海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

60 / 87

久しぶりに定時投稿ができました。この調子で次回も投稿できたらなぁ・・・と思っています(執筆し終わっているとは言っていない)

そういえば、先日の台風はどうでしたか?私の住んでいた地区は川沿いだったので避難勧告が発令されました。避難所内で1日を過ごし、その間で当話を執筆しました。住んでいた市では特に被害はありませんでしたが、地元は川が氾濫して一部地域が沈みました。一刻も早い復旧を願っています。

話は変わりますが、次章に入る前に息抜きで書いた番外編を投稿しようと思います。



第48話 取り調べ

 

果南、鞠莉、ダイヤのAqours未加入組3人と現在のAqours加入組、千歌、曜、梨子、善子、花丸、ルビィの6人、そして、マネージャーの百香の計10人が集まっている体育館アリーナ横、そして本校舎との連絡通路横のスクールアイドル部部室。

 

男や、性転換をした元男なら、転生したしない関わらず、この狭い部室に自分自身を除き9人の女子達が集まっている事に歓喜し、シャンプーやリンス、ボディーソープなどでは到底出せることが出来ない女子特有の柔らかい香りが充満しているこの部屋の中で歓喜しているだろう。

 

果南と鞠莉が2つの折りたたみテーブルを挟んで言い争いをしており、部室の雰囲気が現在進行形で悪化しているという状況を無視できるならば、だ。

 

「だから、東京のイベントで歌えなくって」

 

「その話はダイヤさんから聞いた。けど、それで諦めるような果南ちゃんじゃないでしょ?」

 

千歌の返答で果南は、いつの間に話したんだと言わんばかりの目でダイヤを見た。ダイヤは、果南のことをAqoursに話したことを果南に言うのを忘れていたと思ったのか、目を合わせずにそっぽを向いた。そうしたダイヤの態度を見た果南はため息をつくとまた前を向いた。すると次は鞠莉と千歌の問い詰めが再開された。

 

「そうそう。千歌っちの言う通りよ!だから何度も言っているのに」

 

「何か事情があるんだよね?」

 

鞠莉が聞いても答えてくれないだろうと思った第三者である千歌が果南に理由を聞いても果南は全く答えなかった。いや、答えられる理由がなかった。

 

「ねっ?」

 

「そんなもの無いよ。さっき言った通り、私が歌えなっただけ」

 

果南の横に座っているダイヤは、そう言った果南の顔を少しだけ悲しそうにしながら見た。何やら理由を知っているみたいに・・・。

 

「んんー!イライラするぅー!」

 

「その気持ち、よーくわかるよ!ほんと腹たつよねコイツ」

 

頭を掻き毟る千歌に同意した鞠莉は、果南を指差した。千歌と鞠莉は2人の正面に立っているのにダイヤの顔の変化に気づけなかった。

 

「勝手に鞠莉がイライラしているだけでしょ」

 

「でも、この前弁天島で踊っていたような・・・」

 

「お、おいルビィ。その話は」

 

ルビィの一言でずっと強気な態度を取っていた果南の顔が真っ赤になった。一応、百香は怪しくないように、ルビィの事を止めるような素振りをした。最も、ストーリーに支障が出てしまう恐れがあったためか、彼女はルビィを止める気は更々無かった。

 

「おおー。赤くなってるー」

 

「うるさい」

 

「やっぱり未練あるんでしょー?」

 

真っ赤になった果南の顔を見た鞠莉は、ニヤニヤしながら果南の顔に自分自身の顔を近づけていた。そんな光景を横から見ていたダイヤは、2年前にも交わされたのだろうこうした光景を思い出していたのか、少し微笑んでいた。それに気づいたのは百香のみ。誰も気づかないのは元々アニメでの展開であったことのため、百香はあえて口に出さず、表情を見れていない他のAqoursメンバーの中に溶け込むためにダイヤの表情をあえて見ていないふりをした。

 

微笑ましい光景を見たいた百香を除く全員はこのまま果南と鞠莉の関係は改善すると思っていた。

 

「うるさい!未練なんてない!とにかく私は嫌になったの。スクールアイドルは、絶対にやらない」

 

いきなりパイプ椅子から立ち上がった果南は鞠莉にそう言い放つと、サッシ扉を乱雑に開け閉めし、部室から出て行った。果南の居なくなった部室内はただただ、佇んでいる鞠莉と、また悲しそうな顔をしたダイヤ、そして、この件の第三者であるAqours1、2年生組と百香だけが取り残された。

 

しばらく部室内が沈黙につつまれた後、不意に梨子が口を開いた。

 

「ダイヤさん。何か知ってますよね」

 

「ええ?私は何も・・・」

 

梨子の質問に、ダイヤははっきりとした答えを出さなかった。だが、ダイヤは彼女自身の顔にあるホクロを軽く掻いていた。彼女がホクロを搔くのは嘘をついている証だ。

 

「なら、どうして先ほど果南さんの肩を持ったんですか?」

 

この件の発端は果南にあった。普通、原因を作り出した人の肩を持つのは、何かしら理由がある。それに、果南は〝歌えなかった〟と言っていたが、人の背中を押す事が得意であり、簡単に諦めることが嫌い、という果南の性格からしてあの考えは不自然だ。何にかしら隠しているのは確実であった。

 

「そ、それは・・・」

 

その瞬間、ダイヤは部室から飛び出した。そこまでして話したくないことだ。仕方ない。

 

ダイヤから絶対に理由を聞きたい千歌は、善子に命令した。〝善子ちゃん〟と。その一言だけで善子は〝ダイヤさんを捕まえろ〟という事だと直ぐに理解し、直ぐにダイヤの後を追い、体育館と校舎を繋ぐ連絡通路に差し掛かる前に関節技をかけ、ダイヤを捕まえた。

 

その時、善子は千歌に善子ちゃんと呼ばれたためいつもの〝ヨハネだってばー!〟というツッコミを言いながらダイヤに関節技をかけていて、ダイヤは黒澤家の遺伝なのかわからないが、ルビィと同じ〝ピギャァー!〟という叫び声をあげていた。

 

その後、ダイヤの〝わかりましたわ!話します!話しますから離してください!〟という必死で、そして涙目で哀願したダイヤは千歌に離していいよという合図が出された後、善子の関節技から離され、そしていつの間にか後ろに立っていたなぜか妙に笑顔な千歌と梨子によって部室に連れ戻された。

 

「と、とりあえず、理由を話しますので、一旦(わたくし)の家に来ていただけませんか?」

 

後に続けて〝ここでは他の誰かに聞こえてしまいますので〟と言ったダイヤは、恐らく先程の関節技で首を痛めたのだろう。首を右手で押えていた。〝さすがにあの関節技はやりすぎだろう〟と百香は思い、後ほど善子に注意することにし、善子の注意に向いていた意識をダイヤと鞠莉のAqours3年生組2人にまた向けることにした。

 

「じゃあこれからダイヤさんの家に行こう。大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ」

「ヨーソロー!」

「ずら」

「ギラン」

「大丈夫です」

「私は別に構わないぞ」

 

千歌の問いかけの答えはAqoursメンバー全員、そして百香も即OKだった。そのため、直ぐに黒澤家に向かう事となり、部室を閉める準備を開始した。ある者は製作途中の衣装を大急ぎで、なおかつ綺麗に畳んでスクールバッグの中にしまい、ある者は準備がほぼ終わっており、スクールバッグの中に入っているみかんを食べていたり、ある者は文庫本を、ある者は魔術の本を読んでいたり、ある者は紙袋を部室の棚から出していたりしており、各々出発するための準備を着々と進めていった。

 

 

 

 

5分もかからずに全員出発準備を終え、百香が部室の施錠をし、百香を除いた全員が校門に先に向かい、百香が鍵を職員室出入口横のキーボックスに戻しに向かった。

 

 

鍵返しも案外早く終わったので、校門で百香を待っていた8人と合流して黒澤家に向かい始めた。この時の空模様は雨が降りそうな黒い雲が高速で内浦の空を覆い尽くし始め、長浜に構える黒澤家の正面門に着く頃には空が真っ黒になり、その雲で辺りはいっそう暗くなり、辺りの道路照明が点灯し始めたのだが、雨が降りそうだという話題が出て少しだけ話した以外、その事については誰も特に気には止めなかった。

 

 

 




次回更新予定日は10月30日0時0分です

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。