第10話 合宿開始!!
初めて練習した日から約3カ月後。
あれから沼津南高校自転車競技部は様々なレースやイベントに参加して個々のタイトルもそうだが、勝ちや負けを経験して練習に励む。初心者だった山中大地はオールラウンダー組の多村や佐々木、熊野のサポートがあり、苦手な平坦を克服した。オールラウンダーのポジションになる。
スプリンターの菅原兄弟も静岡県内では負けなしの成績を残し、名が知れ渡る。
クライマーの中嶋と北上はお互い競いあっており、いつもヒルクライムレースで好成績を残してた。前に比べたらどちらも成長した。
学校も夏休みに入り静岡県インターハイ予選大会があと1週間をきる。予選メンバーを決めるために多村は合宿を行い、8人いる部員から6人予選メンバーを選ぶ。
多村は練習後の総括でみんなに話す。
「皆さん。今日もお疲れ様です。明後日から2泊3日で合宿を行います。場所は東京の大手町です。」
おかしな発言してる多村に驚く他の部員。
「ちなみに… 合宿というのは。今年のインターハイのコースを3日間走破するということです。ようするに、インターハイの模擬体験みたいな感じです。」
「なるほど。しかし、ホテルの予約とか荷物とかどうするんだい? 多村君。」
「熊野君。その点は大丈夫です。宿泊するホテルの予約もとってありますし、荷物は僕の兄が車で運んでくれます。なるべく荷物は最小限でお願いします。8人分の部屋を用意してあります。」
「多村君! なんで私達の予約もしてないの!!? 」
「使えない後輩だね。」
マネージャーの2人は多村にキレる。
「やっぱり… 行きたいんですね…。行くって言うかと思って、ちゃんと予約はとってありますよ ww しかし、兄の車で移動してください。マネージャーも大事ですから。」
「焦ったわよ…。しっかりして!」
坂田にキレられる多村に笑いが起きる。
「では。予算はこのぐらいなんで。僕が皆さんのお金の徴収します。 あと、ロードの手入れは必ずしてから合宿当日集合してください。あと、補給食とボトルは絶対持ってきてください。勘太さん。何かありますか?」
「そうだな。荷物を多村家に明日預けるのはどうだ?」
「……。そうですね。わかりました。」
その時。顧問の岩本が来て話す。
「みんな! お疲れ様! たまにしか顔出せなくてすまんな。みんな。安心してくれ。うちの学校にマイクロバスがあるんだ。」
「先生。お疲れ様です。ちなみに先生も一緒に行くんですか? 」
「ああ。一応顧問だからな。」
「……。わかりました。ではよろしくお願いします。」
「オレがマイクロバスを運転するよ。大型免許持ってるから大丈夫だ。」
「わかりました。 荷物は先生に預けてください。ロードバイクを乗せるスペースはありますよね?先生。」
「もちろんだ! しかし、倒れないように揃えろよ!! 」
「大丈夫です。自転車を解体して入れる袋がありますから問題ありません。山中さんは持ってないと思うので家にあるのをあげます。」
「ありがとうな。多村。」
「では。明後日の早朝8時にここ集合でお願いします。遅刻は厳禁でお願いします。」
総括が終わり、更衣室で着替えて帰る準備をする。
「山中さん。明後日が楽しみですね!」
「中嶋。そうだな。」
「山中さん…。僕はインターハイの3日間一緒にゴールしたいのが僕の夢です。」
「そうか。仲良くゴールできないのが…ロードレースじゃないのか?」
「一般論で言うとそうかもしれませんが… 山中さんと初めてあの場所であった時。僕はこの人と一緒に走りたい。インターハイの3日間走りきりたいって! 順位とか関係なく山中さんと一緒にゴールしたいんです! 」
「オレも正直初めて本格的なレースを走るからな。正直ワクワクしてるし… 完走もしたいな。3日間。予選メンバーに選ばれるかもわからんけどな…。」
「ですよね!! もし選ばれなかったとしても皆さんのサポートしますから!」
「正直お前には感謝してるんだ。自転車に対してこんなに真剣に向き合えてる自分がいるからな。良いメンバーに恵まれてる。お前がいなかったら… 何もなく普通の高校生活をおくっていたかもな。」
「何恥ずかしいこというんすか…。オレも山中さんがこんなに成長するなんて… 思っていなかったですし、僕は山中さんが強くなっていく姿を見て楽しかったですよ! 」
「そうか。今日はもう帰るぞ。」
「そうですね。」
山中と中嶋は帰宅する。
2日後。早朝8時
時間通りに集合して、マイクロバスで大手町に行く。2時間ぐらいかけて大手町に着く。
解体した自転車を組み立てたりして走る準備をする。みんなが終わったあたりで多村が話す。
「皆さん。準備は大丈夫ですか?」
「大丈夫そうなら話すぞ。」
「まず。コース説明します。インターハイ1日目のコースは国道1号線を川崎方面に走り、あの駅伝で有名な芦ノ湖がゴールです。」
「駅伝のロードレースバージョン的なやつかな? 1日目は。」
「北上君。そうです。このコースは平坦区間がメインで箱根山を登り芦ノ湖に行くコースですね。皆さんご存知だと思いますが…。」
「よし。わかるみたいだから。行くぞ。」
「待ってください! 勘太さん。ちなみに今回の予選メンバーはオールラウンダー3人にスプリンター1人か2人。クライマー1人か2人。
で行こうと思っております。この合宿の意味を忘れないでくださいね。」
「わかってるぜ! 多村!」
「中嶋! お前に負けないからな!」
「僕はアシストとして走るんです…。そして、有名になるんです! 」
「僕も…… インターハイにいきたいな…。」
「兄さんと一緒にインターハイで走りたい!! 」
「いよいよだな。初心者だったオレがここまで強くなれたのも皆んなのおかげさ。感謝してる。しかし、まず…この第1関門をクリアしなきゃダメだな。」
「大地。オレはお前と一緒に走りたい。もし… お前がエースとして走るなら2日目のアシストをやりたい。そして、お前を1番でゴールした姿を見たいな。」
「勘太。ああ!!」
多村が山中に近寄り小声で話す。
「山中さん…。ここだけの話ですが…… あなたは予選メンバー確定です…。」
「えっ? 」
「でも、エースかアシストにさせるかはまだ決まっていないので。」
「なんでオレは確定なんだ? 」
「僕は何故…… あなたをこの3カ月間…。県内の大きなレースやイベントに出さなかったのか。それは…。敵に知られないようにしたんです。僕達は敵から警戒されやすいメンバーが多いからです。例えるなら… 菅原さん達や中嶋君に佐々木君に僕。 過去の大会にタイトルをとった選手が揃ってるからです。」
「たしかにな…。言われてみれば…。」
「だからこそ!!あなたがこのチームのジョーカーなんです! 」
「ジョーカー?」
「そうです。無名の選手だからこそ…。警戒が甘いですし… 何より過去のデータがない!だから…ジョーカーなんです。」
「なるほどな。そういうことか。オレも3カ月間。ずっと疑問に思っていたことが… 今、解明したよ。」
「おい。多村。まだか。みんな待ちくたびれてるぞ!! 」
「すみません。勘太さん。では山中さん。行きましょうか。」
「ああ……。」
合宿1日目のスタートをきる。