もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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沼津南。再始動!

 

箱根学園と総北は先頭を走っていた。箱根学園2年のスプリンターの谷中を筆頭にチームを引っ張っていた。対する総北は3年のスプリンターの宇津木と門倉の2人体制で箱根学園と互角に走っていた。総北はキャプテンの大坂が山岳勝負で敗れたためチームの雰囲気が暗かった。それに対する箱根学園は余裕な表情を浮かべ走っている。 

 

「宮崎君! 総北は僕達についていくのに精一杯ですね!」 

 

「ああ。総北ちゃんはキャプテンのモブキャプテンが負けちゃったからね〜。プププ。大黒柱を失った総北ちゃんはもう精神的にダメージを与えちゃったな〜。谷中くーん! キミ。全開でいってええよ!」 

 

「ああ!その気だ!」 

 

谷中は持ち前の体格の良さとスタミナ。そして、力強いペダリングで総北を離しにいく! 総北の2人目のスプリンターの宇津木も必死に食らいついていく。 

 

「くそ! こいつ! はえー!!」 

 

「宇津木! オレが引く! 」

 

門倉が先頭に変わり総北を引っ張っていく。 

 

「こうすけ! 俺たち総北はまだ諦めてないぞ!」 

 

「なんだ〜。勇気くーん。キミのキャプテンはもう君達にオーダー出してないじゃーん。ずーと下向いてるし…。それに空中分解寸前じゃん!君たちはー。君たちのくだらない友情ごっこしてるからこうなるんだよね〜。いや〜。滑稽滑稽。それに…君たちは僕達についていくのも精一杯だし〜。」 

 

「くっ…。」 

 

すると、2日目のスプリントリザルトラインを箱学の谷中が1番目で追加した。 

 

「あ〜あ。キミと話しているうちに2日目のグリーンゼッケンも僕達がとっちゃった。レッドとグリーン…。となると…イエローは僕がとっちゃおうかな〜。ははっ。」

 

「お前にはとらせない!! 翔! 宇津木! 全開で行くんだ!」 

 

「ああ!」 

 

 

その頃。京都伏見は300m先に見える沼津南の4人を捕らえる。 

 

「みーつけた!! 宮本! お前のとっておき。見せたれ!」 

 

「はい! 嵐山さん! 」 

 

宮本武。慶喜と家斉が認める関西で1番速いスプリンター。別名は「京都のスピードマン」彼の得意技は風の抵抗を感じさせないようなスマートな走りと身軽さ。普通のスプリンターは体格が良い選手が多いが彼は小柄である。その走りに周りも注目を集める。 

 

後ろから異変を気づいた多村は指示を出す。 

 

「後ろから京都伏見が来ました! ここからは勘太さん!! お願いします!!」 

 

「大地!! かわれ!! ここからはオレが引く!!」 

 

勘太が先頭に立ち差を広げにいくが…数的不利である沼津南は立ち打ち出来なかった。あっという間に京都伏見に抜かれてしまう。勘太も必死にもがくが数には勝てなかった。 

 

「くそ!! 6人いれば……。それにもう1人スプリンターがいれば!!」 

 

京都伏見に抜かれた沼津南は更に危機を感じる。 抜いていった京都伏見のキャプテンの慶喜は笑みを浮かべた。 

 

「ああ〜。沼津さんもかわいそうやな…。昨日あれだけ頑張ったのに…。まさかここで終わるなんてね。沼津南…。あんたらと一度対戦したかったけど残念やな〜。」 

 

多村は京都伏見に抜かれた瞬間に心が折れた。 

 

(箱根学園に総北に…京都伏見まで…。僕は…この4か月間…。何をやってきたんだ…。僕が…キャプテンじゃなかったら…こんなことにならなかった…。クソ!クソ!) 

 

「勘太さん。このまま走ってください。僕達は完全敗北しました。せめて…今日は4人で2日目をゴールしましょう…。僕達のレースは終わりました。明日も…総合優勝はありません。僕のせいで…このチームを勝たせることが出来なかったです。申し訳ございません。」 

 

すると勘太は思い切り多村の頭を叩いた! 

 

「ふざけんじゃね!! 何が…レースは終わりましただ!! まだ終わっちゃいねー!! お前は何もわかっていないな!! 仲間に託された想いを!! 熊野や純太はインハイで走りたくても走れなかったんだぞ!!俺たちのために予選会で優勝して俺たちを本戦に送り出したんだぞ!? アイツらの気持ちをお前は無駄にするのか!!」 

 

「……。」 

 

「多村。オレはまだレースが終わったと思ってない。佐々木や中嶋もまだ諦めてないさ。アイツらの底力は並大抵じゃない。アイツらとヒルクライムしたことあるけど窮地になればなるほど燃えるタイプだぞ。アイツらは…。オレはそこに賭けてる。」 

 

「北上君…。」 

 

(僕はただインハイで走る理由は宮崎君を倒すことだけしか考えていなかった。兄さんの仇をとるために…。そのために僕は無名の学校に入り自転車部に入部して自分が理想とするチームを築き上げた。しかし、山中さんや中嶋君、北上君。菅原兄弟や佐々木君、熊野君やマネージャー達と出会って僕は仲間の暖かみを感じた。僕の環境が変わっていった。そのことを教えてくれた皆んなに恩返しをしないといけないのに…僕は…諦めてた。情けない。不可能を可能にする!それが沼津南高校自転車競技部だ!) 

 

「みなさん…。すみませんでした…。まだ…僕は諦めてない!! 不可能を可能にするオーダーを出します! ここから本気で先頭を追いつきます!! そして! 優勝する!!」 

 

すると…後ろから見慣れた人物が走ってきた。

 

「ぶは〜! やっと追いついた!! 多村や北上!山中さんや勘太さん! すみません!! お待たせしました!!」 

 

「くそ〜。やっと追いついたぜ!! あ〜あ。この狂人を連れてきて疲れたぜ〜。さて…主人格さんよ〜。あんたの指示通りにこいつを連れてきたぜ…。そろそろ交代するか〜。オレは疲れたぜ……。」

 

すると佐々木は主人格に戻る。すると…佐々木は緊張が途切れたせいで落車しそうになる。すると中嶋は佐々木の肩を持ち仲間と合流する。多村はこの2人の姿を見て一粒涙を流した。 

 

「キミたちは…本当に…最後尾からここまで全力で走ってきたのですね…。信じられない…。」 

 

「だから言ったろ。不可能を可能にするって。コイツらはそれを再現したんだ。多村。6人揃ったし…オーダーを頼むぜ。」 

 

 

(僕はこのチームの一員で良かった!僕がやってきたことは無駄ではなかった。佐々木君と中嶋君が来た! ここからは僕の仕事だ!!)

 

 

「中嶋君! 佐々木君! あと少しいけるかい?」 

 

「おう! オレは箱学と総北、京都伏見をぶっ倒すためにここまで来たからな!」 

「うん。僕は別人格の影響で…少し休みたいけど…少し回復すれば大丈夫…。」 

 

「わかった! では! 沼津南! 再始動だ!」 

 

 

沼津南は先頭を走る京都伏見と箱根学園と総北を追いつくために再始動する!! 

 

次回話に続く…!

 

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