海上自衛官が渡辺曜の妹になりました   作:しがみの

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第71話 新たな未来へ

東海道新幹線下り新大阪行こだま649号

 

どうにか一本前のこだま号に乗れた百香は16両編成の中間に位置するグリーン車の6号車の最後部に座り、パソコンを広げている。

 

高校制服姿の百香がグリーン車に座る光景は、いささか違和感を感じてしまう。

 

百香が高くて快適だけど時間は死ぬほどかかるこだま号でグリーン車の1番後ろを選んだのには訳があった。

 

まず、混雑。指定席車ですらガラガラのこだま号である。グリーン車なんて1両に数人居るかどうか。

 

次に場所。1番後ろなら後ろから覗き見される危険性は皆無に等しい。

 

最後に車両だ。車両は近い未来に引退する700系。引退するロートルに防犯カメラなんて未来ずら〜な物はついていないし、つける金ももったいないため、カメラのハッキングで盗み見することはできない。

 

この3点から、百香はグリーン車に乗ることにした。

 

鞠莉から指定席券は貰っていたが、乗車変更をかけて乗る電車の変更とグリーン車にアップグレードした。

 

差額を支払うだけでも、一高校生にはキツい額であるが、背に腹はかえられなかった。なお、窓口の職員に変な目で見られたのは言うまでもない。

 

途中、のぞみやひかりに追い越されていくが、流石にグリーン車。快適さは保証されている。快適な環境で、百香は資料作成に取り掛かることが出来た。

 

 

 

 

13時46分。名古屋駅に定刻通りに到着したこだま649号。百香はグリーン車から降り立つとむわりとくる大都市特有の熱気に嫌気をさしながらも在来線ホームを目指し、新幹線ホームから改札内通路に移動する。

 

新幹線乗り換え改札を通過した時、ふと思い出した。

 

〝昼まだ食べてねぇ・・・〟

 

思い出した途端、腹がくぅ〜と、可愛らしい音を鳴らす。多分、我慢すると曜達に怒られるし、一部にはイジられそうなため、とりあえず何か食べることにした。

 

 

 

改札内通路をしばらく歩いた百香。しかし、在来線改札内にあるのホームにある立ち食いきしめんとキオスクのみ。新幹線側も待合室にある売店とキオスク、立ち食いきしめんくらいしかない。

 

 

 

 

 

・・・これが三大都市圏の一つである名古屋の中心駅の姿かこれ?

 

百香には三島駅の駅ナカの方がマシと思ってしまう程、名古屋の改札内は店が無かった。改札内では駅そばしか選択肢はなく、改札外に出たくても百香のきっぷは名古屋市内下車前途無効。つまり、名古屋市内の駅で1回降りるときっぷが回収されてしまう。

 

「仕方ないなぁ・・・」

 

百香はそう呟くとホームにあがり、駅そば屋で腹を満たすことにした。

 

食券を買い、店の中へ。そばときしめん選べたのだが、百香は迷わずきしめんを選ぶ。やはり、ご当地の物があるならそれにすべきだろう。

 

食券を出すと、数分しないうちにきしめんが出てくる。

 

「いただきます───」

 

呟くように言うと、きしめんを啜り始める。

 

美味しい。

 

駅そばだからといって舐めてはいけない。駅によって出汁やメニューが違ったりするし、駅そば自体がその駅に観光客を呼び込む観光地になっていたりするのだ。我孫子の唐揚げそばなどがいい例だ。

 

「・・・」

 

しかし、少し視線を感じる。

 

制服姿の女子高生が1人で入る場所では無いのだろう。百香自身、1回も見たことがない。

 

「ごちそうさまでした」

 

手早く食べ終わると、快速電車の次に滑り込んできた大府行き普通電車に乗り込んだ。早く出る快速に乗らないのは、最寄り駅に快速は止まらないからだ。

 

時刻は14時19分。どうにかAqoursの開演時刻である15時には間に合いそうだ。

 

 

 

電車は遅れもなく、定刻の14時30分に笠寺駅に着く。

 

笠寺駅はラブライブ!の中部地区大会の開催地であるためか、混雑していた。電光掲示板には、普通では映し出されるはずのない快速系統の時刻が映し出されていた。

 

「快速に乗れば早くついたじゃねーか・・・」

 

そう、イベント時によくある臨時停車だ。

 

過ぎたことを後悔しても仕方ないため、改札を抜けてとりあえず会場に向かうことにした。

 

会場に到着すると、通常の入場口では無く横の関係者口から入る。

 

制服姿だし関係者証も持っているため、特に怪しまれることも無く入場し、真っ直ぐAqoursの楽屋に向かう。

 

「あ!遅いよ百香ちゃん!」

 

「どれだけ待たせるつもりですの?」

 

「HUNT○R × HU○TERが完結するかと思ったわ」

 

「すまんすまん」

 

遅れること楽屋に入った百香に、既に衣装に着替え終わっているAqoursメンバーから色々に言葉が飛び交ってくる。

 

〝ああ、これがAqoursだ───〟

 

ついにここまで来た。ついにあの曲を聞ける。こう思えるだけで百香は幸せだった。

 

「前みたいに百香ちゃんは踊らないの?」

 

横に来た曜が、ぽつりと問いかけた。

 

「ん?ああ。前は梨子姉の代理だったしな。それに、あの1回で満足だったし」

 

「そうなんだ・・・」

 

曜は少し寂しそうに微笑んだ。でも、百香自身は梨子の代理とはいえ、Aqoursの曲で歌えてAqoursとして踊れただけで満足だった。ただ、梨子が居なかった事が心残りだったが、それよりも満足感が勝っていた。

 

「Aqoursの皆さん、時間です」

 

「よし、みんな行ってこい!」

 

「うん!」

 

ついにあと1組でAqoursの出番となり、ステージ裏で待機することとなった。

 

アニメでは、Aqoursはここで敗退する。でも、百香の存在で変わるかもしれないし、このままかもしれない。それは、誰にも分からない。

 

ひとつ言えることは、どちらに転んでも百香は受け入れるということだ。

 

「行ってこい─────」

 

百香は、ステージに歩いていくAqours9人の姿を見てニコリと笑ったのだった。

時間的に余裕が出てきたので1話だけ番外編ストーリーを書きたいと思います

  • 渡辺百香と前世の娘
  • スクスタ時空─スクフェス!─
  • 百香とルビィの入れ替わり!
  • スクスタ時空─虹学・Aqours対決!─
  • ロリ辺百香
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