ミクside
私は、カイコちゃんとゲキド商店街に買い物に来ていた。カイトさんにプレゼントする。そんな目的で。すると、私たちの前に全体的に灰色の男性が立ち塞がった。何だろう…何処かで見たような、でも知らないそんな感じは。
「初音ミクぅ…見つけたぜ。鋼音を返してもらおうか!」
「えっ?」
「どうしたの、ミクちゃん!」
『鋼音』その名前を聞いた時、何かが頭に引っかかった。私の中の誰かが…この人を望んでいる?
「何のことかっ、分かりません!」
「そうかよ。ならしょうがねぇ、【無音の境地】」
私は嫌な予感がしてネギソードを取り出す。そして次の瞬間、何も聞こえなくなった。さっきまで聞こえていた人々のざわめきも、商店街に流れるBGMも全部聞こえない、無音の時間が流れる。えっ?あれ?声も出ない。隣を見ると、カイコちゃんも同じようで混乱している。何をしたの?そう思ってその人を見直すとそこにはもういなくなっていて…
「聞こえないってのは…辛いだろう?」
きゃっ!?私の胸から腕が突き出していた。痛い、その右手が握っているのは私のコアだ。…私、死んじゃうのかな…カイトさん…
「―――――――――――――――っ!」
その時、私の最愛の人の声が聞こえた気がした。
カイトside
ゲキド街についた俺は、ミクの胸を背後から貫いていた全身灰色の男に体当たりを浴びせてミクから離れさせ、落下してきたミクのコアを掴みミクの胸に戻す。…アイツ、ぶち殺してやる。俺はいつにも増してキレていた。何故って?家族を傷つけられたら普通こうなるだろ?
「お前が…無音ゼロか」
「そうだが…いきなりひどいことすんじゃねぇの。救えない探偵さんがよぅ。俺の復讐ぐらいはさせてくれねぇか?」
「救うとか救えないとかはともかく、復讐がミクを殺すことだってなら、容赦はしない」
「…チッ、これだから偽善者どもは。初音ミクの存在で!消されてしまった俺の女ぁ、その落とし前付けてもらうんだ。邪魔すんじゃねェよ」
その「初音ミクの存在で消されてしまった存在」それは多分、ミクの亜種のうちの誰かだろう。亜種は元となったボカロから独立した人格を持たないと、生み出されても再統合されてしまう。だがそれは、この世界の理だ。
なにより、こいつは知っているのか?数か月前俺たちは仮面ライダーアナザーディケイド…刀葉士に遭遇した。その時知ったのが「世界の主人公」という者。いわば中心となる存在。その存在がいないと世界は消滅してしまう危険性があるのだ。そして、この世界の中心となる存在が初音ミクだ。彼女のコアが破壊されたら…この世界、MMDWが消えてしまう。
「お前、分かっているのか?初音ミクを消したらお前も死ぬぞ」
「ああ。それでいい。初音ミクさえ消せればどうでもいいんだよ」
こいつ…狂ってやがる。止めないと、MMDWが、ミクが危ない!
「お前だけは…止める!」
「やれるもんならなぁ…【無音の境地】」
次の瞬間、音もなく…ゼロの右腕が俺の中心部を貫いた。
カイト、まさかの敗北!?「音という名のプログラムを無にする」…実はこれ、使い方によってはレアの能力より危険だったりします。
人間っていうのは、音を拾うことで生きているという実感が湧くようです。つまり、音を消すというのは生きているという感覚を無くすことだってできます。さらに、人間は「気配」というものをほとんど感覚で探っていますが、その感覚は「音」もです。音を消せば気配を隠すことも可能。ミクとカイトがあっさり負けた理由はこれになります。
無音ゼロ…レアでさえ危険視されたその理由、分かりましたでしょうか?
そして今回、ディケイドにおける「世界の主人公」という者。これがこの物語の最終曲を奏でるキーワードです。
短くて済みません。次回もお楽しみに。