集団をコントロールする中嶋。それに対抗するかのように各校のクライマー達が凌ぎを削って中嶋のブロックを阻止しようとするが、中嶋は終始笑顔で対応する。
「いやー!! 全国のクライマー達がオレを止めるのに精一杯なんすねー!! だが…オレはチームのために全力で阻止しますよ!!」
京都伏見の嵐山は少し苛立っていた。何故なら…本来なら集団を利用して先頭に追いつこうとしてるのに中嶋が集団の先頭に立ち数々のクライマーや実力がある選手達を前に行かせないように全力で阻止をしているからだ。
「おい!! お前は何度もアタックを仕掛けようが常に先頭にいてコントロールをしとる!! 邪魔なんだよ!」
嵐山はアタックを仕掛けようとするが中嶋はそれを阻止する。
「いや〜。嵐山さん!! オレはあんたらみたいな強敵が身近にいると燃えるタイプなんですよ! アドレナリンが爆発してますよ! オレ!! すげー楽しいわ!!」
(こいつ……。この状況であっても楽しんでいるというのか! まさに…狂人。狂人クライマーの中嶋悠斗。伊達ではないな。)
「中嶋悠斗くん。キミはおもろいなー。100人を相手に全力で阻止して集団をコントロールする気か…。キミらのチームはキミみたいな基地外な選手をインハイで走らせるとは…。変わったキャプテンやな!! キミは時期脚が使えなくなる! それまで何度もアタックを仕掛けるんやで!! わかっとるのか?」
「言われなくても…あんたらを阻止して時間稼ぎすれば俺の勝ちだ!それまでは全力で阻止し…今後ロードレースが出来ない脚にされようが…沼津南高校の勝利のために死ぬ気でペダルを回す!! そう…覚悟してるだよ!! 嵐山さん!!」
(こいつ…! 厄介な敵やな!! ならば全力で潰す!!)
嵐山は咄嗟にオーダーを出す!
「よし!! わいら京都伏見はここから行くで。今ならまだ先頭に追いつくからな…。岸!! おめさんの本気出してえーんやで! 我慢解放したれ!!」
岸はすぐに本気モードに入り京都伏見の先頭に立って登り始めるが…中嶋はそれを阻止する!
「いや〜。オレをなめたらいかんすよ! 京都伏見!」
「邪魔なんだよ…!キミは!! 岸!! もっとアタックしろ!」
「はいよ〜!」
岸はアタックを仕掛けるが…中嶋は全力で阻止し妨害する。
すると…そこにある男が中嶋の味方についた。
「中嶋君。オレも全力で阻止するよ。」
その男は山中大地の親友である杉山であった。彼は名古屋高校のエースクライマーであり2年生で1人だけインハイメンバーに選ばれたのであった。
「杉山さん!!」
「中嶋君。キミの覚悟はしかと受け止めたよ。大地達のチームが総合優勝してほしいからキミは囮となってこの集団をコントロールしてる。名古屋高校は昨日のレースで2人のリタイアした。総合優勝はないと悟っている。だから…僕は友のチームのサポートを全力ですると決めたんだ。だから…中嶋君。僕とキミで京都伏見を率いる集団を阻止しよう!」
「杉山さん…。わかりました!2人で阻止しましょう!」
嵐山は厄介な敵が来たと更に苛立ちを隠せなかった。
「杉山君まで…。全く…。邪魔なんだよ! 雑魚が!!」
嵐山と岸の2人で中嶋と杉山を抜こうとするが…反応する。
「アタックを仕掛けようが…無駄ですよ!」
「京都伏見の自由にさせない! 友の勝利を応援する!」
(クソ!クソ!)
しばらく集団を阻止する中嶋と杉山。
彼らは限界までペダルを回すと誓ったのであった。それは沼津南高校の勝利を願って…。
その頃。先頭では箱学は今泉が…総北は大坂と洞島。沼津南からは北上が全力で山岳区間の攻防戦を繰り返していた。今泉はこの攻防戦を分析していた。
(しかし…総北の大坂さんはともかく…華奢な2ndクライマーは中々実力がありますね…! アタックを仕掛けても…それを軽々とついていく。山の支配者と意外性があるクライマーか…。総北はオレら箱学のライバルにふさわしい相手だ。だが…浩輔君を率いる箱学は谷中さん以外のメンバーは全員エース級の選手だ。こんなところで負ける訳にはいけないんですね。)
「中々やりますね。総北の大坂さんと洞島さん。それに…沼津南の北上さんもね。この今泉。相手に不足ない。幸せなことですよ…。」
「キミこそ凄いね。俺たちエースクライマー2人を止めるキミの実力は本物だ。ここで提案なんだけど…。僕とキミで3日目の山岳賞を競わないか? なぁ…。宮崎浩輔君!」
宮崎は少し黙り込んだ。だが…宮崎は苦笑いをしながら大坂に問いを返す。
「キミ…。昨日…美影君に負けたのが悔しいの? それとも…僕達のクライマーを使わして僕達のカードを使わせようとしてるのかな〜?」
箱学はクライマーの美影を代えてスプリンターの子安が入ったためクライマーは今泉の1人しかいなかったからだ。
「いや。純粋で勝負したいからさ。箱学のクライマーとね。」
「プププ。キモいなキミは。ならば…僕が出ようか?」
「おっ!それもそれで良いかも! 箱学キャプテンと総北キャプテンのタイマンという訳か!! 面白いな!!」
桐谷はこの挑発を止めようとした。
「宮崎君! キミがこんなところで脚を使わせる訳にいかない! オレは許可しない!!」
「キミはわかってないな〜。何故…僕がこの勝負に挑むか。キミには前に話したよね〜?」
「………。」
(宮崎君は過去の大会でタイトルをとってないのは…山岳賞。レッドゼッケンをとっていないことだ。キミの兄さんは……。)
桐谷は宮崎の良き理解者であったため彼の気持ちを読み取ることが出来た。だからこそ桐谷は宮崎をエールを送った。
「宮崎浩輔。暴れてこいよ。それに…念願の山岳賞。とれよ!」
「言われなくてもわかってるよ! さて…いきましょか! モブキャプテンさんよ!!」
「だから…モブキャプテンじゃないよ。オレのわがままで申し訳ないが…桐人。チームのことは頼む。オレの3年間の集大成はこの3日目の山岳賞だ。そして…オレの役目はここで終わる。永山。チームのことは頼んだ。お前が副キャプテンとして総合優勝を導いてくれ。オレは総北キャプテンとして絶対山岳賞をとってくる!」
永山は大坂の意志を受け取った。
「わかった! 坂道! 絶対負けるんじゃねーぞ!」
総北メンバーは全員ハイタッチして大坂に想いを託した。そして…王者奪還のために必ず優勝すると約束した。
「ありがと。皆んな! 行ってくる!」
「お話は終わったようかな? 今泉くーん! 頼んだよ! キミはなるべく速く山岳リザルトまで追いつけということを伝えるわ。」
「わかったよ。楽しんできてくださいよ。宮崎先輩。」
「……。ああ。」
宮崎と大坂は3日目の山岳賞に向けて死力を賭けた勝負に出る。
沼津南はここで山岳賞争いに絡む選手を出さないつもりだったが…。
「なぁ…。行っていいか?」
沼津南は全員驚いた。何故なら…山中が志願したからだ。
「あなたは…ここで…出る幕ではない!! あなたは…大手町まで連れて行く!! じゃないと…僕の計画が台無しになる!!」
「大地。オレも反対だ。お前は…東京に入ってから役目を果たしてもらう。タイトルをとりたい気持ちはわかるが…こっちには中嶋が抜けた分クライマーが1人しかいない!! だから…許可はできない!!」
「勘太と多村のオーダーで中嶋を囮にして俺たちのために時間稼ぎをしているんだろ…。あいつは…本当は3日目の山岳賞をとりたかった…。だが…お前らのオーダーのせいで…完走も山岳賞をとれない。そして、昨日最後尾から全力で連れてきた佐々木の想いと夢を無駄にした…。オレは正直それが許せない。だから…オレが代わりに中嶋の夢と佐々木の夢をどちらも叶える!! そして!! オレは必ず完走して沼津南を総合優勝させる!! あいつらの気持ちをオレは背負って走る!! 」
沼津南の全力達は山中の怒鳴るように話しかけるように黙り込んでしまった。
「全く…。あなたっていう人はいつも…僕の予想を反する。だが…それが悪い方向になったことはない。むしろ…良い方向になりそしてチームを救ってきた。それが…山中大地さんなんですから。」
「大地。お前の覚悟はしかと受け止めた。しかし…お前がタイトルをとってもとらなくてもリタイアすることはするな!! それが…あいつらと交わした約束なんだろ。ならば…こんなところでくたばるようなお前じゃないとオレは信じてる!」
「山中さん! オレがチームを引っ張りますから!! 俺たちのことを気にせずに中嶋がとりたかった山岳賞をとりにいってください!」
「北上…。ありがとな。」
「山中さん! オレも兄さんと同様に負けないでください!! 兄さんが1日目のスプリントラインをとったのも山中さんが鼓舞したから成し遂げたといってました! だから…今度はオレが山中さんを押し出す側です! だから…負けないでください!」
「ありがとう。純太!」
チーム全員山中の背中に手を添えて山中に想いを託す。
(チームのためにオレは役目を果たす! そして…オレのわがままを聞いてくれた皆んなに感謝する。)
「いけ!! 山中大地! 」
「ああ!!」
山中は宮崎と大坂を追いかける。北上は山中の背中を見ながら感じた。
(中嶋と佐々木、僕達1年生はあなたに夢を託してます。今回メンバーに入れなかった熊野も同じ気持ちです。だから…僕達後輩に魅せてください!! 山中大地さんの強さと優しさを!!)
次回話に続く…。