お待たせしました、二話目です。
この先ちょいちょいオリジナル展開を入れる予定なので、作品タグにオリ展開を入れようと思います。
映画館で出会ったアマタとミコノ、次の日彼らは川を進む小さな小舟に乗っていた。現在アマタとミコノがいるのは、山に囲まれた湖に栄えるネオ・ランディアと呼ばれる街である。
「私こっちに来たのは初めてなの」
「そうか。ということは、初めてきた町であの映画を?」
「うん。あの映画、一度観てみたかったから」
ミコノは楽し気な笑顔を浮かべながら、アマタは口元に微笑をたたえながらミコノの話を聞いていた。アマタとミコノは自分たちが同い年とわかると、途端に改まった様子はほぐれ、互いに自然体になっていた。
「それにしてもアマタ君、何だか同い年とは思えないほど落ち着きがあるね」
「まぁ、色々とな。今まで会った人とか環境とかでこうなった」
「へぇ、そうなんだ」
「ん? 少し待ってくれ」
アマタは一度話を止めると、漕ぎ手に川沿いの屋台に近づいて貰った。そこでアイスクリームを三つ購入し、ミコノに二つ渡した。
「え? 何で二つ?」
「その髪にいるの、そいつの分だ」
「えっ!?」
ミコノの疑問にアマタが答えると、彼女の纏められた髪から一匹の奇妙な生き物が出てきた。その生き物はアマタのことを警戒しており、噛みはしないものの厳しい視線をアマタに向けていた。その様子にアマタは苦笑しか浮かべていない。まるで慣れているかのように。
「シュシュに気付いてたの?」
「ああ。どんな生き物も、気配を完全に消すことは出来ないからね。警戒されるのもこの子だけじゃないから大丈夫だよ」
「そうなんだ。シュシュ? アマタ君がこれをシュシュにって、お礼言わないとだめだよ?」
ミコノがシュシュを促すが、シュシュは一向に警戒を辞めない。まるでアマタが自分への脅威であるかのように彼に敵意を向ける様子に、ミコトはため息をついた。
「ごめんねアマタ君、この子私以外には心を開かなくて」
「先ほども言ったが、よく動物には警戒されるんだ。シュシュに始まったことじゃないから気にしないでいい」
苦笑を微笑に変え、アマタはミコトに応える。ミコノは彼のその様子に妙な感覚が胸を過ぎった。思えば昨日今日であった人物だが、彼は素でも公への顔でも、同年代のように感情を表にあまり出さない。一見落ち着きのあるともとれるが、何かが違うとミコノは感じた。
船の散歩も終わり、二人は平和公園へと移動してた。そこには頭部と両腕部の失われた天使像が立っている。
「アマタ君って」
「ん?」
「アマタ君って、エレメント持ってるの?」
「……持っているが、あまり使おうとは思わないな」
「……どうして?」
ミコノはふと思い立ち、アマタに質問をした。アマタは知る由ないが、彼女の実家は代々エレメント能力持って生まれる家系である。しかし彼女には発現せず、それがコンプレックスになっていた。
しかしアマタはエレメントを持っているにも拘らず、それを秘匿しようとしていることにミコノは驚いていた。エレメントを持つということは、アクエリオ・パイロットに選ばれる資格があるということ。それを自ら不意にしようとしている彼が不思議で仕方がなかった。
「……人に限らず、強い力を持つとそれに溺れてしまう。エレメント然り、それ以外にも。己に出来ること以上の結果を求め、あるいは思い通りに出来ることに慢心し、そのまま破滅する。そうなるくらいならば、仮令力を持っていようと使わないほうがいい」
「それに俺のエレメントは重力操作何だけど、正直感情の起伏如何で勝手に発動してしまうんだ。己を律しきれえてない証拠さ。自身の力を知れないものは、力を振るうべきではないと思ってる」
ミコノにとって彼の話は新鮮だった。彼は自身の力を誇示することなく、自分に厳しく接し、更に自分を知ろうと日々努力しているのである。そういえば昔読んだ本に書いてあった。神話の話の一つだったが、その主人公は未熟者だったそうだ。しかし己の未熟さを悲観することなく、どんなに苦しめられても、どんなに痛みを背負っても必ず立ち上がり、不可能を可能にしたという。
アマタはその主人公とは似ても似つかないが、前に進む姿勢は似ているとミコトは感じた。そして少しずつ、仮令亀よりも遅くとも確実に前に数sまなければ、夢も希望もその手につかめないのかもしれないと考えた。
「……きたか」
ふとアマタが空に視線を移すと、そこにはいくつかの小さな光が瞬いていた。まだ星の出るような時間ではなく、しかも規則正しく並んでる様を見て、ミコノは状況を察した。アブダクターが襲来してきたのである。まだ警報は鳴っていないが、アマタによっていち早く非常事態を察した。
「ミコノさん、シェルターに行こう」
「う、うん!!」
アマタの言葉に従って像に背を向けたとき、街のあちこちからサイレンが鳴り響いた。そして町中は混乱に陥った。理由は不明だが、アブダクターは女性を連れていってしまう。ミコノも女性であるため、狙われる可能性がある。そう考えたアマタは非常事態としてミコノの手を掴んだ。
「えっ、なに!?」
「ごめん。でもこっちのほうが早いから」
アマタはそう言うと彼女の手を引き、走り出した。彼一人で逃げるなら最寄りのシェルターに行くまでに三十秒もいらない。しかし今はミコノが走れる最速のペースに合わせているため、いつもより移動が遅い。ようやく最寄りのシェルターに到着するも、すでに人でいっぱいになっていた。別のシェルターに行くも、その悉くは満員か混乱で入れない状況。
「……くそ、どこもダメか」
「どうしよう……」
「危険だけど、虱潰しに探すしかない。ごめんな」
「ううん、いいの。……? ねぇ、あれ」
「ん? ……おいおいマジか」
ミコノに指刺された先にアマタは視線を移すと、そこには驚きの光景が繰り広げられていた。アブダクターに対峙しているのは二機のアクエリア。しかしそれぞれ女性型と男性型であり、本来出会うはずのない二機が共闘しているのである。
しかしその連携は余りにもお粗末なものだった。互いの動きが互いに邪魔してしまい、せっかくの好奇も逃すさまである。見たことのないアブダクターもそれに気づいているのか、二機を相手に手玉に取っている。
何度目かのアクエリアの攻めに対し、アブダクターは反撃を加えた。アブダクターは手に持つ斧を掲げて竜巻を生成し、それを二機のアクエリアにぶつけ、昏倒させた。それがまずかった。その攻防の余波によって平和公園の像が吹き飛ばされ、運の悪いことにミコノたちの方へと飛んできたのだ。更に言えばその攻防の衝撃でミコノとアマタは転倒し、すぐに回避行動を取ることが出来ない。
大重量を誇る像とは対照的に、人間は余りにもちっぽけだ。逃げたら割れた像の破片がぶつかって負傷するかもしれないし、それでいて避けなければ像によって潰されてしまう。
「……仕方がない、さらけ出すか。彼女を、ミコノさんを護るために」
「えっ? ……アマタ……君?」
彼の言ったさらけ出すという意味を、ミコノは理解していなかった、だが彼は立ち上がると、飛んでくる像を真っすぐに見つめた。ここに飛来するまでもう数秒もない。そんな中彼は両腕を真横に伸ばし、そして大きく息を吸った。その後、彼は一息に両の中指にはめられる二色の指輪を突き合せた。
そして……
「シュアッ!!」
ミコノの目の前tその周辺は、眩い輝きに包まれた。
◆
「何だ? あの光は」
「眩しい!!」
突如現れた輝きに。ベクター各機のコックピットは勿論、彼らパイロットに指示を出していたスオミ達も目を奪われていた。アブダクターも突如現れた輝きに反応し、女性を拉致する動きも止めて全てのセンサーを光に向けた。
光が治まった先にいたのは、輝く巨人だった。全身は銀を中心に、ラインを描くように青と赤の模様が走っている。額にはダイヤの様なクリスタルが埋め込まれており、白く輝く双眼はアクエリオとアブダクターを見据えている。胸には蒼く輝くクリスタル体があり、それを包み込むように赤い水晶体があしらわれている。
「ウル……トラ……マン……」
静まり返った指令室に、スオミの声が響く。
何かを優しく握りしめている手を地面につけると、その握っていたものを優しく地に降ろし、加えて光のドームで包み込んだ。そのドームの中には一人の少女がおり、その肩には不思議な生き物を乗せている。そしてその少女は信じられないものを見る目で巨人を見つめていた。
巨人は一度少女に頷くと再びアブダクター達に向き直り、左腰の位置で両腕をクロスさせ、腕輪状の武具を合わせて、右手にエネルギーを集中させた。
「ォォォォオオ、シェアッ!!」
ゆっくりと右手を右腰に戻して一息のもとに目に突き出すと、その手から幾筋もの光が伸びた。それぞれの光がアブダクターを貫通すると、その光を通じていくつもの光の玉が巨人の手元に集まった。一通り玉を集め終わると、巨人は先ほどの少女同様、優しい手つきで地面に降ろした。光が収まると、そこには先ほど拉致された女性が全てドームに包まれていた。その光景に更にパイロットと指令室の人員は驚く。
「ヘッ!!」
救出された女性たちが無事なのを確認すると、巨人はアブダクターに向き合い、初めて構えを取った。幾星霜の果て、襲来者から人々を護るために、光の巨人が再びこの地に立った。
はい、ここまでです。運がよかったらもう一話更新できるかもしれません。
さて今回のオリトラマンのデザインですが、路線はネオ・フロンティアの宇宙を離れた光が、幾星霜の時間を経て残した因子を、アマタが受け継いだとしています。
またアマタは過去に何人かの先輩ウルトラマンたちに出会っており、その過程でとある変身者から光を少し受け継いでいます。よって、光系譜のウルトラマンの外見に、誰かを彷彿とさせる赤いクリスタル体をプロテクターの様につけています。
ではまた。