海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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第16話 A literature girl and coward girl (上)

脚立に乗っている私は、曜ちゃんと梨子ちゃんに見守られながら〝スクールアイドル部〟と書かれたプレートを体育館にある一室の出入口に取り付ける。

 

「これでよしと。」

 

「それにしても、まさか本当に承認されるなんて。」

 

「理事長が良いって言うならいいんじゃない?」

 

「良いっていうか・・・ノリノリだったけどね。」

 

曜ちゃんが言ったように、理事長の鞠莉さんは「しょーにん!!!」と言いながら部活動の承認の欄に印鑑をくれた。

 

「でも、どうして理事長は私達の肩を持ってくれるのかしら。」

 

「さあ?」

 

「スクールアイドルが好きなんじゃない?」

 

梨子ちゃんが不思議がってるけど、私は曜ちゃんのようにただ、スクールアイドルが好きなんだと思うんだよねー。

 

「それだけじゃないと思うけど・・・。」

 

「とにかく入ろうよ!!!」

 

私は、鍵を開け、部室となった部屋に入ったのだが・・・

 

 

 

・・・埃はすごいし、倉庫代わりとして使われているのか、バドミントン部やバスケ部の備品も置かれてるし、なんて言えばいいのかわからないほど・・・汚い。

 

 

「うぅ・・・」

 

「うわぁ・・・。」

 

2人も絶句してるから、どれほど汚いのかがすぐに伝わる。

 

「片付けて使えって言ってたけど・・・」

 

「これ全部ー!?」

 

私がそう叫んだように、これ全部を掃除するなんてめんどくさい。

 

「文句言ってても、誰もやってくれないわよ。」

 

「もーっ・・・。・・・ん?何か書いてある?」

 

汚い部室の中を見回すと、私は何かが書かれているホワイトボードを見つけ、書かれた痕跡を解読しようとした。(解読できなかったけどね)

 

「歌詞、かな?」

 

「どうしてここに?」

 

「分からない・・・。」

 

「とりあえず、掃除しましょうよ。」

 

「わかった・・・。」

 

めんどくさいと思いながらも私は梨子ちゃんに促されるままに部室の掃除を始めた。ああ。私も百香ちゃんの様に学校休めばよかったかな・・・。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

スクールアイドル部の部室ができたと知ったルビィは、花丸ちゃんに早く知らせようと、図書室に走っていった。図書委員のカウンターには、今週の週番の花丸ちゃんが座ってる。百香ちゃんは、風邪で休んでるから座ってない。

 

「やっぱり部室出来てた!!!スクールアイドル部承認されたんだよ!!!」

 

「よかったね。」

 

花丸ちゃんは、読む本を閉じてルビィに笑顔で向き合ってくれる。百香ちゃんが居ないのは残念だけど・・・。

 

「うん!!!ああ・・・。またライブ見られるんだ・・・!!!」

 

でも、ルビィの一番の楽しみはね、ただ、2()()()Aqoursのライブを見てみたいだけじゃなくて、百香ちゃんがステージに出るのも見てみたいって思ってるんだ。今、百香ちゃんに想いを伝えたくても百香ちゃん居ないから伝えられないよぉ・・・。

 

 

「ピッ!!!」

 

三人の足音が近づいていることに気がついたルビィは、花丸ちゃんのいるカウンターから飛び跳ねるように扇風機の後ろに移動し、隠れる。

 

「こんにちはー!!!」

 

「あ、花丸ちゃーん。」

 

「と、ルビィちゃん!!!」

 

「ピギャァ!!!」

 

図書室にやって来たのはスクールアイドル部の千歌さん、曜さん、梨子さんだった。ルビィは、千歌さんに指を指されてびっくりしちゃったけど・・・。

 

「良くわかったね。」

 

「ふふん。」

 

「こ、こんにちは・・・。」

 

「可愛い・・・!!!」

 

千歌さんは、ルビィを見ながらかわいいって言ってる。

 

「これ、部室にあったんだけど、図書室の本じゃないかな。」

 

「ああ、多分そうです。」

 

3人がカウンターに本を置いていき、花丸ちゃんが本を確認しているのをルビィは見ながら少しずつカウンター目指して近づいていく。

 

「!!!」

「ピギッ!!!」

 

「スクールアイドル部へようこそ!!!」

 

花丸ちゃんが本の確認をしている最中にも関わらず、千歌さんはルビィと花丸ちゃんの手を握って勝手にスクールアイドル部に入部させていた。

 

「千歌ちゃん・・・。」

 

「結成したし、部にもなったし、絶対悪いようにはしませんよー!!!2人が歌ったら絶対キラキラする!!!間違いない!!!」

 

曜さんが呆れているけど、千歌さんはそんな事も気にせず、ルビィ達を勧誘してきた。

 

「あ、え・・・、でも・・・。

 

お、おら・・・。」

 

「おら?」

 

「い、いえ。マル、そういうの苦手っていうか・・・。」

 

花丸ちゃんは、動揺してるのか、一人称を〝オラ〟と言いながらも、断っている。

 

「ええ・・・、ルビィも・・・。」

 

ルビィは・・・、入りたいんだけど、お姉ちゃんがね・・・。だから・・・。

 

「千歌ちゃん。強引に迫ったら可愛そうだよ。」

 

「そうよ。まだ入学したばかりの1年生なのに・・・。」

 

「そうだよね・・・。可愛いからつい・・・。」

 

梨子さんと曜さんに勧誘を止められた千歌さんは、やってしまった・・・と、思っているのか後頭部に右手を添えながらあはは・・・。と笑っている。

 

「千歌ちゃん。そろそろ練習。」

 

「あ、そっか。じゃあね。」

 

曜さんの一言で、千歌さん達は図書室から出ていこうとしていた。だから、ルビィは・・・

 

「あ、あの・・・、曜先輩。」

 

曜さんに話しかけた。曜さんは、2人に先に行っててと言うと、図書室に留まる。

 

「ん?何?」

 

「百香ちゃんのお姉さんですよね。」

 

「うん。そうだよ。」

 

「家教えてくれませんか?百香ちゃんにプリントとかノートとか届けなくちゃいけないんで。」

 

「ああ、それなら私が持ってくよ。」

 

「いえ、お見舞いもしたいし、沼津には花丸ちゃんがこの前言った子にノート持ってく用事もあるので・・・。」

 

 

 

 

「んー・・・。伝染るのは自己責任になっちゃうけど・・・。大丈夫?」

 

「大丈夫です。ね。花丸ちゃん。」

 

「え?あ、はい。」

 

「じゃあ、紙に書いとくね。」

 

「ありがとうございます!!!」

 

曜さんは、図書室の備品のコピー用紙にボールペンで最寄りのバス停と道、そして、家の場所に黒丸を書き、ルビィに渡してくれた。

その後、曜さんは「じゃあねー」と言うと、小走りで図書室から出て行った。

 

騒がしくなっていた図書室は、ルビィと花丸ちゃんの2人だけ。丁度、図書室を閉める時間になり、ルビィ達は下校することとした。

 

「スクールアイドルか・・・。」

 

「やりたいんじゃないの?」

 

「へ?でも・・・。」

 

思わず、スクールアイドルと呟いたら、やりたいんじゃないの?と、花丸ちゃんに問いかけられた。やっぱり花丸ちゃんは、ルビィのことが分かるんだ・・・。でも、やりたくてもね・・・。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ダイヤさんが・・・?」

 

ルビィちゃんがスクールアイドルをやりたくても、できない理由。それは、ダイヤさんがスクールアイドルを嫌いなのだ、ということだ。

 

「うん。お姉ちゃん、昔はスクールアイドル好きだったんだけど・・・。一緒にμ'sの真似して、歌ったりしてた。

 

でも、高校に入ってしばらく経った頃に・・・、〝片付けて。それ、見たくない〟って・・・。」

 

「そうなんだ・・・。」

 

「本当はね、ルビィも嫌いにならなければならないんだけど・・・。」

 

「どうして?」

 

「お姉ちゃんが見たくないって言うもの、好きでいられないよ・・・。それに・・・。」

 

「それに?」

 

「・・・花丸ちゃんは興味無いの?スクールアイドル。」

 

「マル?無い無い!!!運動苦手出し、オラ、オラって言っちゃうことあるし・・・。」

 

オラは別にいいよ。そういうことやる様な柄じゃないから・・・。

 

「じゃあ、ルビィも平気。百香ちゃんもマネージャーだしね。」

 

「・・・。」

 

やっぱり、ルビィちゃんは、スクールアイドルやりたいと思ってる。我慢する必要は、無いんだよ・・・。

 

 

なんとなく重苦しい雰囲気になった所で沼津行のバスが来たので、マル達はバスに乗りこんだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

俺は、曜と梨子の忠告を聞いたので、学校を休み、自室のベッドに寝ていた。熱を出したのは日曜日で、その日に実施された打ち上げに参加したせいで悪化してしまった。今日1日寝ていた為か、平熱になった。でも、今日曜が学校と部活休んで看病してくれると言った時はびっくりした。どうにかして学校と部活に行かせたが・・・。

 

しばらく暇な為、パソコンで動画を見ながらベッドでゴロゴロしていると、携帯からポーンという音が鳴る。

 

「ん?何・・・。」

 

『曜:花丸ちゃんとルビィちゃんが今からお見舞いに行くんだって。』

 

携帯を見ると、ホーム画面に曜からのチャットが表示されていた。花丸とルビィが家に来ると。とりあえず、寒くないように着替えをして、風邪が伝染らないようにマスクして2人を待とう。

 

 

 

ちょうどチャットが届いてから1時間と10分くらい経った時、玄関のチャイムが鳴らされた。俺は、ベッドから出ると、玄関についてるカメラで花丸とルビィが玄関に居ることを確認すると、鍵を開けた。

 

「こ、こんにちは!!!」

「こんにちはー。」

 

「いらっしゃい。」

 

「具合はどお?」

「大丈夫ずら?」

 

花丸とルビィは入ってくるなり、体調を心配して来たので、熱はもう下がったと言うと、2人は安心そうに微笑む。

 

「あ、これ。今日の授業分のノート。」

 

ルビィは、バッグの中から黄色のノートを出して、俺に渡してくれる。渡してくれるのは嬉しいんだけど・・・、別に1日くらいノート取らなくても教科書読めばなんとかなるのに・・・。

 

「あ、うん。ありがとう。」

 

でも、ルビィに申し訳ないから、とりあえず受け取っておく。

 

しばらく今日の学校の事について一通り花丸とルビィと俺で話した。

ちょうど20分くらい経った時、花丸が時計を見ると、申し訳なさそうに言い出した。

 

「あ、マルはこれから善子ちゃんちにノート届けに行くずら。ルビィちゃんはどうする?」

 

「もう少し居る・・・。大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。」

 

それから5分後には花丸が「じゃあねー」と、俺とルビィに手を振りながら善子宅へと向かっていったのだった。

 

・・・。てか、何でルビィは俺に抱きついてるんだ・・・。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

マルは、善子ちゃん家にノートを届けた後、マルサン書店に立ち寄っていた。マルは、小説売り場に行こうと思いながらも、スクールアイドルコーナーに立っていた。マルは、不意に目に入ったμ's特集の雑誌を読み始めた。

 

「μ'sか・・・。オラには無理ずら・・・。」

 

伝説とも呼ばれたμ's。呟いてしまったように、そんな領域にマルが入り込むのは、場違い感が物凄いと感じていた。

 

しばらくページを捲っていくと、ある1人の少女の写真が目に入った。

 

「!!!」

 

μ'sの星空(ほしぞら) (りん)さん・・・。このページを見た瞬間、マルは、自然と手に取った雑誌をレジへと持って行っていた。




〇次回予告〇
「カベドゥン!!!」

「あ、あの(同人)は5,000円もするんだぞ!?」

その日、梨子は思い出した。
同人誌に支配されていた恐怖を。
壁クイに囚われていた快感を。

次回、5年前の私へ
※予告と異なる場合があります。
次回更新予定日は5月9日0時0分です。

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香

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