もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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第27話 中嶋リタイア!?

第27話 中嶋リタイア!?

 

沼津南高校は菅原勘太と山中大地、中嶋悠斗のの活躍により1日目は総合2位で終わる。箱学や総北や京都伏見といった強豪校達に存在感を示した。多村はこれを狙っての作戦であり、沼津南に声援を送るお客さんが多くなった。そんな中…一つ問題が起きる。中嶋が1日目のコースをほとんど全力で走っていたため脚と膝のコンディションが良くなかった。

 

「…っ。 膝を曲げると痛いわ…。」

 

「大丈夫か?」

 

「北上……。お前にだけ言っておく。オレは明日リタイアするつもりで2日目を走破したい。やれるところはやる。もし…途中で脚が使えなくなったら…山中さんや沼津南達を引っ張ってくれ。」

 

「……!。オレはお前と3日間完走したい! それに…まだお前の力が必要なんだ!こんなところで終わるようなお前じゃないだろ!」

 

「…っ。少し無理しちゃったかな…。オレは充分仕事したし…悔いはない。沼津南が総合優勝する姿を見たいんだ!オレの分をお前に託したいと思う。頼むよ!! 」

 

「…っ。わかった…。でも! 明日は全力で走れ!! そうしないとオレが許さないぞ!」

 

「ああ!! 頑張るさ!」

 

 

不安を抱えながら迎えた2日目。天候は曇りで気温は30℃。風は少し吹いていたが走りやすい環境であった。2日目のスタート地点は1日日のゴールゲートからのスタートになる。最初に走るのは2位の山中。次に走るのは5位の菅原勘太。他の4人は7位スタートでデカイ集団と共に走り出す。沼津南高校のベースに集まった部員達は多村の総括が始める。

 

「皆さん。おはようございます!2日目のコースは比較的に山岳区間が多く1番距離が長いコースです。ここを制しないと3日目の総合優勝は出来ないと思っています。厳しい戦いになりますが…皆さんの力を出し合い2日目を無事6人で完走したいと思っています。それに…今日のキーマンの佐々木君と北上君にはオーダーをメールで流していますので…確認してください。」

 

「わかったよ! 純ちゃん! 」

 

「任せな! 昨日活躍できなかったぶん…思い切り暴れるぞ!! 」

 

 

そこに…中嶋が多村に話しかける。

 

 

「多村!! 1ついいか?」

 

「どうしました?」

 

 

「2日目の山岳賞を狙いにいっていいか?」

 

 

「!!?。中嶋君。キミは…今日活躍する場所がないですし…それに…貴方は昨日奮闘して脚と膝にきてるのでは? 許可は出来ません!! それに…貴方はまだこんなところでリタイアなんかされたら困ります!」

 

「そうか…。ならば…せめて皆んなを山岳区間を引っ張りたい。チームの力になりたいんだよ!」

 

「………。わかりました。無理はしないでくださいね。その時はサポートしますから。」

 

「ありがと。」

 

 

〔中嶋…。お前は…本当にリタイアする気なのか? 〕

 

 

「北上。なんか浮かない顔をしてるけど…なんかあったか? 」

 

「山中さん…。いえっ。特にありません…。」

 

「そうか…。ならば良いんだけどさ。今日頑張れよ!! 」

 

「ありがとうございます! 」

 

 

するとそこに…京伏の嵐山が沼津南のベースに入ってくる。

 

「やぁー。沼津さーん。今日もよろしく頼むで。」

 

「嵐山さん…。何か用があるんですか?」

 

「いや〜。昨日は散々あんたらの作戦にやられもうたから…戦線布告やで。今日はあんたらと正々堂々と勝負したいんでね。」

 

「そうですか…。受けてたちますよ。嵐山さん達の本気を楽しみにしてますよ。でも…負けるつもりはありませんから。」

 

「そう来なきゃな〜! 楽しみやで!」

 

嵐山はそういってベースを後にする。

 

「さて。そろそろいきましょうか。」

 

 

6人は円陣を組む。

 

 

「いくぞ! 沼津南高校!! 」

 

「おーーー!!! 」

 

6人はスタート地点に向かう。

 

 

1位の真中と2位の山中。3位の宮崎が先頭に立つ。

 

「山中さんですよね? 」

 

「あんたは…総北の真中君だよね?」

 

「はい。そうです!昨日の貴方の走りを見てましたが…素晴らしかったです。3分差もあったタイムを…山岳区間で僕達を抜けての山岳賞。それに…ゴール前でも貴方と勝負し、山中さんは2位。普通なら…そんなことは出来ません。貴方の力は何処から出るんですか? 昨日のゴールからずっと気になってました。話しかけるタイミングもなかったので今聞きました。」

 

「いや〜。そんな特別な力はないよ。ロードを初めてまだ4ヶ月しかたってないし…初心者みたいなもんだね…。強いて言うなら…純粋にロードレースを楽しんでいるからかな? 」

 

「そうなんですか…。質問に答えてくれてありがとうございます!今後…貴方とまた勝負出来る時を楽しみにしてます。今日もよろしくお願いします!」

 

「こちらこそよろしく! 昨日は負けちゃったけど…今日は負けないからな! 」

 

「僕達も負けませんよ! 」

 

真中と山中はお互いの健闘を祈るように握手をした。 このやりとりを密かに宮崎が聞いていた。

 

〔ロードを初めて4ヶ月〜? それで…山岳賞をとって先頭争いに絡んでの〜2位〜? 多村く〜んが…彼をこの大会のために絞らせたのは〜こうゆうことかな〜。この206番。只者ではない。ゴール前のあの気迫といい…あのオーラ。僕等にない〜違う力を感じる。警戒しなきゃいけない相手ですね〜。〕

 

 

「ゆうきく〜ん? キミとは〜12勝12敗。今日こそキミ〜に勝つよ!!」

 

「こうすけ! オレも負けないさ! 」

 

 

山中のもとにマネージャーの未希と美穂が来る。

 

「山中先輩!! ボトルと補給食忘れていますよ!! 」

 

「あっ…! 忘れてた!! 未希ちゃんありがとう!! 」

 

「それに…勝ってくださいよ!期待してますから!」

 

「おお! 頑張るさ! 」

 

「大地…。」

 

「なんだ? 美穂?」

 

「頑張って…。私は…大地が自転車競技部に入って嬉しかった。大地は私の自慢の彼氏だもん。大地は4カ月でだいぶ変わった。だから…私は大地が優勝する姿を見たい。大地のファンの第1号だもん! 負けたら許さないよ!! 」

 

「……ありがとう。美穂のおかげもあってオレは今この場に立ってるんだ。だから…絶対勝つから! 約束だ!! 」

 

「うん!! 」

 

 

「それでは! インターハイ2日目が開幕します! 今日はどの高校が先にゴールするか楽しみです! では…1位の方からスタートいたします!! 」

 

 

山中と勘太はハイタッチをしてそれぞれのスタート位置に着く。

 

「大地!! すぐお前に追いつくから。沼津までのダウンはオレが前で引く。だから…少し待ってろ! 」

 

「ああ! 今日も頑張ろう! 」

 

 

「それでは…インターハイ2日目。開幕です!! 」

 

 

インターハイ2日目が始まる。真中と山中、宮崎は同時スタートで走り始める。10秒後に4位の門倉がスタートし、その5秒後に5位の菅原勘太がスタートする。 他の4人は1分後にスタートする。

 

 

「いよいよ…。2日目が始まります。まず…山中さんと勘太さんとなるべく早く合流しなければなりません! 集団のことは気にせずいきますよ!! ここは…僕が引きます!」

 

「純ちゃんが引くの!! 」

 

「佐々木君。このスタートと共に戦いが始まるのです。京都伏見や箱学、総北や他の選手達が一斉に出ます!! だから…ここはボクが皆さんを引っ張らないといけない! 」

 

「わかった!」

 

「いきますよ!! 」

 

 

沼津南高校はスタートする。スタートしたと同時に京伏と箱学、総北の選手は陣形を組んで先頭にいる選手達を追う。沼津南は多村を中心に先頭を追う。少しすると…何かおかしいと感じた北上は後ろを振り返った。

 

「多村!! 中嶋が……中嶋が来てない!」

 

「どーゆうことですか!!」

 

多村は後ろを振り返ると中嶋の姿が見えない。 多村は険しい表情になる。

 

「このままいきます!! なるべく早く山中さんと勘太さんと合流しなければならない。」

 

すると…北上はブチ切れる。

 

「昨日あれだけ頑張った中嶋をおいていくつもりかよ!! 事の原因はお前の無茶なオーダーのせいでこうなったんだ!! 」

 

「今はそんなことを言っている場合ではないことも…キミもわかるだろ!! 」

 

あまり感情を表に出さない多村が大声で北上に怒鳴る。

 

「多村!! 」

 

「僕たちは今! 総北や箱学、京都伏見達の強豪校達に勝たないといけないんだ! ロードレースは臨機応変に対応し、状況を理解しないといけない!! 中嶋君1人のために僕たちが下がるわけにいけないだろ!! 」

 

「くそっ! 」

 

「それに…後ろにはデカイ集団が走っている。かわりに助けにいったとしても…先頭に戻っていくなんて不可能だ!! こーなると5人で戦わないといけない!! 」

 

 

「ならば〜僕が…それをやろうかな〜?」

 

 

「佐々木君? キミは正気でいってる? それとも冗談かな?」

 

 

「僕は本気だよ。だって…友達なんだもん。」

 

 

「友達? キミはこのインターハイをどんな気持ちで走ってるの?」

 

「僕は6人で最後まで完走したいから…みんなのサポートをしてるんだよ。みんな僕の友達だから。」

 

「そんな理由でインターハイを走ってる佐々木君に幻滅しました。ならば…好きにすれば良いさ。あとは…4人でインターハイを走りますから。そんなキミにラストオーダーを出します。不可能を可能にしてください!! キミの力で!! そして!! 必ずチームに合流しろ!! 佐々木君!! 」

 

多村は少し手を震えながら佐々木の背中をさすった。佐々木は多村の僅かな手の震えを感じたせいか佐々木の目の色が変わる。

 

〔純ちゃん…。凄い厳しいこと言われたけど…純ちゃんは僕に僅かな期待と希望を望んでいる。ならば…やるべきは…ひとつしかないね!! 〕

 

「純ちゃん!! いってくる!!」

 

 

佐々木は一気にスピードを落とした。その様子を見てた他の選手達が驚く。

 

「なんだなんだ? なんで…スピード落としたんだ? 」

 

「まさか…沼津南の選手が2人もリタイアするなんて…。」

 

「これはチャンスだぜ!! 沼津南は一発屋かよ!! 」

 

 

多村と北上は2人で勘太と山中と合流するために走っていった。

 

 

その頃…スタート地点から1km離れたあたりで中嶋はゆっくりペダルを漕ぎなから走ってた。

 

「くそ!!! 昨日の膝の痛みがあるせいか…ペダルに全然力が入らない。オレは…こんなところで終わるわけにはいかないんだ!2日目をリタイアする覚悟は出来てはいたけど……こんな序盤で…しかもチームに置いてかれてしまった…。くそ! まわれよ! オレの脚!! まだ…まだ…走りたいんだ! インターハイを!! 」

 

中嶋はペダルを漕ぐが少ししか進まない。後ろを振り返ると回収車が走ってきた。回収車が来るということはリタイアを意味する。中嶋は少しずつペダルを回すが…思ったように力が出ない。 中嶋はもう諦めかけていた。

 

 

〔回収車がきた……。オレは山中さんとインターハイ3日間一緒に完走することを楽しみにしてたけど…ここまでか…皆んな…頼んだよ! それに…力不足でゴメン…。〕

 

 

「キミ?リタイアかね? 」

 

「はっ……。」

 

 

「待ってください!! 中嶋君はまだ走れるよ!! 」

 

 

そこに現れたのは佐々木であった。

 

 

「佐々木…。なんでっ…。お前がそこにいるんだよ!! 多村も…2日目のキーマンは佐々木と北上て言ってたじゃん!! なんでっ…!オーダーを無視してここに来てるんだよ!オレは…ここでリタイアする!! お前の実力なら先頭に多村達に追いつける!だから…オレがリタイアするということを多村に伝えろ!! 」

 

佐々木は中嶋のところに駆けつける。

 

 

「ゆうくん!! 僕はキミの友達であり…僕とキミの夢を一緒に叶えたいから迎えに来たんだよ!! こんなところで諦めないで!ボクがキミを先頭まで引っ張るから!! 」

 

「佐々木…。お前…。」

 

「ゆうくん! いこ! 」

 

「ああ!! 」

 

〔佐々木…。オレは…おまえに救われて嬉しい! だから…少しだけ…頼む! 〕

 

 

佐々木と中嶋は最下位からゆっくりと走っていく。中嶋は涙目になりながら…佐々木に話しかける。

 

「佐々木…。ありがとう…。オレは昨日の夜からずっと2日目でリタイアすることしか考えていなかったが…お前の言葉を聞いてまだ走りたいと思えた!! オレは…沼津南の皆んなが好きなんだ! だから…最後まで皆んなと一緒に走りたい!! 」

 

「そうだね!」

 

 

その後。佐々木と中嶋はお互いを励ましながら先頭集団に追いつくために走るのである。

 

 

その頃。多村と北上は山中と勘太と合流する。

 

 

「勘太さん!山中さん! 佐々木君と中嶋君はリタイアしました…。残念ながら4人で走ることになります。今いるメンバーで2日目を走り切りましょう!! 」

 

「それはどーゆうことだ? 多村!!」

 

「勘太さん…。すみませんが…中嶋君は…昨日の疲労でのリタイア。佐々木君は……不調でリタイアしました…。」

 

 

その時。山中は笑いながら多村に話す。

 

 

「ははは!! 多村……お前……ウソがバレバレなんだよ! 佐々木も中嶋もリタイアするわけないじゃないか!! 中嶋はオレと3日間完走したいという目標があって…佐々木はこんなこと言ってたな…。沼津南の皆んなが友達。友達なら…友達が苦しんでる時は自分が助けて…自分が苦しんでる時は…友達に助けてもらう。それがヤツの哲学なんだってよ。だから…佐々木は中嶋をつれてここに戻ってくると思うんだよ。困っている奴がいれば助ける。アイツはそーゆうヤツなんだよ。」

 

「山中さん…。あなたは気づいてるんですね!? 」

 

「お前の口調といい…雰囲気でわかるさ。それに…お前も僅かに信じてるんじゃないのかな…。アイツらがこの場に戻ってくるって。それに…昨日のあの場面でオレを山岳賞をとってゴールを狙いにいけなんて言わないでしょ。」

 

「……! 山中さん。あなたには…敵いませんね…。不可能を可能にする。それが…この4カ月間あなたから教えてもらった。だから…僕はあの2人が戻ってくることを信じたいんです。」

 

「そっか…。ならば…佐々木と中嶋が戻ってきたら祝福しないといけないな。」

 

「そうですね…。」

 

〔佐々木君…。中嶋君…。必ずここに戻ってきてください!! このまま4人でいくと総北と箱学達と戦えない…。なるべく早く来てください! ボクは貴方達を信じています!〕

 

 

沼津南は4人で強豪校達と競うのである。

 

 

次回話に続く…。

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