「あらあら。君たちさ〜。最後尾から追いかけてきたのか〜。いやーあっぱれあっぱれ!! 」
嵐山が軽く佐々木達に冷やかしにいう。陣乗して京伏のクライマーの岸も話しかける。
「君たち面白うな。脚がガクガクでプルプルになった中嶋君を引いて先頭を追いかけようとする佐々木君〜。君らの追走劇には感心があるな〜。」
「あんたらに都合の良い話をしよ〜うか?」
「なんだよ!!」
「わいらと協調しよか? 協調すれば早なるやろ。お互いに先頭に追いつきたいという気持ちは一緒やから。8人で交代しながら走れば追いつくで。ほな。京伏列車に乗るか〜?」
佐々木は一瞬考えた。
たしかに…協調すれば速く走れるようになるし佐々木の負担もだいぶ軽減される。だが…協調することによって沼津南高校にとって不利な状況になるかもしれない。先頭に追いつくということは箱学と総北、沼津南、京伏の4校で争うことになるからだ。
中嶋は止めようとした。
「ここで! 京伏と協調したらダメだ!! 昨日お前たちが必死に集団をコントロールした意味がなくなる!! 」
「……。」
「さぁ! 決断しな!」
「協調するわ! おめーらと一緒に走るわ!」
その場にいた京都伏見達の選手達は全員驚いた。
まさか…協調に乗るとは予想をしてなかったからである。
中嶋は佐々木に再度確認した。
「佐々木!! ここで協調するということの意味を分かっているのか!! これじゃ奴らの思う壺だ!!」
「わかってはいる!! しかしな〜。お前さんよ! オメーのその脚と俺の脚が持たないと思うんだよー!! 」
中嶋は佐々木の脚を見た。
たしかにハイケンデンスでスタート付近から富士五湖あたりまで全力で引いていたため疲労が溜まっていることはわかった。
このままでいくとチームに合流するどころか2人ともリタイアすることになる。 苦渋の決断だ。中嶋は何も言えなくなった。
「わかった…。京伏…。協調だ…。」
「はははは!! 自分達が今置かれてる状況がわかったんやな!! なら〜 ここから京都伏見は加速や!! 」
「ああ!! 」
周りに走ってた選手達もしがみつく!
しかし…協調と決めた瞬間に京都伏見は加速をし集団を置き去りにしていった。 佐々木と中嶋は関西でナンバーワンのチームの力を痛感した瞬間でもあった。
〔これが嵐山さんと家斉さんの引きなのか!!すげーな!! 一切の空気抵抗を感じない走り!! さすが…関西一のチームだ! こりゃ…面白いことになってきたな! 〕
〔なんだ〜コイツら!! 尋常じゃね〜!! 何一つもロスがない走りに…この安定感…。協調して良かったのか〜。〕
京都伏見と佐々木と中嶋は先頭を追いかけていくのであった。
その頃。先頭集団では2日目の山岳争いが始まろうとしてた。
箱学と総北のエースクライマー達が飛び出していく。しかし、4人で先頭になんとかついていってる沼津南は北上を中心にコントロールしてた。 そして、焦りや不安が積み上げていた。
「くそ!! 2日目の山岳リザルトを目指して箱学の美影と総北の大坂が飛び出していく!! くそ!! このままではヤバイ!!多村!2日目の山岳リザルトをとりにいって良いか!」
「北上君! 冷静になるんだ!! ここできみがいったらチームはバラバラになってしまう!! 」
「オレは…オレは…! なんも出来ねーのかよ! チームのために!」
〔中嶋と佐々木!! 一刻でも速く登ってこいよ!! 俺たちはここで引き離されたらマズイんだ!〕
「北上君。山岳リザルトはとれない。だから…今は中嶋君や佐々木君が来るのを信じて待つんだ!! まだ…山は続くし逆転出来るチャンスもある! 心を折れたら終わりだ!! 」
「くっ…。」
〔俺たちが逆転出来るチャンスは…甲府盆地に向かっていく長いトンネルから。あそこから長い下り坂になる。長いダウンヒルで先頭と差を縮める!! そこまでに佐々木君と中嶋君が来れば問題ない!〕
「今泉くーーん! ここから山岳区間が終わるまでは引いてね〜。美影くーん! 山岳賞をとりにいくんだ! 」
「こうすけくん。わかったよ。美影さん。行ってらっしゃーい。」
「ああ! ここからはショウタイムだ!! 行ってくるよ! 箱学のエースクライマーとしてね〜! 総北よ! 僕と対戦する相手はどいつだ〜い?」
「僕が出るよ。総北高校キャプテンの大坂坂道がね。美影君。キミと勝負できることは光栄だよ。さぁ! やろうか!」
「ふーん。良いだろ。受けてたとう! 」
美影と大坂は山岳リザルト争いに出る!
そして、箱学と総北はゴールに向けて加速を開始する。
〔くそっ! こっちにはクライマーがオレしかいない!! 脚がいてー! チームを引っ張るのに精一杯だ! エースの2人と勘太さんを山頂まで引かないといけないんだよ! 〕
すると、山中は多村に質問する。
「オレが引いていいか。北上はここまで1人で引いてる。2日目のゴールは多村に任せる。アシストは勘太だ。この2日目のゴール前までは平坦な道だ。だから…オレを使ってくれないか?」
「あなたは…ゴール前のあの闘争心を活かして2日目のゴールをしてほしいと考えている。ダウンヒルで勘太さんが引いて平坦になったら僕が山中さんを引いて山中さんがエースとしてゴールする。それが…僕が今…考えているオーダーだ…。そのオーダー通りに決行しない限り総合優勝はない!! だから…北上君には今…頑張ってもらうしかないんです! だから…許可出来ないです…。」
「あいつらが来たら…オーダーは変更するのか?」
「はい……。だから…来てくれることを信じるしかないのです。この絶望的な展開に僕達は戦わないといけない。だから…もし…北上君が苦しいのならば僕がひく! 平坦までの道のりはまだある! 代わろうか! 北上君! 」
「ああ…。頼む…。」
佐々木君! 中嶋君! ここまで頑張って追いつくんだ! 君達はこんなところでリタイアされては困る!!
次回話に続く…。