海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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28日が投稿日だとすっかり忘れていました。しかも、書き終わったのは28日の夜です。どうにか12月から東京編に入れそうです。


第32話 転生者

「じゃあ、お前ら食事の時間にもう一度会おうな」

 

途中、コンビニに寄ったため、レジ袋を持った百香は、チェックインするためにまたカウンターに向かって行った2人にそう言って2階に上がって行った。

 

「おかえりー・・・」

 

千歌の部屋に入ると千歌は、ノートに顔を突っ伏していた。歌詞の状況は、少しだけ増えているだけでほとんど進んでいなかった。まあ、千歌らしい。

 

「どう?書けたか?」

 

「全然・・・」

 

「頑張れよ。ほら、差し入れだ」

 

俺は、そう言うと千歌にアイスを差し出した。その瞬間千歌は顔をぱあっと明るくし、すぐにアイスを食べだした。そんな千歌を横目で見ながら曜と梨子、そして、横で少し休憩していた1年生組3人にもアイスを差し出した。

 

皆でアイスを食べ始めてから俺は、さっき寄ったコンビニで、八名と話した出来事を思い出していた。

 

「なあ、お前。他にラブライブ!系を好きだった奴覚えてるか?」

 

「確か、鎌田(かまた)三尉、本間(ほんま)三尉、三浦(みうら)一曹と佐々木(ささき)二曹・・・あと、・・・福田(ふくだ)二曹だったっけなぁ・・・。それがどうした」

 

「俺ら3人以外にも好きな奴居るだろ?だから他にも転生した人がいねーかなって」

 

「いたらいいが、確率は少なくねーか?」

 

「たらればの話だよ。たらればの」

 

「はあ・・・」

 

といった感じのような話だった。その話を聞く感じでは、俺達仲良し3人組(今命名)と艦長(沢木さん)以外にも誰か来てほしいという事らしい。転生する分には構わないのだが、この世界のAqoursを変えてしまうという事だけは避けて欲しい。それだけは思った。

 

「百香ちゃん?百香ちゃーん」

 

「んぁ?ああ、花丸か。どうした?」

 

考えていて気づかなかったのだが、目の前に花丸が居た。この後花丸が言ってきたことは、善子が「百香が練習しないなら私もしなーい!!!」と言いながらストライキ紛いの事をしていて、どうにかして欲しいということだった。

 

「ああ、わかった」

 

俺は、黒い笑顔になりながら少し青ざめている花丸と一緒に善子とルビィのいる場所まで向かった。その後、十千万のある一室で死んだように倒れている善子の姿があったのは言うまでもない。

 

ちなみに、今この場副顧問の崎教諭も実は居るのだが、実質、この部を取り仕切っているのは、俺である。そのため、崎教諭も1年生の中に混じって一緒に練習に参加して汗を流している。だっては暇だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・死ぬかと・・・思ったわ・・・」

 

夕食の時、善子はそんな事を言いながらテーブルにうつ伏せになっていた。ストライキなんてするからだ。ストライキとかをせずにキチンとルビィのように練習をしていたならばこんな事にはならなかった。

 

「うわぁ・・・。なんか善子ちゃんが凄いことになってるね・・・」

 

それは、2年生が食堂にやって来て善子を見た瞬間、皆絶句していて、唯一発せられた言葉だった。そりゃそうだ。たった半日見ぬうちに善子の目から光が消え、自分のキャラさえ忘れている程になっているのだから。

 

「百香ちゃん・・・善子ちゃんに何やったの・・・?」

 

「腹筋と腕立て伏せを20回5セットずつとランニング10km」

 

鬼畜だ!!!とか言ってきた千歌だったが、俺がストライキなんてするからだと言うと、黙ってしまった。

 

「まあ、とりあえず夕食食べようよ」

 

「そ、そうね」

 

とりあえず、皆でいただきますと言い、夕食を食べ始めた。一応、合宿料として十千万側に幾らかの金額を支払っているのだが、通常の宿泊客が支払う金額よりもかなり安い。そのためか、通常の宿泊客の食事よりも簡素なものとなっている。たまに作りすぎて残った余り物とかは貰うけどな。

 

色々話しながら食事を食べているのだが、後ろからの視線が刺さる。恐らく、後ろには八名と林が居るからだ。アイツらまだ羨ましく思ってんのか・・・

 

とりあえず、後ろからの視線を無視し、善子と曜の会話を聞いてみた。

 

「で、この前の昼休み、ルビィが百香が箸で掴んでいたスイートポテトを勝手に食べたの。そう、つまり間接キス!!!」

 

「言わないでよ善子ちゃん!!!」

「えっ!?姉であるこの渡辺曜に隠れてそんな事するなんて!!!ルビィちゃんズルいよ!!!」

 

Aqoursのメンバーはだんだんヒートアップしはじめ、声もどんどん大きくなっていく。

 

「ちょっと、皆。ほかのお客様もいるんだから静かにしなさいよ!!!」

 

梨子がどうにかしてこの場を収めようとしたのだが、止まる気配は全くしない。

 

「おい、これ以上五月蝿くするんだったら東京まで飯抜きでランニングさせるぞ」

 

「「ごめんなさい・・・」」

 

少しドスの効いた声で言うと2人はすぐに大人しくなり、普通の声量での会話をするだけというさっきと比べたらかなり静かな夕食となった・・・

 

 

 

・・・なったのだが、後ろからの視線が凄い。多分、聞いてしまったのだろう。

 

説明が面倒なことになるなと思いながら俺は、ため息をついたのだった。

 

 

 

「なあ、慶喜!!!間接キスってどういう事だ!!!」

 

「おい、八名。声でかい。千歌達にに聞かれたらどうすんだ」

 

夕食が終わり、一旦千歌達と別れ、今食堂にいるAqoursの誰からも気づかないような場所である温泉前の休憩室に移動した時に、八名は大声で言ってきた。

 

「羨ましいぞ!!!俺なんかAqoursに関われずに15年も過ごしたんだぞ!!!」

 

「そうですよ!!!」

 

「そんな事俺に言われてもなぁ・・・」

 

二人は一方的にヒートアップし、事態を収拾出来なくなるのではないかと憂いた時だった。

 

「あの・・・、すみません・・・」

 

と、後ろから声を掛けられたのだった。

 

 

 

後ろを振り向くと、そこには金髪で俺と同じくらいの身長の女性が立っていた。

 

「あの・・・、副長と八名一曹、そして林三曹ですよね?」

 

高身長に似合わない低姿勢、そして通常の高校生と同年代には似つかない丁寧な言い方で言っていた物腰は、俺達にとっては前世のどこかであったような言い方だった。

 

「え?あ、ああ、そうだが・・・」

 

「俺です!!!〝はくう〟船務士の三浦(みうら) 義治(よしはる)一曹です!!!」

 

「「「はっ?」」」

 

そう、目の前にいる金髪の女性は、俺達の前世で一緒の(ふね)所属の三浦義治一曹だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、アメリカ人のパツキン(金髪)女とはな・・・」

 

八名と林にとっては本日二回目の驚きである。というか、何故コイツ(三浦)だけアメリカ人になったのか。

 

というか、転生者多すぎィ!!!なんでこの場に俺を含めて4人も居るんだ。しかも3人日本人だぞ!?もっとフランス人とか中国人とか、カナダ人とかメキシコ人とかいてもよかったのでないのかと思ってしまう。

 

「というか、お前、来て良かったのか?」

 

「え?」

 

急に八名が聞いてきた。突然どうしたのだろう。

 

「だって、お前、夕食はAqoursと一緒に居ただろ?俺らと居てもいいのか?」

 

「どういう事だ?」

 

「いやぁ・・・その・・・な・・・」

 

何だか申し訳なさそうに言っているが、9割9分ここに来た原因は八名と林(お前ら)だからな。まあ、申し訳なさそうに言っているという事は自覚はあるんだな。

 

「じゃあ、そろそろ・・・「渡辺ー」ん?」

 

八名達と別れようとすると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。後ろを向くと、副顧問の崎教諭が着替えを持ちながら立っていた。

 

「崎先生。どうしましたか?」

 

「ああ、高海が風呂入ってくる時に渡辺見つけたら歌詞出来たって言っとけって言われたからな」

 

崎教諭は、じゃ。と言うと男と書かれた暖簾の先に消えて行った。

 

「じゃあ、お開きだな」

 

「ああ。次は東京で会おう」

 

「ああ」

 

俺達はそう言葉を交わすと、チャットを交換し、別れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁー、全ての歌詞を書き終わった後のお風呂は格別だねー」

 

そう言いながら千歌は湯槽に足を伸ばしてのびのびとしている。今の時刻は21時30分くらい。Aqours一同以外誰も大浴場には居ない。

 

「千歌ちゃん。何だか、おじさんみたいわよ」

 

「千歌ちゃんはおじさんじゃないよ!!!」

 

少し微笑みながら千歌の右横に座っている梨子がそう言うと、千歌の左側に座っている曜が反論する。なんとも微笑ましい光景なんだ。

 

「こんばんは」

 

その時、湯けむりの中から1人の声がした。

 

「貴女は・・・」

 

「こんな所出会うなんて奇遇ね」

 

「校長先生!!!」

 

そこには、浦の星女学院の校長、志田川由紀子が同じ湯槽に浸かっていた。え?何故ここに居る?さっきまで誰も居なかったのに?

 

「どうしてここに?」

 

「残業で夜遅くなっちゃってねー。家に帰っても息子居ないし、お風呂入るのも面倒くさかったし。だからここで入ろっかなーって」

 

「ソウデスカ・・・」

 

俺がそう答えると、校長は、よいしょっとと、言いながら立ち上がった。

 

「頑張ってね、スクールアイドル」

 

そう言い残すと、校長は湯槽からでて行った。今、Aqoursの皆は応援してくれているんだと思っているはずだ。こんな時、東京の大会に出たAqoursに票が1票も入らないと分かっていた俺は、何だか複雑な気持ちになった。

 




次回更新予定日は12月12日です。

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香

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