もう一つのペダル   作:ユーチャロー

20 / 48
第20話 インターハイが始まる!

 

第20話 インターハイが始まる!!

 

あれから1週間後。

ついにインターハイ全国大会が始まる。

3日間で東京の大手町を南西方向に神奈川県を通り、箱根山を登り静岡県へ。そして、富士山を少し登り、山梨県の甲府方面に進み、東に向かってまた大手町に戻るコースである。3日間かけて走り総合優勝した高校が王者となる。それは、1日平均100kmの距離をロードバイクで走るため過酷なレースである。だからこそ、インターハイで優勝するために努力をし全力で走る。ただひたすら前に向かって走る。それが、ロードレースの面白さであるのだ。

 

AM 8時45分 大手町 スタートまであと15分

 

沼津南高校は出場する多村と佐々木、菅原勘太、北上と中嶋、山中はローラーを使ってアップを開始してた。補欠の菅原純太と熊野はマネージャーの2人と一緒に補給食やボトルの準備。出場する選手達のロードバイクの点検をしてた。全国から集まってきた20校のチームも準備に取り掛かっていた。

 

「いよいよこの時が来ましたね。山中さん!」

「ああ。中嶋。頑張ろうな。」

「はい!! 」

 

「純太。1日目のスプリントライン。絶対とってこのレースが終わったらお前にグリーンゼッケンをつけてあげる。」

「兄さん…。僕達の夢を実現してきて!」

「ああ!! 絶対に実現させる!」

 

「ともちゃん…。頑張ってくるね。」

「頑張ってください! 多村君を誰よりも速くゴール出来るようにアシストしてください!! 期待してますよ! 佐々木君!」

「ありがとう。ともちゃん!」

 

「ああ〜。夏ってなんでこんなに暑いんだろう…。こんな暑い時に走りたくないな…。」

「北上君。少し君に話したいことがあります。時間とっていいですか?」

「なんだよ! 多村!」

「今日は…山岳賞を狙いに行かないでください。チームを引っ張ってほしいです。」

「は〜〜あ?? お前正気か?」

「僕はいつでも正気ですよ。」

 

「ふざけんなよ!誰よりも速く山頂をとりたいのがクライマーというもんだ。それはお前もわかるだろ!!」

 

「気持ちはわかりますが…君が活躍する場は今日ではないと判断したからです。それは、箱根学園の美影良和に千葉県総北高校の大坂坂道、京都伏見の難波拓也、名古屋高校の杉山光輝といった強力なクライマー達が山岳リザルトを目指して登ります。なので…今日の山岳リザルトを目指して登ってもらうのは…山中さんです。」

 

「!!?」

 

「それは…… 大番狂わせを狙うためです。」

 

「大番狂わせ?」

 

「彼は今日までに公式試合に1度も出場していない。周りの選手達は無名な選手で実力もわからない。何より、ギャラリー達も山中大地が山岳賞をとれると誰も思わない。そこで、僕達沼津南高校の名前を知らしめるために彼を起用します。要するに起爆剤をつけるということです。ギャラリー達を味方につけて他の選手達に精神的なプレッシャーを与える。応援の力というのは結構デカイんですよ。」

 

「なるほどな…。それで山中さんを山岳賞を狙いに行かせるというわけか。」

 

「あなたならあの人が勝負事になるとどうなるかわかりますよね?」

「………。たしかにな!! 1日目の大事なこの山岳賞! 山中さんが適任かもな!!」

 

「理解してくれてありがとうございます。そろそろレースが始まるのでみなさんを集めてスタートラインに立ちますか。」

 

多村と北上は他の部員とマネージャーを呼び、今日のレースの詳細を話す。山中が山岳リザルトをとりにいくオーダーに関して誰も反対せずに起用した。そして、いよいよインターハイが始まるのである!!

 

その頃。箱根学園は…。

 

「みなさーん。いよいよインターハイ全国大会が始まりますよー。狙うのは総合優勝。箱根学園の名を恥じない結果を残してくださいねー。」

 

「わかりました。宮崎君。」

 

「そうそう。桐谷君はグリーンゼッケンをとってきてね。期待してるよ。」

 

「わかってますって。」

 

桐谷英二。箱根学園3年生のエーススプリンター。彼は神奈川県大会2位の実績を持ち、全国に知られている強力なスプリンター。彼ね別名は『ダイヤモンスピア』

 

「ちなみに桐谷君。君も知ってる選手がこのスプリントラインで競うことになる。」

 

「ツインスプリントか。」

 

「そう。しかし、あの双子の兄の方。君なら彼がどれぐらいの実力があるか。わかるよね?」

 

「わかってるさ。グリーンゼッケンはオレのものだからな。誰にもとさせない。」

 

「頼みますよ。」

 

宮崎は桐谷の肩を叩いてスタートラインに向かう。他の選手達も行くのである。

 

その頃。総北高校は…。

 

キャプテンの大坂坂道を筆頭に他の選手達に鼓舞をふるっていた。

 

「目指すは…総合優勝!! 5年ぶりの総合優勝を目指して頑張るぞ!! 今年の俺たちは強いぞ!! 最強で最強なメンバーが揃ってる!あの地獄の合宿を乗り越えてきた君達なら出来る!! 行こうぜ! インターハイ! 」

 

「おーー!!!」

 

京都伏見では…。

 

キャプテンの嵐山慶喜。彼は関西では負けなしのエース。その名を聞いた物は怖気ついちゃうぐらい強者である。別名は『負け知らずのエース』

 

「僕達の関西魂を見せる時が来たなー。行くで。京伏の底力を見たせるで! 」

 

「そうだな。慶喜! お前なら1日目のゴール1番でいけるで。」

 

「そうプレッシャーをかけんなや。家斉。」

 

彼は菊川家斉。彼のエースアシスト。 この2人は親友であり、ゴール争いでは負けなし。ついた別名は『関西一の運び屋』

 

名古屋高の杉山光輝は山中を探しに見回してた。山中を見つけた杉山は声をかける。

 

「1週間ぶりだな。大地。」

「そうだな。光輝。」

「今日の山岳賞争い。リベンジの時だね。」

「ああ……。そうだな……。」

「どうした?大地。まさか…怖気ついてるじゃねーのか? 」

「そんな訳ねーよ。緊張してるだけだ。」

 

「そりゃそーだな! 年に一回のインターハイ。緊張してもおかしくない! オレも緊張してるからな!」

 

「そうだよな。お互い頑張ろうぜ…。」

 

その時。多村が山中の肩を叩き話す。

 

「山中さん…。杉山さんと知り合いなんですか?」

「知り合いというより友達だな。」

「そうですか……。………。」

「急に黙ってどうした?」

「いや。なんでもないです。今日の山岳リザルトはよろしくお願いします。」

「おう。任せろ。」

 

〔まさか…。山中さんの友達が杉山光輝とは…。彼は全国レベルのクライマー。今日の山岳賞争いを山中さんに適任して良かった。しかし、困ったことになったな。宮崎さんの情報網に山中さんのデータがインプットされてないか。あの人のことだからやりかねない。正直…このインターハイはあの人のためのインターハイになるのではないか。その点を確かめる良い機会でもある。〕

 

「おーーい!! 多村!! そろそろ集合だってよ!! 」

 

「ああ! 今行く! 」

 

「高校生自転車競技部全国大会男子の部。インターハイ全国大会がまもなく始まります。選手はスタートラインについてください。」

 

沼津南高校自転車競技部は初出場の高校のため最後尾からのスタートになる。先頭にいるのは箱根学園。2番目に総北高校。9番目に京都伏見。15番目に名古屋高校。20番目は沼津南高校である。 全国から集まった強豪校同士の戦いが始まる。

 

「始まる前に…山中さん。ハイタッチしていいですか? 」

「なんだよ。急に。」

 

「あなたと出会って2人から自転車競技部は始まり、部員やマネージャー、顧問も加わり、予選大会を突破して…今ここにいる。それは…山中さんのおかげなんですよ。みんなはあなたについて来たから全国の舞台に立てる。だから… 感謝します。」

 

「オレはそんな大したことやってないし…感謝されるあれもないと思うけど…でも、自分は今ここにいることが奇跡だと思う。周りの支えがなければこの場にいないと思う。だから…感謝するのはオレの方なんだ。お前が自転車の世界に連れてくれたからオレの世界も変われた。全国大会に出場するなら優勝するしかないっしょ!! 中嶋!! 」

 

「はい!! 」

 

この2人のハイタッチとともにインターハイが始まるのである。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。