今回もパラレルワールド全開っ!!!
それは─
ある一通のメールから始まった1日のお話──
〝明日、一緒に買い物、付き合ってしてくれる?男装でね。〟
・・・。?
朝、制服に身を包み、バス停でバスを待っている最中にこのメールを読んだ俺は・・・、最初、この文章の意味を理解出来なかった。
バス停にバスが到着すると、バスに乗り込む。いつもは車通学だが、昨日の夕方から今日夕方まで修理に出しているため、今日はバス通学なのだ。ちなみに曜は、千歌と同じ委員会に所属していて、朝にその委員会の集会があるため、このバスには乗っていない。
バスに乗り込むと、一番後ろのシートには、善子が座っているのが見えた。善子は、バスに乗りこんできた俺の姿を見たと同時に顔を赤くして目を反らした。
「おは善子。」
「・・・。」
俺は、横に座り、いつもの様に挨拶をした。これを言うと、善子は必ず「だからヨハネよ!!!」と、言い返すのだが、今日は何故か顔を赤くしたままで、何も言い返して来ない。
「おーはよーしこー。あれれー?聞こえてないのー?おっはよーーーーしこーーーー。」
「聞こえてるわよ!!!」
何回も言い直すと、善子は顔を赤くしたまま直ぐに言い返してきた。顔が赤くなっている理由は、恐らく・・・、さっき俺に送ってきたメールだろう。
「・・・のよ・・・。」
「え?」
善子がボソッと言った一言を俺は聞き取れなかった。
「なんで今日は車じゃないのよ!!!」
「そりゃあ、修理に出してるからな。」
仕方ないだろ。車がない状態で学校に来る手段はバスか自転車くらいしかないんだから。
「・・・。」
「・・・。」
そして、何故かしばらくの間、バスの中は沈黙に変わり、人の少ないバスの車内で聞こえる音は、バスのエンジン音や、時よりスピーカーから鳴る次のバス停のアナウンスだけになった。
『次は─、マリンパーク、マリンパークでございます。』
「・・・。喋れよ。果南達乗ってくるぞ?」
「・・・。分かったわよ!!!」
淡島への連絡船が出ている重寺港の前のマリンパークバス停に差し掛かった時、遂に善子はやけくそ気味で話し始めた。
「明日、買い物に付き合ってよ!!!それだけ!!!
・・・まあ・・・、用事があったらいいけれど・・・。」
でも、最後の方は、恥ずかしくなってきたのか、声が小さめになっていた。こんな善子見たことない。あ、pi〇ivとかに投稿されてる二次創作は除く。
「分かった。いいよ。」
「やっぱダメよね・・・。
・・・え?
・・・い、いいの?」
俺は2つ返事で返したのだが、善子はその事が信じられないのか、驚いた後におずおずと聞いてきた。
「いいよ。」
「本当に?」
「いいって言ってんだろ。」
「いっっっやっっったァァァァァァァ!!!」
善子に何回も念を押すように聞かれたので、めんどくさ気味に何回か返すと、善子は、上機嫌な声で喜び始めた。まあ、この後運転士に止められるのだが。
で、その後、果南達がバスに乗ってくる前に善子の買い物に付き合うことが決まり、集合場所は沼津駅南口にある車輪のオブジェの前で待ち合わせとなった。恐らく、善子は『男装百香が、駅でまーってる、心ウキウキワクワクー♪』(クリアア〇ヒのCM)状態なのだろう。善子のやつ、1日中ずっと笑顔だったからな。明日、善子にとって幸せな日になればいいと、俺は思ったのだった。
次の日、俺は、沼津駅南口のオブジェの前、言い換えれば、沼津機関区の記念碑の前に立っている善子を探していた。
善子はすぐに見つかった。あの頭に
「お待ちどー。待った?」
「いや、今来たとこよ。」
俺は、本当?と、問いかけると、善子は「本当本当。」と言いながら俺の全身を見てきた。
「へー。結構違和感無いわね。」
善子が男装した俺の服装、髪を見た最初の反応はこれだ。ミルクグレージュ色で、セミロングの長さの俺の髪の毛は真っ黒な短髪のカツラになっており、善子よりも
「じゃあ、行きましょう。」
善子は少し顔を赤くしながらそう言い、俺の片腕に抱き着いてきた。傍から見ただのイチャイチャカップルだが、実際は百合カップルになるのだろう。
俺と善子が駅前から向かったのは商業ビル内にある普通の服屋。今日の善子の私服は黒を基調とした服なのだが、向かった服屋には黒を基調とした服は少ない。まあ、服屋で売っている服の大半が黒を基調とした服だったらそれはそれでちょっとアレだがな・・・。
というか、善子ってこういう服屋とか来るんだ。俺ずっと善子の私服は全部ユ〇クロとかで買ってるかと思っちゃった。
「なんか失礼な事考えてない?」
「そんな事ないです。」
両手に試着するであろう服を持っている善子が心を読んできたように少しムッとした顔で尋ねてきた。何?浦女の生徒って人の心を読み取る能力でもあるの?
俺がそう思い始めた時、善子は、「じゃあ、試着するわよ」と言い、両手に試着する服を持って試着室に入っていった。
〝善子は何でも似合う〟
──服を試着した善子を見た瞬間、俺はそう思った。
恐らく、何を着ても
いやぁ、似合ってますねと、店員に話しかけられた俺は
「そうですよね!!!わかりますか!?」
と、自信満々に返した。善子は顔真っ赤だが。
そして、試着も終わり、善子は服を全部購入する事になった。俺が全額出すと言ったら流石に善子に拒否されたのだが。
「いやぁ、素敵な彼女さんですねぇー。」
そんな光景を見ていた店員がそんな事言ってきた。いや、彼女じゃなくてただの友人なのだが。俺は、自分の事を店員にばらそうと思った瞬間、善子に睨まれた。あ、話すなという事か。OK分かった。
「はい!!!顔から性格、全てが素晴らしいので!!!」
だから善子を思いっきり持ち上げてあげた。善子は急に恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にして、俺を店外、いや、ビルの外に連れ出し、ある1つの紙袋を俺に押し付けてきた。
「今日はありがとうね!!!じゃあ!!!」
善子はそう言い放つと、赤い顔のまま走ってここを去っていった。ビルの入口には、ただ呆然と立っている俺だけが残されていた。
5分くらい経ち、はっと我に返った俺は紙袋の中を見てみた。中には、可愛らしい弁当箱が2つ──。
とりあえず、南口ロータリーに移動した俺はベンチに座り、俺用かと思われる弁当箱を開いてみた。中には、善子が握ったと思われるおにぎりや、手作りだろうと思われる卵焼きや、唐揚げ、タコのように切込みがはいっているウインナー、そして、俺の好きなブドウなどが入っていた。
「いただきます。」
俺はウェットシートで手を拭いたあと小声でそう呟き、卵焼きを一口食べた。
「これは・・・!?」
卵焼きは、辛党の善子が作ったとは到底思えないような甘さだった。俺は、もしやと思い、もう1つの弁当箱を開けてみると──
案の定、唐辛子やタバスコなどで真っ赤に染まっていた。これを見た俺は、善子が恥ずかしくて逃げ出したんだと安易に推測できた。だって、こんな辛いのなんて、俺食べられないから。
俺は、弁当箱を紙袋にしまうと、善子が逃げて行った方向に走り出した。
私は、お弁当の入った紙袋を百香に押し付けてつい逃げ出してしまった。恥ずかしい事や嫌なことがあると逃げ出してしまうのは私の悪い癖だ。本当はこの後、南口ロータリーのベンチで男装した百香と一緒に昼食を食べてまた違う場所に買い物に行こうと思ったのに。
「善子。」
「誰!?」
私は、後ろから声をかけられ、びっくりしながら後ろを向くと、そこには、男装したままの百香が紙袋を大切そうに抱えて立っていた。
「何?」
「一緒に食べよ?」
私は、こくりと頷くと、駅の方向に向けて百香と歩き出した。ああ、私ってヘタレ堕天使だわと、つくづく思う。それに、一緒に居るだけで楽しくて、気分が快くなる人って、花丸以来だわ。・・・どうしよう、私にはもう花丸が居るのに。
もし──、
もし仮に───、
百香と花丸、どちらか1人を選べと誰かに言われたら──
私は絶対に選べない──
〇次回予告〇
♪ちーかネットちーかネットー、夢の千歌ネット高海ー♪デデデ、デデデデン♪
千歌「さー、皆さん、今日の商品はコチラ!!!〝梨子ちゃんの使用済みパンツ〟です!!!」
千歌「しかも、今なら中学時代の曜ちゃんの使用済みリコーダーをつけて19,800円!!!19,800円です!!!リボ払い、分割払いも可能!!!」
♪フリーダイヤル055-943-×〇×〇♪
♪お電話ください、今ーすぐーにー♪
次回、千歌ネット高海
※予告と異なる場合があります。
次回更新予定日は7月25日0時0分です。
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
-
渡辺百香と前世の娘
-
スクスタ時空─スクフェス!─
-
百香とルビィの入れ替わり!
-
スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
-
ロリ辺百香