IS 〜アメリカの女〜 作:かきく
授業も終わってお昼休み。
俺は織斑一夏ではなく、布仏さん、谷本さん、鷹月さんとお昼を食べていた。
「ねぇねぇ、オリヴィア。昨日織斑くんと話してたよね?どうだった?」
「へ?」
「そうなの?」
「織斑先生が勉強教えるようにきゃろるんに言ってたよ〜」
「布仏さんきゃろるんとは私のことでしょうか?」
ニックネームだろうか?苗字のキャロルをもじったものだろう。
いや、そんな些細なことはどうでも良い。
「どうだったとはどういうことですか?質問が曖昧すぎてなんとも言えないのですが」
「なんかこう、全体的な印象みたいな?」
「えー勉強出来てないなら私が教えてあげたかったな」
「きゃろるんは席隣だからねぇ〜」
「印象ですか……」
印象かぁー、なんだろうなとりあえず男前の面が羨ましいとか、決闘で無様な様子を見せたくないというプライドはあるとか、あと本気で代表候補生であるセシリア・オルコットに勝とうとしていることだろうか。
「そうですね、間近で見ても顔立ちは良かったですね」
「イケメンだよね、織斑くん」
「千冬様の弟だもんね」
まず織斑先生も女性に使う表現ではないがイケメンだよな。わかるわ。
「あとは素直でしたね。わからないことはきちんと質問してきましたし、曖昧なまま進もうとはしませんでした」
「へぇー」
「まぁ、まず初歩の初歩だもんね」
基本がなっていないと(以下略)なので俺もここはちゃんと教えるつもりだ。
一夏は疑問に思ったことをすぐにポンポンと聞いてくるので逆に解説で疲れた節もある。
「最後にあの人は本気で代表候補生であるセシリア・オルコットさんに勝とうとしています」
「えぇ?!」
「本当に?」
「わぁ〜おりむーすごいねぇ〜」
おりむーとは一夏のあだ名だろう。
どうやら布仏さんは相手にあだ名をつける子らしい。
「えぇ、まぁ知らぬが仏でしょうね。代表候補生なんて本当にエリートだというのですのに」
「そうなんだよね、オルコットさんも感じ悪かったけど実力はあるってことなんだよね」
「しかも教官倒したって言ってたよ」
この世界唯一のIS学園の教師というのはいざという時に戦える人材なのだろう。
かくいう俺も負けた。まだ試験機ができてなかったのでラファールで挑んだが多少は抵抗できたものの普通に負けた。
「織斑くんが何か手を貸して欲しい様子だったら私たちも手伝うよ」
「とかいって知り合いになりたいだけでしょ」
「バレたか」
あはははと笑いあって姦しくお昼休みは過ぎていった。
* * * * *
そして放課後。
また今日も一夏の復習というか学習を手伝おうと思い用意していると、一夏だけでなく篠ノ之箒も教室に残っていた。
「篠ノ之さんも復習ですか?」
「違う、そうではなくて今日は一夏に鍛錬をつけようと思ってだな」
「鍛錬?」
「オルコットとの対決に向けてどれだけ動けるか剣道で対決したいのだ」
なるほど、篠ノ之箒もセシリア・オルコットに勝つための手助けをするのか。
幼馴染と聞いていたので納得である。
にしても剣道か、たしかに刀剣型のIS用ブレードを扱うには為になるかもしれない。
「ええ、よろしいですよ。生身の運動はISを扱う上で重要ですし」
「そうか!なら……」
「私も見学させてもらいますね」
一応データとして生身での織斑一夏の戦闘能力を見ておこう。
作戦を練る為に参考になると思うし。
それにしても何故篠ノ之箒はピシリと固まっているのだろうか。
* * * * *
場所を移して剣道場。
結論からいうと呆気なく篠ノ之箒の勝利でした。
圧勝でした。
完全勝利でした。
どうやら元々は剣道をやっていたらしいが、中学では帰宅部だったらしく腕は相当落ちてしまっていたようだ。
この一夏の様子に観戦に来ていた女子はやや幻滅ムード、篠ノ之箒はげきおこモードになった。
「鍛え直す!IS以前の問題だ!!これから毎日、放課後三時間、私が稽古をつけてやろう!!」
「え、それはちょっと長いような、ていうかISのことをだな」
ぎゃーぎゃーと2人は口論を始めてしまった。
一夏がチラチラとこちらを助けを求めるような視線で見つめてくる。
まぁ確かにそう簡単にISが使えないなら生身を鍛えたほうがよいのは事実ではあるがな。
さすがに可哀想に思えてきたから助けてやるか。
「篠ノ之さん、少し待ってください」
「なんだキャロル。これは私と一夏の問題だ、口出ししないでもらいたい」
「いえ、篠ノ之さん。あなたは元々オルコットさんに一夏を勝たせたいのでしょう。ならば多少の理論も必要だと思うのです」
「……ではどうする?」
「ええ、放課後の一時間は私が理論を、二時間を篠ノ之さんが剣道を。それではダメですか?」
私がそう提案すると考え始める篠ノ之さん。
結局二時間はするのかよ、と絶望したような顔をする一夏。
そんな顔すんな、勝ちたいんだろ。
「い、いやそれだと結局俺はIS使えなくないか?」
「一夏さん、先ほどISについてお話しした通りコアの数が限られているということは覚えてますよね?」
「?おう」
「ですので、同様にIS学園にあるISの数も限られているのです。それを専用機を持っていないIS学園在籍の人間が使いたがっているので訓練機は基本的に申請してからでないと使えないのですよ」
「マジか」
「マジですよ。ですので一夏が訓練機を使用できるのはよくて二回、悪くて一回ですね」
そういうと一夏は流石に焦りを露わにする。
というかISの練習なしにセシリアオルコットとやりあうつもりだったのだろうか?
無謀もいいとこである。
「私があらかじめ申請しましたので、明後日使って見ますか?」
「本当か!?ありがとう、オリヴィア!!」
「だが、キャロルお前の訓練に使わなくていいのか」
「大丈夫です。私には試験機がありますのでそれを使って教えますね」
元々は一夏に使わせてやろうと思っていたのだ。もし断られたらクラスの誰かに使わせてあげればいいしな。
「さて、篠ノ之さん。これでよろしいですよね」
「あ、あぁ。うん、問題ない。一夏と2人っきりで過ごそうと思っていたなんだが」
後半は小声で一夏には聞こえたなかったが俺には聞こえているぞ。
なんだ篠ノ之は一夏に恋しているのか。
なるほど、通りで頻繁に一夏と話そうとしているわけだ。
これが普通の学園生活なら応援しているんだがな。
* * * * *
訓練機が使える日になったので、アリーナにて一夏に打鉄が使用してみてもらった。
「一夏、どうですか、ISを使ってみた感覚は?」
宙に浮く一夏に声をかける。
「なんというか、慣れないな、変な感じだ」
……まぁ分からなくわない。実際に理論を把握していても初めのうちは戸惑ったしな俺も。
「しばらく思うように移動して見てください。空中の感覚になれるつもりでどうぞ」
そういうとビュンビュンと飛び回る一夏。
飛ぶ感覚と移動する感覚を覚えるのは重要だ。相手との距離を詰めたり、逆に離れたり、回避したりと移動技術は戦う上で重要だからな。
さて、それはともかく。
傍にいる篠ノ之箒に視線を向ける。
「篠ノ之さんはどうしてここに?」
「い、いや、私は一夏を応援しようとだな……なんだその笑顔は?!」
「いえ、可愛らしいなと思いまして」
篠ノ之箒が恋する乙女らしいいじらしい反応を見せる。
普段の凛とした侍のような雰囲気とはまるで別人だな。
「まるで恋する乙女のように尽くしていますね」
「だ、誰が一夏なんかに!」
「私は一言も一夏の名前は出してませんよ」
くすくすと笑うと恥じらうように顔を赤くした。
最近あの狐担当者にいじられてばっかりだったから他人をからかうことが楽しくてしょうがない。
「お前こそ一夏をどう思っているんだ!」
「私ですか?」
「あぁ、わざわざ勉強を教えたり訓練機を貸したり気があるのではないか?」
「勉強を教えるのは織斑先生に頼まれましたので。ですが確かに一夏には興味がありますね」
主になぜISが使えるのかという意味で。
「な、な」
「まぁお互いにこれからよろしくお願いしますね、箒」
「お前に一夏はやらん!」
あー、良いリアクションだな。からかい甲斐があるわ。
そうこう話していると一夏がようやく戻ってくる。
「なぁオリヴィアと箒何話していたんだ?」
「別にお互いにこれから仲良くしようとお話ししていただけですよ。ねぇ箒」
「ぐ、そ、そうだ。クラスメイトとして親睦をキャロ、いやオリヴィアと深めていただけだ」
「そうか、クラスメイトと仲良くしておくのは良いことだからな」
まぁ一夏についてどう思うかなんて言えないだろうしな。プライド高いみたいだし、素直になれなさそうだし。
まぁ、いい、真面目な話に戻そう。
「それでは一夏、私とISでの戦闘を実践しましょうか」
「おう」
「ただし一夏は近接用のブレードメインでお願いします」
「はぁっ?!」
意味がわからんと驚く一夏。
そりゃそうだが理由はあるのだ。
「驚くのは無理もないですが射撃武器を使用して当てられますか?素人が止まっている的に当てるのですら難しいと思いますが、お互いに動いている状態で当てられると?」
「そ、それはそうだけど幾ら何でも無茶苦茶じゃないか」
「いえ、全く使うなとは言いませんが精々牽制にしか使えないと思いますよ。それに生身での運動の延長ですから剣道が役に立つと思います。箒との鍛錬も無駄にならないかと」
「そうだぞ、一夏。男ならば剣一本で戦ってみんか」
「わ、わかったよ」
箒もこう言えば説得に乗じてくれると思ったなら案の定乗ってくれた。
一夏も箒の気迫に圧迫されたようで渋々だが納得してくれた。
「さてそれではやりますか、イエロー・マーチ」
私をISが包み、戦闘訓練が始まった。
ネーミングセンスがないのは作者が一番わかってます。
感想お待ちしております。