海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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お待たせ致しました。およそ3ヶ月ぶりの本編更新です。

とりあえず、今後の方針としては、途中で分岐ルートを作りたいと思います。

余談ですが、今回の文章の一部は沼津と内浦で執筆しております。



第36話 悔しくないの?(上)

百香とAqours6人はエントランスホールにて無事に合流した。時計の針はまだ11を指しておらず、東京から今から帰るのにも少し早い時間であったため、東京都内観光に向かう事となった。

千歌の提案で向かった先は、東京都港区芝公園の東京タワー。東京スカイツリーは、高く、眺めも素晴らしい物なのだが、高い。値段が東京タワーよりも1,400円も高い。たかが展望台に登るだけで一高校生に2,000も出させるのは気が引けたらしい。

 

東京タワーの地上150メートルにある大展望台。スカイツリーが開業し、幾分か人が減ったのだが、東京のシンボルということには変わりはなく、未だ多くの人に訪れられていた。

 

「この街、1,300万人の人が住んでいるのよ」

 

梨子と曜は2人で新宿の高層ビル群をぼんやりと眺めていた時、ふと梨子がそう言った。

 

「そうなんだ」

 

「て、言われても全然想像出来ないけど・・・」

 

「やっぱり、違うのかな。そういう所で過ごしていると」

 

沼津市は駿東地域では比較的都会である。だが、東京は東京都市圏だけでそよそ4,400万人が暮らしている世界最大の都市圏。沼津市、三島市、伊豆の国市、伊豆市などが形成する駿東地域最大の沼津都市圏ですらおよそ51万人であり、首都圏の足元にすら及ばない。それだけ規模が違うならば、当然、色々な施設の数も違うし、受ける刺激や練習も違うはず。

2人はそう考えたのかもしれない。Saint Snowの2人は函館市の生まれ函館育ちの道産子なのだが。(函館都市圏人口 およそ35万人)

 

「どこまで行ってもビルずら」

 

花丸とルビィの2人は折りたたみ式の双眼鏡で渋谷区・目黒区・町田市方面を眺めていた。

 

「あれが富士山かなぁ・・・」

 

「ずら」

 

2人の目に入ったのは、ぼやけてよく見えない富士山らしき影。それは、随分遠くまで来たことを象徴する事を意味していた。

 

アニメ通りなら善子はここ堕天している。今もアニメ通りに堕天をしているのだが、少し様子がおかしい。今日の善子はいつも以上に結構周りを気にかけている。

 

「善子ちゃんは元気だねー」

 

「善子じゃなくて・・・ヨハネ!」

 

一瞬善子が百香をチラリと見た。その時の善子の表情は一瞬でツッコミをし始めた花丸達の方に向いてしまったため、百香には分からなかった。

 

「お待たせー!何これ凄い。キラキラしてるー!」

 

花丸の善子弄りがヒートアップし始めた時、千歌がアイスが6つ刺さった箱を両手で持ち、皆の前に出てきた。千歌はいつも通りの明るい声をしていたのだが、無理をして明るくしているということは誰の目にも明らかだった。

 

「それにこれ、すっごく美味しいよ!食べる?」

 

千歌は曜、ルビィにアイスを差し出した。2人は千歌にお礼を言ったのだが、それよりも、千歌が何故こんなに無理をしてでも元気でいられるのかが気になっていた。

 

今日のライブは一生懸命頑張り、ミスが一番少なく、一番出来が良かったライブで、周りはラブライブ決勝にまで出ているグループ。その中で、出来たばかりのAqoursは優勝できなくて当たり前だ。千歌はそう思っていた。

 

しかし、千歌が今目指している〝ラブライブ!決勝出場〟には、今日出ていたグループと同じ踊りが出来なければならなかった。

 

大会のホームページには、5位までの順位が載っているが、Saint Snowの順位は大会のホームページの順位表には載っていなかった。トップレベルの踊りができても優勝や入賞すらできない。つまり、ラブライブ!本戦に出場するのには、このレベルでも怪しいということだということを裏付けていた。この事は、千歌だけでなく、この場にいる全員が思っていたことだった。

 

場の空気が少し暗くなった瞬間、善子が〝こうなったのは、たまたま。魔力でうんたらかんたら〟と言い始めた。下手くそだが、善子なりに気を使ったのだろう。

 

「そんな事考えてもしょうがないよ。それよりも、せっかくの東京だし、みんなで楽しもうよ!」

 

千歌が、そう言い、東京観光を再開しようと思ったところ、百香のポケットの中に入っているスマートフォンがバイブレーションを出した。電話の相手は今日行った大会の事務局からだった。

 

渡したいものがある。電話の先で事務局職員は少し言いづらそうに百香にそう言っていた。百香は、大体想像はできていた。渡したいものは、Aqoursの順位が書かれた紙。渡されなくても結果は予測できる。いや、アニメ通りなら、ああなってないとおかしい。結果を知っている百香だからこうした事が思えるのだ。

 

百香は、Aqoursの6人に通話内容を伝え、会場に戻ろうという事を提案した。6人は、このことを了承し、もう一度会場に向かう事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

会場に到着すると、百香が受付を済ませている最中に千歌達に話しかけてきた時のスタッフの女性がメインエントランスの前に立っていた。

 

「ゴメンねー。これ、渡すようなんだ」

 

女性スタッフはそう言いながら、青封筒を出した。この青封筒の中には今回の大会に出場したグループの順位と得票数が書かれている紙が入っている。

 

「正直、これ渡そうかなーって思ったんだけど、出場したグループには渡すことにしてるから」

 

そう言う女性スタッフの表情はあまり良くはなかった。それもそのはず。Aqoursに渡された青封筒の中には最下位、そして、得票数0という結果が入っているからだ。それを知らない百香を除くAqours6人は興味深々に封筒を眺めている。いや、正しくは5人だ。なぜなら、1人はさっきの百香達の会話を聞いており、本当にその通りになるのか確かめたいと思いながら眺めているのだから。

 

「最下位・・・」

「しかも得票数は0・・・」

 

封筒を開けた後、誰かがそう発した。そう、Aqoursはアニメ通りの結果であったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇都宮発、熱海行きの電車の最後尾、Aqoursの7人は、千歌、梨子、曜とルビィ、花丸の2つのペアがボックスシート、善子、百香の2人が2人がけのロングシートに座っていた。この車両にはAqoursの7人の姿の他にも数人居るのだが、車両の中は沈黙に包まれていた。いや、沈黙どころか、Aqoursが落ち込んでいる雰囲気を出しているため、他の乗客は話しづらい環境になってしまっていたのであった。

 

こうなってしまったのは、Aqoursの順位が最下位、そして得票数が0だった事、そして封筒を開けた後に発生したある出来事も関係していた。

 

それはSaintSnowの2人が放った言葉だ。聖良の〝μ'sのような姿を目指してるなら諦めた方が良い〟と、理亞の〝ラブライブ!は遊びじゃない〟だった。

 

特に後者については、Aqours内から馬鹿にされているという意見も出てきたが、曜が〝もしかしたら、遊びのように見えたのかも〟と言ったため、誰も言い返せなくなり、また車内は沈黙に戻った。

 

が、沈黙は直ぐに破られた。千歌が言葉を発したのだ。

 

「私はこれでいいと思うな。私に出来ることを精一杯やれたんだもん。頑張って努力して、東京に呼ばれたんだよ。それだけでも凄いことだよ。でしょ?だから、胸張っていいと思う。今の私達の精一杯ができたんだもん」

 

Aqours5人は、この千歌の言葉と表情に驚いていた。いつもの千歌らしくない意見、そして、少しだけ笑顔だったからだ。

 

「千歌ちゃんは悔しくないの?」

 

「それは・・・、ちょっとは・・・。でも満足だよ。皆であそこに立てて。私は・・・、嬉しかった・・・」

 

その笑顔は、ただのつくり笑顔だった。曜に問い詰められただけですぐに崩れ、また沈黙。今度は誰も話すこと無く、その場には、ゴゴゴン、ゴゴゴンという車両が千歳川橋梁を通過する音しか響かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途中の熱海駅で電車を乗り換えたこと以外、何事も無く、そして、乗り換え以外、誰も一言も話すこと無く一行は沼津駅へ到着した。

 

沼津駅南口の1番南側のバス乗り場の近くには、浦女の2年生が「おーい!」と呼びながらAqoursに走って近づいてきた。

 

「どうだった?東京は!」

「う、うん。凄かったよ。ステージもキラキラしてて・・・」

「ちゃんと歌えた?」

「緊張して間違えたりしなかった?」

「あ、それはなんとか。ね」

「そ、そうね!ダンスのミスも無かったし」

 

千歌、曜、梨子の2年生3人は、興味深々の同級生達に質問攻めにされた。田舎の学校では、東京の大会に出られるだけでも十分であるし、ほとんどの部活が地区大会、せいぜい勝ち進んでも県大会までしか行けない浦女では、『東京の大会に出場した』と、言うだけで輝いて見え、この後の成果に期待したのだ。

 

さらに、同級生達は、期待と共に、もしかしたら、失敗するのではないのかと、心配もしていた。だが、千歌の「今までで1番のパフォーマンスだねって話してた」という言葉を聞き、これは決勝を狙えるかもと確信してしまった。

 

「本気でラブライブ!決勝狙えちゃうかもってこと?」

 

「そうだよね!東京のイベント呼ばれるくらいだもんね!」

 

その同級生の確信の言葉で千歌達の笑みが消えた。

 

「──あー、そうだね。だといいけど・・・」

 

一応、作り笑いでその場を凌いでいたのだが、Aqours5人の感情を出そうとしないとする心は少しずつ削られていっていた。

 

「おかえりなさい」

 

北口駅舎の方からダイヤが歩いてきた。

 

「お姉ちゃん・・・」

 

ダイヤの姿を見た瞬間、安心したのか、ルビィの心は耐えきれなくなり、泣き出した。

 

「よく頑張ったわね・・・」

 

ダイヤは、ルビィを抱きしめると、頭を何回も何回も優しく撫でた。Aqoursの4()()は、ただただ、何も言えず、その場にたたずみ、1人は見た目は4人と同じようにしながら、頭の中ではこれからの事を考え、もう1人は────

 

 

 

 

 

 

ひたすらその1人を睨んでいた──

 




高海千歌(CV:若本規夫)「お前らは学校をなくすんだ・・・。千歌達の浦女を廃校にすると言った。お前らが千歌達を〝スクーrrrr()アイドル〟と呼ぶぅ!!!だが今、迫害された千歌達に強力な武器が与えられた。よく聞けオハラよ。浦の星女学院の廃校を撤回させろ。即刻!そして永遠になぁ!!!我々Aqoursは要求が通るまでオハラの施設を毎週 ひ と つ づ つ 破壊していく事を宣言する。ただし一つ目の爆弾は内浦湾に泊めた無人のボートで爆破させる。千歌達の力を世界に示すために、千歌達の人名尊重の意志の証として!しかしだ、要求が受け入れられない時は、千歌達は迷うことなくオハラへの爆弾攻勢を開始するだろう。週に一つぅ!!!」

「・・・バッテリー切れずら・・・」

「切れたらサッサと入れ替えろマヌケェ・・・」

次回 ズラーライズ
※予告と異なる場合があります。

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香
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