一年半ぶりの更新になります。
正直そこまで時間が経つと、大元の話の流れとかを忘れてしまいますね。というわけで、この小説は、EVOLを観返しながら書いておりますゆえ、話の展開も遅くなると思います。
ではどうぞ。
グビラの出現から一日が経過した。先の戦闘で崩壊した学園の壁は取り払われ、学園は新たに共学体制として歩み始めた。ただし、『恋愛禁止』を根底としたものであり、相も変わらず男女の精神的な壁は立てられていた。
「今日は課外授業を行います」
スオミの発言と共に、生徒全員にプリントが配られる。あえてここでいうが、共学化したために、教室にも男女が混ざって入っている。
「共学化したことによって、色々と戸惑いを覚える生徒も多いと思います。この課外授業はそのような精神的隔たりを少しでも解消しようと、設けられたものです」
「まぁ少しでも仲間意識を育もうとすることには賛成だけど」
スオミの説明を聞きつつ、アマタはプリントに目を落した。そこには今回の課外授業の予定とメンバー表が描かれている。
(プールでに散歩にホテルの喫茶店。もはやレクリエーションというよりデートコースのようになっているのだが)
アマタの思考を裏付けるように、周囲にいた女子生徒も、ひそひそとした声で会話をしていた。ついでに周りにいる男子たちに、チラチラと視線を送っていた。中でもある程度噂や写真がある男子生徒たちは兎も角、今日から学園に編入したアマタに、視線は集まりがちであった。
「これってネオ・クローンの定番デートコースだよね?」
「そうよ、楽しみだわ!!」
(『恋愛禁止』を謳い乍ら、生徒にデートコースを歩かせる。明らかに矛盾しているけど、過去にアクエリオンについて、恋愛がらみでなにかあったのか? そうでなければこんなことはしないはずだが……。というより、先程から周囲の視線が半端じゃなく集まっているな)
戦闘、計算能力、計略、経営などなど、様々な知識を身に付けていても、女心にはめっぽう疎いアマタである。だからアマタのすぐ隣で、ミコノが無自覚ながら、若干眉根を寄せ気味になっている理由も理解していない。加えて女性の視線が集中している理由も、新顔の自分が物珍しいという内容に落ち着いてしまっていた。
「さて、俺のグループは……ミコノさんだね」
「うん、よろしくね」
「あとは……ゼシカさんか? というか男一人に女性二人って」
「レクリエーションだし、仕方ないんじゃない? あっ、あたしがゼシカだよ。よろしくね」
二人に近寄ってきたのは、明るめの緑色をした髪に露出が多めな服を着た快活そうな少女だった。
◆
ネオ・クローンの街中を行き来する遊覧船にアマタたちは乗船していた。ゆっくりと流れる景色を横目に見ながら、アマタは両手の指輪を外し、一度両手で光ごと包み込み、中から片手に付ける様な手甲を取り出し、右腕にはめ込んだ。手の甲には、先程の二つの宝石が付属している。
「アマタ君、何してるの?」
「綺麗な宝石だよね」
「ああ、これか。これはオレの力の根源みたいなものだ」
「力って、エレメントの?」
「そんなところさ」
ゼシカとミコノの言葉に反応しつつ、アマタは指ぬきグローブを手甲の上に付け直した。
船での遊覧が終わり、三人はネオ・クローンの繁華街へと足を踏み入れた。レクリエーションに参加している生徒は勿論のこと、ネオ・クローンの住民たちも遊びに訪れており、非常ににぎわっていた。
そんな街の人の様子を、眩しい様子でアマタは見つめていた。
「なんだかアマタ君お兄さんみたいだね。見守っているというか」
「な~んか年不相応に落ち着いているというか、カイエンさんとはまた違った色気があるというか」
「い、色気?」
ゼシカのいきなりな言葉に、ミコノは動揺してしまった。別段ミコノは「おぼこ」というわけではない。まぐわい経験こそ当たり前だがないが、最低でも学び舎で教わる知識は持っている。決して世間知らずというわけではないが、そう言った話をする者が周りにいなかったのだろう。余りその手の話には耐性がなかった。
「え~だって、見てみなさいよあの横顔。キリッとした精悍な顔に、時々浮かべる憂いを帯びた表情。加えて眉間に皺を寄せつつも、慈愛を含んだ視線。極めつけは服の上からでもわかる、調度よく鍛えられた体に、大きな背中の頼もしさ」
「う、うん……」
「間違いなく優良物件よ。まぁでも……」
そこで会話を切り、ゼシカはアマタへと視線を向ける。つられてミコノも視線を向けると、そこには女性たちに囲まれ、非常に困惑した顔をしたアマタがいた。ゼシカの評した通り、基本的にアマタは外見はいい。加えて本人の気質もあり、人当たりも表情以外はいい方である。
それ故か、学園に編入する前も、何度か同じような事態に陥ったが、その時はバイト中という対策をとることができた。しかし今は課外授業中、バイトという口実は使えないし、何よりもそのような言い訳はミコノとゼシカに失礼である。だからか、非常に困った表情で、彼は二人に助けを求めていた。
「アレを見る限り、根っこから女性慣れしていないみたいね」
「そうだね」
「んじゃ、助けてほしそうだし、いきましょうか」
ゼシカはそう言うと、アマタのもとへと近寄っていった、ミコノもそれに続くように近寄り、女性たちがいなくなったのはそれから五分ほど経過してだった。
時間は流れ夕方。街を堪能した三人は、クローン・タワーの展望台にいた。三人で並んで夕焼けを眺め、一日の終わりを満喫する。課外授業という名のレクリエーションが終わるのももうすぐである。
「アマタ君、今日は楽しかった?」
「ん? ああ、久しぶりに、ゆっくりと出来たよ」
「久しぶりって、普段なにしてるの?」
他愛もない話をしながら暁色の空と夕日を眺める。
「『地球の夕焼けは美しかった』」
「「えっ?」」
黙って夕日を眺めていたところ、徐にアマタが口を開いた。
「『取り分け日本の黄昏は。あの
「星って、別の星ってこと?」
「ああ。こことは別の星で生まれて、また別の星を訪れた知人さ。地球という星を愛し、愛したが故にその星の人間がその真の美しさに、気付かないことに悲しんだ宇宙人の」
「宇宙人ってそんな……」
「その知己が言っていたよ。この星の夕日も、負けず劣らず美しいと」
懐かしそうに顔を綻ばせ乍ら、アマタはそう語った。とても大事な知り合いだったのだろう。
「その宇宙人さんは?」
「……数年前、街一つを壊滅させた大災害でね。でも最期まで、この美しい星に来れたことを喜んでいたよ」
「……そっか」
「ねぇ、アマタ君は見たことある? その地球って星を」
「そうだな。とても美しい、蒼い星だったよ。これは、彼女が撮影した写真だね」
彼はそう言うと、懐から写真を取り出した。そこには太陽の光を受けて、漆黒の海に青々と輝く、一つの星が写っていた。成程、確かに話に聞いた通り、綺麗な星だ。
「大切な人だったんだね」
「うん。オレの『力』を怖くないと、人を守れる力だと初めて教えてくれたヒトだった」
少ししんみりとした雰囲気となったが、ミコノはそれ以上追究しないことにした。誰にでも語りたくない過去、つらい過去があるものである。ゼシカは知る由もないが、ミコノはアマタの事情も少なからず分かっている。だからこそ、彼のスッキリとした顔を見て、大丈夫だという思いを持った。
その空気を察したのか、ゼシカもそれ以上質問はしなかった。まるで彼自身が宇宙を超えてその星を見たような発言だったが、その疑問も一旦抑えることにしたのだ。いつか聞くことができるだろうと。
「さてと、そろそろ帰ろうと思うんだけど……そうは問屋が卸さないよね?」
アマタはそう言うと、ミコノとゼシカを庇うように立ち、彼らよりもさらに上のほうに目を向けた。二人もつられて目をやると、そこには赤い髪をした、他者を威圧するような雰囲気を持った、一人の青年がいた。アマタとは意匠が異なるものの、彼も真っ黒な服を着ていた。
「そうだな……こんなにクサい、同じニオイを見つけて、はいそうですかと帰るわけないだろ!!」
青年はそう言うと飛び降り、まるで狙ったかのように彼らの数メートル前に着地した。上げた面には好戦的な笑みが浮かべられていた。
「よう。
「ああ。
はい、今回はここまでです。
アマタの言葉に出てきたセリフ、ウルトラファンの方ならわかるかもしれないですね。ただ、彼とは全く別の個体なので悪しからず。
久しぶりに更新しましたが、何とか形になったかと思います。実はパソコンも保存していたアウトラインも、別途外部接続メモリに保存していた下書きも一気に消えてしまいました。
ですので、メイン小説サブ小説関係なく、続きは一から構成し直しという事態になっております。
今後も時間がかかりますが、私目の拙作たちを読んでいただけたら幸いです。