もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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2日目のクライマー対決!

 

「残りの2キロ…。ガチな真剣勝負だ! 美影君!」

 

「総北と箱学のクライム勝負…。全力で羽ばたくよ!」

 

二つのチームのエースクライマーが引っ張る!!

美影の静かでロスのない走りと大坂の全力な登りで膠着状態になる。

 

〔しかし…このモブキャラキャプテン…。ちょくちょく僕のブロックに入っては絶妙なタイミングを計ってアタックを仕掛ける。それについていく総北も中々だが…何より…チームの脚の状態や表情。勾配の感覚を考えてしっかり登っている。これは…総北を仕切るキャプテンであり山の勝負では無敵なのはわかる。〕

 

〔美影君。キミが次期山神だというのはわかる。前に動画で東堂さんの登る姿を観たことがある。まるで…そっくりだ。勇気があれだけ箱学を警戒してる理由がわかる。箱学は常勝チームでありこのインターハイでは常連校として毎年君臨してる。その実力がわかる。しかし…今年の箱学のチームは宮崎君やスプリンターの桐谷君を除いて過去の大会でタイトルを取れていないメンバーが4人いる。だから…分析も対策も出来ないし予測不可能なのだ。さらに…1人1人実力が全国レベルだ! これは…油断大敵。〕

 

「あれ? 一瞬ペダルを緩めましたか? モブキャラキャプテン!」

 

「だから…モブキャラキャプテンじゃなくて総北キャプテンの大坂坂道だよ。美影君。」

 

〔さて。そろそろ仕掛けるか!〕

 

箱学は勾配が少し上がったところでアタックを仕掛けてる!

大坂も引かずにくらいつく!

 

「やりますね!」

 

「美影君。キミもだよ。」

 

更にお互いヒートアップする。いつの間に山岳リザルトまで残り1キロを切った。

 

「残りの1キロ! そろそろフィナーレにしよう! 今泉!キミに頼みたいことがある。」

 

「なんですか〜?」

 

「ここからはオレが山頂をとる! なるべく速くチームを連れてこいよ!僕がとりたかった山岳賞。今日は頂くよ!」

 

「全く…。相変わらずワガママな先輩ですよ。こうすけ君。どうする?」

 

「……。キミは……本当に目立ちたがり屋だな〜。美影君〜。」

 

「はは。そうこないとな! 女子人気も山岳もオレがナンバーワン!!誰にも譲れないよ! 」

 

すると大坂は一瞬考える。 出した答えはこのままチームを引きながら山岳賞をとるという決断をした。

 

「美影君。残りの数百mでキミだけ出るのかい? せっかくチームを引っ張りながらここまで来たのに? その判断は間違っていると思うよ。」

 

「僕はね! 1番で山岳賞をとりたいんだよ! 僕に注目が集まる。そうすれば…女子の視線も集まる! 僕が1番輝ける場所なんだ!」

 

〔この人…。自分の名誉のためにインハイを走っているのか。少し変わってる方ですね。この山の支配者! どんなことがあろうとも山を譲る気もないし負けないから! 〕

 

「さて。僕も本気で行くよ! みんな! 大丈夫か!」

 

「ああ。」

 

両者は互角の勝負になる。

 

 

その頃。沼津南は第2給水所地点に来る。そこに熊野と純太。マネージャーの2人が立っていた。 熊野は走りながらボトルと補給食を渡しながらレース状況を説明する。

 

「多村くん! 先頭集団とのタイム差は2分12秒です! まだ…あの2人は来てないのですね!」

 

「レース状況を言ってくれてありがとう。2分も差があるならまだ逆転のチャンスがある。あーまだ来てない。あの2人が来るまで我慢です。」

 

「はい! 僕は…信じてますから! 必ず…沼津南高校が勝つと!」

 

「ありがとう。熊野君。」

 

そうすると沼津南は加速していった。 熊野の拳が震えている様子を見た純太は熊野の肩をそっと叩く。

 

「今…多村君が必死に先頭に引っ張っていた。それに北上君もだいぶ疲労が溜まっている感じに見えた。兄さんと山中さんの脚を温存している状態。しかし…まだ2分もある。それに…多村君は逆転のチャンスがまだあると言ってた。そのチャンスがあるところは多分…甲府盆地に向かっていく長い下り坂。そこに勝負をかける。僕はそう思うんだ。」

 

「そうですね…。僕達も走ってきたからわかりますが…あそこの下り坂ならスプリンターの勘太さんなら一気に差を詰めることが出来る。しかし! 今頃…先頭にいる箱学や総北は山頂付近にいると思います!もしそこで…一気に差を広がれたら…。」

 

「多村君はきっと…自分達が山頂に着くころに6人が揃えばまだ可能性はあるというだ。だから…来るまで信じて待つんだ! 熊野君!」

 

「はい!! 」

 

すると京都伏見のサポートメンバー達が来た。

 

「なぁ…。さっき…聞いた話によると…8人で走っているらしい…。しかも…めっちゃ速い速度で山を攻略してる。」

 

「8人? 誰かと一緒に協調してるのか? しかし…何故2人なんだ?1チーム6人メンバーがいるのに2人だけ協調してるなんて…聞いたことないぞ。」

 

「だよな…。聞いた話によると…沼津南の2人らしいよ…。」

「マジかよ! たしかに…さっき沼津南の4人は走っていったがな…。もしかしたら…俺たちも先頭にいくつもりなのか?」

「慶喜さんな家斉さんだったら出来るよ! だって! 関西一ナンバーワンのエースとアシストだから! 」

 

純太はこの話し声が聞こえてすぐに京伏のサポートメンバー達に話しかける!

 

「それは本当か!?」

 

「ああ。あんたらもボトルと補給食用意すれば?」

 

 

〔あいつらはまだ走ってる!しかし…京都伏見と協調しながら先頭に追いつこうとしてる! これなら…まだ希望はある!〕

 

「純太さん! 佐々木君と中嶋君は京伏と協調してるのですか!これはヤバくないですか!! 協調するということは…僕達が不利になりますよ!! それに…。」

 

「熊野!! もうセオリーとか戦術とかは今はもうどうでもいいんだよ!とにかく今は6人が揃えば良いんだ!! もし…今日の優勝は仮に逃したとして明日がある! 今日出来なかったら明日取り返せば良い!! 」

 

「!!。」

 

〔純太さん…。あなたは…サポートとしてチームを信じてる。それに比べて…僕は…理屈や理論に縛られていた部分があった。仲間を信じる心。きっと…僕に足りなかった部分かもしれません…。〕

 

「来ました!」

 

そこには京伏の岸が先頭に引っ張っていた。

 

「先頭とはどれぐらいかね〜?」

 

「3分43秒です!」

 

「そっか〜。りょーかい。家斉。慶喜。まだ行けるよな?」

「ああ。3分43秒ならまだ間に合うで。」

「せやな…。それに…協調しとるから間に合う。」

 

後ろには佐々木と中嶋が走っていた。2人の表情は険しく疲れている表情だった。純太と熊野はボトルと補給食を渡す!

 

「良かった! 2人とも! まだ諦めていない!」

「佐々木君! 中嶋君!」

 

「なーんだ! お前らかよ…。後ろの狂人にエネルギーバーを三本とボトル二本! それに! また顔に水をかける用に一本だ! こいつは!気力で登っている! しかも!ちょくちょく先頭で引っ張ってる! オレもそうだが!! 」

 

熊野は佐々木に言われたとおりに中嶋に渡す。

 

「ありがとよ……。熊野……。純太さん……。すみません……。オレのせいで……。」

 

「キミは昨日良く頑張った!! だから…少し…疲れが溜まっているだけだろ! 僕は君たちが山中さん達に追いつくことを信じてますから! 」

 

「ああ…。頑張るさ…。」

 

「京伏!! オレが引いてやる! 下がってろ!」

 

佐々木は先頭で京伏の6人と中嶋を引いていった

 

 

「熊野君。あとは信じるしかない。」

「はい。」

 

 

そして、総北の大坂と箱学の美影の勝負はクライマックスを迎えていた!

 

 

「残りの200m! 僕は! 全力で輝く!」

 

「キミ1人で登ってきたのは意外だけど…良い勝負だ!」

 

少し後ろで走っていた箱学のメンバー達は総北の後ろについていく。

 

「さて…。美影君〜。キミのとっておきを解放しろ!」

 

 

「行くよ! 僕は…全力で羽ばたく! 」

 

 

すると美影の背中から羽が輝くように登っていった。 一瞬。大坂はその姿に魅力されペースを落としてしまう。

 

 

〔なんだ! この羽みたいなものは! キミがさっきから羽ばたくと言っていたのはこうゆう事か!! ならばオレも…。〕

 

「すまないが…。勇気。少しの間…チームを引いてくれ。」

 

「まさか! 大坂さんの真骨頂に!! 」

 

「ああ。オレの勘が冴えてきたんよ。多分このままだと山岳賞はとれないとね! だから! 少しの間! 頼む! 」

 

「……。わかりました!」

 

大坂の親友である門倉翔はこう思ってた。

 

〔ひっさびさに見たなー。坂道の本気の本気モード。あれを出すということは…よっぽど…勘が冴えてきた証拠だな!! これは楽しみだぜ! お前もとれよ! 山岳を! 」

 

「美影君。キミと勝負できて光栄だよ! 久々に本気の本気を出せるんだからな! ミリッター解除!! これが…山の支配者の登りだ!」

 

大坂は山岳リザルトまで残り50mという土壇場で美影と並ぶ!

 

〔宮崎君のあの出会いから僕はもっともっと輝きたいと思えた。眠っていた才能を開花してくれたキミには感謝の言葉しかない。キミに恩返し出来る場面はここなんだよ。だから…必ずとる!〕

 

「僕が1番輝く!! 」

 

〔オレがキャプテンになったからには…チームのみんなを鼓舞出来るような走りがしたいと1年間模索した。悩みに悩み抜いた…。そんな時…みんながオレを支えてくれたから今の自分がいる。そして!今!その答えを証明してくるよ!〕

 

「オレが! 山の支配者なんだよ!! 」

 

残り…20m。 10m。 そして…。

 

「僕が1番だ!!!」

「オレは! 総北キャプテンの大坂坂道だ!」

 

 

2人のクライマー対決に決着がつく。

 

 

「インターハイ2日目の山岳賞を制したのは…ゼッケン3番! 美影良和選手です!! 」

 

 

美影は両手を広げながら空を見上げた。

 

 

「やったぞ! 僕は…羽ばたいた…。この瞬間…。たまらない! 観たか! オレが山神の美影良和! 山で羽ばたく美男子…。天性の顔に体型…そして…山に感謝!!」

 

「オレが…負けた…。山の支配者であるオレが…逆に支配された…。くそっ…。みんな…。ごめん…。」

 

「ははは! 見たか! モブキャラキャプテンよ! これが山神の実力。しかとご覧になっただろう〜。山神である以上…支配なんてされない!! ははは!! 」

 

 

後ろから追走した箱学のメンバーは美影を称賛した。

 

「まったく〜。また調子こいちゃいますよ〜。美影先輩。」

「今泉〜。お前は少しオレに対する態度を改めないか〜?」

 

「箱学のエースクライマーならとって当然だろ。美影。」

「昨日のスプリントでとられた桐谷に言われたくないな〜。」

 

「やっぱりキミ〜は〜このチームに入れて良かったわ〜! さて!このままゴールまでいこーか!! 」

 

「宮崎君。キミには感謝してるよ。」

 

 

〔僕の計画通りになった!! ここで総北の中心的存在である大坂君が…敗れればチームの士気を下げる!! プププ。君たち…総北もここまでだな!! このまま独走して2日目のゴールはとる!〕

 

 

次回話に続く…。

 

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