ルビィと花丸がスクールアイドル部に入部してから1週間程経った時の日曜日。俺は、行きなれた店での車のETC設備交換の待ちの時間で沼津駅北口の映画館で映画を見てきた。
作品は別時代の(といってもたった3年だが)高校生男女が入れ替わる某新〇誠監督の最新作のアニメ映画だ。タイトルは、あの、君のなんちゃらっていう映画。面白かったけど、ハマってもいない映画を5回も見たら流石に飽きる。1回目は曜と千歌、梨子で観て、2回目は花丸とルビィで観て、3回目からは自分1人で見た。
何でこんなに観たかって?実は、父、いや、親父の同僚が映画のチケット買いすぎたからと言い、貰ったのだ。
で、そのチケットを全て親父から貰って、Aqoursのみんなを誘って見に行ったのだ。流石に3年生組とあまり接点のない善子は誘えなかったから今日だけで残りのチケットを消費したのだ。え?今日5回観たのかって?いや、昨日3回観て、今日2回観た。沢山見たせいで劇場スタッフから奇異な目で見られたんだから・・・。親父の同僚のヤロォ・・・呪ってやる・・・。というのは冗談。呪いのかけ方とか知らないからね。善子なら知ってそうだけど。
で、俺は今、沼津駅北口から南口に移動するため、駅前の道を歩いていた。映画館のある沼津駅の北口と家のある南口は自由通路が無く、南北に移動する場合は、入場料140円払い、駅構内を通過するか、西にあるアンダーパスを通るしかないのだ。
めんどくせーなーと思いながら俺は西にあるアンダーパスにある歩道を歩く。頭上には東海道本線が通っているからなのか、時折電車が頭上を通過する凄まじい轟音が聞こえる。
アンダーパスを抜けると、そこには南口の商店街が広がっていた。アーケードの下を抜け、沼津駅南口に向かう。
南口ロータリーに向かうと、何やら男女の警察官がマスクとサングラスをしているある1人の見た目からして怪しい少女に職務質問らしきことをしている。黒髪でシニヨンがついてるあの髪型は・・・
・・・善子か。
「お待たせー!!!」
俺は、善子に駆け寄り、抱き着いた。
「あ、山寺さん、すみませーん。この子、日焼けが苦手なんでこんな格好してるんです。」
「あ、そうなの?」
「そ、そうよ!!!」
怪しそうに聞いてくる男性警察官、
「なら、ちゃんとそう言ってくださーい。」
「は、はい・・・。」
なんか身長が小さく、シャイニーとか言い出しそうな可愛い女性警察官、
さあて、善子も助けた事だし、帰るとするか。
「じゃあ、また警察とかに
善子にそう言い、帰ろうとすると、急に右の袖を掴まれた。善子だ。善子が袖を掴んでいるのだ。
「待ってよ。貴女にお礼しないと・・・。」
「え?でも・・・。」
「いいから!!!」
俺は拒否したのだが、どうやら、俺に拒否権は無いらしく、無理やり善子に駅前のあのL字マークのハンバーガー店に連れ込まれた。
・・・。かなり久しぶりに来るなこのチェーン。最近来たのって、確か、前世が最後だったよな。
で、そのL字マークのハンバーガー店で、ドリンクとポテトLサイズを注文した。俺のドリンクは無難にメロンソーダ。元々低年齢層が対象のドリンクだからいい歳のオッサンが飲むのには勇気がいるが、今は(見た目は)女子高生。気軽に飲める。善子は、白ぶどうジュース。好きな色が白系だからね。堕天使なら黒系なような気がするけど・・・。・・・あんまりそういうのは考えないようにしよう。設定に突っ込むのは野暮だからな(メタい)。そう思いながら俺と善子は2人がけの席に座る。俺は普通に座ったが、善子はそわそわしてるように見える。
「「・・・。」」
俺と善子の2人が座っているテーブルにはしばらく沈黙の時間が過ぎる。どちらもただ、ドリンクを飲み、ポテトを頬張っているだけだ。
「・・・。とりあえず、自己紹介だけしましょうか・・・。」
沈黙を最初に破ったのは善子だった。まあ、ここに呼び込んだのは善子だからね。妥当な判断だろう。
「あの・・・、動画とか見ていれば知ってるかも知れませんが・・・、その・・・、私は・・・、堕天使ヨハネです。」
・・・。あの事故紹介事件で善子自身も相当気が滅入っているのか、周りに聞こえないような小さな声で言ってきた。
「渡辺百香です。よろしく。津島善子ちゃん。」
「ななな、なんでその名前を!?」
俺が自己紹介し、善子の名を呼ぶと、善子は動揺し始めた。まあ、確かに、初めて会う相手が自分の名前知ってたら誰もが同じような反応するよな。しかも、善子の場合はアカウント名じゃなくて本名。
「だって、同じ浦の星の1年・・・、おっと、おい、ちょ、待てよ。逃げんなよ。」
〝浦の星の1年〟だけで反応した善子は、この場から逃げ出そうとしたのだが、俺が善子の袖をつかみ、逃がさないようにする。
「落ち着けよ、善子。別にお前の事でなんか変な事とか思ってないから。」
「・・・本当?」
「本当本当。」
どうにかしてこの場から逃げ出そうとする善子を落ち着かせ、席に戻らせる。
「でも、貴女以外はどうせ〝堕天使って何?〟とか〝何あれープークスクスwww高校生なのに恥ずかしくないのーwww〟とか言ってるんでしょ!!!」
それ以上いけない。最後の方は俺の心にくるから。
「大丈夫だって。そうなってたら私も不登校になってたからな。」
「貴女も変な自己紹介したの?」
俺は、善子の問に対し、首を縦に振り、俺がやった自己紹介についてに詳しく話した。なんか善子が( ^ν^).。oO(キチガイこわ・・・近寄らんとこ・・・)みたいことを思っていた感じだったけど、そういう思われることについてはお前も同類だからな。
「・・・。じゃあ、私はやり直せるかもしれないのね。」
それに、善子に自信が出てきたようだからね。
「で、貴女、ヨハネを知ってるんでしょ?動画、見てるでしょ!!!」
「え?うん。」
急にどうした。動画の話なんて始めて。
「アカウント名教えなさい。お気に入りユーザーにするから。」
あ、今、某コメントが流れる動画投稿サイトのお気に入りユーザーの機能は無くなったとかのコメントはやめろよな。今の年代は2016年の5月だから。お気に入りユーザーが無くなったのは同年10月31日だからな。
「わかった。ユーザー名は〝斉藤さん〟だ。」
俺は、そう言いながらバッグから出したメモ帳に〝斉藤さん〟とボールペンで書いた。
「斉藤さんって、あの超会議の誘いを全部拒否している、動画サイト内ではかなり有名な下ネタゆっくり実況者の・・・!?」
なんか善子がブツブツ言ってる。まあ、男性だと思われていた人物が女性で同い年だったらそうなるわな。
と思っていると、善子にガシッと両手を掴まれた。
「私、貴女のファンなんです!!!貴女に憧れて動画投稿始めたんです!!!」
え?そうなの?確かに、俺の方が1年くらい投稿するのが早かったけど、投稿当初はあんまり人気じゃなかったんだけどなぁ・・・。今のようになったのは投稿し始めてちょうど3年経った時、中学2年生の時だった。あるゲームの実況がウケて、口コミやSNSで急激に広まったのが原因だった。それ以前から見ているユーザーは古参。さらに、この後の善子の話を聞くと、最初の動画投稿時点で見ていたらしい。という事は、古参中の古参。つまり、最古参という事になる。最古参は合計5千人くらい。その中の1人を見つけ出せた。こんな近くに最古参が居たなんて、世間は狭いものだなぁ・・・。
「師匠と呼ばせてください!!!」
「え?いや、普通に百香とかでいいよ。」
「いや、でも・・・。」
「いいから。」
急に善子が今の俺には理解不能な事が発生していた。師匠か・・・。なんか・・・、凄く・・・、堕天使らしくない命名の仕方だな・・・。
不思議に思っていると、急に俺の携帯がスヌーズをしながら鳴った。店からの電話だ。どうやらETC設備交換が終わったらしい。
だから、とりあえず、俺と善子はお互いのチャットのアカウントを友だち登録してから別れた。明日、月曜日に善子は学校に来るだろうか・・・。
そんな淡い期待を持ちながら、俺は、自動車整備工場に向かったのだった。
〇次回予告〇
次回は鞠莉ちゃんのBirthdayStory!!!
次回、Happy Birthday鞠莉
次回更新予定日は6月13日0時0分です。
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
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渡辺百香と前世の娘
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スクスタ時空─スクフェス!─
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百香とルビィの入れ替わり!
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スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
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ロリ辺百香