もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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北上と中嶋の最後の想い

山岳賞勝負に勝利した山中大地はこのままダウンヒルに入る。そして、宮崎も彼に勝負を挑むのである。 

 

「キミ。この下り坂で沼津南と箱学のどちらが速く僕達に合流すると思う〜?」 

 

「もちろん沼津南だ。何故なら…北上がここまで登りこの下りで純太が追いつく。そういうお前らはどうなんだ?」 

 

「プププ。キミらはあの佐々木くーんを代えてあのエーススプリンター候補君の弟君を出した訳かー。あの子。兄のこと大嫌いだよ〜。」 

 

「そんなことを言っても信じないね。純太はそんなヤツではない。」 

 

「そっかな〜。彼。実は…僕とグルを組んでるんだよね〜。」 

 

「グル?どーゆうことだ?」 

 

 

「彼。実は…キミらのスパイ要員なんだよね〜。彼とは何回も連絡をとってキミらの情報を聞いてた。あと1人スパイ要員として多村君を送り込んでたけど…彼は失敗作だったな〜。まっ…裏切ると予想してたけどね〜。それが僕の狙いなんだけどね!」 

 

「つまり…。それはどーゆうことだ!!」 

 

 

「君達。なんで…沼津南高校に過去にタイトルをとってる佐々木君や中嶋君、北上君に熊野君、菅原兄弟に多村君がいるのか知ってるかい?それは全て菅原純太くーんの計らいなんだよ〜。わざわざ自転車競技部がない高校にいる理由。そして、何故彼らはこの高校で名のある選手達が揃っているのか?疑問に思っていなかったのか?出来過ぎだと思うがな。」 

 

「そんな陽動作戦にはオレは乗らない。そんなのでたらめだ。」 

 

「そっかな…。純太君。この作戦が成功したら来年…僕らのチームのエースストライカーとして来年走ってもらう予定なんだよな…。ププププ。彼。キミらの勝利のことなんて考えていないよ!!」 

 

「……。そうであってもオレは純太を信じる。もし…アイツがそういうことをするのならばオレは全力で阻止する。」 

 

「ププププ。愚かだな。」 

 

 

(菅原純太くーんはー。キミのことも嫌いなんだよ。www)

 

 

その頃。集団を阻止している中嶋と杉山は山中が山岳賞を制した結果を聞いた。すると…中嶋と杉山はハイタッチした。 

 

「山中さん!! やっぱり…あの人は…凄い!! あなたをインハイにつれていって良かった!! 入学した時に…あの人の才能にオレは惚れた…。この人は何かを持ってるって…。その読みは正しかった!」 

 

「大地!! お前は凄いな!! 後輩の約束を果たすなんて…!お前は男の中の男だ!!」 

 

 

すると京都伏見の嵐山と菊川はこの状況に危機感を感じた。

 

 

「あかんな…。家斉。お前に無茶させるかもな…。」 

「ああ。慶喜。オレがゴール手前まで全力で連れてやる。岸。すまんなぁ。オレらに想いを託してくれないか?」

 

「家斉…。わかった。わいらの希望を託す!! だから…ゴールまで約50km。頼むで!! オレら…4人は大手町にゴールするからよ。」

 

嵐山と菊川は4人にハイタッチをして岸を含む京都伏見の選手達は嵐山と菊川を送り出す! 

 

「いけー!! 慶喜!家斉!」 

 

「ああ!!」 

「チームを任せたで!」 

 

嵐山と菊川の2人で先頭を追うが中嶋がブロックする! 

 

「ははっ!! あなた達を全力で止めるのが…オレの最後の仕事だからな!! 全力で止めてやるよ!!」 

 

「このカスやろーが! どけよ!」 

 

「いかせませんよ! ははっ!!」 

 

 

中嶋と嵐山と菊川の戦いが始まる! 

 

 

その頃。多村達は山岳リザルト地点に到達し、オーダーを出す。 

 

 

「ここからは長い下り坂に入ります!純太さん!出てください!」 

 

「わかってるよ!」 

 

純太は先頭に立ち坂を下っていく。すると…北上はチームに最後の言葉を言う。 

 

 

「沼津南!! 必ず優勝してください!! オレは……信じていますから!! 必ず…! 沼津南が……大手町のゴールゲートをどのチームより…! 速く通過することを!!」 

 

北上は全力で最後の力を使い切り箱学の今泉と対抗していたからだ。そして、箱学の今泉も箱学の選手達にエールを送る! 

 

「僕の役割は…ここでおしまいだ。桐谷さん…。根岸さん…。子安君…。そして…宮崎さん…。頼みます…。僕達…箱学を託します…。」

 

今泉も己の力を使い切りチームに託す。 

 

 

「北上君!! キミの想いは僕達が受け継ぐ! 本当に良く頑張った…!3日間!!」 

 

北上は多村の背中を押し送り出した! 

 

「桐谷さん…。宮崎さんによろしくお願いします…。あなたのオーダーを全力で全うしたと。あとは…頼みました!」 

 

「ああ! 宮崎君を勝たせる!! 安心しろ!! 子安!! 下りは頼んだぞ!! お前が得意な下りで…全力で差を広げろ!!」 

 

「わかりました! 行きますよ!! 皆さん!」 

 

子安が独自に開発したダウンヒルのスタイルで前の宮崎を追いかける! 

 

 

北上と今泉はお互いの力を出し切り倒れ込む。 

 

(沼津南が勝利するその時……僕は……このチームでプレーして良かったと思う……。山中さんと出会って僕は変わった…。貴方から…大事なことを教わった…。真の勝利とは…昨日の自分より今日の自分に勝つこと。あなたは…いつも…「不可能なことはないと。」 あなたは…それを証明している。だから…あなたなら…大手町のゴールを誰よりも速く通過すると信じる!! あなたは…このチームの希望なんです!)

 

(宮崎さん…! あなたがいなければ…僕は…このインハイを走れなかったと思う…。だから…感謝します!) 

 

 

北上と今泉は落車する。 

すると…中嶋と嵐山、菊川の3人が通り過ぎる! 

中嶋は北上が落車した姿を見て一滴涙を流した。 

 

(北上!! すまん!! お前のことをバカにしてた。エースクライマーに任命されて浮かれていると。しかし…お前がその沼津南のジャージをボロボロになるまで箱学のクライマーと対抗し…チームを送り出した!! お前は…最高のライバルだ!!) 

 

 

「あれれ〜!キミのエースクライマーがリタイアしたんやな…。いやー残念やな!! キミもそろそろリタイアしてもええーんやで!」 

 

 

「黙れ。この関西弁イキリやろう。」 

 

 

中嶋は涙を流しながら嵐山と菊川を冷たい目線を送った。 

 

 

「キミ。クライマーなんだからな〜。ここで休みなよ。なぁ!!邪魔なんだよ!!!」 

 

「お前らは下りだろうが…平坦であろうが…全力で阻止してやるよ!」

 

「やってみろよ!! この狂人が!!」 

 

「やってやるよ!!」 

 

 

中嶋は苦手なダウンヒルで嵐山と菊川の先頭に立ち全力で阻止する。 

 

 

(下りは…時速70km〜80kmも出るからバイクコントロールが難しい!! 純太さんなら…このスピードに対応出来るが…オレは…クライマーだ!! 非常に難しいが…!やるしかねー!! オレは……沼津南の勝利を願っているから!!) 

 

 

「死ぬつもりで…止めてやるよ!!!」 

 

 

中嶋は急な下り坂で嵐山や菊川をブロックするが…菊川は中嶋に体を当て倒れそうになるが…中嶋は耐えた。 

 

「倒れてたまるか!! オレはあんたらを阻止する!!」 

 

菊川は中嶋の気迫に引いてた。 

 

(なんや…コイツ!! 下りでもその狂人ぶりを発揮するんか!こりゃ…おっかないな…!だが…ワイらは…関西一のペアだ! こんなところで負ける訳にはいかんよ!) 

 

中嶋に何回も菊川が体をつぶけるが…中嶋は倒れない。何故なら…山中が一番でゴールするを願っているからだ。そのため中嶋は全力でチームの勝利のために何回仕掛けるが倒れないのである。 

 

「オレは倒れないぞ!! アンタらの自由にしないからな!! はははは!! 」

 

 

(コイツ!! この状況を楽しんでいるのか!! マジな狂人だな!)

 

 

「邪魔なんだよ!!」 

 

 

するといつの間に高尾駅付近まで3人は走っていた。 

すると…100m先には沼津南と箱学の集団が走っているのが中嶋の視界に入る!! 

沼津南の菅原純太と箱学の子安は膠着状態であったが…チームを引っ張っていた。そして…先頭を走っている宮崎と山中と合流する! 

 

「お疲れさんよ〜! 子安君!! このまま!! 全力で下りで差を広げるんよ!!」 

 

「宮崎先輩! わかっています!」 

 

「山中さん!!良くやりました!! ここからは純太さんが引きますから!! 休んでください…。」 

 

「………。ああ。」 

 

 

中嶋は先頭集団を視界に入ると最後の最後の力を出し…全力でスプリントする! それに対抗する嵐山と菊川。中嶋は1m1cmでも速くチームに合流する気持ちで走る!! 

 

それに気づいた多村は驚いた表情をした! 

 

 

「中嶋君!! キミは…この下りも…嵐山さんや菊川さんを阻止するために走っているのか!!? 凄いな…キミは…。」 

 

宮崎は中嶋の姿を見て苦笑いした。 

 

「中嶋くーん。キミ1人で…あの集団をコントロールして…嵐山君と菊川君と競っているというのか…。キモいな!! キミは!!」 

 

 

中嶋は全力でペダリングして沼津南と合流する!! 

 

「多村……。オレは…しっかり仕事をしたぞ…。」 

 

「キミは凄いよ!! あの100人いた集団をコントロールして…先頭集団に追いついた…。僕の想像より遥かに超えた!! 」 

 

「おめぇ〜に…褒められても…嬉しくねーよ…。皆さんに言いたいことがあるから…オレは…ここまで走ってきた……。それを言うまでは……リタイアしないと決めたんだ……。」 

 

山中は中嶋が今にもリタイアしてもおかしくない程全身に力が残っていないことに気づいた。中嶋はチームに再び合流して想いを託したい気持ちでここまで走ってきたことを理解した。 

 

「山中さん……。また……あなたとこうして……少しながら一緒に走れていることが幸せなんです……。だから……僕が……あなたに伝えたいことは……僕は……あなたと一緒のチームで……インハイを走れて良かった……。そして…あなたを自転車競技の世界に導いて良かったと心のそこから思う……。だから……必ず……優勝してください!」 

 

「ああ! 約束だ!」 

 

 

「その言葉を聞ければ…僕は…満足です…。」 

 

 

中嶋はそういうと肩から力が抜けたかのように崩れ落ち落車する。 

山中は中嶋を立たせようとしたが…遅かった。 

 

 

「中嶋!!!!」 

 

 

山中は涙を流し前を向いた。 

 

 

(お前の想い…しかと受け止めた!! だから…オレは…絶対…誰よりも先にゴールする!! ) 

 

 

山中は総合優勝をすると誓ったのであった。 

 

 

次回話に続く…。

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