海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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3rdLIVEの大阪公演、当たりました。やったぜ



第18話 A literature girl and coward girl (後)

俺は、桟橋で淡島から離れていく花丸の乗った連絡船をただ、眺めている事しか出来なかった。

 

淡島神社の方向からは、曜、梨子、千歌の3人が歩いて来る。千歌が嬉しそうな顔をしているということは、どうやら、ルビィはダイヤにスクールアイドルをやりたいと、はっきり言うことが出来たのだろう。

 

俺は、ちゃんとアニメ通りに進んで来たことに、少し違和感を感じた。何故、大半が俺が行動した時に、アニメのストーリーが進むことになっているのか。

 

もしかして、俺、渡辺百香の存在もラブライブ!サンシャイン!!アニメの世界に取り込まれてしまったのか──

 

──いや、それは無いと思いたい。俺は渡辺曜の妹だが、アニメ視聴者から見ると俺は2年生モブ3人(むつ、いつき、よしみ)以下の存在、血縁者だけどただの部外者という事になる。つまり、俺がAqoursに関わっているという事は、部外者がAqoursに首を突っ込んでいることだ。部外者が必要以上に首を突っ込むと・・・、世界は歪みを引き起こし、未来は大きく変わる。世界が変わると、あのアニメの世界は存在出来ない。世界を変えないにするには、俺はスクールアイドル関連から、特にAqoursから距離を置くことが重要なんだ。

 

俺は、千歌からの幾度となく行われる勧誘から避けるため、そして、自らがスクールアイドルにならないための最良の手段であるマネージャーとなり、過去には、あるメンバーがちゃんとスクールアイドルになるように進路を沼津市の進学校から浦女に変えたんだ。

 

今のところはアニメ通りにストーリーが進んでる為、大体順調だ。けど、いつ、このストーリーが変わってしまうか、分からない。

 

俺は、嬉しがっている3人の横で嬉しそうな顔をしながら悩むことしか出来なかった。

 

 

 

 

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次の日、図書委員の仕事である本の整理を一通り終わった俺は、本棚の影に隠れて花丸を見る。昨日、あれから考えて出た結論は、これ以上、スクールアイドル関連に必要以上に関わらないようにする事だ。もちろん、マネージャーの仕事だけはするが。しなかったら千歌とか千歌とか千歌とかからクレームが来そうだからな。これから俺はメンバーに必要以上に関わらないよう、こうして本棚の影から見守っているんだ。

 

花丸はスクールアイドル雑誌を本の整理をしている最中、俺に見つからないようにこそこそ読んでるらしく、いつも読んでいる文庫本はカウンターの上に置いてあり、花丸の目線はカウンターの下に行っている。

 

「大丈夫。ひとりでも。」

 

「バイバイ・・・。」

 

花丸は、本の整理をしていると思われる俺に見つからないようにして読んでいたスクールアイドル雑誌を心残りがある様にゆっくりと閉じようとしている。だが、俺はもう作業を終わらせ、見ているのだが。で、その目の前にはあの引っ込み思案の赤い髪の少女が図書室に静かに入ってきて花丸の事を見ていた。

 

 

 

「ルビィね!!!」

 

「っ!!!」

 

そして、少女、いや、ルビィは花丸に話しかけた。

 

「ルビィちゃん?」

 

「ルビィね、花丸ちゃんの事見てた!!!ルビィに気を使ってスクールアイドルやってるんじゃないかって!!!ルビィのために無理してるんじゃないかって心配だった・・・。でも、練習の時も、屋上の時も、みんなで話してる時も・・・、花丸ちゃん、楽しそうだった・・・。それ見て思った!!!花丸ちゃん好きなんだって!!!ルビィと同じくらい、好きなんだって!!!スクールアイドルが!!!」

 

「!!!マルが・・・?まさか・・・。」

 

花丸は、そう言いながらまた下を向き始めた。

 

「じゃあ、なんでその本そんなに読んでたの?」

 

「それは・・・。」

 

花丸は、言葉に詰まる。文学少女である彼女が言葉に詰まるということは、嘘を誤魔化せなくなったからだろう。

 

「ルビィね、花丸ちゃんとスクールアイドル出来たらって、ずっと思ってた!!!一緒に頑張れたらって!!!」

 

「それでも、オラには無理ずら。体力無いし・・・。向いてないよ・・・。」

 

「そこに写ってる凛ちゃんも、スクールアイドルに向いてないってずっと思ってたんだよ。」

 

その時、図書室のドアから3人が入って来た。梨子、千歌、曜の3人だ。俺は、3人の姿を確認してから、カウンターに向かい始める。

 

「でも、好きだった。やってみたいと思った。最初はそれでいいと思うけど?」

 

梨子がそう言う。俺もやってみたいけど、俺の場合はやりたくても出来ない。

 

「ルビィ、スクールアイドルがやりたい!!!花丸ちゃんと!!!」

 

「マル、出来るかな・・・。」

 

「私だってそうだよ。」

 

千歌がそう言いながら花丸に手を出す。かなり4話の終盤になってきた。

 

「!!!」

 

「大切なのは出来るかどうかじゃない。やりたいかどうかだよ!!!」

 

花丸は、膝の上に置いていた手を伸ばし、千歌の手に触れた。俺を合わせたみんなで右手を出し合い、花丸は笑いながら、左手もさし出した。花丸、加入の瞬間だ。

 

その後、直ぐに花丸は入部届けを書き、正式にスクールアイドル部に入部し、それと同時に俺は部室にある千歌のパソコンでラブライブ!にエントリーの手続きを行った。

 

「百香ちゃん、キーボード見ないで打てるんだね。」

 

「そ。色々やってるからねー。」

 

千歌とかと適当に話をしながらエントリー手続きを行ったパソコンには〝浦の星女学院 Aqours 4,999位〟と表示された。

 

「4,999位・・・。」

 

「上に5000組以上のスクールアイドルがいるってこと!?凄い数・・・。」

 

「さあ、ランニング行くずらー!!!」

 

画面を見た花丸は、自分から率先してランニングをしに笑顔で部室を出ていき、みんなもそれに続き、部室を出ていくが、俺は、部室の中にとどまり、パソコンの〝4,999位〟が表示されている画面を少しだけ眺めた。

 

「あと1ヶ月だな。」

 

誰にも聞こえないように呟き、パソコンを閉じた。

 

「百香ちゃーん!!!」

 

「今行くー!!!」

 

曜に呼ばれた為、俺は返事をして直ぐに部室を飛び出した。

ランニングをしながら俺はずっと願っていたAqoursが出来たことを一希や林が知って、約束を覚えていることを・・・。

 

彼らの約束の6月第一週日曜日まで、あと約一ヶ月程・・・。

 

 

 

 

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俺は、慶喜の敵をとれなかった。慶喜が死んだ直後に艦橋は沈み、俺は溺死したのだ。

 

「応天門の変、この反乱を起こしたと言われているのは誰でしょう。じゃあ、神田(かんだ)大智(だいち)。」

 

だが、俺は精神だけは死んでなかった。恐らく、親友の慶喜と約束を結んだからだろう。慶喜との約束、Aqoursが結成された年の6月に内浦の船着場で会うという事だ。もちろん、俺はラブライブの世界に転生できた。男で、しかも住んでるのは全くµ’sやAqoursに関係ない北陸地方だが。

 

「おーい、神田?神田ー。」

 

俺は慶喜はどうなっているかは知らない。連絡手段も無いのだ。とにかく、Aqoursが結成された年の6月に内浦に行こう。これを行って慶喜が転生出来てるか確認しよう。多分、アイツも男に転生してるだろうから。どんなイケメンになってるだろうか、楽しみだ。

 

「神田大智!!!」

 

「は、はいっ!!!」

 

おっと。先生に呼ばれるのに気づかなかった。いやー、忘れない様に毎日毎日この事を思い浮かべてるんだけど、たまに思い浮かべるのに集中して周りの事が聞こえなくなるのがちょっとね・・・。

 

ここはどこだって?ここは、ラブライブ!サンシャイン!!の舞台である静岡県沼津市内浦地区から遠く離れた石川県加賀市にある、石川県立加賀湊(かがみなと)高等学校だ。

 

 

 

「よお大智。またボーッとしてたのか。」

 

SHR終了後、そう言って俺に話しかけてきたのは中嶋(なかじま)和也(かずや)。俺と同じスクールアイドルを好んでいるやつだ。親友みたいになっているが、俺の本当の親友は慶喜だ。まあ、周りのヤツらには話してないから周りのヤツらは知らないのだが。

 

「あはは・・・。」

 

「で、話は変わるが、また新しいグループ見つけんのか?」

 

そう言って和也はスマートフォンを渡してきた。俺と和也は、新しいスクールアイドルグループを開拓しているのだ。まあ、俺は開拓してると言うより、Aqoursを探しているだけなのだが。

 

 

俺は、〝Aqours〟の情報を探してスマホで検索していた。〝Aqours〟と検索エンジンで検索すると、100%関係ないことが出てくるが。例えば、JRの自販機とか、英語の水のAquaとか、英文で書かれたホームページとか・・・。今日もめぼしい収穫もないかと思いながら、〝Aqours〟と入力し、検索した。

 

 

〝Aqours〟での検索結果は・・・

 

 

浦の星女学院スクールアイドル 〝Aqours〟

 

 

あった・・・!!!見つかった!!!結成された!!!

 

 

「あった・・・。あった!!!あった!!!あったぞ和也!!!」

 

俺は、〝Aqours〟の文字を見た瞬間、椅子から飛び跳ねるように立ち、和也の背中をバンバン叩いた。

 

「痛っ!痛い!!!大智痛い!!!」

 

「ああ、ごめん。ずっと探していたグループが見つかったから、つい嬉しくなって。」

 

「ははっ。お前らしいな。」

 

「そうか?」

 

俺と和也はスクールアイドル関連の話をしながらカバンを持ちながら席を立ち、下校する生徒や部活へ行く生徒の集団に混じりながら外へ出た。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「6月・・・。あと一ヶ月か・・・。」

 

俺は、下校途中の通学路でボソッと呟きながら歩いていた。

 

「なあ、あと一ヶ月って何がだ?」

 

あ、和也に聞かれてた。横にコイツ居たの完全に忘れていた。

 

「昔の親友に会うんだよ。」

 

「昔の?」

 

「そう。俺が今の俺じゃなかった時のさ・・・。」

 

そう言いながら俺は、慶喜の姿を思い出すように、上に広がる日が沈みそうになっているオレンジ色で染まっている空を遠い目で眺めていた。




〇次回予告〇
「ルビィは大変な物を盗んでいったよ。」

「・・・松浦警部・・・。」

「ダイヤの、プリンだよ。」

「ルビィィィィ!!!許すまじ!!!ですわ!!!」

次回、ルビィ3世 カリオストロの城
※予告と異なる場合があります。
次回更新予定日は6月6日0時0分です。

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香

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