海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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第11話 新理事長

「ワントゥースリーフォー、ワントゥースリーフォー、ワントゥースリーフォー」

 

夕日で照らされている砂浜。そこでは、千歌、曜、梨子の3人が俺の合図でステップをとっていた。

 

「みんな切り上げ早い!!!」

 

「千歌姉、少し遅れてる!!!」

 

「5分休憩。」

 

「ア゛ア゛ァ・・・。疲れたぁ・・・。」

「ふぅ・・・。」

「はぁ・・・。」

 

俺の合図で3人が砂浜に腰掛ける。千歌がなんかオッサンみたいな声を出してるが気にしないでおこう。

 

「疲れるの早すぎない?」

 

「ヒドッ!?そんなヒドイこと言うなら百香ちゃん踊ってよ!!!」

 

「えー?まあ、手本だけなら良いけど・・・。」

 

「それだけでもいいから早く踊ってよ!!!」

 

「OK分かった。」

 

俺は千歌の提案により、3人の前で一通り踊ってみせた。みんな目を見開いて驚いてみてる。まあ、この動きは前世でかなりやってたからな。〝はくう〟のヘリ甲板とか、艦首で同じ航海科の八名一曹と林二曹とリズムとりながらやったからな。まあ、そのせいで同僚や部下から変な目で見られたんだかな・・・。でも、楽しかったから良しとしよう。で、踊りは俺達3人でやるだけでは留まらず、砲雷科から砲雷長以下4名拉致ってきて、それに艦長、飛行長を混ぜ、合計9人で出会った民間旅客船に向かって〝MIRAI TICKET〟や〝HAPPY PARTY TRAIN〟などを踊ったりした。最初はみんな恥ずかしがっていたが、やっているうちに楽しくなってきて、気づいたら単独で航海してる民間船舶の殆どに向けて踊って、「やりすぎだ」と上層部から怒られたこともあった。

 

「こんな感じかな?まあ、私はあくまでもマネージャーだからステージには出ないけど。」

 

一通りステップが終わった後、ステージに出ればいいのに・・・と、俺のステップを見た梨子が呟いた後、梨子は上空を飛んでいるピンク色のヘリを見つけた。

 

「何、あれ・・・。」

 

「小原家のヘリだね。」

 

「小原家?」

 

曜の答えで梨子は首を傾げる。まあ、ホテルの経営者知ってる高校生なんて少ないからね。しょうがないね。

 

「淡島にあるホテル経営してて、新しい理事長もそこの人なんだってさ。」

 

「へぇー・・・。百香ちゃんは物知りだねぇ・・・。」

 

俺は物知りじゃないよ。ただ、知ってる情報を言っただけ。まあ、確定事項だけどね。

 

「なんか近づいてきてない?」

 

「気のせいよ。」

 

ヘリは旋回してコッチに近づいてくる。大丈夫。千歌の予想は当たってるよ。

 

「でも・・・。」

 

「「「うわぁ!!!」」」

 

ヘリはさらに近づき、俺達の頭上スレスレを越えていく。千歌達3人は風圧に耐えられず、倒れるような体勢になってるが、俺は慣れてるから立ったままでいる。前世、護衛艦〝はくう〟に乗っていた時、ヘリの誘導、少しだけやったこともあったからね。

 

「何何!?てか、何で百香ちゃんは立ってられるの!?」

 

千歌は現状を理解出来なてないようだ。まあ、そうだろうな。ヘリが目の前でホバリングしてるんだからな。

 

Ciao(チャオ)ー!!!」

 

で、ホバリングしてるヘリのドアが開き、中から金髪の女性が現れた。イタリア系アメリカ人の父と日本人の母から生まれたハーフの女子高生、小原(おはら) 鞠莉(まり)だ。俺は、この時初めて本物の鞠莉に出会ったのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

次の日、俺達4人は浦の星女学院の理事長室に集められていた。理事長のネームプレートが置かれている机の横には鞠莉が立っている。

 

「え?新理事長!?」

 

「イェース!!!でも、あまり気にしないでマリーって呼んでほしいの!!!」

 

千歌達は鞠莉が新理事長だと驚いた顔をして鞠莉を見てるし、鞠莉はハイテンション。普通な表情で普通のテンションなのは俺だけだ。

 

「でも・・・!!!」

 

「紅茶、飲みたい?」

 

「ミルk」「あの、新理事長。」

 

百香キャンセル。ミルクティーがあるなら貰おうと思ったけど、千歌によってその言葉がキャンセルされる。

 

「マリーだよぉー!!!」

 

「マリー・・・。」

 

あのテンションの高い千歌が鞠莉にテンションで圧されている。鞠莉は凄いなぁ・・・。

 

「で、その制服は・・・。」

 

「変かなー。ちゃんと3年生のリボンも用意したつもりだけどー。」

 

「理事長ですよね・・・?」

 

「しかーし、この学校の3年生。生徒兼理事長。カレー牛丼みたいなものねー!!!」

 

「例えがよく分からない・・・。」

 

うん。梨子と同じく、例えがわからない。ほら、野球選手の大谷投手みたいと言えば分かるかな?え?わからない?

 

「分からないの!?」

 

「分からないに決まってます!!!」

 

で、ダイヤが理事長の机の下から出て来た。というか、何故そこにいた。

 

「生徒会長!?」

 

そして、ダイヤは鞠莉の正面に立つ。その瞬間、鞠莉は・・・

 

「Oh!!!ダイヤ、久しぶりー!!!ずいぶん大きくなってー!!!」

 

ダイヤに抱きつき、ダイヤの頭を撫でてるが、何で鞠莉はダイヤが机の下にいることわからなかったんだろう。謎。

 

「触らないでいただけます?」

 

「胸は相変わらずねぇー。」

 

「やかましい!!!・・・ですわ。」

 

鞠莉がダイヤの胸を触ると、ダイヤは鞠莉を力づくで遠ざける。〝ですわ〟が後付けになってるのは気にしないでおこう。

 

「It's Joke」

 

「全く・・・。1年の時に居なくなったと思えば、こんな時に戻ってくるなんて。一体、どういうつもりですの!!!」

 

「シャイニィー!!!」

 

鞠莉は、ダイヤの話を聞かずに、カーテンをバッと開く。

 

「人の話を聞かない癖は相変わらずのようですわね。」

 

「It's Joke」

 

ダイヤが鞠莉の制服のリボンを握り、鞠莉を胸元に近づけた。

 

「とにかく、高校3年生が理事長なんて、冗談にも程がありますわ!!!」

 

「ソッチはJokeじゃないけどね。」

 

「は?」

 

鞠莉は、頭上にハテナマークを浮かべた千歌達3人と、素っ頓狂な声を出したダイヤ、そして、真顔の俺に、制服のスカートのポケットから出した理事長の任命状をドヤ顔で見せてきた。

 

「私のホーム、小原家の学校に対する寄付は相当な額なの。」

 

「嘘・・・。」

 

「そんな!!!何で!!!」

 

任命状を見たダイヤは、信じられないようにして鞠莉を見る。

 

「実は、この浦の星にスクールアイドルが誕生したという噂を聞いてね。」

 

「まさかそれで・・・?」

 

「そう!!!ダイヤに邪魔されたらかわいそうなので、応援しに来たのです。」

 

「ホントですか!?」

 

鞠莉の言葉で千歌は、ぱあっと笑顔になる。

 

「イェース!!!このマリーが来たからには、心配いりません。デビューライブはアキバドームを用意してみたわ!!!」

 

千歌の笑顔を見た鞠莉は、ミニパソコンを出し、アキバドームの写真を見せた。梨子は、絶望顔(?)のような顔をし、千歌は、かなり嬉しそうに奇跡だよ!!!と叫び出す。曜は・・・、なんかいつも通りの顔。なんかこの事が出される事が分かってたみたいに・・・。

 

「どうせ嘘でしょ?」

 

「イェース!!!It's Joke」

 

「ジョークのためにわざわざそんな物用意しないでください。」

 

まあ、嘘か誠かどうかを知ってる俺は普通に冗談だと返し、鞠莉もジョークだと返す。・・・千歌のテンションがかなり下がったのはあまり気にしないでおこう。

 

「実際には・・・」

 

 

 

 

で、俺達4人が鞠莉に連れられて行った先は浦女の体育館。アニメと同じだ。ダイヤは、生徒会の仕事があると言って帰ってしまったが・・・。

 

「ここで?」

 

「はい!!!ここを満員に出来たら、人数に関わらず、部として承認してあげますよ。」

 

「本当!?」

 

千歌の顔がまた笑顔になる。部員設立時の人数は5人必要という規定があるが、今のスクールアイドル部の人数は4人。特例で部活として承認されるのは凄いね。流石理事長、鞠莉!!!俺達にできない事を平然とやってのけるッ!!!そこにシビれる!あこがれるゥ!!!

 

「部費も使えるしね。」

 

「でも、満員に出来なければ・・・」

 

「その時は、解散してもらうほかありません。」

 

「そんなぁ・・・。」

 

「嫌なら断っても結構ですけど〜?」

 

「どうします?」

 

鞠莉は、ニヤケながら千歌を見る。絶対やって欲しいって思ってるよ。これ。

 

「どうしますって・・・。」

 

「結構広いよねここ。やめる?」

 

出た。曜の「やめる?」作戦。これ言うと千歌がもっと燃えるんだよね。この方法で、どれだけ千歌を動かしてきたか・・・。両手で数えられないや・・・。

 

「やるしかないよ!!!他に手があるわけが無いんだし!!!」

 

「そうだね!!!」

 

「OK?行うって事でいいのね。」

 

「OK!!!ズドン!!!」

 

俺が鞠莉に向かって、銃を向けて撃つふりをすると鞠莉は、「Oh!!!」と言ってやられた振りをしてくれた。うん。ノリいいな。まあ、その後、曜に手刀されたけどね。

 

で、手刀された直後、全校生徒の人数を把握していた俺は、曜に問いかけていた。この学校の全校生徒は何人か。と・・・。

 

「え?えーっと・・・、あ!!!」

 

「何何?」

 

「分からないの?」

 

曜と梨子は、俺の質問を、理解できたらしいが、千歌は理解出来なてないようだ。

 

「全校生徒、そして、教職員をいれてもこの体育館は満員にはならない。ってことでしょ。」

 

「うん・・・。」

 

「嘘・・・。」

 

やっと、事の重大さを分かった千歌は頭を抱え始めた。

 

「まさか、鞠莉さん、それをわかって!!!」

 

「見かけによらず、結構凄いこと言うんだな。鞠莉は。」

 

こうして、俺達は浦の星女学院の体育館で初めてのライブを行う事を決定したのだが、同時に浦女の体育館を満員にするという課題も生まれたのだった。

 

 

ー10つの歯車は進路通りに進んで行く。多少のズレがありながらもー




〇次回予告〇
「私は高校生松浦果南!!!
幼なじみで同級生のダイヤと鞠莉で三津シーパラダイスに遊びに行った時、ミルクグレージュ色の女とワインレッド色の女の怪しげな写真の取引現場を目撃した!!!(千歌の生写真)
取引を見るのに夢中になっていた私は・・・
背後から近づいて来るみかんの髪の色のもう一人の仲間(?)に気づかなかった・・・
()()はその女に毒薬を飲まされ、目が覚めたら・・・」





「何も変化していなかった。」

「大きくなったら頭脳は☆筋肉☆」

「迷宮有の迷探偵」

「その名は、名探偵カナン!!!」

次回、名探偵カナン
※予告と異なる場合があります。
次回更新予定日2月21日

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香

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