スクールアイドル部が承認された次の日。マルとルビィちゃんは帰りのSHL後、誰も居なくなった教室に居て、話をしていた。
「えええ!?スクールアイドルに!?」
「うん。」
マルが話したのは、マルがスクールアイドル部になりたいという事だ。
「どうして?」
「どうしてって・・・。やってみたいからだけど。駄目?」
「全然!!!ただ、花丸ちゃん、興味とか無さそうだったから・・・。」
「いや、ルビィちゃんと一緒に見ているうちに、いいなーって。だから、ルビィちゃんも一緒にやらない?」
「ルビィも!?」
ルビィちゃんは、驚きながらも、嬉しそうだ。やっぱり、ルビィちゃんもやりたいんだと感じることが出来た。
「やってみたいんでしょ?」
「それはそうだけど・・・。人前とか苦手だし、お姉ちゃんが嫌がると思うし・・・。でも、百香ちゃんいるなら・・・。」
?ルビィちゃんは最後、小声で何を言ったのだろう。あまり気にしてないが・・・。
「そっか。じゃあこうしない?」
マルは、ルビィちゃんにある事を耳元でこそこそと話す。
「体験入部?」
そう。マルが提案したのはスクールアイドル部への体験入部だった。
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俺が復帰した日。(と言っても一日休んだだけなんだけど)スクールアイドル部の部室にはいつものメンバーと花丸とルビィの二人の姿があった。ついに、体験入部の話まで進んで来た。風邪で休んでなければ、部承認や図書室最初のシーンとかが見れたのにな・・・。でも、2人に怒られるリスクを考えたら・・・。それ以上は考えたくない・・・。
・・・話を戻そう。ついに花丸とルビィは、スクールアイドル部に体験入部に来たのだ。その話について聞いた千歌はもうかなり上機嫌になっている。
「本当!?」
「はい。」
「よろしくお願いします!!!」
花丸とルビィの挨拶で千歌の顔は今以上にどんどん笑顔になっていき・・・
「やった・・・。やったぁ・・・。
やったァァァ!!!」
体育館の渡り廊下に飛び出した。誰も千歌のテンションについていけていない。
「これでラブライブ優勝だよ!!!レジェンドだよ!!!」
しかも、曜と俺、梨子に抱きつくほど嬉しがっているけど、勘違いしてる。
「ああ、また勘違いしてる。」
ほら、曜が呆れてるよ。
「千歌ちゃん。待って。体験入部だよ。」
「へ?」
梨子の言ったことでも、千歌は首を傾げる。こいつの脳内がどうなってるかを知りたい。
「要するに、仮入部っていうか、お試しってこと。それでいけそうだったら入ったり、合わないって言うなら辞めるし。」
「そうなの?」
「いや、まあ、色々あって・・・。」
「もしかして、生徒会長?」
「あ、はい。だから、ルビィちゃんとここに来た事は内密に・・・。」
「出来たー。」
花丸が内密にと言っているのに千歌は話を聞かないで、ポスターに〝新入部員!!!2名!!!〟とマッキーでデカデカと書いていた。もしかして千歌の耳って壊れてるの?
「千歌ちゃん。人の話は聞こうね。」
「へ?」
「じゃあとりあえず、練習やってもらうのが1番だね。」
「これは、百香ちゃんがある元スクールアイドルの人から聞いた練習メニューと、私が独自に調べたスクールアイドルの練習メニューを合わせて作ったスケジュールよ。」
梨子は、俺と共同作成したスケジュール表をホワイトボードに磁石で貼り付ける。
「元スクールアイドルの人って?」
「ひーみーつー。ふふっ。」
秘密だけど、しいて言うなら、登山が好きな人かな・・・?でも、練習メニューを聞いた時に「百香のところには海と富士山があるので、〝遠洋10キロ〟や〝登山〟とかがいいと思いますね!!!」とか言ってたね。当然、却下したけど。
教えてもらえなかった千歌は、えー!?と、騒ぎ始めたが、目が笑ってない曜に黙れと、柔らかい口調で言われたため、「はい・・・。」と言って黙った。怖い、怖いよ曜。
「曲作りは?」
「それは別に時間を見つけて作るしかないわね・・・。」
「本物のスクールアイドルの練習・・・!!!」
曜と梨子の会話中に、ルビィは、スケジュール表を見ながら呟いてる。
「でも、練習どこでやるの?」
「あ!!!」
曜に指摘されたように、俺達は、全く練習場所を考えていなかった。まあ、正確には、俺は考える気がなかったと言っても過言ではない。俺はどこでやるかをもう知ってるからだ。でも、周りに怪しまれないように俺も考えてないように装う。
「体育館はバスケやバドミントン使ってるし・・・。ステージ上で練習する訳にも行かないだろ・・・。」
そして、指摘された後から俺も考えた振りをして適当なこと言う。
「グラウンドも中庭も駄目・・・。部室もそれほど広くないし・・・。」
「砂浜じゃあダメなの?」
「行って戻ってくるだけで日暮れるぞ。」
「そうね。できたら学校内で確保したいわ。」
千歌は中身が少ない脳みそでずっと考えていたり、曜が砂浜と提案して俺に却下され、梨子に条件を提示されたり、みんなでどこがいいかしばらく考えていた。そして、その中で一番いい提案をしたのが・・・
「屋上はダメですか?」
「屋上?」
ルビィだった。
「μ'sはいつも屋上で練習してたって。」
「そうか。」
曜が納得した。μ'sは屋上で練習してたから名案だと思うけど、雨降ったら使えなくなるよね。まあ、千歌はそんな細かい事は気にしなさそうだけど。
「屋上か!!!
行ってみよー!!!」
千歌は思い立ったが仏滅だよ!!!と、また間違ったことを言いながら直ぐに練習着に着替えて部室を飛び出して行った。俺達は、着替えた後に千歌を追いながら屋上に移動することとなった。その時、花丸が千歌をあいつ馬鹿なんじゃないか?という目で見ていたことは心の奥に置いておこう。
「うーわー!!!すごーい!!!」
屋上に移動した俺たちは、千歌が走り回りながら飛び回る場面に遭遇した。
「富士山もくっきり見えてるー。」
曜が言ったように富士山も良く見える。あ、表富士は静岡だからな。山梨と言った奴は後で体育館裏だ。・・・と、言いたいところだが、実はどっちが表富士かはまだ分からないらしい。頂上周辺の県境は未だ静岡、山梨両県で争っているとの事だ。みんな!!!静岡に来た時は静岡側が表富士と、山梨に行った時は山梨側が表富士だと言おう!!!高確率で助かるから!!!(ただし100%とは言ってない)
「でも日射しは強いかも・・・。」
花丸はインドア派だからね。俺もこっちに来てからは前よりインドア派になったんだ。
「それがいいんだよ!!!太陽の光をいっぱい浴びて、海の空気を胸いっぱいに吸い込んで・・・。暖かい・・・。」
「本当だ。」
千歌がコンクリートの地面に手をつくと、皆が次々に手を置いていく。
「んー。気持ちいいずらー♪」
花丸は寝そべってるが。・・・しかし、花丸デカいな。どことは言わないが。花丸と俺は同じサイズなのに、何でこんなにも違うのか・・・。
「花丸ちゃん?」
そんな姿の花丸を見たルビィは、花丸の頬をつんつんしていた。おでんじゃないよ花丸だよ。おでんだったら、即刻タイーホになるからね。。
「さあ、始めようか。」
そして、しばらく暖かいコンクリートの地面を堪能(?)した後、千歌の掛け声で皆立ち上がり、円状に並んだ後、俺を合わせて6人の右手を合わせる。
「じゃあ、いくよ。Aqoursー」
「「「「サンシャイーン!!!」」」」
右手をみんなで上に向けて、練習が開始された。
ダンスの練習はマネージャーの俺がカウントをとる。ちなみに俺は制服のまま。昨日間違えて母が練習着を洗ってしまって、まだ乾いていない。だからカウントくらいしか出来ない。え?ダンス?したらどうなるか分かってるよね?
「ワントゥースリーフォー、ワントゥースリーフォー、ワントゥースリーフォー。」
俺のカウントに合わせて千歌とルビィがポーズをとる。
「出来た・・・。」
「流石ルビィちゃん。」
一通りのダンス練習をすると、みんなからルビィにお疲れーという掛け声とかがかかる。
「出来ました!!!千歌先輩!!!」
「あ、あれ?」
「千歌姉はやり直しだ。」
千歌は・・・出来てない。千歌はやり直し。だからルビィに俺が持ってきたクーラーバッグの中から好きな飲み物を持ってくように指示をし、千歌のダンス指導に入る事になった。
しばらく屋上で練習した後にまた部室に移動し、曲作りをすることになったのだが
「今日までって約束だったはずよ。」
「思いつかなかったんだもーん。」
歌詞ができてなかった。
「思いつかなかったじゃないでしょ!!!」
「まあまあ。」
千歌が梨子に怒られ、曜が梨子を宥める。ちなみに俺は基本歌詞とか、作曲類にはノータッチにするつもりだ。変な事して未来が変わっちゃ厄介だからな。だから俺はクーラーバッグの中にある飲み物の管理をしてる。
「何かあったんですか?」
「ああ、今新しい曲作ってて。」
花丸は、千歌が梨子に怒られていた事に気づいて曜に尋ねていた。
「花丸ちゃんもなにか思いついたら言ってね。」
「はあ・・・。」
花丸はそう言いながらルビィの方向を向き、ダンスの細かい練習をしていたルビィを見て微笑んでいた。
俺はその光景を飲み物の管理をしながら、横目でずっと眺めていた・・・。
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練習を合計1時間半くらいやった後、俺達は、淡島に移動していた。目の前には淡島神社に続く階段。μ'sも階段を上ってたけど、あの階段とは比べ物にならないくらい長い。上まで登ると軽い登山に匹敵する。良かったじゃねえか、登山がメニューに入って。
「これ、一気に登ってるんですか!?」
「もちろん!!!」
「いつも途中で休憩しちゃうんだけどねー。」
「えへへ・・・。」
千歌は、曜に言われたことで、あはは・・・と、少し力無く笑っていたけど、曜に言われた通りだ。この階段2、3回は登ったけど、少しトレーニングしてた俺や曜でも少しキツかった。あ、登ったのは今世の時だぞ?
「でも、ライブで何曲も歌うには、頂上まで駆け上がるスタミナが必要だし。」
「じゃあ、μ's目指して、よーい、どーん!!!」
千歌の合図でみんなが走り出し、一斉に階段を登り始めた。俺はクーラーバッグ持ってるし、制服だし、病み上がりだからゆっくり登るんだけどね。
ゆっくり登り始めて2分経たないくらい登った時、随分と失速した花丸の姿と20段から30段上を行くルビィの姿が視界に入った。俺は、近くにあった木の幹の陰に隠れ、2人の姿を見た。このシーンに俺は余分だと考えたからだ。
「やっぱり、マルには・・・。」
花丸が息が途切れ途切れになりながら階段を上っている。上にいるルビィは、花丸の姿を見つけた時、その場で足踏みして立ち止まった。
「ルビィちゃん・・・?」
「一緒に行こう。」
「ダメだよ・・・。」
ルビィは、ずっとしていた足踏みをやめて、その場に立ち始めた。
「え?」
「ルビィちゃんは走らなきゃ・・・。」
「花丸ちゃん?」
「ルビィちゃんはもっと自分の気持ち、大切にしなきゃ・・・。自分に嘘ついて、人に合わせるなんて辛いだけだよ・・・。」
「合わせてる訳じゃ・・・。」
「ルビィちゃんはスクールアイドルになりたいんでしょ?」
「・・・。」
「だったら、前に進まなきゃ。」
「さあ、行って。」
「は、は・・・。でも・・・。」
ルビィは、花丸の名前を出そうとするが、躊躇していた。
「さあ。」
「・・・うん!!!」
花丸が促した後に、ルビィは上に向かって走り出した。しばらく笑顔で、そして、少し心残りがありそうな顔でルビィのことを見送っていた。俺は、ルビィの姿が見えなくなると同時に階段を登りだし、花丸の前で立ち止まった。
「花丸・・・。」
「百香ちゃん・・・。」
花丸は、俺と目線を合わせてくれない。
「上に行かないの?」
「うん・・・。マルには向かないから・・・。」
「おい、待てって!!!花丸!!!」
花丸は俺の静止も聞かず、目線を合わせないまま階段を降りて行った。俺は、溜息をつき、また階段を登り始めた。
しばらく登ったのだが、花丸の事が気になった俺は、折り返して花丸を追い始めた。階段が急だから転げ落ちないような速さで階段を降りていく。
「登りきったよーっ!!!」
遠くから千歌の声が聞こえたことは、ルビィが登りきったんだと思いながら、花丸の姿を追う。
ちょうど踊り場にあるベンチにダイヤさんが座っていたのを見つけた。恐らく、花丸が呼んだのだろう。ルビィに決意をさせるために。
「ダイヤさん!!!花丸見たか!?」
「ええ。下に降りて行きましたわ。」
「分かった、ありがとう!!!」
花丸の行き先を知った俺はダイヤにお礼を言った直後に花丸を追って階段を駆け下り、船着き場まで全力疾走した。しかし、花丸を乗せたと思われる連絡船は既に出航していて、淡島と半島のちょうど真ん中辺りを航行していた。
俺は、連絡船を見ながらただ、その場に立ち尽くしていた。
〇次回予告〇
千歌「もしかして」
穂乃果「私達・・・」
千歌・穂乃果「「入れ替わってるー!?」」
都会と田舎の少女達が入れ替わる物語が、今、始まるー。
次回、君の名は
※予告と異なる場合があります。
次回更新予定日は5月23日0時0分です。
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
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渡辺百香と前世の娘
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スクスタ時空─スクフェス!─
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百香とルビィの入れ替わり!
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スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
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ロリ辺百香