もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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もう一つのペダル 第3話 双子のスプリンター!?

第3話 双子のスプリンター!?

 

翌日の放課後。

中嶋が山中のクラスの教室で待機してた。

 

「あの…山中さん!! 少しいいですか?」

「うん? なんだ?」

「少し話したいことがあります!!」

「だからなんだよ…。」

 

中嶋の後ろから佐々木が来た。その身長に教室に残っていた他の学生たちは驚いていた。

 

「あっ……。どうも……。」

 

佐々木は昨日の勝負後中嶋の胸ぐらを掴んで山中に止められて逃げたからだ。

 

「あっ… 昨日のやつか。中嶋の胸ぐらを掴んだデカやろう!! まず! 中嶋に謝れよ!」

「その件はもう済んだので…。」

「そうか…。事情は聞かせてもらったよ。」

「なら… 良かったですー。」

「で… 話ってなんだ? 中嶋?」

 

「彼も自転車競技部に入ることになりました!! しかも!! 去年の中学生大会の2位なんですよ!! 我チームのエースです!!」

 

「ほう!! 1年生でエースか!! って… まだ部も作ってないしな w 」

「頼もしい仲間が増えて感無量です!! このままどんどん集めましょう!! 部員を!」

「そうだな…。オレはこれからバイトだからオレはこれにて…。」

「バイト頑張ってください!! 山中さん!」

「おう…。」

 

山中は自転車置場に行った愛車のジャイアントの前に少し堅いが良い2人組がいて自転車を見ていた。

 

「おい。俺の自転車がそんなに気に入ったのか? だが… これから用事があるから退いてくれ。」

 

2人が山中に視線をむけて片言ではなす。

 

「勝負しろ。」

「勝負しろ。」

 

山中はこの2人を見て双子だと思った。

 

「だから用事があるんだって…。」

「勝負しろ。」

「勝負しろ。」

 

「………。」

 

〔こいつら…。人の話聞かないやつだな。〕

 

「逆に聞くが… なんでオレと勝負したい?」

「お前。強そうだから。」

「お前。強そうだから。」

「………。」

 

〔双子のシンクロっていうやつか?これ!〕

 

「嫌と言ったらお前らはどうする?」

「お前のジャイアントをもらう。」

「お前のジャイアントをもらう。」

 

「おいおい…。オレが必死にバイトして稼いだ金で買ったロードバイクだ。その分の金を払ってくれるなら勝負しないという選択肢はどうだ?」

 

「オレらバイトしてないし。」

「オレらバイトしてないし。」

 

「被るのはやめてくれ。ややこしいわ。」

 

山中は考える。彼らを勝負をやめさせる方法を。考えたが一つしか思いつかなかった。

 

「なら。裏山の山頂まで勝負しないか?」

 

何故なら。山中にとって好都合な条件であるからだ。山を越えれば自宅があり、その近くにバイト先のコンビニがある。そして、山中は山道が得意からである。

 

「………。」

「………。」

 

〔さすがに諦めたか…。〕

 

「今日は見逃してやろう。ただし、明日また勝負仕掛けるからな。」

「そうしてくれ。オレは忙しいからな。」

「ちなみにお前の名前を聞きたい。」

「おい。そんなやつ最近いたがな。」

「言え。言わないとジャイアントとるよ。」

「お前ら窃盗で警察行きだぜ。」

「気に入ったからほしいんだ。」

「気に入ったからって奪うのは良くないぞ!」

「名前を聞く。」

「オレは2年の山中大地だ! お前らは?」

「菅原勘太」

「菅原純太」

「お前ら… 見事にシンクロしとるな…。」

「明日の正午。 沼津駅に来い。」

 

「おう! だが… 競争ならフェアにやりたい。2対1では卑怯だ。オレも誰か1人連れてきていいか?」

 

「……。良いだろう。」

「なら! また明日な!」

「ちなみに… 明日来なかったらジャイアント解体するからな。」

「………。」

 

〔おっかない2人やな…。異様な雰囲気を感じる! そんなにオレのジャイアント気に入ったのなら… 自分達で買えばいいのに…。〕

 

山中は少しモヤモヤした様子でバイトに行くのであった。

 

「山中大地……。 あの男はスプリンターの素質がありそうだな。純太。」

 

「そうだね。兄さん。だが… 兄さんと開発した『ツインスプリント』は誰にでも真似できないし負ける気がしない。」

 

深夜。

山中はバイト終わりに中嶋に電話をかける。

 

「もしもし!! あっ! 山中さん! 珍しいっすね! 電話かけてくるなんて!!いつもは僕がかけてもシカトするじゃないですか!」

 

「なるべくお前とは自転車以外では関わりたくない。」

「ひどいっすよ!!」

「くだらないことはどうでもいいが… 明日の正午に沼津駅とか行けるか?」

 

「どうしてですか?」

 

「今日の帰りにな… 菅原勘太と純太っていう双子に会ってよ。勝負しないかと頼まれたんだ。」

 

「!!!???」

「どうした? 黙ってるが?」

「山中さん……。 あの2人のことは知ってます!! 」

「なんだと?」

 

「ツインスプリント……。 菅原兄弟が開発した難易度高い技です!!! あの兄弟は2年前の中学生大会で平坦区間を2人で走り弟の純太が兄を運び兄がグリーンゼッケンをとる。あの2人は当時最強のスプリンターと言われておりました!!」

 

「そうなのか? まず…。スプリンターってなんぞや??」

 

「スプリンターっていうのは基本平坦の道が得意タイプでゴール前で競うこともあります。僕たちのようにクライマーとは違い、堅いが良く筋肉もムキムキで瞬発力に優れています。逆にクライマーは山道が得意タイプで僕のように小柄で体重が軽い選手や山中さんのように持久力がある選手が多いんです!」

 

「そうなのか…。グリーンゼッケンとはなんだ??」

 

「ロードレースではグリーンゼッケンとレッドゼッケン、イエローゼッケンがあります。

グリーンは平坦で1番の選手に与えられるゼッケン。レッドは山で1番。イエローはその大会の優勝者に与えられるゼッケン。 いわゆる名誉みたいなもんです!! そのゼッケンをとると名が知られるんですよ!!」

 

「ほう!! 今の話聞いてわかったが… オレら無理じゃん。」

「そうですね!! ww 非常に相性が悪いです!! 並みのスプリンターじゃないので!」

 

「オレの愛車が……。」

「えっ?」

「この勝負に棄権したり負けたりしたらジャイアントが奪われる…。勝つしかジャイアントを守れない!!」

「そんなこと言ってたんすか?」

「そうなんだよ…。」

「また新しいの買えばいいじゃないですか!!! 」

「そういう問題じゃねーよ…。」

 

「あっ! 1人いるじゃん!! 対抗できるの!佐々木竜司!! 」

「彼はクライマーじゃないの?」

「佐々木はオールラウンダーです! 平坦も山も走れる万能タイプです!」

「それは頼もしい! さすがエース!」

「あっ!! でも1人余っちゃいますね!!」

「そうか…。 ならオレと佐々木でやるよ。」

 

「嫌ですよー!!! 僕も生でツインスプリント見たいですよ!! 」

「お前はクライマーだろ。ダメだろ。」

「山中さんもですよ w」

「そうだけど…。オレに勝負挑んできたから強制参加しないといけないし… エースがいないとクライマーのオレは厳しい!!」

「山中さん…。気合い入ってますね!!」

「気合い? 負けたらジャイアントがなくなるから必死さ!!」

「では… 佐々木に明日いけるか聞いてみます!! いけなかったら僕と山中さんで w」

 

「お前と組んだら負けるからやだ。」

 

数分後。

中嶋から電話がかかってきたからでる。

 

「で…。どうだった?」

「ちぇっ…。 佐々木行けるってさ…。」

「良かった良かった!!」

「やだっすよー!! 競争やりたかったよ!」

「仕方ないじゃないか。スプリンター2人やし…。 山なら良かったけどな…。」

「山で勝負しないか聞いてくださいよ!」

「連絡先知らないし。」

「山中さん! 僕は競争出来ないけど行っていいすか?」

「好きにすれば。」

「ありがとうございます!! では! また明日!!」

 

ガシャン!!

 

「はぁー。めんどくさいことに巻き込まれたな。明日土曜で学校休みやったのに…。バイト疲れたから寝るか…。」

 

 

翌日。11時50分ぐらい。

 

山中は沼津駅に待機し、菅原兄弟が来るのを待ってた。その時佐々木と中嶋がやってきた。2人ともピチピチなシャツにスパッツみたいなものを着てた。

 

「お前ら…。その格好はなんだ?」

 

「これはロードレース専用のユニホームみたいなやつです!!」

「そうなんでーす。これを着ることによって軽量化もそうですが、風の抵抗を抑えられるんですよ。」

「ロードにとって風は強敵ですから!!」

 

「そうなんだ…。オレ…。バリバリ私服で来ちゃったよ…。」

「仕方ないですよ! 山中さんはロード初心者なんで!! 部が結成した時は一緒に買いに行きましょう!!」

 

会話をしてたら前から菅原兄弟が来た。

 

「来たか。山中大地。」

「来たか。山中大地。」

 

「だから… 被るのはやめてくれ。」

 

「山中大地。お前。そんな格好でやるのか。走りづらいぞ。」

「ユニホームっていうやつ持ってないからな!! 初心者なんで!!」

 

「……。お前。ちょっと来い。」

「なんだ。」

「純太。アレをだせ。山中大地。これを貸してやる。」

 

純太が持っていたリュックの中には前の学校で使っていたユニホームが入っていた。

 

「そこの公衆トイレで着替えてこい。あと、ヘルメットはその小柄のヤツから借りろ。」

 

「中嶋悠斗だっちゅうの!!」

 

山中は公衆トイレの中の個室で着替える。 菅原兄弟から借りたユニホームにローマ字でHAKONEGAKUENと書いてあった。

 

〔箱根学園って…神奈川の名門高校じゃなかったけ??〕

 

山中は借りたユニホームを着て4人の前に現れた。 佐々木と中嶋は山中が着てるユニホームを見て驚愕する。

 

「箱根学園……。」

「ゆう君…。この人達…。」

 

「そうだ。俺たちは…箱根学園自転車競技部に所属してた。」

 

「オレと兄さんは箱根学園のインターハイ出場候補だった…。しかし、あの男が来て俺たちは箱根学園から追放されてしまった。その男の名は………。」

 

「宮崎浩輔。」

 

佐々木と中嶋はその名を聞いて顔が険しくなったのは佐々木である。 佐々木の別人格が出て来てしまった。

 

「宮崎浩輔…。 あのやろう!!!」

「おい!! 佐々木!! やめろ!!」

 

中嶋は佐々木を必死に止めようとした。その様子を見た菅原兄弟はやはりという顔をしてた。1人だけ話がついていけない山中。

 

「おい!! 箱根学園にいるんだな!! みやざきーーー だいすけーー!!!!」

 

「お前のことは知ってる。佐々木竜司。お前は熱海ヶ丘中学の2年からエースを任されていた。噂では聞いていたが…去年の大会…。」

 

「それ以上言うな!! 菅原さん!! 」

 

中嶋は佐々木が菅原に殴りかからないように必死に止めていた。

 

「おい!!! お前らいい加減にしろ!!」

 

山中が怒鳴りだす。

 

「箱根学園とか… 宮崎浩輔とか… オレは知らねーんだよ!!! 過去にどんなことあったか知らんが…そもそもオレと勝負するために集まったんだろ!!! 身内話は終わってからにしろ!! 」

 

4人は静まりかえり佐々木はこの一言によって正気に戻る。

 

「そうだな。オレの目的は山中大地。お前だからな。純太。ルールを説明しろ。」

 

「国道414号線を伊豆半島沿いに向かい、県道17号線にぶつかったら右折し、淡島ホテルがゴールだ。海沿いをずっと走る感じだ。あと、信号は厳守だ。先についたほうがゴール。」

 

「わかった。だいぶ距離あるな。」

「山中さん。ロードレースは100km以上余裕で走る時ありますよ! それに比べたら序の口ですよ!!」

 

「メンバーは。俺たち2人だ。」

「オレと佐々木だ!!」

 

「山中大地に佐々木竜司。そこの小柄はなんのために来た?」

 

「だから!! 中嶋悠斗だ!! オレは後ろから貴方達の走りを見たいんですよ!!!

やるんでしょ? ツインスプリント!!」

 

「………。 お前。ギア上げの狂人クライマー。去年の静岡県中学生大会の山岳リザルト1番の男か。」

 

「あら。知ってるじゃないですか!! ツインスプリントさんよ!!!」

 

「情報網をなめるな。」

「兄さん。準備しよ。」

「そうだな。」

 

「山中さん。よろしくお願いします。」

 

「わざわざオレのジャイアントのために付き合ってくれてありがとな。勝とうぜ! 佐々木!! 」

 

「はいっ!!」

 

〔ツインスプリントvs二重人格の竜司に負けず嫌いで闘争心溢れる山中さん!! どちらも凄いメンツだ!! この勝負!! 見てる僕もすげー興奮する!!!〕

 

「では!! スタートです!!」

 

菅原兄弟ペアと佐々木山中ペアのジャイアントを賭けたスプリント対決が始まるのである。

 

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