M諸島
「ここが…以前、マコとルナがゼロとかいう奴と遭遇した場所か」
「そして、アカイトが何やら仕掛けていた場所でもある」
人通りが全くない戦闘専用に作られた無人市街があるこの島に、カイトの親友二人は来ていた。そこに、誰もいないはずの市街中心から、一人の銀髪を一つにくくった少女が歩いてくる。
「お前は…ハク?いや、気配はネルだな…何者だ!」
デルの問いかけに、答える少女。赤い瞳が輝いた。
「私は『秋音ハル』…亞北ネルと弱音ハクのデータを基にした亜種ボカロです。貴方方を…排除させていただきます」
「なるほど。ゼロとやらの仲間か」
「拙者は病み上がりなのでな…手加減できないと思うでござる!」
デルは愛用のサバイバルナイフとデザートイーグルを取り出し、楽歩は愛刀 ヴェノムソードを構えて突っ込む。だがハルはその一刀両断を
「な…に…?」
「軽い一撃ですね。折ってあげましょうか」
手の平で刃を受け止めた。しかもまったく傷がついていない。そればかりか摩擦で煙が出ていた。
「ならこいつはどうだ!」
デルの持つデザートイーグルから弾丸が傍れるが…ハルが刃を受け止めていない方の左手で軽く弾き飛ばした。…もう一度言おう。生身で軽く弾丸を弾き飛ばしたのだ。
「おいおい…洒落にならないぞ、こいつ」
「ならばこれだ!神威流・紫電一閃!」
「ちっ!」
楽歩はヴェノムソードに紫電を纏わせる。すると、さすがにこれは効くのかハルは飛び退いた。
「電気はさすがに効くか…」
「効かないとどうすればいいか分かんないぜ。とりあえずだ、アイツを戦闘不能にさせて組織とやらの情報を聞き出すぞ」
「御意に。いざ尋常に…参る!」
二人は同時にそれぞれの獲物を手に飛びかかるが同時に両腕で受け止められ、馬鹿力で吹っ飛ばされる。
「おらよ!」
だが吹き飛ばされる寸前にデルは弾丸を放つがやはり受け止められた。
「無駄です。どんなものでも殺傷能力があるなら私には勝てません」
「まるでターミ〇ーターみたいな子でござるな。神威流…」
楽歩は独特の構えで愛刀の切っ先を少女に向け、突っ走る。
「ふん、無駄な足掻きを」
真正面から言ったためハルの拳を顔面で受け止めるが…
「手ごたえが…ない!?」
「【紫幻漸】」
その背後から、本物の楽歩が居合切りを叩き込んだ。原理は簡単、俗に言う分身だ。その一撃もぎりぎり手刀で受け止められてしまう。
「これも効かないでござるか…」
「頑丈さとパワーならMMDW一だな、こいつ」
「それほどでも…ありません!」
そう言って拳が叩き付けられたアスファルトに、巨大なクレーターが刻まれる。
「その刀…マシンブレードでしたっけ?うっかり壊しても知りませんよ?私、機械音痴ですから」
「それは困るでござるな…」
「まったくだ。さて、どうしたもんか」
デルは腕を組んで策を思案するが、何も思いつかない。ここにカイトがいれば…などと考えてしまう。
「なら、早く私に壊されてくださいよ。そしたらゼロ様の命令は終了するのですから」
「「だが断る!」」
「ですよねー。では…っ!?」
ゴゥン!
ハルが拳を握りしめた瞬間、小さな青いツインテールがハルにぶつかった。その小さなツインテールは「いてて…」と頭をさする。
「もう、なんなのさ。硬過ぎでしょアンタ」
「「「誰?」」」
「おっとこれは失礼した。アタシは『速音シュシュ』人呼んで【最速の歌姫】さ。よろしくね」
「は、はぁ…」
「よ、よろしくでござる…?」
「誰かは知りませんが、私の邪魔をするというなら…消します」
「やってみな?アタシの速さについて来れるならね。しゅしゅっ!」
次の瞬間、シュシュが掻き消えたかと思えばマリ〇の1UP音が響き渡り、身長がハルと同等の大きさに、髪型もポニテに、服装もミクに近いものだったのが動きやすいトレーニング専用と思われる姿に変わった。
「さぁ…来いよ?」
「ふっ!」
シュシュのいた場所にハルの拳が叩き付けれるが、もうすでにシュシュの姿はなく…
「やっぱり遅いね!シュッ!シュシュ!シュシュシュシュシュ!」
ハルは何度も体に衝撃が走り、目の前に姿を現したシュシュの怒涛の猛連打を浴びた。
「は、速すぎる…」
「おい楽歩。今、何が起きた?」
「にわかに信じられんが…シュシュ殿が音速の壁を破り攻撃したとしか…」
安全地帯にいつの間にかシュシュによって移動させられていた二人も何が起きたか信じられない様子だ。彼女の攻撃はただのパンチ、もしくは体当たり。普通ならハルには効かないだろうが…ただ単に速過ぎるのだ。彼女の打撃、移動、全てが。
「かーっ、にしても硬いねぇ。アンタの体。まぁ、勝てないものじゃないねぇ。どうだい?降参する気になった?」
「御冗談を!」
「だよねー。シュッシュシュ!」
ハルは近くに落ちていた折れた鉄柱を振るうも、やはりシュシュの姿はそこにない。
「どこに…?」
「目の前さ」
「なっ…がぁ!?」
声が聞こえた瞬間、元の小さなツインテの姿に戻ったシュシュの拳が、ハルの顔面に音速の速さで直撃し、吹き飛ばした。
「ふぅ。終わりだね」
再びポニテの姿に変化するシュシュ。彼女は二つの姿を持ち合わせているようだ。等身大の方が格闘には向いているのだろうが…小さな姿は速さを一番発揮できる姿らしい。
「なっなぁ、アンタ、何者なんだ?」
「だから【最速の歌姫】だってのに。もう一つ言わせてもらえば、初音ミクの亜種で新型…かな?じゃぁ、後始末は任せたよご両人!あのこも今の一撃は耐えられないだろうからね」
「あ、ああ。ありがとうな」
「助太刀、感謝するでござる」
「あ、そうそう。初音ミク…あの子には気をつけな。何かあるよ、あの子には。じゃあまた。今度は、MMDW最強VS規格外の戦いにでも乱入するかもねー。私は未来が見えるのさ!」
その言葉を最後に、シュシュは小さな姿に戻り、この場から去った。というか速過ぎ。
「んじゃまあ、あのガキを連れて帰るか」
「そうでござるな。ところで拙者たち、活躍なかったでござるな」
「そういうな。怪我がないだけマシだ」
デルは一キロ先のビルに埋まって気絶していたハルを回収し、楽歩と共にケロリン町に戻った。
UTAUの異変を解決する術を彼女から聞き出せるのか。
次回、鏡音兄妹VSデフォ子の決着!そして、ついに紅い令嬢がカイトの前に姿を現す…?
放仮ご「Wお気に入り出せた!MMD作品でこの頃出番が増えた秋音ハルとしゅしゅミクを!」
シュシュ「という分けで今回はアタシらかい」
ハル「貴方の頭はどうなっているのやら」
放仮ご「今回の敵は、今までの暴走UTAUではなく、正真正銘REDの幹部、秋音ハル。対するはカイトの親友のお二人、本音デル&神威楽歩だけど…ここでハルさん、貴方の特性のご説明を」
ハル「はい、私は能力ではなくスペックが通常よりも高いんです。パワーは酔ったメイコさん並み、頑丈さなら別作品の比那名居天子並みですね。モデルは青空Pさんの「初音物語」に登場する秋音ハルです。性格とスペックが全然違いますが」
シュシュ「決め台詞は「うっかり壊しても知りませんよ?私、機械音痴ですから」だよね。かっこいいじゃん」
放仮ご「機械音痴にもほどがあるっているぐらいの機械音痴。自販機を触っただけで壊す」
ハル「あれはパワーを制限していなかっただけで…」
シュシュ「触れただけで自販機を倒すとかありえないよね。他にもパソコンを生洗いとか。エレベーターをエスカレーターと間違えるとか。ゼロに怒られてばっかりだよねー」
ハル「うう…」
放仮ご「これでも、数少ないゼロを慕っている人間の一人なんだよね。では次、シュシュさん!」
シュシュ「私は見ての通り音速の壁を破る速度で行動できるよ。まあ、本編で説明したとおり二つの形態を使い分けるんだけど。武器は使わない。格闘戦のみ。掛け声は「シュシュッ」とか」
放仮ご「とある動画を見て、一目で気に入りました。口調どうするかに悩んだ。そして、僕の一番戦闘で大事だと思うのは、パワーでも防御でも数でもなく、スピードだと思う」
シュシュ「ちなみに私の最高速度に追いつくのは、クロックアップでも無理だよ。ハイパークロックアップでもないとね」
放仮ご「ペガサスフォームやフレイムフォームの超感覚でも捉えるのは不可能といえば、どれほどか分かるでしょ」
ハル「次回は、ゲキドクライシス編クライマックスに入ります。レア様の実力も…お楽しみに」