※今回もパラレルワールド。
今日、俺は鞠莉に呼び出され、車で淡島への連絡船が出ている重寺港に移動していた。重寺港に着くと、鞠莉は、待っていたと言わんばかりに、腕を組みながら鞠莉自身の愛車に寄りかかって俺を待っていた。・・・嫌な予感しかしない・・・。
「グッモーニン!!!百香!!!」
運転席から降り立つと、挨拶されたが、俺にとっては俺が呼び出されたのが一番の疑問点だ。普通なら鞠莉なら使用人や果南とか、ダイヤとかが居るはずだ。というか、要件はなんだ。早く言え。
「急に呼び出してソーリーね!!!今日は、私のドライブに付き合って欲しいのー!!!」
あ、これ(精神的に)死ぬ
「使用人とかに頼まなかったの?」
「使用人よりも貴女の方が良いって今日の占いで言ってたのデース!!!」
「本音は?」
「使用人にもメイドにもママにも果南にもダイヤにも断られた。」
「あっ・・・(察し)」
そんな占い無いだろと思いながら鞠莉に本当の事を聞いてみたところ、あっさりと吐いてくれた。これはヤバイ。どれだけヤバいかって?前世、俺には5歳離れた妹が居たんだが、妹が免許取りたての時に、妹が一緒に出かけようとか─もちろん妹の運転がしたのだが─言っていきたんだ。それで、着いて行ったら・・・、煽られるわ、前の車にぶつかる寸前まで行ったりしたり、もう、最悪だった・・・。
「そんな事より一緒にドライブデース!!!」
「えっ、ちょっ!!!や、やめっ、だ、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ゆっくり後ずさりして逃げようとすると、鞠莉は素早く逃げ出さないように俺の首根っこを掴み、鞠莉の愛車の方向に引きずり始めた。
「ちょっと待っててデース。今から楽しいとこに行きましょ?」
「ちょ、独り言に参加すんな!!!しかも、楽しいとこってあの世か?あの世なのか!?俺2回も死にたくねぇぞ!?」
「女の子が〝俺〟なんか言っちゃダメよ?たとえ前世が男だったとしてもね・・・。」
「待て、俺なにかされるのか?そうなのか!?イヤァァァァァ!!!」
鞠莉が俺を無理矢理助手席に引きずり込み、ドアを閉めた。尚、助手席側の内側のドアノブはご丁寧に紙とガムテープで埋められていた。これでは出たくても出られない。
「さー、出発デース!!!」
俺は、ただ、諦めることしか出来なかった・・・。
出発してすぐに、果南が海の上に止まっている水上バイクから俺がいる方角に向かって合掌していたのが助手席のドアから見えた。
「果南!!!貴様ァ覚えてろよ!!!」
「私の果南に次そんな事言ったら分かってるよね?」
「YESマム。」
「OKデース!!!」
・・・色々な意味で逃げられない地獄のドライブが始まった・・・。
車は口野放水路交差点で信号待ちの為、停車していた。いったい鞠莉は俺をどこへ連れていこうとするのか・・・。
「なあ、鞠莉・・・。」
「何ー?」
「どこに連れてくつもりだ?」
「着いてからのお楽しみー♡」
鞠莉はウィンクしながら言うのだが、この先、鞠莉が泣く運命しか思い浮かばない。道路事情というのは、皆が思っている以上にカヲスな事になっている。ちょっとでも気を抜くと大怪我、下手すると死に至るという危険な場所なのだ。これは、俺個人の意見なのだが、初心者なら教習所で走り慣れたルートに慣れてから別の場所に走り始めた方が良いのかもしれない。
あ、青になった。車が走り出した。とてもゆっくりだが。車は内浦地区を通っている県道から沼津市街地と伊豆長岡を繋ぐ大動脈である国道414号に出た。交通量もかなり多く、初心者が走るのにはちょいキツいと思う。だって・・・
「鞠莉!!!センターラインはみ出してる!!!」
「そんなこと言ったってしょうがないでショー?私は初心者なのデース」
こんな状況でまだふざけてられるのはいろんな意味で素晴らしい。感心するよ。褒めてはないけどな。
そして、車は交差点を右折しようとしたところ・・・
「ちょ、鞠莉、馬鹿野郎ォー!!!」
対向車線の車に突っ込もうとしてしまった。
「ソーリーね、百香。」
一応、鞠莉は謝ってきてるのだが、ルー語(笑)を使うから本当に謝ってきてるかふざけてるのかがわからない。まあ、帰りの運転は鞠莉から鍵をかっぱらい、俺が運転すればいいだろう。で、車は内浦と沼津中心市街地のちょうど中間地点ほどにあるロ〇ソンの駐車場に止まったのだった。ひとまず、ここで少しだけ心を落ち着かせておこう。
「死ぬかと思った・・・。」
「もー、百香は心配性何だからー。」
心配性うんぬん以前に運転をどうにかしろ。
「さー、着いたよー!!!ここが目的地!!!ロー〇ン 沼津下香貫南店!!!」
何で〇ーソン、何故ローソ〇なんだ。
「で、何でロー〇ンに来たんだ?」
「ここでコーヒーを飲むのー。」
「それ鞠莉んちのでも良くねえか?ホテルなんだし。」
何故鞠莉が大衆店、しかもコンビニでコーヒーを飲みたいのかが分からない。鞠莉の家のレストランとかで普通にコーヒー頼めばいいのにと言おうと思った瞬間、鞠莉は、まだ飲んだことがない大衆店のコーヒーを飲んでみたいとか返してきた。なるほど。鞠莉はまだローソ〇に行ったことがないのか。ちなみに俺は〇ーソンよりもセイ〇ーマート派。本州とってはマイナーだろ?セイコー〇ートは、北海道に本社があって、北海道に1048店、茨城県に87店、埼玉県に17店展開していて、北海道でのシェアは大手3社よりもかなり多く、ダントツでナンバーワンになっている。前世の高校の近くにあったから、たまにセイコー〇ートの弁当を思い出すんだ。あの、店舗内で作られたあの弁当がな。でも、コーヒーは他のコンビニのコーヒーと比べて凄く薄い。あれはコーヒーと言えるのだろうか。あれはコーヒー風味のお湯だ。
「果南が美味しいって言ってたロー〇ンのコーヒーを飲んでみたいの。だから。」
・・・。話を戻そう。で、俺達は車から降りて(俺は降ろされたと言った方が正しいか?)ロー〇ン店内に向かった。店内は変なものも無ければ、驚くようなものもない。ただ、どこにでもあるような普通のコンビニ。こんな所のコーヒーなんて、有能なバリスタが淹れたのより、多分劣る。まあ、果南が言わなければ来ることも無かっただろう。
「コーヒーM2つと〇チキ2つ。」
「お支払いは?」
「W〇ONで。」
前言撤回。こんなお嬢様でもコンビニには頻繁に行くらしい。動作がもう手慣れている。
「なあ。鞠莉って、頻繁にコンビニに行くのか?」
「え?私でも行くよ?セ〇ンとか、ミニス〇ップとか帰り寄って、果南と買い食いしたりー、雑誌とか買ったりするのー。」
さいですか。かなり庶民的なお嬢様だな。で、鞠莉は、店員からコーヒーを渡され、店外に向かおうとしていた。バッグも持っているのに、大変そうだ。バッグを持ってあげよう。そして、中を漁って車の鍵を取り出そう。
「あ、バッグは持つよ。コーヒー2つ持たせちゃ悪いからな。」
「いや、いいよ。私が持つから。」
はい、キャンセルされました。しかも、鞠莉はニヤニヤと笑いながら言ってきている。きっと俺のやろうとしている事に気づいたのだろう。
「どうせ、〝俺が運転してやるんだー!!!〟とか思ってたんでしょ?」
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ。」
まあ、嫌いじゃないけど、鞠莉に運転されるのはもう嫌だ。
「あ、用事思い出した。今から行かなきゃいけなくなっちまった。」
だから嘘をついといた。我ながら上手い嘘だ(どこがだ)
「車は?」
「え?」
鞠莉に言われるまで完全に失念していた。車は重寺港に止まっていたことを・・・。
「じゃあ、百香の車まで一緒に戻るデース!!!」
「ちょ、離せ!!!バスで行くからバスで!!!」
ズリズリと鞠莉が俺を車の方へ引き摺り始めた。
「私の車の方が早いよ?じゃあ、港までドライブデース。」
「も、もうやめてくれぇぇぇ!!!」
その後、百香の姿を見た人、Y(偽名)によりますと、「口から魂がヨーソローしてた。」とか言っていたらしい。その日、百香は金輪際初心者(しかもルー語を話す運転手)の車には乗りたくないと思ったのだった。だが、その時の鞠莉が笑顔だったため、後日、また鞠莉の車に乗ってしまうのだった。
〇次回予告〇
雪道で停車している車のタイヤに百香はチェーンを付けようとしているが、花丸は車内で、しかも笑顔でベラベラ喋っているだけだ。
「マダズラー?ヤッパシンカンセンダッタンジャナイスカネーマズイズラーホラドンドンヌカレテイクズラヨーゼンゼンスベルジカンナイズラーリフトトカコンジャウズラヨー」
「うっせえなー少しは手伝えよ・・・」
百香は、イライラして雪玉を花丸の顔に投げつけるが、花丸は避けてしまった。
「スゲーメンドクセーズラーダカライッタジャナイズラーヤッパシンカンセンダッタンジャナイスカネー」
花丸も車から降り、車に手を突いて寄りかかったところ、車が傾いていき・・・
崖下に転落した
「うおwwwwうお、おおお!!!おおおおwwwwおおおああああああwwwwww」
そして、崖下でひっくり返った百香の車が何故か爆発してしまったのだった。
「まじかよ・・・。なにすんだよお前ー!!!」
「(花丸、笑顔で)ヤッパシンカンセンダッタンジャナイスカネー」
次回、「SNOW TR〇iNG」
※予告と異なる場合があります。
次回更新予定日は6月20日0時0分です。
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
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渡辺百香と前世の娘
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スクスタ時空─スクフェス!─
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百香とルビィの入れ替わり!
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スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
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ロリ辺百香