もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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第26話 反省!

第26話 反省!

 

インターハイ大会の1日目の先頭争いを制したのは千葉県代表総北高校である。過去に1回総合優勝を果たした高校であり、優勝した年の翌年には入部希望者が多くなった。それから毎年インターハイでは常連校として出場をしてる。

2位は静岡県代表の沼津南高校。初出場でありながらグリーンゼッケンとレッドゼッケンをとった。惜しく2位で終わってしまったが…2日目も3日目の結果に期待が高まる。

3位は神奈川県代表の箱根学園。ここは優勝候補の一つであり…過去のタイトルも素晴らしい成績を残している。全員が「エース」という指針の元に切磋琢磨しながら日々の練習に励んでいる。

 

 

優勝争いが終えた後には、後続の選手達がゴールを通過し、インターハイ1日目が終わる。沼津南と京都伏見は他の高校達の選手の集団達をコントロールをしたため7位から10位で終わる。

 

走り終えた多村達は沼津南高校のベースに寄る。 多村は少し悲しげな表情をしてた。

 

「今…皆んな無事にゴールしました。本当にお疲れ様です。まず…中嶋君のマッサージとケアをお願いします。彼は1人で湘南と箱根を総北と箱学のエース級の選手達にしがみつきました。中嶋君と山中さんと勘太さんの頑張りがあっての今日の結果です。悔しいですが…胸を張って表彰台に上がりましょう。ちなみに…勘太さんと山中さんはどこにいますか?」

 

「兄さんと山中さんならトイレに行ったよ!」

 

「そうですか……。あの2人に少し話したいことがあります…。それにもうすぐ表彰台に立つ時間がせまってるので…純太さん。あの2人を呼んできてもらっていいですか?」

 

「わかった。」

 

 

その時。勘太と山中が戻ってきた。

 

 

「みんな来たか。お疲れ様。」

 

 

山中は黙りながら涙目になってた。

 

 

「一旦…。少し離れた場所に行きましょうか? 2人だけに話したいことがあるので。他の皆さんは…食料と水分補給とストレッチをしてください。」

 

 

多村と山中と勘太は少し離れた場所に移動する。

 

「2人とも…本当にお疲れ様です。先に貴方達に謝らないといけないことがあります。」

 

「なんだ?」

 

「僕のオーダーミスでこういう結果になりました…。本当に申し訳ございません…。」

 

「多村のオーダーはギャンブル性があるオーダーだったけど悪くはなかったと思う。それに…合宿の時にあのコースを走って良かったと思う。そのおかげで中嶋と大地もあの激坂を登れていけたのだからな。だから気にするな。2位になってしまったのは…オレらの責任だから。」

 

「少し無茶をさせてしまいました。明日はなるべく貴方達の脚を使わせないオーダーを考えます。」

 

「お前達も集団を率いていたんだろ。本当にお疲れ様。」

 

「多村……。ごめん……。オレの力不足で……。」

 

「山中さん!! 貴方は…先頭と3分差もありながら…山岳賞をとり更にゴール争いでは2位で入賞しました!初出場でありながら…素晴らしい成績を残しました。だから…胸を張って表彰台に上がりましょう! 誰も貴方のことは責めていない…。僕はそう思います!だから…泣かないでください!! 」

 

「そっか…。ありがとうな…。でも…オレは悔しいんだ!! チームの皆んなに託された想いを背負って走ったが…優勝できなかった。だから!あと2日間で名誉挽回したいし…チームの力になりたいと勘太と誓った。だから…あと2日間よろしくな!」

 

「こちらこそよろしくお願いします。山中さん…。貴方は敗北の悔しさを知って良かったと思います。負けを知らない人は成長しない。だから…今日を糧に貴方に成長してほしいです。僕も貴方のサポートはしますし…貴方も僕達のサポートをしてください。それが…自転車競技というスポーツですから。」

 

「ああ…。頑張るさ! 」

 

 

その頃。1日目を優勝した総北は…。

 

 

「やったな!! 2人とも!! 良くやったよ!今日のMVPは翔と勇気だ! 」

 

「大坂さん! ありがとうございます!僕は…大坂さんに恩返しがしたくて…このインターハイを走っています。貴方がいなければ…僕は…ここまでついていけなかった。だから…感謝してます! 」

 

「勇気…。そんなに褒めるなよ…。照れるだろ…。でも…お前が入学して来た時に比べたら良い顔になったな…。あの時のお前は…本当に生意気な後輩だったもんな…。」

 

「やめてくださいよー。」

 

このやりとりにチームメイトの皆んなが笑う。 門倉翔は大坂とハイタッチする。

 

「坂道!! 」

 

「翔! やったな! 」

 

「ああ! でも…本当はスプリント対決したかったよ…。」

 

「そうだよな…。本当はお前に行かせなかったけど…前には箱学が走ってた。そこで…お前が行ってしまうといけないなと瞬時に判断した。しかし…あの時。箱学の宮崎と桐谷が仕掛けたにいったからここしかないと思った。だから…2人だけで先頭争いに絡んでほしいとね。オレの采配が身を結んで良かったよ。少し辛かったと思うが…ありがとな。」

 

「ああ!でも…やっぱり…坂道には構わないや…。瞬時の状況判断とお前独自の勘に…何回も救われたよ。だから…明日もオレと勇気を存分に使ってくれ!お前がずっと夢見てたインターハイ総合優勝! その夢を叶えるためにあと2日走るさ!」

 

「ああ! 頼りにしてる! 翔! 他の皆んなもお疲れ様!! もう少ししたら表彰式が始まる。それまで休んでくれ。」

 

「はい!! 」

 

 

箱学のベースでは冷たい空気になってた。

 

 

「あの…宮崎さん…。お水をどうぞ…。」

 

「いらんわ!!! 君みたいな…マネージャーに僕の気持ちなんて理解出来ないだろ? 邪魔だからうせろよ。」

 

「すみません……。」

 

「おい!! 宮崎君!! その態度はないだろ! マネージャーも一生懸命サポートしてもらってるんだよ! 謝れよ!! 」

 

「キミ〜に僕の〜何がわかるのかな〜? あのさ〜君達が集団から抜け出せば…こうならなかったんだよ〜? この意味わかる〜? 谷中く〜ん!! 」

 

「あの時は…沼津南と京伏がブロックし…誰も前に出れなかった状況だったんだよ! 」

 

「それは言い訳だよね〜?谷中く〜ん?」

 

「言い訳じゃないさ!! それに…僕達の責任みたいに宮崎君はいいますが…貴方が1番でゴール出来なかったのが問題だと思います!! 貴方がもっと頑張ればこうゆう結果にならなかった! 人を責めるより…自分を責めてほしいよ! 」

 

宮崎は谷中の胸ぐらに掴み思い切り殴る。

倒れた谷中は宮崎に冷たい目線を送る。

 

「キミに言われる権限はないんだよ〜。僕達箱学が3位で…。総北はともかく〜あの初出場の沼津南が〜僕より先にゴールしてるなんて…ありえないよね〜? それに〜谷中くーん?キミはさ…誰のおかげで…この場にいると思ってるの〜? キミが僕にまだ文句を言うのならば…キミは今すぐここでリタイアさせるよ?ねー? 谷中く〜ん? 答えなよ!! 」

 

「……っ。 わかったよ…。宮崎君…。オレが悪かった。しかし!! 桐谷さんには責めないでくださいよ!! 僕は! 貴方達の関係性は知っていますから!! 」

 

「……。それはキミの言う通りかもしれませんね…。ほら。キミの頰が赤くなってるよ〜。アイシングでもすれば〜?」

 

宮崎はアイスを谷中に投げる。

 

「宮崎君が殴ってきたからだろ……。いたっ……。」

 

「まぁ…。切り替えていきしょう。いつまでもくよくよしては何も始まらない…。それに〜よくよく考えたら〜ウチ。今日はボクと桐谷君以外の4人は脚をあまり使わせてないよね〜。明日のメインは…山岳区間。美影くーん。今泉くーん。明日はよろしく頼みますよ〜?」

 

「ああ。任せな!今日は…僕の走りを魅了してくれるお客さんがいなかった…。明日は僕のクライムに魅了されるが良い〜!」

 

「まーた始まりましたよー。美影さんの変なクセ。こうすけくん。任せて。僕も明日の山岳区間楽しみなんだ。思う存分走りますよ。」

 

「頼りにしてるよー。」

 

 

そんなことをしてるうちに表彰式の時間になった。活躍した選手達の紹介が始まる。

 

 

「インターハイ1日目のグリーンゼッケンはエントリーナンバー204番! 静岡県代表沼津南高校の菅原勘太選手です! レッドゼッケンはエントリーナンバー206番!同じく沼津南高校の山中大地選手です! こちらにどうぞ!」

 

表彰式に上がる菅原勘太と山中。

 

「では…今日の感想を一言ずつお願いします!」

 

「皆さん! この表彰式にご観賞いただきありがとうございます! 僕は双子の弟がいまして…インターハイの1日目で必ずグリーンゼッケンをとると約束をしました! その約束が実って弟が喜んでると思います! だから…このゼッケンは弟につけさせます。皆さん応援ありがとうございました! 」

 

「兄さん…!」

 

「菅原勘太選手! ありがとうございます!次は山中大地選手お願いします!」

 

「オレは…山岳賞をとれて嬉しいです。しかし、この山岳賞は一緒に途中まで競争した名古屋高の杉山光輝に譲ろうと思います。何故なら…自分のチームメイトがリタイアしそうになってるところを助けてくれたお礼に彼に譲ります。このレッドゼッケンは…2人でとった山岳賞ですから。」

 

「そうですか…。2人ともありがとうございました!! 次は今日の3位から1位の順に発表していきます! それでは…どうぞ! 」

 

真中と宮崎が表彰台に上がってくる。

 

「では…発表します! 3位はエントリーナンバー1番の神奈川県代表箱根学園の宮崎浩輔選手! 2位は先程レッドゼッケンを獲得した山中大地選手! 1位はエントリーナンバー11番!千葉県代表総北高校の真中勇気選手です!! それでは…一言ずつお願いします。まずは…3位の宮崎浩輔選手からよろしくお願いします! 」

 

 

「皆さん〜。応援ありがとうございます〜。絶対王者の箱学が3位なんて…ありえないですよね? こういう結果になってしまったのも〜まだ練習量が足りないということですよ〜。まだ2日もあるので〜頑張っていきます〜。目指すは総合優勝なんで〜応援よろしくお願いしまーす。」

 

「ありがとうございます! 2位の山中大地選手!また一言よろしくお願いします!」

 

「そうですね…。正直悔しいという気持ちしかありません。あと2日間チームに貢献できる走りが出来たら良いなと思ってます。」

 

「ありがとうございます! 本当の総合優勝の総北高校の真中勇気選手お願いします!」

 

「僕達総北高校は!全員の力を合わせて走るというチームの目標でこれまで練習してきました!5年前の総合優勝を目標に…明日も明後日も走ります! 応援よろしくお願いします!」

 

周りからヤジが飛ぶ。

 

「良いぞ!! 総北!! 」

 

「総北は良いチームだと評判があるから…応援したくなった!」

 

「頑張れ総北!! 」

 

 

〔勇気くーん! キミとは〜これで12勝12敗か〜。キミはいつも僕が追い抜けば…すぐボクを追いつく。それでこそ〜キミらしいけどさ〜1番納得してないのは〜! 206番! 多村のデータベースになかった選手だね〜。まさかね〜。多村くーん! キミは〜これが狙いだったのかな〜? 〕

 

 

こうして表彰式が終わる。 山中と勘太はチームメイト達と合流する。

 

「2人ともかっこよかったです! 勘太さんと山中さんが2人で表彰台に立ってる姿感動しました! 」

 

「寄せよ…。恥ずかしいだろ…。」

 

「ありがとな! 北上! 」

 

「純太! 」

 

「兄さん!」

 

「このゼッケンはお前にあげる。本当はそれをつけて明日も走らないといけないけど…大会本部に言ったら許可がとれた。このゼッケンは2人のゼッケンだからな。それと…スプリントラインの数メートル前に諦めかけてたオレに声を掛けてくれて凄く励みになった。純太がいなければとれなかった。ありがとうな。」

 

「兄さんが1番カッコいいよ!だって…ちゃんと約束を守ってくれたから!!それだけでも充分だよ! また…明日も兄さん達のサポートするからね!」

 

「ありがとう。」

 

 

そこに…杉山光輝が来る。

 

「すみません…。勝手にお邪魔しちゃいますが…彼の様子が気になって見に来ました。」

 

「それだけかよ? 光輝?」

 

「…っ。まーお前にも用があったからな。」

 

「さっきはありがとうございました。杉山さん。中嶋君は今ケアしてもらってだいぶ回復してます。彼なら大丈夫ですよ。」

 

「それなら良かった! 大地!ゴール前の2位は残念だったけど…山岳賞おめでとう!本当は…お前と真剣勝負をしたかったけど…また今度だな! それに…オレにレッドゼッケンを譲らなくて良いよ!これはお前がとったゼッケンだ! それをつけて明日走ってくれ!」

 

「でも……。」

 

「杉山さん。貴方は僕達のチームメイトを助けてくれて本当に感謝してます。確かに山中さんが山岳賞をとりましたが…この山岳賞の陰には杉山さんのあの行動があったからなんです。普通なら…リタイアしそうな選手がいても誰も助けないでしょう。でも…貴方は助けた。そのスポーツマンシップに僕は感激しました。山中さんが貴方にレッドゼッケンを譲るのは貴方への感謝の印です。だから…僕からも受け取ってくれるようお願いします。」

 

「多村君…。キミまでも……。」

 

「このゼッケンは2人でとった山岳賞。だから…受け取ってくれないか?」

 

「わかったよ。親友にチームメイトに言われたら断る理由なんてないさ。オレは…やるなら正々堂々と勝負したいからな。自転車乗りならフェアに勝負する。それが…オレのモットーだから。これで…チャラだな!あの彼が明日の朝まで回復出来るよう祈ってるよ。オレはそろそろいくからじゃあな!」

 

「ああ! 」

 

山中はレッドゼッケンを杉山に譲り去っていった。そして、多村の総括が始まる。

 

「では…皆さん。最後に総括をします。明日の2日目は山岳区間が多いコースになっております。なので…クライマー達の仕事が多いです。現地点で考えているのは…まず僕達は山中さんと勘太さんを平坦区間に入る前に合流します。インターハイ2日目からは順位順にスタートするのでなるべく早く6人体制になる必要があります。明日のキーマンは北上君と佐々木君です。みんなの力を合わせて2日目を乗り越えていきたいと思います。 」

 

「いよいよエースクライマーの出番だな!山中さんや中嶋に負けないように…頑張るから!! 」

 

「純ちゃん! 任せて! 」

 

「2人ともヤル気満々で何よりです。では…総括を終わります。本当にお疲れ様でした!」

 

 

多村は総括を終えるとある場所に向かった。そこには宮崎浩輔が待ち構えていた。

 

「多村く〜ん? 君に〜聞きたいことがあるから呼び出したんだけど〜?」

 

「なんとなく貴方が言いたいことはわかりますよ。」

 

「なら話が早いや〜。あれは〜どーゆうことかな〜? 」

 

「それは…貴方達に勝つためですよ。」

 

「彼は〜何処の出身かな〜? 僕が君からもらったデータベースにないんだよね〜。わざとかな〜? 」

 

「わざと貴方に206番のデータをあげなかった。それが…僕の作戦ですから。」

 

「ははっ…。まんまと…キミの作戦にはめられて…僕はうんざりしてるんだよ〜。キミ達を予選大会を勝たせてあげたのにね〜? ボクとキミが交わした約束と違うじゃないか〜。」

 

宮崎は多村の胸ぐらを掴む。

 

「なぁ〜? キミ達みたいな〜落ちこぼれしかいない集団がさ〜調子に乗ってるんじゃねーよ!! ボクの計画を邪魔するようなヤツらはみ〜んなボクの手で抑えてるんだよね〜。つまりどーゆう意味かわかるかな〜?」

 

「ボクは…貴方みたいな外道な人が箱学の1番を背負ってることが1番気にくわないんですよ! あなたのせいで…僕の兄は…地獄を見た! あんたが許せない! だから…兄が果たせなかったインターハイを僕が走ると誓ったんだ!! 」

 

「てめぇ!! 」

 

宮崎が多村を殴りかかりそうになった時に…表彰式の時にいたお客さん達の声が聞こえてきたため宮崎は手を離した。

 

「こんなところで…僕が違反したら元も子もないね〜。命拾いしたね〜。たむらく〜ん。まっ…せいぜい頑張るんだな〜。沼津南高校さんよ〜!! はははは!!! 」

 

宮崎はそう言い残してこの場を去った。

 

〔僕は…兄さんの夢を壊した宮崎さんが許せない。箱学を倒して…僕達が優勝して兄さんに喜んでもらいたい!そのために…僕はインターハイを走る。そう決めたんだから。〕

 

 

こうしてインターハイ1日目が終わる。

 

 

次回話に続く…。

 

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