「ねぇ、私と一緒にスクールアイドルやろうよ!!!」
千歌は俺の左耳のイヤホンまでも取り、俺の両肩を掴みながら必死に勧誘してきた。千歌の後ろには姉の曜が居るが、俺と視線を合わせると視線をずらし、見て見ぬ振りをしていた。しばくぞコラ。推しだからって助けてくれないのは腹立つ。だって見知らぬ人じゃなくて妹だぞ!?助けろよへっぴり船長!!!
おっと、話を戻そう。で、どうしよう。今は1話。しかも、勧誘してるところだ。早くしないとあのルビィと花丸と善子のシーンが出来なくなる。回避する為の選択肢は三つ。
1、千歌を無視する
2、丁重にお断りする
3、マネージャーをやると言う
もし、1を選択すると・・・
「百香って、そんなに酷い子だったんだね。」
と言われ、曜ちゃんに制裁を加えられるか、2人に話しかけられなくなってしまうかもしれない。
となると2と3か・・・。どっちが良いだろう。
うーん・・・。
2よりも3を選んだ方が好感度は上がりそう。え?お前は踊らねぇのかって?俺が踊ったらこの世界が狂ってしまう。俺自身、本来はここに居ない筈の存在だ。俺が下手にあれこれしてしまうと、別の元いた世界と矛盾が生じてしまう。その矛盾がどういう物かまだ分からないが、もしかしたら、メンバーにならない子まで出てきてしまうだろう。何としてでもそれだけは避けたい。
うーん・・・。
しばらくすると、俺のその考えはある一つの掛け声でNOの方向に曲がってしまうのだった。
「あ、百香ちゃんずら!!!百香ちゃーん!!!」
俺に近づいてきたのはセミロングの茶髪が似合う垂れ目の少女、
「スクールアイドルやりませんか?」
が、そんな俺の目の前で急に俺に背を向けた千歌が2人にポスターを差し出した。
「ずら?」
急に目の前にポスターを出された花丸は少し驚いたのか、「ずら?」と言う声を出してしまった。
「ずら?」
千歌はその言葉に違和感を感じたのか、花丸の語尾を復唱していた。いや、復唱するなよ。
「いえ。」
「大丈夫。悪いようにはしないから。」
〝悪いようにはしないから〟って、何か何処ぞの詐欺師が言ってそうな言葉だな。
「貴女達、きっと人気が出るよ。間違いない!!!」
だからそれは詐欺師が言う言葉だって。いい加減気づけ。このバカ千歌。
「でもマルは・・・。」
花丸はそう言っていたが、後ろに隠れていたルビィがポスターをガン見していた。うん、眉間にシワがよっているね。
「サッ、サッ、ササッ!!!」
ルビィは、千歌が動かすポスターを目で追っている。動く防犯カメラを追う小学生低学年みたい。ランドセル背負ったら似合いそう。顔がロリ顔だから。あ、俺はロリコンじゃないぞ?
「興味とかあるの?」
「ライブとかあるんですか?」
千歌の問いかけに対し、ルビィは、花丸を押しのけ、目をキラキラ輝かせながら質問し始めた。
「ううん。これから始めるところなの。だから、貴女みたいな可愛い子に是非!!!」
で、千歌はルビィにやってはいけない事をした。そう、ルビィの肩に触れたのだ。あ、触れたからと言って医療費とか請求されるあれじゃないからね。
でだ、肩を触れられたルビィはどうなったのかと言うと、顔が真っ青になった。
「あっ(察し)」
「ずらっ。」
俺と花丸は直ぐに察し、直ぐに両手で耳を塞いだ。
「ん?」
千歌は何故俺達が耳を塞いだのか分からなかったが、直に分かるだろう。
「千歌姉、耳塞いで!!!」
「え?百香ちゃん何言って「ピギャァァァァァァァァァァ!!!」うわぁ!!!」
「うわあ!!!」
俺の警告も届かず、千歌と曜が耳を塞ぐ前にルビィが叫び出してしまった。髪が赤いと叫び声も通常の3倍になるというのは本当だったのか・・・。
「うわぁぁぁ、おねぇちゃぁーーーーーー!!!」
しかも、コイツ叫ぶと姉を呼ぶ癖がある。で、何故姉を呼んでいる間に盾になっているのが俺なんだ。俺の身長が高いからか?
「ルビィちゃんはね、」
「極度の人見知りずら。」
俺と花丸、2人の息ぴったりのセリフ。このセリフを言った瞬間、千歌が「早く言ってよ」と目で訴えかけてきたが、耳を塞がない千歌達が悪いと目で言い聞かせ、黙らせといた。
「うわぁぁぁっ!!!」
で、そのルビィの叫び声で木からダークブルーの髪の毛で、さらに俺から見て右によしこ玉(何だよよしこ玉って)を作っている女の子、
「ぴっ!!!」
「うをぉ!?」
後ろに隠れているルビィが俺の両腕を掴んでくる。痛い痛い痛い!!!握力強すぎだろルビィ!!!しかも千歌に至っては女の子らしくない叫び声だし。
「うっ・・・、私・・・。」
さらに善子は足くじいてるし。
「ぐあっ!!!」
で、足をくじいた体にセカンドバッグがクリーンヒット。そういえば、アニメでもそうだけど、何でこいつ木に登ってたんだ?謎である。
「ちょっ・・・、色々大丈夫?」
千歌が善子に問いかけてる。ダメだよ。特に千歌の頭が。
「ここは・・・もしかして地上?」
足をくじいてかなり痛いのに、それでも堕天使を演じられるのは逆に素晴らしいわ。心の中で拍手するわ。
「大丈夫じゃない・・・。」
ね?千歌だって(心の中で)言ったでしょ?(錯乱)
「ということはあなた方は下劣で下等な人間ということですか?」
「それよりも足、大丈夫?」
おい千歌、くじいた所をツンツンするな。
「いっ!?
・・・痛いわけないでしょ。この身体は単なる器なのだから。この姿はヨハネの仮の姿。おっと、名前を言ってしまいましたね。堕天使ヨハネ。それが・・・」
「善子ちゃん?」
善子に花丸が近づいた。そうか、この2人は同じ幼稚園だったか。感動の再会。・・・感動?
「え?」
「やっぱり善子ちゃんだ!!!」
「うぇーっ!?」
「花丸だよ。幼稚園以来だね!!!」
うわぁ。流れ変わったなこれ。
「は、な、ま、るぅ〜!?」
うどん。あ、このネタわかる人少ないか。って、誰に話してるんだ俺。
「人間風情が何を言って」「じゃーんけん、「ぽん!!!」」
花丸につられて善子が変なチョキらしきものを出したぞ。
「ううっ!!!」
「このチョキ、やっぱり善子ちゃん!!!」
「善子ゆーな!!!
私はヨハネ、ヨハネなんだからねー!!!」
あ、善子が逃げ始めた。アニメ通り。
「あ、善子ちゃーん!!!」
「まるちゃーん!!!」
「どうしたの善子ちゃーん!!!」
「待ってー!!!」
「来るなー!!!」
花丸が善子を追い始めた。で、ルビィが花丸を追うと。頑張れ、頑張ルビィ。
「あははは・・・。頑張ってねー・・・。」
「あの子達、後でスカウトに行こう!!!」
「「あははは・・・。」」
懲りねえな千歌。俺と曜は乾いた笑いしか出ねえぞ。
「貴女ですの?このこのチラシを配っていたのは。」
うわっ!?いきなり千歌の背後に黒髪前髪パツンの女子生徒が立ってたぞ。ああ、ルビィの姉の
「いつ何時スクールアイドル部なるものがこの浦の星にできたのです?」
「あ、あなたも1年生?」
「違うよ千歌ちゃん。あの人は新入生じゃなくて3年生。」
「リボン見れば分かるのに。やっぱ千歌姉はb・・・。ゲフンゲフン。何でもない。」
コイツもしかして手当り次第スカウトしてないか?それについ、馬鹿じゃないのか?と言おうとしてしまった・・・。
「とりあえずここでは目立ちますので生徒会室に来てくださる?で、百香さん、貴女はこの部活に入部するのですか?」
「い、いえ・・・。」
うおっ!?いきなり俺に振るな!!!返せねぇじゃねえか!!!
「じゃあ貴女は来なくても宜しいですよ。」
「あ、は、はい・・・。」
「じゃあ百香ちゃん、帰りね。」
「うん。」
ダイヤに連行(?)されていく曜達を見送った後、俺は一人、教室に向かったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場所は変わり、1年1組教室。1組と言っても、1年生は1クラスしかないのだが。
で、その1年1組では、新入生達が自己紹介をしていた。俺は最後に言う。名字が〝渡辺〟で、わ行から始まるからだ。
「オラ・・・じゃなかった。私は内浦中学校から来ました、国木田花丸です。趣味は読書です。3年間宜しくお願いします。」
花丸、通称ズラ丸の自己紹介。方言出てるが、それが可愛い。
「えっと・・・、内浦中学校から来ま・・・した、黒澤ルビィです・・・。宜しくお願いしましゅ!!!」
あ、噛んじゃった・・・。まあ、それがルビィだからね。しょうがないね。
「フフ・・・。私は堕天使ヨハネ。
このヨハネと契約して、あなたも私のリトルデーモンになってみない?」
「「「・・・。」」」
善子の自己紹介が終わった直後、教室が静寂に包まれる。うん。知ってた。このシーン、リアルタイムで見たからね。
「ピーンチ!!!」
あ、逃げ出した。リアルタイムで見るとなかなかシュールな光景だと思う。
「あ、あははは・・・。それでは、次の人お願いします。」
担任の先生反応に困ってるよ!!!
そして、善子の逃げ出し事案後、何人か自己紹介をし、ついに自分の番になった。俺は地球儀を持って、教卓に向かった。
「内浦中から来ました、
「ん?小須田梨香・・・。」
「小須田梨香・・・」
「コスダリカ・・・」
「コスタリカ!!!」
「そーれっ!!!」
俺は、地球儀を持ち、その場で足踏みをし、
「ここっ!!!コスタリカ!!!」
ビシッと、コスタリカの場所に指を指す。
「君の瞳に、レボリューション☆」
決まった!!!
「「「・・・。」」」
いや、白けるなよ。
「すみません。本名は渡辺百香です。すみません・・・。」
ヤベェ、恥ずかしい。
席に戻った後、休み時間になった。それと同時に花丸(ズラ丸)とルビィが寄ってきた。
「あれ、面白かったずら。」
花丸が言ったことに対し、ルビィも頭を上下に振る。いや、ね?白けたならつまんないでしょ?つまんなかったよね。励ますのやめてくれない?恥ずかしくなってくるから。
「面白かったよ。」
「そうだよ(便乗)。」
「またやって欲しいなー。」
「うんうん!!!」
更に俺の心に追い打ちをかけるようにクラスの子たちが次々と面白いと言ってくる。
「死にます。今すぐ死にます。」
「ちょっ!?待つづら!!!」
花丸が止めようとしたが、俺はそれを振りほどき、ベランダから飛び降りようとした。
「離せぇ!!!死なせてくれぇ!!!恥ずかしすぎるんだァ!!!」
「落ち着くずら!!!」
「落ち着いて!!!」
花丸とルビィが両脇をひっ掴んで俺を引き止めた。振りほどこうとすると、クラスメイト全員が花丸とルビィに続いて俺の足や腕を掴んで、ベランダから飛び降りされまいと必死になっていた。
「分かった・・・。分かったよ・・・。」
俺が力を抜くとみんな一斉に倒れ込み、俺の上に覆いかぶさった。
「重いから早くどいて・・・。」
あらぬ所も当たりまくってるし。
クラスメイトが全員退くと、俺はゆっくり立ち上がった。
「大丈夫だよ。飛び降りないから。」
笑顔でそう言った時、丁度チャイムが鳴り、先生が教室に入って来ると同時にLHRが始まった。
「じゃあ、委員会のメンバーを決めましょう。」
決めるのは各委員会のメンバー。各委員会によって委員になれる人員は違いがあるが、図書委員は2人。俺と花丸が手を同時に挙げ、俺と花丸に直ぐに決まった。
それ以外の委員会は時間ギリギリまで決まらなかったんだけどね・・・。まあいいか・・・。
〇次回予告〇
休学中の松浦果南の家を訪れた千歌達。そこで見たのは、デ〇ステ課金厨となった果南、いや、課南の姿だった。有償ガチャをやりたくなると課金、体力が足りなくなると課金、ゲームがエラーを起こすと、詫び課金。
そんな課金厨〝課南〟になった果南にとった千歌達の行動とは・・・!?
次回、課金厨〝松浦課南〟
※予告と異なる場合があります
次回投稿日は10月15日0時0分です。
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
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渡辺百香と前世の娘
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スクスタ時空─スクフェス!─
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百香とルビィの入れ替わり!
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スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
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ロリ辺百香