もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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もう一つのペダル 第11話 合宿1日目!!

 

第11話 合宿1日目!!

 

大手町を出発し芦ノ湖までのコースで1日目が始まる。東京の街中を最初に走り、多摩川を越えて神奈川県に入る。横浜を通り、湘南海岸沿いの平坦道を小田原まで走り箱根の登りに入る。箱根山の山頂まで登り、下っていくと、1日目のゴールの芦ノ湖が見える。

 

多村が最初のオーダーを出す。

 

「東京の区間は菅原純太さんが引いてください。川崎から湘南海岸沿いまで平坦もありますが、少し坂道があります。その時はまた指示します。」

 

「多村君! わかったよ!! 僕の引きを見せますよ!! 」

「まさか…… あれをやるのか? 純太。」

「やるよ!! 兄さん!! 」

 

純太は下ハンを持ってスプリント体勢になる。

 

「皆さん。ついていけますか?」

「純太さん! まさか!!」

 

〔僕は… 多村君のあの言葉のおかげで… 兄さんみたいにカッコいいスプリンターになりたいと思えたんだ! 今までは僕が兄さんを引いて最高の位置まで運び、兄さんがゴールする。僕は脇役。兄さんが主役。それでいいんだって今まで思っていました。しかし、本当は僕だって!! 1番になりたい…。スプリンターなら誰よりも速く走りたい!! 君のおかげでそう思えるようになれた。〕

 

純太のスプリント体勢は兄のゴールスプリントする時と同じ体勢。佐々木と山中は純太の姿を見て感じてた。

 

〔純太さん…。あなたは… ルーラータイプで平坦道を一定の速度で走る方だと思っていましたが… ゴールを狙いに行くような力強い走り。勘太さんみたいな走りです…。〕

 

〔そうか…。お前も成長したんだな。〕

 

「おい! 純太! あの時のスプリント対決を思い出すよな!! 」

 

「山中さんと佐々木君のペアで走ってましたからね! よくご存知かと! 僕の実力!」

 

「純太さん…。すごいです。」

 

純太は東京の街中を全力で仲間を引いて走る。横を見るとレインボーブリッジが見えた。

 

「あれが…レインボーブリッジですか!! よくテレビで見るやつ!! 」

「はしゃぎ過ぎだろ! 中嶋!! 」

「うるせー!! 北上!!」

「なんだと!!」

 

「おい。お前ら。練習中だぞ。純太の引きについていけ。」

 

「すみません…。勘太さん。」

 

ちょくちょく信号が赤になることがあるが、タイムロスした分純太は思い切り引く。

 

〔川崎まで… あと3km。僕は全力で引きます!!! 兄さん! 見てて!! 〕

 

「穏やかで温厚な純太さんが…まるで肉食動物のように獲物をとらえるかのように走る。」

 

誰もが純太の走りに魅了してた。

 

〔それが… お前の真の姿か!! 純太!!〕

 

多摩川大橋が見え橋を上がっていく。

 

〔この川を渡りきるまでが僕のアピールポイントだ!! 兄さんと一緒にインターハイにいきたいんだ!! そのために走る! 最後の1cmまで!! 〕

 

横風が強い橋の上でも微動だせず目標に向かって走る。

 

「うおお!!! 」

 

多摩川を渡り神奈川県に入る。 純太は疲れた表情で後ろに入る。

 

「兄さ……ん。どうだった…。」

 

「ああ。純太! お前はやっぱり最高の弟だ! いつかは超されそうだな。」

「ははっ……。」

 

純太はいつもより長時間全力で走ったため力が抜けて落車しそうになるが、山中が倒れそうになる純太を支えた。

 

「すみません…。慣れないことをしちったので……。無理しちゃいました…。」

「気にするな。純太! やればできる奴だな!

まだ始まったばかりだぜ! 合宿は!」

「そうですね……。」

 

多村は次のオーダーを出す。

 

「純太さんのおかげでここまで順調に行けました。では… 次は熊野君が平坦部分を引いて、少し傾斜がある坂道は北上君に頼みます。湘南海岸に出るまでは2人でコンタクトをとり、僕達を引いてください。」

 

「わかったよ!! 多村!」

「少し待ってください! 多村君!」

「なんですか? 」

「なんで…僕がアシストじゃないんですか?」

 

「熊野君。君はアシストというよりルーラータイプです。純太さんより劣りますが… あなたは平坦の方が速く見えるんです。」

 

「3カ月前のあのレースもそうでした!! 中学生の時は僕がエースをアシストしてました! 先輩から称賛されてた! このチームのエースアシストは僕がなりたいんです!」

 

「僕は熊野君は真面目だしロードに関して僕より知識はあります。走りも前に比べたら良くなっています。しかし、僕はあなたをエースアシストとしてインターハイで走らせたいと思えないんです。」

 

「くっ……。じゃあ! どうしたらなれるんでしょうか!!エースアシストに!! 」

 

「厳しいことをいいますが… あなたは頭でっかちの超真面目君ですね。そんなんだから新しいことに挑戦しようと思えないし、変化もしようとしない。それが君の弱点です!」

 

「くっ…。」

 

「熊野。多村の言ってることも一理ある。過去は過去だ。今を考えろ。あと、オーダー出されたなら実行しろ。」

 

「勘太さんまで…。」

 

「なら頼みます。熊野君。」

 

「なら…。僕が湘南海岸まで引きます! 走りで証明します!! 僕もこのチームの戦力になれることを!! 」

 

「熊野! 坂道はオレが引くオーダーだぞ。」

「ここでアピールしなければ… インターハイに出れない!! ならやりますよ!」

 

「走りで証明したいなら… 純太さんみたいに最後まで全力で走ってください。熊野君!」

 

「君に見せてやる!! 僕の実力を!」

 

熊野は先頭で走り、チームを全力で引く。

 

〔彼みたいな人間は厳しいことを言えばすぐ行動して実行するタイプなので… 凶とでるか吉とでるか。熊野君…。君はどうする?〕

 

「皆さん……。僕もインターハイに行きたいんです…。だから! プライドをかけて皆さんを湘南海岸までの道のりまでアシストします!!」

 

「なら… 頼みます。熊野君。」

 

熊野はチームを引っ張り横浜駅前を通り、海岸までの道のりを引く。 しばらく走って多村は熊野に対して感じる。

 

〔なんだ。熊野君。君はロングライドタイプか。平坦も登りもペースを落とさず一定の速度で長く走れるタイプ。インターハイで使える場面があるかもしれないが…スタミナがあるだけで他に優れている能力はない。〕

 

「熊野!! そんなもんかよ! 」

「山中さん?」

 

「平坦や坂道の走り方を最初から教えてくたり、一緒によく走ってたよな!! その時よくお前はエースアシストになりたいって話してたろ! こんなんじゃ多村や勘太にアピール出来ないぞ! 自転車が好きなんだろ!! 」

 

「山中さん……。 僕は…。このチームのエースアシストでインターハイで走れると思いますか? 」

 

「絶対と言えないし適当なことも言わないが… 一つ言えることは自転車が好きだという気持ちを持てば可能性はある!! そう… お前から教えてもらったからな!! 」

 

〔そうでした。僕は心の奥底にある気持ちを忘れていました。僕は…自転車が好きなんです!!楽しいんです!! 山中さん…!! 〕

 

多村は熊野の雰囲気が変わったことを感じる。

 

〔熊野君。〕

 

「僕は自転車が好きだから!! だから! 走るんだ!!! 」

 

〔僕の悪いクセかもしれない。エースアシストとして走るだけしか考えていなかったが…そこではない!ただ純粋に自転車が好きだという気持ちをぶつけて走りたい! 〕

 

熊野は笑いながらひたすら湘南海岸に向けて全力でペダルを回し、湘南海岸まで一定の速度でチームを引いていく。

 

「ははっ。凄く今の時間楽しかったです。だって。このチームの先頭で走っていましたから!! あと… 海沿いの道に入ったので風が気持ちいいですね。 これがロードバイクの楽しさなんですよね。」

 

多村はスピードメーターを見て驚きを隠せなかった。信号待ちは別だが速度が時速30kmを基準で走っていたからである。

 

「熊野君。君に申し訳ないことを言ってしまいました。謝ります…。」

 

「気にしないでください。多村君。僕はなんか清々しい気持ちです。こうして皆さんと一緒に走ることが楽しいんです。」

 

「そうですか。熊野君…。まだまだありますから休んでください。」

 

湘南海岸沿いの道に入り小田原までの平坦道に入る。しかし、ここの区間は風が強く、自転車乗りにとって至難の場所である。

 

「僕にとってここからが勝負だと思っています。小田原までの平坦区間は勘太さん。小田原から箱根山の山頂までは中嶋君。2人の力が試される区間です。いけますか?」

 

「いけるぞ。多村。」

「多村!! 山が恋しいですよ!! 早く登りたいもん!! 」

 

北上が多村に質問する。

 

「なんで!! 中嶋が山を引くんだよ!! オレもクライマーだ!! 」

 

「そうですね。どちらでも良いのですが… 先に中嶋君が思いついたんで…。」

「なっ……!オレが引きたい!皆さんを!」

「はっ! お前じゃ途中でバテそうだな!」

「なんだと!! 」

 

「おい。お前ら。2回目だぞ。次はないと思え。中嶋。北上。」

 

「はっ…! すみません…。」

 

勘太にまたキレられる2人である。

 

「勘太。頼むぜ!!」

「ああ。大地。オレがこのチームのエーススプリンターだからな。恥ない走りをする。」

 

勘太はこの3カ月間で短所を克服し、自分自身エーススプリンターと名乗るぐらい成長した。 最高時速50kmと表示されてた。

 

〔兄さんはやっぱりすごい…。まだまだだな。僕。でも… 超すよ!! 兄さん!!〕

 

勘太が小田原までの平坦区間を凄い速度で走り小田原の市街地に入る。

 

平坦区間を終えて多村がオーダーを話す。

 

「大手町から小田原までの長い平坦区間を引いてくれた純太さん。熊野君。勘太さん。お疲れ様です。 ここからはクライマーお待ちかねの山岳ステージです。山頂までは中嶋君か北上君かどちらか任せます。さてどっちが引きますか? 市街地抜けてるまで決めてください。」

 

「オレが引きたいです!! 箱根は1回登ったことあるんでわかりますよ!」

「オレもあるぞ! 中嶋! 」

「どチビ! 」

「狂人が…。」

 

勘太の怒りが爆発しそうになるが、山中が肩を叩いて止める。

 

「お前ら。勘太に怒られるぞ。」

「だって… クライマーならてっぺんを誰よりも先頭で走りたいですよ!」

「そうです! こいつより先に山を登りたいて思うじゃないですか!」

 

山中は2人の話を聞いて笑いだす。

 

「ははは。お前ら面白いな…。わかった。お前ら競争してこい!! チームはオレが引っ張るから自由に走れ。」

 

「えっ? いやいや!! 山中さんがエース候補だというのに… エースさんはゴール前じゃないと!! 」

 

「山中先輩が引いてもらうのは… 悪いです! 普通こういうのは後輩の役目ですよね!」

 

「良いよな!! 勘太! 多村! 」

 

「大地。お前。正気か?」

「…………。」

 

「あっ…。ただし! どっちが先に山頂についたか報告は絶対にしろ!! 不正はなしだ! した場合お前らインターハイメンバーから外すからな!! 」

 

「あっ…。はい…。」

「はい……。」

 

「わかりました。中嶋君。北上君。ここからは自由に走ることを許可します。山中さんが言ったとおりに不正したらインターハイメンバーから外します。オーダー変更で山中さんが箱根山の山頂まで引いてもらいます。」

 

 

中嶋と北上は自由に走る許可が得たがなかなかいかない。勘太が2人の背中を叩き話す。

 

「大地は前こんなこと言ってた。あの2人と戦ったがどちらも強いって褒めてたぞ。元クライマーだからこそ期待してるんだ。お前らのこと!! 」

 

「山中さん…。 あなたの期待に裏切らない走りをして良い結果を届けます!!」

 

「山中先輩…。僕はあの時…。山中さんの凄さに触れて一緒にインターハイにいきたいと思えた。山中さんと一緒に走りたいんだ!」

 

「お前ら…。楽しんでこい!!」

 

「はい! 山中さん!」

「山中先輩!! 行ってきます!!」

 

クライマーの2人は箱根の山頂を目指し登る。 見送る山中。

 

「大地。何故あんなことした?」

「あいつらは… オレがよく知ってるからな。実力を。あと… ああゆうタイプはもっと強くなる気がするんだよな。」

「クライマーだからわかるということか。」

「まぁ…。そうかもな!」

「どちらにせよ。山岳リザルトはこの箱根の頂上だから良いか。」

「どちらかがこの山で山岳賞をとる姿を想像すると嬉しいからな。」

「たしかにそうだな。」

 

山中はチームを連れて坂道を引いていく。

 

中嶋と北上は口喧嘩しながら登っていた。

 

「邪魔なんだよ!! どチビ! 」

「お前ビリビリー! 中嶋!」

「おい! 見ろよ! いつの間に標高300mだぜ!! 傾斜がきつくなるぞ!! 耐えられるか? どチビ! 」

「お前がな!! 」

 

2人とも凄い激しい闘いをする。

しばらく登っていくとカーブが多くなり更に傾斜もきつくなる。

 

「くそ…。なかなかいい勝負してるよな…。」

「ああ…。 お前…。そろそろ本気にならないのか? 傾斜がきつくなったぞ!」

「お前もな……。」

 

「なぁ…。箱根の頂上は標高874mだ。あそこが俺たちの山岳リザルトだぜ!! なんか賭けないか? 」

「箱根の山を制する者は天下を制す と言われてるぐらいだからな…! いいぜ! やるか!!」

 

「2000円分なんか奢るのはどうだ!?」

「2000円かよ。いろんなもん食えるよな…。いいぜ! やってやるわ!!」

 

お互いハイタッチして山頂の標高874mまで本気で走る。

 

「進化したギア上げクライム見せてやる!」

「ハイケイデンスクライム第2弾!!」

 

中嶋は傾斜が上がることでギアを上げて一漕ぎに脚力を使いけっこう進む。普通はギアを下げて坂道を登るのがセオリーだが… 彼の持久力と軽さがあるためギアを上げても関係ないのである。

一方。北上はギアを最大まで軽くしてケイデンスで山をスラスラと登っていく。どちらも対称的だが、共通してる箇所は持久力と軽さ。クライマーの体質的に相性が良い。

 

「ちっ。なかなか差が開かねーな!!」

 

「そうだな…。こんなに回してるのに何故だ!! ギア上げて走るクライマーは諸刃の剣だぞ!! 」

 

「逆にそんなにハイケイデンスしてたら脚が痛くなるぞ!! 」

 

〔やべっ……。 心臓もバクバクするし… 脚も少しきてるわ…。〕

〔久々に本気で走ってるから… 膝が痛くなってきた…。しかも第2弾やるのも久々すぎて……。〕

 

「おいっ…。 いつの間に山頂まであと500mだぞ!! どチビ!! 苦しいか! 脚痛いか!! 」

 

「ばーろう…。こんだけ回せばきてるに決まってるじゃん…。お前もだろ…。」

 

「ああ!! あったりめーだ!」

「お前とこんなに熱い勝負をするのはちょうど1年ぶりだからな。楽しいぜ! オレのライバル!! 」

「ライバル? そんな風に思ってるのか。」

「そうだ!残りの400m。本気で来い!!」

「うらーーーーー!!」

「なら…… 第3弾いくか!!」

 

両者は全力で山頂を目指し登る!!

 

〔オレはな…。こうして本気で山を登ることが楽しすぎてたまんねー。山中さんに自由に走れって言われたんだ!本当はこんなことできないんだけどな! だから!負けるわけにいかねーんだよ!!〕

 

〔オレのライバルよ!! 去年お前に負けて悔しかった!! だから今まで以上に練習して強くなって… またお前と勝負してる。正直この場面を作ってくれた山中先輩に感謝してます!! 〕

 

「最後の一滴まで出ろ!!!」

「こいつに勝つ!!!」

 

そして、箱根山国道1号線の標高874m地点の看板が見える!!

 

2人の山頂勝負が決まった。

 

クライマーの勝負はいつもこうだ。勝者は天を見ながら喜び敗者は地面を見て疲れた表情をする。

 

「やりました!! 山中先輩!!! あなたにこの場を設けてくれたことに感謝しております!! 」

「くそっ…。すみません…。山中さん…。」

 

勝者は北上が制し敗者は中嶋。

 

「まぁ…。中嶋…。良い勝負だったな…。」

「はぁはぁはぁ……。そうだな…。」

 

中嶋は北上に握手を求める。

 

「お前…。あの敗北から相当練習したんだな…。これでオレとお前の真剣勝負は1勝1敗だな。オレも強くなるぜ…。」

 

「ああ!!」

「北上!!! もし…お前がインターハイで走ることがあったら…山中さんを頼むぞ!」

「わかってる!! 山中先輩に恥しない走りをするよ!! 」

 

2人は握手をし、芦ノ湖までの下り坂を下っていく。

 

 

その頃。山中は山頂の1km手間でチームを引いてた。

 

「山頂勝負が決まったころかな。大地。」

「かもな…。」

「なんか…。すまんな。大地。」

「大丈夫さ! それより多村。オーダーはあるか?」

 

「はい。そろそろ国道1号線の山頂になります。山頂に到達したら佐々木君と僕が芦ノ湖のゴールまで全力で走ります。山中さんは途中でクライマーの2人を拾ってください。下り終わったら平坦道なので勘太さんがチームを連れてフィニッシュしてください。」

 

「ああ。わかった。多村。」

 

 

山頂に到達した途端。佐々木と多村が飛び出しアシストとエースがいく。

佐々木はダウンヒルでもハイケイデンスで回し時速80kmはでてる。多村も佐々木にしがみつき佐々木についていく。

 

「佐々木君! あんまスピードが出ると危ないから若干抑えた方が良いよ。」

「……。僕がエースアシストなんすね…。」

「今日はね。山中さんがこの箱根の山を引いてくれたから…。予定変更です。」

「……。そうですか。」

 

ゆっくり下っていたクライマー2人を一瞬で追い抜きゴールの芦ノ湖まで走る。

 

「途中でフランクがあるので気をつけてください!!」

「いちいちうるせーんだよ!! エース気取りがよ!!」

 

別人格の佐々木が現れる。

 

「君の別人格は生で見ました。あなたの場合はもっと速くなるんですよね?」

「はぁ? オレがエースなのに! なんでお前のアシストをしなければならねーんだよ!」

「仕方ないことです。レースは臨機応変に考えなければいけませんから。」

「フランクでおまえのこと捨てて先にゴールするからな!! 」

 

フランクにはいる。時速70kmもでてるロードバイク。下手すると落車がしやすいリスクがあるが、佐々木は持ち前のバイクコントロールをしフランクを突破する。

 

〔さすがに。ちぎっただろ! エース気取りさんよー!! 〕

 

佐々木は後ろを振り向いたが、多村はついていた。

 

「佐々木君。君の走りを見てコピーしたから。フランクも問題なくついてこれたよ。」

 

〔おいおい…。コピーだと!!〕

 

「僕は他の人の走り方や体勢、フォーム。ケイデンスやハンドルの握り方まで一瞬見ただけで真似できちゃうんです!! だから。君が得意なハイケイデンスだって!!」

 

多村は佐々木の真似をする。

 

〔こいつ…。ただのエース気取りじゃね!! 天才かよ! この男は!〕

 

「ゴールまであと1km。もう少し引いてくれますか?」

「お前…。面白い男やな。」

 

佐々木は思い切りゴール前の500m前まで引いて多村はラストスパートに入る。

あっという間に多村は1日目のゴールをする。

大手町から芦ノ湖までのタイムを見る。

 

「これぐらいですか。1日目は上々でしたね。思ったより。」

 

佐々木もすぐに到着する。

 

「おい。お前。オレと組まねーか? エースとアシストでよ!!」

「そうですね…。検討しときます。」

「はぁーー? このチームにお前みたいな優秀なやついるのかよ!!」

「はい。1人います。」

「誰だ?」

「山中大地。彼の力は僕より凄いものを持ってますよ。」

「へぇ〜。そいつの走りを見てみたいな。」

「明日あたり見れるかもしれませんよ。」

「そいつは期待だな…。」

 

ちょうど勘太達がゴール地点に着く。

 

「お疲れ様です。」

「きましたねー。」

 

佐々木は普段通りになる。 勘太は多村に話しかける。

 

「で。タイムはどうだった? 多村。」

「こんな感じでした。」

「なるほどな。まぁまぁな結果だな。みんな良く頑張った。」

「皆さんのおかげです。あと、山頂勝負はどっちが勝ったのですか?」

「北上だ。」

「そうですか…。差は?」

「僅差だ。」

「わかりました。2人ともお疲れ様です。」

 

「楽しかったぜ!! 白熱した勝負は久々やったからな。」

「中嶋と勝負できて良かったです!」

 

「そうですか。あの874mの山頂が1日目の山岳リザルトになるみたいなので… ある意味良い経験をしましたね。」

 

「そうなの?」

「山岳リザルトになるところを登ったのか!俺たち!!」

 

その時。マイクロバスが到着してマネージャー達が降りてきた。

 

「皆さん!! お疲れ様です!! これを食べてください!!! 」

 

袋の中には大量のコンビニおにぎりがあった。

 

「こんなにあるのか…。」

「運動後の食事は大事ですから!!」

 

「ああ…。」

 

大量のおにぎりを食べながら合宿1日目の練習が終わる。 食べながら多村が総括する。

 

「今日はお疲れ様でした。明日の2日目のコース説明をします。明日は山を下り僕達の地元の沼津を通り、国道139号線を北上し富士五湖のほうに行きます。国道358号線で甲府方面に向かい、2日目のゴールは甲府です。約110kmあるコースです。実は今日のコースも100kmもありました。今日は平坦が中心でしたが、明日は坂道が中心になるかもしれません。クライマー達が活躍するかもしれませんね。 では。締めます。」

 

総括を終えて芦ノ湖近くのホテルに宿泊することになった。 1日が終わり2日目に突入する!

 

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