もう一つのペダル   作:ユーチャロー

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下り坂の追い上げ

中嶋は沼津南と合流したが…全ての力を使い切り倒れ込む。そして、京都伏見の嵐山と菊川がゴールに向けてチームを置いていき走る。箱学が4人。沼津南も4人で先頭集団に10人の選手がいた。ここで宮崎は新たなオーダーを言う。 

 

「さて……リザルトの調布まで子安君!キミは…全力で逃げ切るんよ!多摩川を渡るまでは下り坂がある…。キミは…ここで得意な下りで差をつけるんよ!」 

 

「わかりました! 皆さんついていけますか?」 

 

「おう!」 

 

子安はギアを上げ…得意な下り坂で沼津南を離しにかかる。しかし…沼津南も純太が筆頭にチームを引っ張る! 

 

「兄さん!あれをやろう!ああ!!」 

 

菅原兄弟が開発したツインスプリントの体制になりチームを牽引する。

多村は後ろを振り返り3日間山岳区間を引いた北上と1日目で箱根の山頂まで箱学と総北のエースを止め、2日目は佐々木に引いてもらいながら先頭集団に追いついたことと、3日目の山岳区間を全力で集団を阻止した中嶋に敬意を払い多村は決意する。 

 

(キミ達の想いはしっかり受けとめた!だから…良い報告が出来るよう絶対箱学に勝つ!!だから…オレは負けない。どんなことがあっても!) 

 

多村はオーダーを言う。 

 

「この下りが勝負です!! だから…菅原さん!! あなた達の力を箱学に魅せてください!」 

 

「最初からそのつもりだ。」 

「任せなよ!」 

 

下り坂の勝負が始まる! 

 

 

その頃…。後方に走ってた集団は京都伏見の岸と宮本がコントロールして前に行かせないように時間稼ぎをしていた。その前には総北の選手達が走っていた。山岳賞争いに負けた大坂は下を向きながらチームに謝罪してた。 

 

「みんな…。すまん…。」 

 

「坂道…。良いんだ…。オレ達総北はまだ諦めた訳じゃない。山岳区間も終わり下り坂だ。宇津木が必死にチームを引いてる。それに…桐人。お前…まだいけるよな?」 

 

「永山さん。もちろんいけますよ。まだ優勝は狙えます。任せてください。僕はクライマーですが…ダウンヒルも得意ですから。だって…僕…下手したら…グリーンゼッケン狙いに行けますよ。それに…永山さんと真中さん、門倉さんがいれば大手町に行けます。宇津木さんは申し訳ございませんが…僕と一緒に先頭を追いに行きませんか?」

 

「桐人。わかった。お前…全て…計算済みなのか?」 

 

「はい。そのために宇津木さんの力が必要です。」 

 

「わかった。いこう。」 

 

 

しかし…大坂が先頭に立つ! 

 

 

「オレは…山岳賞をとれなかった…!だから…せめて…チームのために最後の仕事をしたい!! 苦手な平坦でも…皆んなな脚を使わせないように全力でチームを引く!! だから…ここはオレに任せてくれ!頼む!! 」 

 

永山は反対した! 

 

「誰だ!坂道!オレは許可しない!! お前は充分…キャプテンの役目を果たしたよ…。お前はオレ達にいろんなことを教えてもらった…。それだけでも…充分だよ!!」 

 

 

「オレはキャプテンだ!!総北を勝たせるために全力で走ると決めたんだ!! だから…お前らは休んでろ!! 桐人。宇津木。お前らがベストなタイミングまでオレが全力で引っ張る! 」 

 

「坂道さん…。でも……。」 

 

「宇津木…。お前は来年総北のエーススプリンターとして…チーム最速のスプリンターになり…誰にも負けない選手になってほしい…。桐人。お前は総北のルーキーでありポテンシャルがある。その頭の機転と状況判断能力が優れている。お前は2年後…この総北の中心選手になるとオレは思う。だから…今回は全力で楽しんでほしい…。これは…キャプテンからの最後のオーダーだ…。この中で誰でも良い!!誰よりも速くゴールラインに入れ!!」 

 

(……坂道!) 

(大坂さん…!) 

 

総北のキャプテンの力強い声でチームが一丸となる。そして、大坂は己の力を使い果たすように遥か先に走っている箱学と沼津南を追う! 

 

 

箱学と沼津南はお互いの力を使いながら先に多摩川までの下り坂に到達するよう走る! 

 

「やりますね!! さすが…将来有望視されてた菅原純太さんと勘太さん!オレ…1年なんですけど…あなた達の噂は宮崎先輩に聞いてたから知ってますよ! 」 

 

「そりゃ…どうもです! しかし…子安君だっけ?キミ…速いね!! 僕のダウンヒルについていくなんて凄いや!来年あたりエーススプリンターになるんじゃないの?」 

 

「嬉しいですね…。しかし…ツインスプリントってこんなもんすかね?オレ…もっと速くなりますよ。」 

 

「キミは…下りが得意そうだな。ならば…来なよ!」

 

「良いですか?ならば!」 

 

 

子安は下り坂でありながらダンシングしてギアをMAXにして猛スピードで下っていく!その姿を見た純太は驚いた。 

 

(ウソだろ!この下りでダンシング!ただでさえ…下りはペダリングしなくてスピードが出るというのに…ダンシングしてギアを上げて走る!このままブレーキをかけたら前に転倒する危険があり…かつ…下りはバイクコントロールが難しいというのに!) 

 

 

子安は慣れているのか…全力でチームを引っ張りながら下っていく!すると…純太もダンシングの体制になり追いつこうとするが…。 

 

 

「ダメだ! 下りでダンシングはリスクがある! 下手したら大怪我するリスクがあるぞ!」 

 

「兄さん! 大丈夫だ! 僕に秘策がある!それは…兄さんがこの下りを全力で引くことだ!」 

 

「オレが…?」 

 

「うん! 兄さんなら…この短距離なら箱学に追いつくことが出来る!そして…一気に離す!」 

 

「なるほどな…。わかったよ!それで行こう!!」 

 

「うん!」 

 

勘太と交代して勘太の鬼のダウンヒルで箱学を追いかける! 

すると、純太の読み通りに箱学に追いつく! 

 

「さすが…菅原兄弟!凄いですね!! 僕のスピードに追いつけるなんて…。しかし…この下り坂で対抗出来る人がいるなんて嬉しいですね!もっとやりましょうよ!」 

 

子安は更にスピードを上げて差を広げようとするが、勘太はあっという間に子安を追い抜き先を行く。  

 

「面白い! あなた達の実力は伊達ではない! それでこそやりがいがある!!」 

 

子安と勘太はこの下り坂で膠着状態であった。すると…多村はオーダーを変える。 

 

 

「菅原さん!休んでください!ここは…僕が出ます!! そして……宮崎浩輔!! アンタと勝負だ!!」 

 

 

「ププププ。僕と勝負?このスプリントラインをかけた勝負かな〜?」

 

 

「ああ!!」 

 

 

「キミ…。なんで…ここで…エースのキミが…出るんよ!! 僕が…勝負したいのは…山中大地! お前だ!!」 

 

 

「……。」 

 

「山中さん…。あなたに最後のお願いを言っていいですか?僕は…あなたに大手町のゴールを託します。僕は…ここでやらなければならない。あの男を倒すために…。そして…僕は…全て知っています…。あなたの企みを!!」 

 

「あれ〜〜? 企み? なんのことかな?」

 

 

「菅原純太さん。あなた…。スパイですよね?」 

 

 

「純太…?」 

 

 

「……。何故…知ってるんですか?多村君。キミもスパイなのに裏切ったよね?」

 

 

山中と勘太は驚きを隠せなかった。

 

 

「えっ…。どういうことだ?純太!多村!」 

「ウソだろ…。」 

 

 

「ププププ…。キミ達はバカだな…。まさか…キミ達のキャプテンと弟君が僕達のグルだと知らなかったのね〜。いや〜滑稽滑稽…。事の発端は多村君だけどね!! ははは!! 」 

 

 

次回話に続く…。

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