はい、時差ボケで更新しようとしたら寝ていたシエロティエラです。次の日に更新するとか言っておきながらこんなに火を開けてごめんなさい。
ではストック分の更新です、どうぞ。
目を覚ますとアマタは三度医務室で寝ていた。この施設に来てからと言うもの、三回ほど意識を失ったが、三階ともこの医務室で目が覚めた気がする。もういっそうのことこの医務室で寝泊まりしようか。なんて馬鹿なことを考えていると、近くにいた男が声をかけてきた。
「よぉ、目が覚めたか?」
「……あんた誰だ?」
ニット帽を被った青年が話しかけてきたが、名前も知らないし勿論顔も知らない。それに気づいた青年はベッドから少しだけ距離を置いた。
「おっと悪ぃ、俺はアンディ・W・ホイール。気軽にアンディって呼んでくれ」
「……よろしく。俺はアマタ、アマタ・ソラだ」
挨拶を交わした後、二人は軽く握手をした。と、そこにカイエンもやってきた。何やら複雑そうな顔をしているが、アマタは気づかないふりをして話しかけた。
「あなたは、確かミコノさんのお兄さんの……」
「カイエンだ。お前はアマタ・ソラでいいな」
「ああ」
互いに真っすぐ目を見つめて口を開く。軽くはない空気になったため、アンディは少々戸惑っていた。しかしそんな彼の様子を気に留めず、二人は話を続ける。
「話したいことがある。時間はあるか?」
「構わないよ」
たった二言でこの後の予定を決めた二人は、さっさと医務室を出ていく。手持無沙汰になったアンディは、アマタとカイエンの後を追って食堂に向かった。先ほど覗き見た映像のことも聞きたかったために。
三人で食堂の席につき、三人そろってカレーを口に運ぶ。無言で食器と当たる音と小さな咀嚼音を響かせる中、最初に口を開いたのはアマタだった。
「それで、聞きたいこととは?」
「ああ……
流石に声を落としているが、あまりにも直球な質問に思わずアンディは咽てしまった。彼もこの質問をするつもりだったが、もう少しオブラートに聞くつもりだった。しかしカンエンによって、いきなり本題に入ってしまったのである。
対するアマタはスプーンを置き、顔の前で手を組んで瞑目した。しばらくその状態でジッとしていると、アマタは目を開いてカイエンに視線を向けた。
「俺自身、ウルトラマンと名乗ってるわけではありません。神話でも有名なウルトラ六兄弟とは出処が全く異なりますし、彼らの様に何万年も生きているわけではない。俺は先人たちの光を受け継いだだけです」
「だが、今回とその前に出てきた巨人はお前なのだな?」
「否定はしません」
アマタ自身、カイエンとアンディに知られるのは構わないと思っていた。二人とも他人に言い降らすような人間ではないと感じているし、特にカイエンはバレる様な行動や事態が起こっているため、仕方がないと考えている。
一方カイエンは全員が食べ終わった後、更に口を開いてアマタに質問した。
「まだ聞きたいことがある」
「何なりと」
「お前とミコノの関係は?」
「「は?」」
あまりにも唐突な質問に、思わずアンディと揃って声をあげてしまった。しかしカイエンにとっては重要な質問の様で、先程よりも真剣な顔をしている。その様子にアマタは、今までのカイエンの人柄の印象を少し改めた。ただ妹に対して過保護で不器用な男なのだと。
「彼女が落とした財布を届け、その縁で礼をされていた関係だ。あなたが疑うような男女の仲ではないから安心しろ」
「巻き込んだわけではないのか?」
「むしろ巻き込んでしまって申し訳なく思っているところだ。彼女は今?」
「今日帰る予定らしい」
「見送りはしないと?」
「……」
アマタの問いかけにカイエンは黙りこくった。アマタはそれを静かに見つめている。そして完全に第三者となってしまったアンディはというと。
(おいおい、何だよこの空気!! 物凄く脱け出し辛いじゃねえか!?)
非常に混乱していた。しかし不幸かな、今の彼に救いの手を差し伸べる者は一人もいなかった。
『ネオ・クローンにアブダクター出現。総員第一種戦闘配置につけ。出撃メンバーはアンディ、カイエン、そしてアマタだ』
そこに突如鳴り響くサイレン。本当は安堵していけないのだが、アンディにはこの場を抜け出す救いのように思えた。
三人で揃ってゲートに向かい、全員戦闘服に着替えてベクターに搭乗する。それぞれ出撃準備を整えている中、アマタへカイエンから通信が入った。
「戦闘経験が豊富とはいえ、ベクターに乗るのはこれが二回目だろう。だがしくじるなよ?」
「しくじるつもりはありませんよ。俺の誓いのためにも」
「おっ、頼もしいね」
軽口(?)を叩きつつも、目と鼻の先にあるネオ・クローンに向かう三機のベクター。そこには前回の巨人や前々回の人型未確認機の姿はなく、通常のアブダクターだけがいた。
『ヘッドはカイエン、アクエリオン、合体しろ』
「了解!! GO、アクエリオン!!」
カイエンが駈るベクターイクスを頭部とした合体が行われ、男性機だけによるアクエリオンが完成した。
「アクエリオン、ゲパルト!!」
到着したアクエリオンは早速ガンポッドを放ち、アブダクターに攻撃を仕掛けた。アブダクターも反撃してくるも、アクエリオンによって次々に撃墜されていく。
「おかしい、あまりにも簡単すぎる」
あまりにもスムーズに事が運んでいることに、アマタは疑問を持った。勿論手っ取り早く終わるに越したことはないのだが、まるで誘われているような感覚に陥る。そしてアマタの疑問は決して杞憂ではなかった。
アクエリオンゲパルトが両肩のミサイルポッドで一斉掃射をし、アブダクターの数を一気に減らした時に隙が生まれ、反撃を受けて一気に周囲を囲まれた。アブダクターの頭脳プレイにアマタとカイエンは更なる疑問を宿す。アブダクターは基本無人機、決まった動きをするのが常識だ。しかし明らかに誰かが操ったような動きに戸惑ってしまう。
「カイエン、暫く回避に意識を割いてくれ」
「策はあるのか!?」
「ないことはない。少し時間かかるが」
「なんでもいいから急いでくれ!! 頼む!!」
二人の許可を得たところで、アマタの目が光った。そして何かを探すようにせわしなく目を動かす。そして上空のある一点、はるか遠くに一つの影を見つけ出した。それは以前出現した人型の未確認機だった。そしてアマタの目は更に多くのものを見抜いた。その人型の機体は搭乗員が操縦していることを。
「カイエン!! これから表示する座標にミサイルを撃て!!」
「分かった!!」
はるか上空、アクエリオンのレーダーにも反応しない座標に向かってミサイルを打つ。結果ミサイルは全弾レーザーによって撃ち落とされて命中しなかったが、指定した場所に敵のブレインがあることが判明した。
しかし敵も一筋縄ではいかない。自分たちの頭脳を潰させないように攻撃をし、防御をし、アクエリオンの妨害をする。アクエリオンも次第に傷つき、動きが荒くなっていく。
彼らの戦闘の激しさは地上からでも確認できた。未だ学園の近くにいたミコノは、高所から戦闘の様子を眺めていた。戦っているのは男性型機、もしかしたら兄が搭乗しているかもしれない。アマタが変身せずとも搭乗し、戦っているかもしれない。いくらウルトラマンとはいえ、こうも連戦だと彼の精神にもよくない。しかし自分にはエレメント能力が発現していないため、何お助けにもなることが出来ない。ミコノは悔しかった、守られているだけの自分が腹立たしかった。
拳を固く握りしめながらミコノは激しい攻防を見守っていた。だがその彼女に近寄るものがいた。
はい、ここまでです。
次回、いよいよあれが出てきます。それにしてもタイプチェンジの名前とデザインが思い浮かばない。いや、名前はなんとか思いつくんですけど、デザインが。ティガのようにするかダイナのようにするか、はたまたゼロやネクサスのようにするか迷ってマス。
ではまた、いずれかの小説で。