海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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どうにか、月2更新に戻すことが出来ました・・・


第37話 悔しくないの?(下)

 

ルビィが泣き止んだ後、ダイヤはAqours7人をつれて話をするために西岸側の狩野川河川敷に向かった。

 

「得票、0ですか・・・」

 

千歌から結果を聞いたダイヤは、やっぱりか・・・という雰囲気を出しながらそう言った。ダイヤは、河川敷の階段に座り、上半身だけ横たわっているルビィを膝枕し、頭を撫でていた。

 

「貴女達は決してダメだった訳ではないのですよ。スクールアイドルとして充分練習を積み、見てる人を楽しませるに足りるだけのパフォーマンスをしている。でも、それだけではダメなのです。それだけでは──」

 

ダイヤはそう言った後、口を噤み、一呼吸おいてから話し始めた。

 

ダイヤが言った事。それは、元々人気があったスクールアイドルというカテゴリーに〝A-Rise〟と〝μ's〟誕生という大きな着火剤が加わり、〝ラブライブ!〟第1回大会が始まってまだ4年程しか経っていないにも関わらず、大会決勝は日本最大規模のアキバドームでの開催、スクールアイドルの数は4年前の10倍以上という異常なペースで増加し、それに伴いレベルの向上を産み、東京の大会で2代目Aqoursが支持されず、ダイヤが以前所属していたスクールアイドルグループが東京の大会で歌えなかったのは仕方がないという事だった。

 

その事を聞いたAqours6人はたいそう驚いた。スクールアイドル部結成を大反対していたあのお堅い生徒会長であろうお方がスクールアイドル部に所属していたのだから。

 

ダイヤが以前所属していたのは、ダイヤと鞠利と果南の3人ユニットだった初代Aqours。2年前、浦の星女学院が統合になるという噂があり、千歌のように統合阻止のために結成したのだった。当然、ダイヤはAqoursというグループに所属していたという事は、伏せていたのだが。

 

そして、千歌達のように東京に招待された。だが、千歌達と違って歌えなかった。他のグループのパフォーマンスの凄さと、巨大な会場の空気に圧倒されたから。

 

 

 

そう言っているのだが、少し嘘が混じっていたりする。確かに歌えなかったのだが、それは、果南はあの為に歌いたくなかったからだった。それを知っているのは果南とダイヤ、そして前世でアニメと映画全話を見た百香の3人だけだった。

 

嘘について知っていた百香だったが、Aqours6人の前でこれは嘘だとバラすようなことはしなかった。ダイヤは千歌達を慰めるために嘘をついたのだ。優しくしてくる人をフルスイング殴るような行為はしたくないし、ストーリーの進行上のエラーが発生してしまうからだ。

 

 

 

 

 

 

 

「慣れない環境で疲れが溜まっているでしょうし、家の方を待たせているでしょう?もうそろそろお帰りになったらいかがですか?」

 

「そう・・・、ですね・・・」

 

「明日は創立記念日でお休みです。ゆっくり身体を休めてください」

 

「わかりました・・・」

 

ダイヤの優しい声色で言われた言葉に落ち込んでいる6人と百香の中で千歌だけが答え、中央公園の前に止まっている十千万旅館の車の前まで全員で移動した。

 

「千歌ちゃん・・・、やめる・・・?」

 

車内に乗り込もうとした時、曜が千歌にそう問いかけた。作り笑いをして答えた電車の中の時とは違い、千歌は何も答えなかった。

 

「やめる?スクールアイドル・・・」

 

「・・・じゃあね」

 

曜はもう一度千歌に聞いてみた。やっぱり千歌は別れの挨拶以外何も答えず、車内に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、百香ちゃん。何で千歌ちゃん何も答えなかったのかな・・・」

 

帰り道、曜がふと聞いてきた。

 

「・・・。多分気を使っていたからだと思う」

 

そう答えると、曜は頭にはてなマークを思い浮かべたため、百香は〝リーダーの私がマイナスな事を言ったらみんな落ち込む〟と千歌が考えたからだと言うと、話を理解したのか、曜は軽く握った右手に顎を乗せて〝なるほど・・・〟と呟いた。

 

「・・・そうだ、曜姉。家帰ったらすぐに風呂入って寝ろよな」

 

「え?」

 

またまた曜の頭にはてなマークが浮かんだ

 

「今日はいろいろ疲れただろうし、明日早いからな」

 

「え?明日は創立記念日で休みだってダイヤさんが・・・」

 

「明日、始発で千歌を慰めに行くんだ。多分、一番堪えてるのは千歌だからな」

 

そう言ったあと、百香と曜は千歌の家の方向に立ちはだかっている狩野川の堤防を見たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

曇り空の下、N21系統 沼津駅発、浦の星女学院・河内農協経由大瀬岬行始発バス。車内には渡辺姉妹と善子の3人以外も数人乗っていたのだが、全員途中で降りていき、マリンパークバス停を過ぎると、3人以外乗客は居なかった。百香はふと気になって、なぜ善子も乗っているのかと試しに聞いてみたところ、「なんか行かなきゃ行けない気がしたわ」と言っていた。

 

・・・やっぱりアニメ通りに進んでいる。百香は一安心した。もし乗っていなかったら拉致ってでも来させようとした。そうしなければアニメ通りに進まないからだ。

 

「千歌ちゃん・・・、スクールアイドルやめるのかな・・・」

 

ふと、曜がそう言った。

 

「千歌が諦め悪いのは知ってるだろ?こんなんで諦めたら千歌じゃねぇよ」

 

「そっか・・・」

 

そう。飽きやすいが、諦めが悪い千歌は、このくらいでは諦めない。そもそも、Aqoursはまだどこにも辿り着いていないし、何も見つかっていないからだ。ここで終わってしまったらアニメ1期終了どころか、矢立肇先生達の次回作にご期待ください状態になってしまう。

 

おそらく──

 

 

 

 

──いや、絶対に千歌は諦めない。百香はその確信だけ持ち、曇り空を見たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三津バス停でバスを降り、千歌の家に向かっていると、三津浜から千歌の声が聞こえてきた。百香は、曜と善子の顔を見合わせてから両側から車が来ない事を確認してから道路を横断し、三津浜に向かった。

 

三津浜の目の前の海には全身ずぶ濡れになっている千歌と千歌に寄り添っている梨子が居た。

 

「私も悔しかった!だけど、私が泣いたらみんな落ちこむでしょ。今まで頑張ってきたのに、せっかくスクールアイドルやってくれたのに、悲しくなっちゃうでしょ?だから・・・、だから・・・」

 

千歌が泣きながら梨子に言っていた。やっぱり我慢していた。昨日何も言わなかったのは、おそらく、感情を抑えていたからなのだろう。県道から三津浜に降りると、後ろから声をかけられた。

 

ルビィ、花丸の2人だった。2人も、千歌達を慰めに朝早く来たのだ。なぜこんなに早いのかと聞いてみたところ、「なんか朝早い方がよかったからかな。何でかわからないけど・・・」と、ルビィが答えて少しだけ笑っていた。

 

「馬鹿ね。みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの。曜ちゃんも、ルビィちゃんも、花丸ちゃんも。もちろん、善子ちゃんも、マネージャーの百香ちゃんも」

 

〝ね。〟微笑みながらいい、梨子はこちらに振り向いた。

 

「おーい!」

 

曜の、千歌と梨子を呼ぶ声を合図に、5人は靴を脱ぐとバシャバシャと音を立てて千歌と梨子の居る海の中に入って行った。

 

「でも・・・」

 

「千歌ちゃんは感じたことを素直にぶつけて声に出していいの。みんなで一緒に歩こう。一緒に」

 

みんなが千歌を取り囲んだ後、梨子は、そう言いながら両手で千歌の両手を優しく掴んだ。

 

「今から0を100にするのは無理だと思う。でも、もしかしたら1にする事は出来るかも。私も知りたいの。それが出来るか・・・」

 

「うん」

 

梨子の言葉に千歌が答えると、今まで分厚い雲に覆われていた空が晴れ始め、朝日が差し込んできた。

 

「うん!」

 

千歌は、力強い声でもう一度、答えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌の本音を聞け、東京の一件はどうにか一件落着し、Aqoursの存続は決定された。

 

ずぶ濡れになり、半ば呆れ顔をしていた美渡に叱られる千歌を見送り、「練習したい!」と言っていたルビィ、花丸には今日は休養日だから練習は無しだと返し、すぐに家に返した。

 

「さて、私らも帰ろうか。もうすぐバスが来るはずだ・・・、お?」

 

曜と一緒に帰宅しようとした瞬間、百香のスマートフォンからバイブレーションが発せられた。

 

百香はズボンからスマートフォンを出し、画面の電源をつけ、何の通知か確かめた。

 

宛先はAqoursのあるメンバーからの個人チャットで、内容は『これから2人きりで会いたい。指定された場所に来て欲しい』だった。

 

 




次回更新予定日は2019年5月8日です

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香
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