鞠莉と体育館でライブをすると約束した日の帰りのバスに俺達は乗っていた。
「どーしよー・・・。」
千歌は、全校生徒が体育館に入っても満員に出来ないことを知った直後、頭を抱えだしていた。
「でも、鞠莉さんの言うこともわかる。そのくらいできなきゃ、この先は無理でしょという事でしょ。」
「やっと曲ができたところだよ!?ダンスもまだまだだし・・・。」
「じゃ、諦める?」
悩んでいる千歌に向かって、曜が言った言葉、〝諦める?〟は千歌のやる気倍増スキルの様な言葉だった。
「諦めない!!!」
「何でそういう言い方するの・・・。」
そのため、千歌のやる気は右肩上がり。千歌の性格をよくわかってない梨子の機嫌は少し落ちたが・・・。
「こう言った方がね」
「千歌姉は燃えるから。」
曜と俺の息の合った言葉。やっぱ姉妹だなーと、俺は、思う。梨子は、納得したようで、「なるほど」と、小声で呟きながら頭を上下に振っていた。
「そうだっ!!!」
で、千歌は何か良案を思いついたのか、座席から飛び上がった。
『走行中は立たないでください。』
「・・・。」
・・・のだが、運転士に注意されたので、千歌は、顔を真っ赤にしながらゆっくりと座ったのだった。
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で、千歌が考えた案は、千歌の姉、高海家次女の
まあ、提案した後、千歌は美渡に〝バカチカ〟と、マッキーで額に書かれたのだが。
・・・千歌の頭脳についてのことをかなり的確に的を射ている言葉だ・・・。
「おかしい。完璧な作戦な筈だったのに・・・。」
「姉さんの気持ちも、わかるけどねー。」
部屋に戻ってきた千歌は、不満を言っていた。その時の曜の言動は、裁縫をしながら美渡の気持ちを弁解しているように思える。
「えー?曜ちゃんお姉ちゃん派!?」
「まあ、一社員が全社員を動かせるかと言われたら、まあ、普通は無理だよね・・・。せめて一千万くらいあれば・・・。」
「何故お金になるの!?」
え?曜は緊急事態(?)は金で何とかしない派?え?千歌は肯定らしい。頷いているし。
「世の中金なんだよ!!!」
「何でそうなるの!?」
「・・・ていうか、梨子ちゃんは?」
「お手洗い行くって言ってたけど・・・。」
で、千歌がようやく部屋に居なかった梨子の事に気がついたようだ。・・・。
千歌が障子を開けると、そこには、廊下に寝そべっているしいたけの上に橋のようにしている梨子が居た。足は障子、手は欄干で全体重をかろうじて支えている。
「何やってんの?」
「それより人を集める方法でしょ?」
「え!?」
梨子は、千歌に助けを求めようとしたが、裁縫をしていて、周りが見えていない曜によってキャンセルされてしまう。哀れ、梨子。
「そうだよねぇ・・・。何か考えないとねぇ・・・。」
「町内放送でもしてみたら?頼めば出来ると思うよー。」
「後は沼津かな・・・。向こうには高校いっぱいあるから、スクールアイドル興味ある高校生もいるだろうし。」
で、沼津に行こー!!!と言いながら千歌が障子を閉めかけた時、俺は、「お手洗いに行ってくる」と言い、どうにか千歌の部屋から抜け出してきた。で、その時の梨子は、まさに限界のような顔をしていた。The 顔芸。
「イーヤァァァー!!!」
「よっと。」
耐えきれなくなったのか、梨子は、真下に居たしいたけに向かって、落下し始めてしまった。俺は、落ちてくる梨子を180度回転させ、お姫様抱っこのような形で抱き抱えた。ふぅ・・・。間に合ったか・・・。
「ふぇ?」
「〝ふぇ?〟とか、可愛いね。梨子姉。」
お姫様抱っこされた梨子は、現状を理解出来ていないのか、ぽかんとしていたが、俺が話しかけると、俺がやっていることを理解したのか、顔がどんどん真っ赤になっていく。
「あ、あ、ああ・・・、ありがとう・・・。」
「わ、わわわ、私、お手洗い行ってくるね!!!」
俺が梨子を降ろすと、梨子は顔を真っ赤にしながらトイレに向かって走って行ったのだった。
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千歌が沼津に行くと言った翌日、学校が終わると、俺達4人は直ぐに沼津駅行のバスに飛び乗り、沼津駅に向かったのだった。
「東京と比べれば人は居ないけど、やっぱり都会ね。」
梨子がそう言うように、人口約20万人の住む沼津市の中心市街地にあり、東海道本線の主要駅である沼津駅の駅前は、人通りも建物も内浦より多い。ここで配れば観客も多少は増えるだろう。
「そろそろ部活が終わった人達が来るはずだよね。」
「気合い入れて配ろう!!!」
千歌は、チラシの束を持ち、人々の前に出て行った。
「あのっ!!!お願いします!!!」
千歌は、下校中の女子高生2人組にチラシを差し出したのだが、話に夢中だったのか、千歌に気づかず、スルーしてそのまま駅の中に消えていった。
「あれ?」
「意外と難しいわね。」
「うん。スルーするのはいいけど、スルーされるのは流石に・・・、ねぇ・・・。」
俺は、そう言いながら唖然としている千歌の横で頭を搔いた。
「こういうのはタイミングだよ!!!見てて!!!」
曜は、こういうのは得意だと言わんばかりの顔をしながら別の下校中の女子高生2人組の前に駆けて行った。
「ライブのお知らせでーす!!!よろしくお願いしますー!!!」
「ライブ?」
「はい!!!」
「貴女が歌うの?」
「はい!!!来てください!!!」
曜がチラシを差し出すと、2人組の傍らがチラシを受け取って、駅舎の方向へと向かって行った。2人組の話の話題はスクールアイドル関連の事になっており、行けるかどうかの話とかも聞こえてきたのだった。
「よろしくお願いしまーす!!!」
「凄い・・・。」
「よーし!!!私も!!!」
曜の勧誘を見て、やる気が出できた千歌は、チラシを配りに出たのだった・・・。
が、千歌が取った行動は壁ドン。チラシ配る相手の女子高生を壁ドンしてるのである。
「え?」
「ライブやります。ぜひ。」
「え?でも・・・」
「ぜひ!!!」
「わぁ!!!」
千歌に無理矢理チラシを配られた相手のか弱そうな女子高生は、チラシをもって逃げていった。
「勝った!!!」
「勝負してどうするの?」
千歌は、ガッツポーズをしているが、梨子が言っているように、正直言って勝負する必要は無かったと思う。
「はい、千歌姉。17時12分、暴行罪の現行犯ね。」
「ちょっと百香ちゃん!!!何言ってるの!?」
で、そう思いながら俺は、千歌の両腕を後ろに回し、ロープで手首を固定しようとした。・・・。曜の視線が凄いのは気にしないでおこう。
「壁ドンは暴行罪ですよぉ?」
「え?」
〝壁ドンは暴行罪〟この一言で梨子はあからさまに萎んでいる。いや、どんだけ壁ドン好きなんだよ。
「次、梨子ちゃんと百香ちゃんだよ。」
「わかった。」
「え?私?」
俺は二つ返事で返したが、梨子は頭にハテナマークを浮かべながら首を傾げていた。
「当たり前でしょ?4人しか居ないんだよ。」
「それはわかってるけど・・・。こういうの苦手なのに・・・。」
梨子は、渋々チラシの束を持ち、駅前広場に出ていったのだった・・・
「あの、ライブやります!!!来て!!!」
で、駅前広場に出て行った梨子は、ポスターに向かってチラシを渡していた。もちろん、相手はポスター。受け取ってくれるはずがない。
「何やってんの。」
そんな梨子を千歌は呆れながら見つめている。
「練習よ、練習!!!」
「練習してる暇なんか無いの!!!ほら!!!」
「ちょっと、千歌ちゃん!?ちょ、ちょっと!?」
そして、梨子は、千歌に引きずられるようにして駅前広場の中心部に連れてかれたのだった。
「すみません!!!」
梨子が最初にチラシを配った人はサングラスとマスクをしているいかにも不審者みたいな格好をしている人だった。髪型と髪色、身長は・・・、善子と同じ。というか善子だろ絶対。アニメでも善子だったから。
「あの、お願いします!!!」
「うううう・・・。」
「あの・・・。」
「うっ!!!」
俺の方をちらっと見た瞬間、不審者(善子)はびくっとし、逃走し始めた。あ、そうか、俺、善子と同じ1年だから事故紹介で痛いヤツだと思っていると思っているのか。
「やった・・・!!!」
で、梨子チラシをが無事に善子(不審者)に渡せた事を確認した俺は、ロータリーの乗降場に向かい、シルバーのパジェロの助手席側のドアに寄りかかりながらタバコを吸っているネクタイとワイシャツ姿の中年男性にポスターを渡した。
「お?ライブか・・・。お前も出るのか?」
「いや、私はマネージャーだよ。出ない。」
「そうか・・・。お前も十分可愛いと思うんだけどなあ・・・。」
中年男性は、顎を触りながら答えていると、横から誰かが走ってきて、その中年男性を蹴り飛ばした。
「グボハッ!!!」
「コラァー!!!私の百香ちゃんに手を出すとは何事だぁー!!!」
「ちょ、曜姉!!!」
千歌の様なことを言いながら中年男性を蹴り飛ばしたのは曜だった。スカートの中が見えたが、中は体操着のハーフパンツが・・・。残念。
「ごめんなさい・・・。」
「良いって、良いって。しかし、元気のいいお姉さんだな。」
曜が謝っている相手は、先程蹴り飛ばされた中年男性だ。中年男性は微笑みながら曜を見ている。
「アハハ・・・。あ、曜姉、紹介するね。沼津警察署の
実は、この人、俺の知り合いだったのだ!!!
「はは。百香さんよ。警部だったのは三年前だぞ?今は沼津警察署長をしていて、階級は警視になったんだぞ?」
「あれ?そうだったんですか?三年ぶりだったんで、わかりませんでした。」
どうやら新島さんの階級が上がったらしい。
「沼津、警察署長・・・。」
「え?ああ、うん、そうだよ?」
「沼津警察署長!?」
俺と新島さんは何故曜が驚いたのか分からなかったが、よくよく考えると、ただの女子高生が警察署長と知り合いなんて滅多にいない。だからか。
「何で警察署長と知り合いなの!?」
「三年前に、ちょっとね・・・。」
「・・・。」
曜は俺の言葉に察したのか、何も言わなかった。
「おっと。もうこんな時間だ。じゃあ、またな。」
「ライブ、来てくださいねー!!!」
「
新島さんは、チラシを持つと、車に乗り込み、どこかに行ってしまった。・・・ところで、新島さんはここで一体何をしていたんだろうか・・・。
しばらくチラシ配りを続けていると、千歌がある2人の人物を見つけた。
「あ、花丸ちゃーん!!!」
「はい!!!」
花丸とルビィだ。千歌がチラシを渡すのだが、受け取るのは花丸だけ。ルビィは花丸の背中に隠れている。
「ライブ?」
「花丸ちゃんも来てね。」
「やるんですか!?」
〝ライブ〟
その一言を聞いたルビィは、顔をぱあっとさせながら花丸の後ろから急に姿を表せた。
「え?」
「ああ、うりゅぅ・・・。」
しかし、千歌の言葉で自分自身が急に人前に出たと気づいた瞬間、花丸の背中にまた顔を埋め始めた。・・・仕方ないな・・・。
「ル、ビ、ィ、ちゃん。」
「ん?あ、百香ちゃん!!!」
俺が、花丸の後ろに居るルビィにチラシを出しながら話しかけると、ルビィは相手が俺だとわかったので、直ぐに顔をぱあっとして出てきた。ルビィと友人でよかった・・・。
「絶対満員にしたいから絶対来てね。ルビィ。」
「うん!!!」
「じゃ。」
「待って百香ちゃん!!!」
「ん?」
チラシをルビィに渡したので、俺がその場から移動しようとした時、ルビィに呼び止められた。
「グループ名は何ていうの?」
「・・・。」
〝グループ名〟は何?ルビィの問に俺は答えられなかった。知らない訳では無い。でも、今話すとね・・・。
俺は、しばらく考えると千歌を呼んだ。
「千歌姉ー。」
「何ー?」
千歌はヘラヘラ笑いながら近づいてくる。グループ名とか絶対考えてなさそう。だって、アニメがそうだったからね・・・。
「グループ名決めた?」
「あっ・・・。」
そう、まだ決めてない段階なのに、グループ名なんて発表出来るわけないのだ。俺達4人は直ぐに合流すると、バスに乗り、グループ名を決めに砂浜に向かったのだった。
〇次回予告〇
初めてのBirthdayStory!!!作者はどんな話を執筆するのか!!!まだ自分自身でも分からない!!!
次回、Happy Birthday花丸
次回更新予定日は3月4日0時0分です。
◎オリキャラ紹介(1)
・名前
・誕生日
9月17日
・一人称
俺
・血液型
O
・身長
178cm
・好きな食べ物
納豆、コーヒー
・嫌いな食べ物
生卵
・趣味
珈琲淹れ
・所属先
静岡県警沼津警察署
・階級
警視
・役職
警察署長
・出身地
静岡県清水市(現 静岡市清水区)
・車
三菱 パジェロ(4代目)
・ナンバー 「沼津 334 ほ54-581」
・色 クールシルバーメタリック
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
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渡辺百香と前世の娘
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スクスタ時空─スクフェス!─
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百香とルビィの入れ替わり!
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ロリ辺百香