そのため、しばらくは週一で投稿いたします。
大変長らくお待たせいたしました。5か月半ぶりの本編をお楽しみください。
コラボやりたいです。誰か提案してきてくれませんかね?(人任せ)
第53話(プロローグ)
2016年8月8日。
百香は自室の窓から外に出てベランダの欄干に両手を置き、夜空を見ながらついさっき担任の佐藤先生から電話で聞かれた事についての考え事をしていた。それは───
『新静岡に編入する気、ない?』
「編入・・・、ですか・・・?」
────浦の星女学院から私立・国公立合わせて県内一の進学校、新静岡高校に編入しないかという話だった。
『そう。今さっき新静岡から連絡があってね。夏休みが終わってから編入してみないか─って』
その後、担任は向こうはゴリ押しのように言ってきたけど私は反対だよ。と、苦笑いしているかのように言っていた。
しかし・・・、入学辞退した学校からそんなに強く入学を薦めてくるという事はあるのだろうか。確かに、入試時で百香は学年首席だった。だが、上位の1人や2人辞退しただけでそんなにムキになるようにその生徒を集めるのだろうか。
今の百香はまだ子供であり、そして保護者の相談無しで決めてしまうのはどうかと思い、母親に一応意見を聞いた。
そんな母の答えは、貴女自身が決めなさいというものだった。百香はどうすべきかわからず、ため息しか出なかった。
第4章
海ハ澄ンデモ雨止マズ
プロローグ(第53話)
──雲行キガ怪シクナル
ため息をついてから数分が経過し、気が少し落ち着いたと思い、部屋の中に戻ろうとすると、百香のスマホがバイブを出して震えた。発信者は〝東條希〟
沢木さん経由で知り合ったμ'sのメンバーである。彼女自身と電話番号の交換は百香が中学1年、μ's2年生組と同級生の沢木さんが高校2年、つまり希がμ'sに所属していた時に百香と知り合った。
もちろん、希には百香自身の事を話していない。が、彼女自身カンが強いのか、それとも趣味の占いで占ったのか希は百香について何か気づいているようであった。百香は何時「君は何者なのか?」と聞かれるのかビクビクしていたのだが、希自身が気遣ってくれたのか、結局何も言われなかった。
百香は画面に表示されている通話ボタンを押し、電話に出た。
「はい、渡辺ですが・・・」
『久しぶりやね』
「・・・
──何かあったんですか?」
百香は声のトーンを落として希に聞いた。過去、希からの電話の用件は全て悪い占いで悪い結果が出ているから気をつけてとの事であった。
希の占いの結果は良く当たる。そのためいつも占った時だけ個人チャットで送ってきてくれている。だが、思いがけない結果が出た時には電話で報告してきている。
3年前、中学1年生の時の秋も、そうだった。
『もしかしたらと思って』
「もしかしたらって・・・。ずいぶん曖昧ですね」
『完全に未来を予測できる人なんて居ないんよ。・・・居たら会ってみたいけど』
遠回しに、百香に言っているのではないのか錯覚させられる、少しだけ置いた間に、百香は少しだけハラハラした。こういうのは結構気分が良くない。
「・・・で、結果はどうだったんですか?」
「女教皇。カードはそう告げてるやんね」
大アルカナの女教皇。
正位置の意味は、知性、教養、直感、変化、未来、理解、予感・・・など。
逆位置の意味は、不安定、ヒステリック、うぬぼれ、思慮不足、予測不可・・・など、だ。
「正位置と逆位置、どっちなんですか?それによっては・・・」
「ふふふ。どうなんやろね。未来が分かるのは面白くないやん?」
「───っ。そうですね」
望は、絶対に百香のことに気付いている。教えてはくれなかったが、今回の場合、意味は十中八九後者を指すだろう。背中に冷や汗が流れる感覚を感じながらも、しばらく望への返答を考えた───
「わかりました。ありがとうございます───」
が、結局これしか言えなかった。
時間は過ぎ、夜が明け、8月9日。さんさんと太陽が照り付けるアツアツのコンクリートの上。県予選に向けて練習に打ち込んでいるAqoursの姿があった。しかし、そこに百香の姿は見えない。
同刻、浦の星女学院理事長室応接スペース。新静岡高校の書類の束が置かれている座卓の上座側には百香、下座側には沢木さんが座っていた。もちろん、話は重要なことなので、沢木の黒服や使用人、浦女の職員、生徒は全員退室済みだった。
「やっぱり、あなたの差し金でしたか・・・」
「
新静岡高校に百香を編入する話は、機内爆発事件で記者が殺害されたことにより、当該記者に関わっていた百香のことを心配した沢木が裏から手をまわしたことにより発生した話だった。
「この話は強制じゃない。もちろん、この件は拒否しても一向に構わない」
「・・・拒否するとどうなるんです?」
この質問をした意図は、好奇心なのか、それとも、本心なのかは百香自身にしか分からない。
「私が派遣したボディーガードをつけることになる」
「なぜそこまで?確かに、あなたと私は元上官と部下でありました。でも今は違います」
確かに、前世と今を合わせてだが、百香と沢木は知り合って20年以上たっており、考えていることは全部ではないがある程度はわかるようになっていた。そうした関係は、百香と神田、前世で言う町田と八名とは違った信頼関係であったが、〝はくう〟という、同じ境遇に置かされたことで確かに固い絆で結ばれていた。しかし、それはあくまで前世の話。この世界では百香と沢木の間に信頼関係ではとても言い表せない大きな壁ができていた。
「確かにそうだな」
百香は一般市民なのに対し、沢木は国際的大企業、沢木グループの令嬢。これだけでも大きな壁になるのは十分な要件だった。こうした大きな壁を越えて一般市民に何かするのには、百香を大切に思っている沢木が家族内で大きな力を持ち、沢木グループ総帥さえ動かせたから守るのか、それとも、百香が手に掛かられたとき、沢木財閥に不利益が生じるからなのか・・・。それは、沢木本人に聞いてみないとわからなかった。
「・・・で、答えは、なんです?」
「答えは、君の想像に任せるよ」
沢木は、そう言うと軽く微笑み、話し合う前に退室した沢木の使用人が淹れたストレートティーを一口飲んだ。
「───で、答えはいつまでに貰えるかな」
ティーカップを置いた後、沢木は答えをド直球ストレートに聞いてきた。
コォォォ・・・と、しばらくクーラーが冷風を出す音、そして、閉じられたカーテン越しに聞こえるセミの鳴き声のみが静まり返った理事長室に響きわたった。
百香のこの決断は、分水嶺となる。これからどうなるか、この選択で決まる。「ど・れ・に・し・よ・う・か・な♪」という安直な方法で決めてはならない。
しかも、この数分や数日で答えを出すなど不可能に近い。
「・・・最低でも、1週間は貰えますか?」
「わかった。じゃあ17日までに私の携帯に連絡してくれ」
その点も沢木は把握していたのだろう。沢木の返答は意外とあっさりとしたものだった。
「君の返事を待ってるよ」
沢木は立ち上がりながらそう言うと、ソファーの上に置いてあったブランド物のバッグも持ち、理事長室の扉に手をかけた時、振り返って、こう言った。
「ちなみに、この件は
唖然とする百香を残し、沢木は退出した。座卓の上には、ほぼ決定事項だと言わんばかりに新静岡高校の案内パンフレットと、ほぼ手続きが終わり、残りは『渡辺』の印鑑のみである編入書類がきれいに山積みにされていた。
「・・・どうすればいいんだよ」
百香のつぶやきは、誰もいない理事長室に響いたのだった。
時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います
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渡辺百香と前世の娘
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スクスタ時空─スクフェス!─
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百香とルビィの入れ替わり!
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スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
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ロリ辺百香