元・英雄殺しがダンジョンにいるのは間違っているのか? 作:黒犬@ダクソ民
今回は苦手な戦闘描写回なのでひどくても大目に見てね。
ものを投げても今日の俺は鋼体があるかは効かないぞぉ!!
ダンジョン8階層…初級冒険者の死亡率が高くなり始める階層だ。そこではモンスターと冒険者の死闘が繰り広げられるが…二人の戦闘狂によってそれ以上の激闘が起こっていた…
2人の武器が鍔迫り合い、火花が散る。オッタルはオーソドックスな両手剣、一見シンプルだがよく鍛えられた逸品だ。対するバルバトスの武器は傍目から見ると異形と呼ぶのにふさわしい斧だった。揃わない刃先と埋め込まれた宝玉が異彩を放つ。しかしオッタルはこの斧の異常性に数合の打ち合いで気がついていた。
(この斧魔力を帯びているだと!?魔剣の類か…だが魔剣とは使い切りのもののはず…)
オッタルが疑問を感じるのも仕方が無いことだった。この世界の魔剣は魔法を封じ込め1度使うと壊れると言うものだからだ。
その昔、異世界で行われた天地戦争の時、バルバトスは地上軍を裏切り天上軍に付いたが、その時に手に入れた大斧「ディアボリックファング」埋め込まれた宝玉が使用者の魔力を喰らい放出することが出来る魔斧である。
「流石にただ打ち合うだけでは埒があかんな…少しギアを上げる、付いてこれるか?」
「…来い!」
「余裕かましてんじゃあねぇ!!」
距離が空いたタイミングでバルバトスが斧を掲げるとそこから無数の炎が飛び出しオッタルに向かって飛んでくる。
「ふん!!」
それをオッタルは冷静に剣で一つ一つ捌く。だがこれはバルバトスに取っては牽制に過ぎない。
「潰れろぉ!エアプレッシャー!」
オッタルの足元に魔法陣が展開されオッタルの周りだけ重力が何倍にもなったようになり圧力がオッタルを襲う。
「くっ…!」
「まだだ!絶望のシリングフォール!」
するとオッタルの頭上からいくつもの大岩が降って来る。
「はぁ!!」
気合で何とか体を動かし重力場から逃れる。
「ほう…今のを避けるか…やはりただの雑魚では無いな貴様」
「…魔法まで使うとはな」
「使えるものは使う。それが戦士と言うものだ」
「…そうだな」
(あの男の特殊スキルか…?さっきから何発か当たっているはずだが奇妙な金属音が聞こえる度に弾かれる…)
(少しだけだが鋼体の上からダメージが入っている。まだ鋼体に余裕はあるが用心せねば…)
「なあオッタルよ…ここは俺達がやり合うには少し狭いと思わんか…?」
「…そうだな」
「貴様は俺を試すと言った。ならばこの一撃でこの場は締めんか…?」
「何?」
「貴様とはいずれ全力でやりたいものだ。この一撃で死んでくれるなよ…?」
ディアボリックファングにとてつもない魔力が集まる。咄嗟にオッタルは防御の構えを取る。
「微塵に砕けろ!ジェノサイドブレイバー!!」
あたりに轟音が響く。オッタルは防御の構えをしていたがそれでも身体中に浅くない傷が出来ていた。そしてオッタルの後の壁が消失していた。
そこでバルバトスは斧を下ろす。
「今日の俺は紳士的だ、運が良かったな。傷を癒しもっと強くなってから来るといい…」
「くっ…」
バルバトスは意気揚々と上の階層に帰っていった。
「申し訳ございませんフレイア様…」
(バルバトス…お前はいつか俺が…)
その時フレイアはバベルの一室で…
(あの子は良いわね…白髪の子がダイヤモンドの原石だとするなら、炎の中で煌めくガーネット。但し、取るためには火傷も覚悟しなくてはならない。)
新たな可能性と完成品の出現に震えていた。
(白髪の子には試練を与え彼の方は暫くは静観しましょう。そして白髪の子が輝くようになったら…)
「楽しみだわ…」
やっぱり戦闘描写は難しいですねぇ…バルバトスの前だとオッタルさんも弱そうに見える不思議。オッタルさんが武人としてのリベンジに燃えて行く事になりそう。ではまた次回。