もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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第16話 東京観光!!

第16話 東京観光!

 

3日目の夜。 某ホテル。

 

3日間の合宿を終えて皆んなを集めてミーティングを始める。

 

「みなさん。3日間お疲れ様です。予想以上の出来でした。それに今回の合宿で皆さんも僕も含めてたくさん学ぶことができました。

来週の日曜日にインターハイ予選大会があります。そのメンバーを発表します。」

 

「予選メンバーから先に決めるんじゃないのか? 普通は…。しかも…まだ出場すると決まったわけでもないのに。」

 

「この3日間はインターハイ本大会の実際のコースを走ったのです。実践を踏まえた練習です。予選と本大会ではだいぶ違いますから。」

 

「そうか。なら発表してくれ。」

 

「206番。北上雄介。 205番。菅原純太。204番。菅原勘太。203番。熊野友成。202番。佐々木竜司。201番。多村純太郎。」

 

「おい。オレと山中さん入れてないぞ!」

 

「中嶋君。予選メンバーも6人しか入れませんよ。しかも、中嶋君と山中さんのデータを他校に知られたくないというのもありますからわざと入れてないんです。」

 

「といいますと?」

 

「山中さんはオールラウンダーで、しかも朝に話したとおりにジョーカーですから。この予選大会で知られてしまえば、本番で使えません。ジョーカーの意味がなくなります。 中嶋君に関しては君のその独特なクライムを見せたくないというのが正直なところ。予選大会当日は他県の学校が視察に来ますからね。だから、予選大会では使わないのです。」

 

「そういうことか。それなら納得いくわ!」

 

「予選大会はどちらかというと平坦道がほとんどなので、平坦に強い純太さんと熊野君の力を借るつもりですが、大丈夫ですか?」

 

「わかったよ。」

「わかりました! 本大会に出場させるために走りましょう!」

 

「ありがとうございます。この話は後々するつもりです。ということで…明日の予定を話します。明日は東京観光をしようと思います。要するに自由行動ですね。荷造りは明日の朝までに済ましてください。僕は静岡に帰ってやることがあるので、みなさんはご自由に。最低終電までに帰ってきてください。明後日からまた練習を再開します。では、お疲れ様でした。」

 

「多村はいいのかよ! 都会だぜ! 遊びに行かないと損するぞ! 」

 

「北上君。僕は学校の宿題をやるので帰ります。中嶋君や熊野君、佐々木君と一緒に行けばいいんじゃないですか? 」

 

「ま。そうだな。」

 

「そんなわけで明日は充実したオフをとってください。」

 

 

山中と勘太、純太は一緒にホテルの浴場に入りに行く。 裸になり、身体を洗い湯船に浸かる。

 

「ふぅー。疲れたー。」

「今日はオレも疲れたな。」

 

「僕はバスの中でマネージャー達と一緒に遊んでたよー。トランプとか… 王様ゲームとかして疲れたー。」

 

「……。純太。俺たちは100kmぐらいの道のりをロードで走ってきたんだぞ。」

 

「ロードのほうが楽しいじゃん!でも…マネージャー達の恋話とか意外に楽しいよー。山中さんと知り合ったキッカケとかドラマチックで憧れますねー! うらやましいよー 山中さん!!」

 

「みほの奴…。そんなこと話したのか…。」

 

「純太…。お前は良いよな。うらやましいよ。オレなんかマネージャーと話したことないし… モテないからな…。」

 

勘太は落ち込んでしまう。山中は純太に小声で話す。

 

「勘太はこの話題になると落ち込んじゃうんだぞ…。あんまそういう話はするなよ…。」

「面白いから良いじゃないですかー! こうゆう話はプライベートでもしましょうよ。」

「お前な……。」

 

その時。中嶋と北上が入ってきた。

 

「あら。菅原兄弟と山中さんじゃないですか!? 」

「お疲れ様です!! 」

「お前らも風呂か! 身体洗ってから湯船に入れよ!」

 

中嶋と北上が身体を洗い終えて湯船につかる。 2人は練習で落車をしたせいか…ところどころにキズが何ヶ所かあった。

 

「しみるー。傷口が…。」

「我慢我慢…。」

「大丈夫か? こんなにキズがあるが…。」

「ケガは日常茶飯事ですよ! 慣れてはいますが…やっぱり…痛い…。」

「辛抱がたらんやつだな…。」

「本当は痛いんだろ! 」

 

中嶋は北上の傷口をつつく。

 

「いってーな! やったな!!」

「いてー! てめぇー!」

 

北上と中嶋は浴槽の湯で水かけをやり始める。その光景を見た勘太はガチギレする。

 

「おまえら!!! いい加減にしろ!!」

 

勘太は北上と中嶋の身体を投げる。 その湯は山中達にもかかる。

 

「ぶはー! 勘太さん! 何すんすか! 」

「いくら先輩だろうが…許しませんよ!」

「これは体罰だ!」

 

「なぁ…。純太。出ようか…。」

「兄さんのスイッチが入っちゃったみたいだから出ますか…。ほっときましょう…。」

 

山中と純太は浴場から出る。 北上と中嶋、勘太は水かけ合戦を始める。そのあと、ホテルの従業員に怒られる3人である。

 

佐々木と多村はホテルの屋上の展望台で東京の夜景を見てた。

 

「ねぇー。トモちゃん! あそこがスカイツリーだね! 綺麗だねー!」

「ト…トモちゃん?」

「友成のトモだからトモちゃん!!」

「あっ…。そうですか…。」

「あれが…首都高速道路!! かっこいいな。あれに乗ってみたい!」

「乗ってみたいて…乗り物じゃありませんから! 車が走る道ですよ!」

「そうなの…。でもカッコいいよね。」

「そうなんですか…。」

「ねぇ。トモちゃん。ごめんね。」

「急に謝ってどうしたんですか!!?」

「インハイメンバーに僕がなったこと。」

「何故そう思うのです? 逆に。」

「僕がエースアシストだから。」

 

「そういうことですか…。僕はもう気にしてませんよ。あの時つい言っちゃいましたが、佐々木君が誰よりも早く多村君か山中さんをゴール前まで運んでくれれば、充分です。それに…来年もありますから。また、更に強くなってインハイメンバーの座をとりにいくと目標をたてることが出来ましたから。」

 

「トモちゃん…。僕も負けないよ。」

 

佐々木と熊野は握手を交わして再び東京の夜景を2人で黄昏ていた。

 

 

翌日。部員それぞれ東京観光を始める。

 

山中と菅原兄弟は東京スカイツリーの展望台に上がると、東京のビル群や遠くに富士山が見え、関東平野も一望できる。東京観光の定番な場所である。

 

「すげーな! これが東京の街か!!」

「そうだな。」

「こんなに高いのに沼津の街が見えないな〜。」

「純太。沼津は箱根の山々が邪魔で見えないと思うんだけどな。」

「たしかに…。」

「東京って凄いよな。沼津とは違うよ!」

「そうだな。大地。」

 

「なぁ。俺たちはインハイで東京から神奈川、静岡、山梨を通り、また東京に戻って来るんだよな。3日間で。」

 

「ああ。ここから見ればよくわかるが…俺たちはこの広い平坦区間を走り、あの山を登っていくんだ。自転車で。」

「たしかにな。俺たち3日間走ったんだよ!凄いと思うよ。」

「そうだな。大地。絶対勝とうな。」

「ああ! このスカイツリーのようにてっぺんを取ろうぜ!!」

「ああ!! 」

「僕も忘れないでよ!」

「純太…。そうだな! お前も仲間だもんな!」

「インハイに出れなくても…心の中ではてっぺんをとる気持ちで僕も戦うよ!!」

「純太! ありがとうな!」

「山中さん! やりましょう!! 僕たちの底力を見せましょう!」

「そうだな!! 」

 

3人は手を合わせてスカイツリーの展望台でインハイで優勝することを誓うのである。

 

 

その頃。熊野と佐々木は秋葉原の電気街を散歩してた。

 

「ここが秋葉原! そして、これが歩行者天国!! 写真で見た光景と一緒だ!」

「うああ〜。凄いね! トモちゃん!」

「佐々木君。アレがメイド喫茶だよ! 寄っていかないかい?」

「えっ……。僕は遠慮するよ…。」

「せっかく秋葉原に来たんだし…行きましょうよ!! 」

「あんまそういうところは…。」

「沼津にはないんですよ! メイド喫茶! これは行かないと損だよ!」

 

熊野は佐々木の背中を押しながらメイド喫茶に入るのである。

 

「えええ!!! だれか助けてー! 」

 

 

中嶋と北上は若者の街の渋谷を散策してた。

 

「よーーし!! ナンパだ!!」

「おいおい…! やめろよー! 」

「渋谷に来たならナンパしなきゃ損損!!女の子のメアドゲットするぜ!」

「オレは知らないからな…。」

「あれあれ〜? 逃げるのかな〜? かな?逃げ腰のエースクライマーさん…。 ww」

「なんだと! この狂人が!! 」

「なんだと! なら!勝負だ! 」

「勝負だと? くだらない…。」

「やっぱ逃げるんだ〜。」

「くっ…。やればいいんだろ!」

「1人でも多く女の子のメアドゲットした奴が勝ちだ!! どうだ!!」

「そんな勝負かよ…。ヘドが出る…。」

「やるんじゃないんですか〜?」

「くそっ…。やればいいんだろ!!勝ったら特典はあるのかよ!」

「それは勝ったやつが決めるんだよ!」

「そうか…。なら…。受けて立つ!」

 

中嶋と北上の渋谷の街中でナンパバトルが始まる。

 

PM5時。東京駅前。

 

東京駅で集合して電車に乗り沼津の街に帰る。

 

「みんな。東京観光は楽しんだか?」

「はい! 楽しかったですよ! 山中さん!」

「おう! 熊野…。お前が持ってるやつはなんだ? 」

「これは… フィギュアとメイド喫茶のお土産ですよ!! 」

 

「メイド喫茶に行ったのか…。佐々木と一緒に行動してたもんな。佐々木はなんか…顔が死んでるぞ?」

 

「山中さん…。もう秋葉原はゴリゴリなんですー。 疲れましたー。」

「そりゃ…。お疲れ様…。」

 

「くそ〜!! なんで1人もメアドゲット出来なかったんだよーー!! 」

「これだから狂人は…。普通に女の子と接すればメアドもらえるんだよ。」

 

「お前! 5人もメアド交換してんじゃん!ロードでもナンパでもこいつに負けるなんて!! 悔しいー!! 」

 

「お前らも… いろいろ大変だったんだな。」

 

山中はボソッとつぶやいた。 勘太が山中のところに駆け寄り、少し離れた場所で話す。

 

「大地。東京観光は楽しかったな。」

「ああ。楽しかったな。」

「なぁ…。多村についてお前はどう思う?」

 

「そうだな…。あいつなりにチームのために頑張っていると思うよ。少し気にくわないところもあるけど、何か考えがあっての行動なんだろう。」

 

「だといいが…。前にあーゆうタイプの人間を見たことがあるからな。今はきっと…そいつがとある学校のトップに君臨しこの高校自転車競技界に名を広めていく存在になるだろう。悪い意味でな…。」

 

「そうなのか…。ちなみにだれなんだ?」

 

「宮崎浩輔。」

 

「始めて競争した時にそんな話題になってたな。そいつはお前らに何かやったのか?」

 

「ああ。だが… 今ここでは話せないんだ。これは俺たちだけでなく…ここにいるやつらほとんど関わってるからな。だから、この話をするとチームの和が乱れる。また… 今度ゆっくり話すよ。」

 

「ああ。わかったよ。」

 

沼津南高校自転車競技部の合宿3日間と東京観光が終わるのである。

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