔法少女だからしぶといから使い回しが利くでしょうしぃ、
あの雌猿がぶっ壊れるまでに一財産築けるかもしれませんね。くふふっ。
もう一人、雌猿の奴隷君には…油断しましたね、ハイ。
これは素直に認めますよ。
私は過去から素直に欠点を学べる女ですから。
大体、あんなイーブル某なんて胡散臭ぇもん、私は最初っから信頼なんてしてませんでしたよ。
ったく、メスゴキブリめ。
あんな変なもん押し付けやがって。
ていうかそもそも、あれってああいう使い方でいいんですかね。
戯言が多すぎて忘れちまいましたよ私は。
確かにパワーアップはしましたし、味も悪くないし気分も爽快でしたけどぉ。
でもそのおかげで調子にのっちゃいましたよ。
ありゃ多分、麻薬の一種ですね。
正常な判断が出来ませんでした。
言うなればガンギまったってところですよ。
そういえばあの斧も盗まれたまんまですね。
まぁいいです。あんな役立たずはポイです、ポイ。
結論としては、ほとんど全部、「くたばれキリカ」略して「呉キリカ」が悪いってトコですね。
あとのほんの少しだけ私の油断があったということで。
でも仕方ないじゃないですか。
あのヤロウの顔見てると、色々疼いて思考を掻き乱されるんですよ。
つうかあいつの顔と体つきったら妙にエロいんですもの。
腰をなでなでして思いましたが、細いくせにやたら筋肉質でまるで若鹿みたいでしたよ。
あ、ここちょっと文学的ですね。
女顔だとは思うけど男らしい感じだし、不覚ながら好みに合致してるってのもあるんでしょうね。
あーあ、佐倉杏子に唾付けられてなかったら…彼が仲間なら便利だったでしょうに。
男ってコトを利用して色々と愉しめそうです。
んー…仲間にしてやってもいいけど、あいつロリコンくせぇんですよね。
あの貧乳女と一緒にいるとこ考えると。
篭絡する自信は勿論ありますけど、私の大人の色気が果たしてヤロウに通じるかどうか。
ま、ファイトですね、私。
そしてあの強さは、どうせ赤毛猿の魔改造とか幻惑のせいでしょうね。
道理で洗脳魔法が全然効かない訳ですよ。
魔法少女相手には魔力で跳ねのけられたりしますけど、
あれどう見ても人間ですし、最初にあの猿が犬のマーキングみたいに
引っ掛けた魔法の所為で打ち消されてるんでしょうね。
そうでもなけりゃ、というかそんな筈ないですが、精神力で無効化されたってことになっちまいます。
確かにあいつはやべー奴でしたけど、流石にそこまで精神が化け物ってわけじゃないでしょ。
神や悪魔じゃあるまいし。
話が変な方向に逸れましたね。
愉しい方向に切り替えましょ。
あとエロマンガとか薄い本でも割と見ますね、ショタってんでしょ、ああいうツラ。
おねショタとか結構流行ってるじゃねぇですか。
私は好きですよああいうの。
組み敷いて好き勝手に蹂躙するさまとか、色々参考になりますしねェ。
あ、いいの思い付いた。
題材は淫乱ポニテに悪戯されて逆強姦される女顔。
ついでに黒い蠍みたいな怪物に内臓をグチャグチャにされる赤毛とか、
女顔と赤毛猿に殴る蹴るさられながら何処も彼処も凌辱される、黒髪の美少女なんかもいいですね。
あらやだ。
さっきもありましたけど、私ってばこんな才能もあったとは。
洗脳魔法を文章に乗せてネットにでも挙げれば、手下兼魔女の餌を大量確保できちゃったり?
ま、とりあえずこの妄想は先に自分で使いましょうかね。
今夜も眠れそうにないですねェ。
くぅっふっふふ。
長々とした妄想及び自己弁護と希望的な観測。
ここまでに要した時間は凡そ三秒。
全身を川の水で濡らした道化の顔は、邪悪とも喜悦とも性悦ともつかない、
或いはそれらが合体した、異形の笑顔によって歪んでいた。
悪罵の内容の一部は「偽書ゲッターロボダークネス」の一巻を参考にさせていただきました。
元々青年誌やエログロな作品を描いていた方(西川秀明先生)が作画を務めている事もあり、
主人公の外見(拙作ではナガレ君の外見の元)も、少年ながら妙に色気のあるものとなっております。
だからということもあってか、作中では敵の超エロいお姉さんに気に入られ…。
改めて偽書の一巻目を読み返すと、仮に映像化したらエロアニメにしても違和感なさそうな漫画だと思いました。
無論エログロだけじゃなく、クオリティの高い作画によって描かれる、
人間やロボの活躍も格好いいんですが。
最後に自分で読み返してなんですが…。
口汚い事言わせてしまって、沙々にゃん本当にごめんなさい。
そして今年もよろしくお願いします。