もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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第22話 波乱な展開!

第22話 波乱な展開!

 

沼津南高校達は戸塚あたりを走っている。後ろには箱学や総北、京伏といった強豪校達が集団の中にいる。菅原勘太がスプリントラインをとってきたおかげで…沼津南高校は先頭で集団をコントロールすることが出来る。

そして、各高校の役目を終えたスプリンター達は集団の中に加わるのである。そこには…グリーンゼッケンをとってきた勘太の姿が見えた。

 

「勘太!! 良くやったな!!」

 

「大地!! 僅差で箱学のスプリンターに勝った。しかし…最後尾から先頭まで全力でペダルを回して疲れた…。純太と違って長距離を同じ速度で走れないからきつかった。日々練習してきた成果が出たから良かった。」

 

「そうか。いつかは…1人でゴールをとりにいけるようロングライドの練習してたからな。練習したことは無駄じゃないな。」

 

「そうだな。」

 

「見たか!! 箱学!!」

 

「誰かと思えば…中嶋君じゃないか〜。」

 

「めっちゃ久々ですね〜。宮崎さん〜。」

 

「あれ?君は予選大会に出なかったよねー。君のデータは把握してるから問題無いけどね。」

 

「あんたさー!! オレと勝負しないか? 小田原の長い平坦区間まで!! オレは宮崎さんと1度だけ勝負したかったんすよ!!」

 

「はい? 僕は箱学の1番ですよ? あなたにはこの1番の意味がわかりますよね?」

 

「あったりまえよ! それはあんたが1番をつけてるだけだろ!」

 

「ははは!!! キミは面白いねー!! 気に入ったよ! キミのその無謀さに w 」

 

「おい! 中嶋! こんなヤツの相手になるな!しかも…お前はクライマーだろ! 」

 

「勘太さん…。僕は…多村からオーダーをもらってるんすよ。僕だけに!! それを今実行するんすよ!! いいよな! 多村! 」

 

「許可します。しかし…勘太さん。あなたも一緒に走ってください。」

 

沼津南高校達は驚く。

 

「おいおい…。勘太さんが今グリーンゼッケンをとってきて疲れが溜まってるのに…休む時間もなく走らせるのかよ!! それはいくら勘太さんでも厳しいんじゃないか!」

 

「よせよ。北上。やらせてくれ! 多村!! 」

 

「わかりました。そのかわり箱学から1人だれかメンバーを選んでいいですよ。」

 

「僕1人で行くからいいや〜。ここでみんなの脚を使わせるのもあれだし〜。僕は今日活躍する場所がないから少し運動してくるか〜。ここは〜谷中君。キミがチームを引っ張ってもらっていい〜? 」

 

「わかったよ! 暴れてこいよ! 」

 

「ありがと〜ね!! 頼みますよー。」

 

「2対1でハンデがあるんじゃないか。」

 

「あらら〜。君わかってるね〜。勘太くーん!! 」

 

「てめぇ!! オレはお前と戦う時を待ってた!! それが今だからだ! だから…勝負だ!宮崎!! 」

 

「ははっ。何が狙いか知らんけど…。僕は勝つからね〜。」

 

〔中嶋くーんに元スプリンター君か…。こりゃ波乱な展開になりそうだね〜。〕

 

「では…行きしょうか!! 勘太さん!」

「ああ!!」

「ぶははははは!!!」

 

中嶋と勘太、宮崎は飛び出す。

 

「多村! なんで2人も行かせたんだよ!!4人で後ろの集団をコントロールするなんて厳しいでしょ! 」

 

「たしかにそうですね。しかし…箱学も僕達と状況が一緒ですよ。僕はこの勝負を何故仕掛けたか。キミは気づいてるかな? 先頭に走っていたスプリンター達に1人この場にいないことを。」

 

「……!! まさか!! 」

 

「そのまさかですよ。」

 

「僕が引きますよ! 勘太さん!! 」

「無茶はよせ。」

 

「何言ってるんすか? 勘太さんはさっきのスプリント対決で疲れてるので…湘南海岸に入るまで休んでくださいよ!」

 

「クライマーのキミが…僕を止めるなんてムリだろーね。」

 

「宮崎さーん!! 僕はあなたみたいな大物と対戦すると燃えるタイプなんですよ!!」

 

「そうなんですかー。 ww ここは平坦が多いコースなのに…キミがこの勝負に挑むなんて…意外ですねー。」

 

「僕が…湘南海岸まで競争を挑むか…それはこの区間は坂道が少しあるんでね! 海沿いの道になるとほぼ平坦道になるんすよ!」

 

「なるほど…。多村君が君を起用した理由がわかったよ。しかし…僕はね…平坦も坂道もこなすオールラウンダーなんですよー。それに…箱学のエースナンバーの僕に…勝てると思うんですか〜?」

 

「そんなあなただからこそ! オレは挑みたいんですよー!! 」

 

「面白いな〜。気に入った! 己の無謀さを知るがいいよー ww 」

 

その時。後ろから見慣れた黄色いジャージ姿が3人を抜く! 千葉県代表の総北だ。 3人はすぐに反応し宮崎は総北に話かける。

 

「やはり来ましたかー。あなた達も。」

 

「久しぶりだなー!! こうすけー!」

 

「キミはいつも僕達を困らせる。やっかいだねー。 門倉くーん! 真中くーん! 」

 

総北高校3年のエーススプリンターの門倉翔。彼は箱学のエーススプリンターの桐谷と実力は同格であり、千葉県の大会では良い成績を残しており、関東大会では桐谷と1位と2位を争う。

 

「宮崎君。この先に桐谷が先頭に走ってるんだろ。だから…追ってるんだよ。」

 

「そうだよー。しかし、なんで君達のエースと2人で先頭に追いつこうとしてるの〜?君達がスプリント対決を仕掛けないことは凄く気になってたけど…どうゆうことかな〜? 総北さんよー!! 」

 

総北高校2年生でチームのエースを任されている真中勇気。彼は宮崎と面識があり、小学生の頃からライバル的な存在である。

 

「こうすけ! 俺たちはキャプテンの大阪さんを筆頭に史上最強の総北を築き上げた。打倒箱学を目標に今まで練習してきた! 王者奪還してやるさ! 」

 

「勇気君〜。キミとは10年の付き合いだ。君達に負けるような〜箱学じゃないよー。キミはいつも僕と同じ場所にいる。王者奪還したいならやってみなよ! 総北さんよ!!」

 

「言われなくてやってやるさ!」

 

「そろそろお話は終わりにして…行きましょーうか!! 沼津さんと総北さんよ!」

 

「行きますよ! 勘太さん!」

「行くぞ! 中嶋! 前にいる桐谷さんに追いつくぞ!」

 

「見せてやりますか! 勇気さん!」

「翔! こうすけに負けない走りをしてくれ!」

 

「やれやれ…面白い展開になりましたが……僕は……君達に負けるような1番ではない!! 」

 

最初に仕掛けたのは総北。翔は後ろのエースを連れて先頭で単独に走っている桐谷を追う。それにつられて宮崎も総北と並ぶ。しかし、中嶋と勘太は彼らと差が開いてしまう。

 

「中嶋!! やっぱりクライマーのお前にはこのオーダーは無理だ!多村は何を考えているんだ!! ここはオレがいかないとやばいだろ!! 」

 

しかし、中嶋は勘太と違って冷静であった。

 

「勘太さん…。このオーダーを志願のは…僕なんですから…。」

 

「お前…! 何故!このオーダーを受けた! この状況は佐々木か大地が適任だろ!」

 

「多村はこんなことを言ってましたよ! ゴールを狙いにいけってよ! 」

 

 

「!!!???」

 

 

「多村はきっと…集団をコントロールして1日目を終わらせるつもりなんすよ!それが…勘太さんがスプリントラインをとってきてから急遽変えたオーダー。本来なら山岳賞は山中さんにとらせる予定でしたがね…。何故…クライマーにスプリンターがこの場にいるのか。少し考えて見れば勘太さんならわかるはずです!!」

 

「……! 今前に走ってるスプリンター2人に箱学と総北のエース。中嶋。そーゆうことか…! 」

 

「勘太さんならすぐ理解すると思いましたよ!! 」

 

「中嶋。前の合宿の時みたいに平坦で少し走ってくれないか? お前が引いてるあいだに…オレは脚を休ませてもらう。」

 

 

その頃。多村達は…。

 

 

「多村! 総北の2人が後ろから飛び出していって…追わないつもりかよ! あれからだいぶ時間が経ってるぞ!! 」

 

「追うつもりはありません。むしろ…好都合ですよ。」

 

「どこが…好都合なんだよ! しかも…前には箱学と総北のエースが走ってるんだ! この山岳区間を単独で走り1日目の優勝なんて…あり得るんだぞ!! 」

 

「北上くん。この場にいるメンツだけで4人でゴールに行けると思いますか? 」

 

「クライマーにオールラウンダー3人でいけるでしょ?」

 

「いや。この状況で出来ないと思います。このまま集団をコントロールすればどーなるか? 君ならわかりますね。」

 

「……!。 お前…。そーゆうことか! 」

 

「わかっていただけましたか。」

 

「だが! この作戦は一か八かだぞ!」

 

「ええ。覚悟は決まっていますよ。」

 

 

「なぁ〜〜? その話。ワイ達に引き受けてくれないか〜?」

 

多村は後ろを向いた。そこには京都伏見の嵐山と菊川がいた。

 

「あなたは…京伏の嵐山さんと菊川さん。僕達の話を聞いてたんですか? 」

 

「せやよ! おたくのエーススプリンターさん! 速いですわーー! 予想外でした!こりゃ参りました。」

 

「家斉。挑発してはいかんわ。あんたらの企みは予想はできる。しかし…このままあんたらの思う通りにいけるとかぎらんわ。ここは…協調するというのはどうや? 沼津南さん。」

 

多村は少し沈黙するが…即決であった。

 

「わかりました。協調しましょう。あなた達も打倒箱学という目標は一緒ですもんね。」

 

その話を聞いてた箱学の谷中が集団を抜けようとしたが… 嵐山が止めに行く。

 

「箱学さん。すまんが…。あんたらに勝つ為にワイ達は練習してるんや。邪魔はさせんよ!! 」

 

「邪魔だ!! どけよ!! 」

 

沼津南と京伏が集団をコントロールする。しかし、それに反対したのは北上である。

 

「多村!! 勘太さんがとってきてくれたこのポジションを無駄にする気かよ! 」

 

「無駄ではありませんよ。集団の先頭にいるだけでも勘太さんの役目は果たしてますよ。

それに…ロードレースでは臨機応変に対応しなければならない。それはキミもわかるはずです。最良な判断だと思いますから。」

 

「ほな。そーゆうことやって。ちっちゃい人〜。」

 

「ちっちゃい人じゃなーい!!」

 

 

その後。宮崎は桐谷と合流し総北と箱学の平坦区間の勝負が始まる。しかし、小田原の市街地までお互い並走する。4人は箱根の山に突入するところにきた。

 

「桐谷君。お疲れ様よ。ここまで単独で走ってきてどんな気分だった?」

 

「湘南の海風が気持ち良くて最高よ! しかし…アイツに負けたのは悔しいんだよなー!!」

 

「全くだよ!! まっ。でも…キミは良い仕事をしてきたから良しとするか。ここからは…山岳区間だ。キミはゴール前まで脚を休めてほしい。1日目のゴールはキミに託したいが…行けますか?」

 

「 どーゆうことだ?」

 

「僕たち…はめられたんだよ。この状況を多村純太郎の作戦にね。」

 

「はめられた? 」

 

「沼津南にはクライマーとスプリンターが後ろで走っている。そして、はるか後ろで集団をコントロールしてるのも沼津南。僕が言いたいのは…集団をコントロールしてるということは…後続で走る選手達は彼らより先に行けない。もちろん…箱根のあの4人もね。つまり…総北の2人に僕達。そして、沼津南の6人で箱根山を超えた先にあるゴール争いをする。僕が何を言いたいか…キミにわかるだろ?」

 

「こっちには…美影や今泉という優秀なクライマーなしで箱根を登らないといけない!あんたが山を登らないといけないのか!」

 

「そういうことです。つまり…最悪な状況というわけ。しかし…諦めるのはまだ早いですよ…。」

 

「あんたが次言いたいことは…山を登り終えた後のダウンとゴールまでの平坦を走り…オレが1日目のゴールをとりにいけということだな! 」

 

「ビンゴ!! それは総北も同じ条件。そして…沼津南は元スプリンター君が今日のゴール争いに絡むということだ!! 」

 

「ははは…。そりゃ…。面白いわ…。こんなに早く菅原とリベンジする時が来るとは…思ってもいなかったよ…。 うけてたとう!!箱学の4番を背負って走ろうではないか!!」

 

箱学の2人を盗み聞きをしてた総北の2人。

 

「だってよ! 勇気君!!」

 

「どんな状況であろうが…やることは変わらないよ。打倒箱学のためにどのチームも必死にやってきた。ならば…5年前の奇跡の総合優勝を果たそうではないか! むしろ…やる気になりましたよ。翔! 1日目のゴールをとってきてください! オレはお前を箱根の山を登って引っ張ってやる。ついて来てください! 」

 

「おうよ! 」

 

「こうすけー!! お前らに行かせてたまるかよ!! 」

 

「君達と張り合うなんて…面白いですね!」

 

「俺たち総北はこのために練習をきて来たんだ! こうすけの好きにはさせない!」

 

「勇気! 山岳区間は頼むよ!!」

 

「しかし…あの子来てないねー。なんだけ僕達を煽っといて来ないなんて…。それに…元スプリンターの彼も…。」

 

「菅原か…。アイツは…スプリントラインをとった時には脚が限界だった。あいつは…弟と違ってゴール前の数キロで真の力を発揮するタイプだ。インハイの1日目の長い平坦区間で彼が単独で走ることは出来はしない。もちろん…この場面で彼がここに来ることも不可能だ。箱学にいた時から知ってたぞ。」

 

 

「キミはそのまさかを…信じないのかい?」

 

 

「まさか…。そんなことは出来るはずは…。」

 

 

 

その時。菅原と中嶋が土壇場で4人に追いつく!

 

「待たせたな…! 箱学と総北!」

 

「こんな…凄い人達と勝負出来るなんてワクワクしますわ! 山岳勝負!! どこが制するか楽しみで仕方ないっす! 」

 

「全く……君達は僕達の邪魔をしてくる…。厄介な敵だな!! 残念だけど…箱学のホームグランドである箱根の地で負けるような俺たちではない!」

 

 

「宮崎! 桐谷さん! そして! 総北の門倉さんと真中さん! 沼津南高校の底力を見せてやる!! 」

 

打倒箱学のために集団をコントロールする沼津南と京都伏見。そして、先頭で走る6人の激闘が箱根山で開始する。

 

次回話に続く…。

 

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