話は異なりますが連投です。いやはや、ストックがあるだけでこれだけ楽になるとは思っていませんでした。今度からこうしようかな。ワードなら誤字はすぐ訂正できるし。
というわけで続きをどうぞ。
交渉と精密検査を終えたアマタは、施設内の別室に通された。そこには大きな装置が鎮座しており、アマタは何やら嫌な予感を感じ取っていた。
「……これは?」
「貴方の過去を探る装置です。安心してください、知りたいこと以外は見られないようになっておりますので」
「そう……ですか」
正直アマタの気は進まない。いくら無駄な情報が読み取られないとしても、過去を覗かれていい気がする人はいないだろう。特にアマタの場合は身の上が特殊であるため、更にいい気分がしない。
しかしここでもたついていても仕方がない。しかたがなくアマタは案内されたように装置に座り、一種の催眠状態に陥った。その間も装置は休むことなく動いていく。
「サイコレベル深度2000、見えてきました。波形マゼンダからシアンへ」
「……母……さん……ひ……め……や……さん」
催眠状態に入ったアマタは、寝言の様に二人の人間の名を呼ぶ。その様子に学園長は勿論、ドナールやスオミも怪訝な表情を浮かべた。
「俺は……俺は……また!!」
今度は何かを悔しがるように、呻くように言葉を発し始める。『また』という発言をしていたことから、何か同じことが最低二度も起こったのだろう。
すると突然モニターに一つの映像が映し出された。
一人の少年が突風に煽られながらも、必死に前に進もうとしている。その視線の先には一人の女性がおり、輝く何かに取り込まれるように空へ登っていく。そして女性は光り輝く何かと共に空へと消え、そこには少年だけが取り残された。
『なんで、なんでだよ!! オレに力が足りないからか!! オレに覚悟が足りないからか!! オレは……オレは光を継いでも、大切な存在さえ守れないのかよ!!』
少年の悲痛な叫びが響き渡る。髪の色や顔の特徴から、映し出された少年はアマタ・ソラ本人なのだろう。父はいないと先の交渉で報告がなされていたため、この時から今まで、ほぼ一人で彼は生きてきたということになる。
映像はここで終わらない。
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次に映し出されたのは一面火の海の大地だった。煙の隙間から陽光が差し込んでいることから、時刻はまだ夜になっていないのだろう。しかし崩れた町並みはネオ・ランディアとは異なるものであるため、ここではないどこかの町なのだろう。
少年はその火の海の中心にいた。先の映像より幾何か成長している少年は、その腕に一人の少女を抱えていた。しかしその少女は既に息絶えており、少年は涙を流しつつも、空を見上げていた。見上げる先には、一人の銀に輝く巨人がいた。その巨人は胸に大きく両翼の様な赤いクリスタル体を持ち、背中には翼のようなものが天に伸びていた。
巨人は周りの鎮火を済ますと霞のように消え、次の瞬間には少年の前に一人の男が立っていた。男は全身を黒系統の服装で統一しており、無言で少年のことを眺めていた。
『あなたは……誰ですか?』
『……絆……ネクサス。この姿の時は、姫矢准と名乗っている』
元々あまり喋らない気質なのだろう。その一言を話したきり、男は無言で少年を見ていた。恐らく、男は少年が光を受け継ぐ者であることに気付いている。そのうえで少年は、まるで少年自身の覚悟を問われている気がした。しばらく互いに無言で見つめ合った末に、少年は口を開いた。
『オレは、守る力が欲しい。貴方みたいな力が。もう二度と、二度と大切な存在をたくない』
『……』
『光は神じゃない。わかっている。力を持っていても掌からこぼれてしまう、それもわかっている!!』
少年の叫びが響き、男は無言で少年を見つめる。少年の叫びは続く。
『それでも!! オレは力が欲しい!! 護るための、包み込むための、生きるための希望の力が!! オレを、オレの能力を怖くないと、みんなのための力と言ってくれたこの子のためにも!!』
『オレは生きる!! 仮令矛盾や誤解を孕んでも戦い続け、そして生きる!! オレは……俺は生きるために戦い、この光を繋ぐ!!』
少年の声はもはや枯れていた。流れる涙は少女の遺体を濡らし、煤けた頬を洗い流している。力の限り叫んでいた少年は肩で息をし、しかし少女を抱いた腕の力を緩めなかった。
しばらく男は少年を見つめていると、男は少女の遺体を抱え上げた。少年は黙って成り行きを見守っている。男は地面に少女を横たえると、少女に向かって光を照らした。少女の体は清められていき、やがて一つの棺桶に入っていた。棺桶の中は色とりどりの花で埋め尽くされており、その身は純白の衣装に包まれていた。
『……自分で埋葬するんだ。お前自身の力で。』
男はそれだけを告げると近くの瓦礫に座り込み、少年を見つめた。少年は涙をぬぐうと腕を胸の前でクロスさせ、不可思議な力で地面を掘り始めた。
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それからも映像は次々と移り変わっていく。姫矢と名乗る男のそばで安定していなかった少年の力は定まり、それによって少年の体も変わっていった。年齢と共に外見が青年へと変わっていくのは勿論、身体能力は人間離れしたものへと変わっていく。
そして成長していく少年の記憶の中には必ず巨人の姿があった。時には宇宙で、時には別の星で、時には怪獣墓場と称される場所で。様々な姿の巨人たちと共闘や修行を繰り広げていた。およそ十六歳前後の少年が経験する、否、人間が経験するには濃密過ぎるともいえる生き様に、室内は静まり返っていた。
最後に、ここ最近ともいえる姿の少年が出てきた。彼の目の前には姫矢と名乗っていた男が変わらぬ姿でおり、少年と向き合っていた。
『……姫矢さん』
『……お別れだ』
『また、別の時空へと?』
『本来私は、誰かに特別に関わることはない。私は私のやるべきことのために行動するのが主だ』
『……はい』
男の言葉に、青年となったアマタは頷く。しかしその顔からは悲しみがぬぐい切れていなかった。男はそんなアマタを優しく見つめている。
『忘れるな。光は絆だ。誰かに受け継がれ、再びその者と共に輝く。君は君の光を受け継いでいくといい』
『……はい!!』
『……私の名を教えよう。私はノア。そしてこれが君につたえる最後の言葉だ。「諦めるな」』
その言葉を最後に男の体は光に包まれ。宇宙の彼方へと消えていった。そしてそれを最後に映像は途切れた。
しかし映像が切れてもアマタは目を覚まさなかった。それどころか多量の汗をかき、荒い呼吸を繰り返している。
「ッ!? 急いで医務室に運べ!!」
いち早く事態を把握したドナールは周りに指示を出し、アマタを治療室に運ぶよう伝達する。そこからの行動は早く、アマタは寝台に横たえられた状態で治療のために運ばれていった。
運ばれる様子を見ながら、ドナールは部屋の片隅に視線を向けた。そこから気配は感じられなかったが、そこには確かに誰かのいた形跡があった。しかしドナールは何も言わなかった。いずれはばれること、しかし見ていたのがあの二人ならば、むやみやたらに他人に言いふらすことはないだろうと考えた。
はい、ここまでです。
実はあともう一話分アクエリオンの書き貯めがあるんですが、時間をおいて更新しようと思います。遅くとも明日中には更新するのでご安心を。
では皆さん、またいずれかの小説で。