勘太と純太のスプリント対決に決着がついた時は多村と山中は府中辺りを走行していた。その時、後ろから総北高校の5人が追いつく。
「いやー。追いつきましたよ!沼津さーん!」
多村は焦った表情をしたが山中は総北が来るのを待ってたのように真中に話しかける。
「真中君。ようやくここまで追いついたね。あれっ…君達のキャプテンは?」
真中は下をうずくまり大坂について語る。
「キャプテンは下り坂まで僕達を全力で引いて僕達に想いを託して責務を全うしました。カッコよくて頼りになるキャプテンに恩返ししたいから君達に力を貸して欲しいからここまできた!」
多村は協調を申し込んだと感じ山中に説得する。
「まさか…先程あなたが仰ってたあの人というのは杉山さんのことかと思いましたが…まさか真中さんのことですか!」
「ああ。そうだ。」
「つまり…総北と協調して先頭にいる箱学に追いつくつもりですか!!」
「これはオレが願ったわけじゃないから真中君に聞いてみたら。」
「相変わらずアナタっていう人は…。なら真中さんに聞きます。あなたが山中さんに協調しようと交渉したんですか?」
真中はうなづきながら答えた。
「そうだよ。間違いはない。」
それは前日の夜の出来事である。
山中はホテルの大浴場でゆっくり湯に浸かっている時に横に真中が来たのである。
「隣いいかな?」
「あっ…どうぞ。」
「山中君だよね?」
「そうだけど、キミは総北の真中君だよね?」
「うん。あのさ。君達にお願いがあるけど良いかな?」
「何?」
「明日のレース、協調しないかな?」
山中はぽかーんとしながら口を開きながら山中を見つめた。
「えっ?なんで?総北さんは明日は6人で出場できるんじゃないの?」
「そうだけど…僕らは全体にクライマー得意な選手が多くて明日のレースの後半はほぼ平坦のコースである為不利なんだ。」
「でも、キミや門倉君と誰かスプリンターいるんじゃないの?」
「宇津木がいますが、彼は純粋やスプリンターでなく元々はクライマー専門でした。インハイの為に平坦も練習された選手です。僕も正直山が得意分野でしたから…実質純粋なスプリンターは翔しかいないんです。」
「そうなんだ。オレは実は山専門だった…けどね。」
「やっぱり!1日のあの走りみてたらそんな感じしてましたよ!」
「ははは。やっぱりクライマー同士だと話が合うな〜。」
「本題に入りますが…明日はおそらく箱学が単独で先頭を独走してる状況になると予測してます。理由は、僕と翔は速めにスタートしますが他のクライマー達が出遅れるので合流するのに時間がかかるのと、沼津さんも山までは北上君か中嶋君を引いてくれると予測しますが、今日のあの中嶋君の脚の調子だと明日は何処かしらで棄権すると思われます。なので山は僕らがカバーし平坦は沼津さんに任せたいと感じた為、協調をお願いします。」
山中は少し睨め付けるような眼差しで真中に答える。
「理由はわかった。しかし、中嶋が棄権するのを前提に話されるのは聞き捨てならないな。」
「これは失礼しました。」
「要は山担当は総北で平坦は沼津南担当ってことだよな?」
「ざっくりまとめるとそんな感じですかね。」
「なるほどな。オレは協調するメリットあるかないかまだロード始めたばかりでわからないし答えは今出せないけど、オレらに追いついたら考えても良いかな。」
「なるほど。そうきましたか。」
(この人…。好戦的ですね…。)
「わかりました。では…僕達が山岳リザルト超えて下り坂が終わってスプリントリザルト前までに貴方達に追いついたら検討してよいですか?」
「ご自由に…。」
「わかりました。では…また明日も良いレースにしましょう。」
「ああ。明日もよろしくな。」
今に遡る。
「ということが、前日に話し合ってた訳よ。多村。」
「なるほどですね…。」
「僕からもお願いするよ。多村君。」
「わかりました。沼津も実質4人しかいないのと、2人はスプリントリザルト対決で先頭を走っている状況であり、箱学は5人でこの先を走行中。そして、総北さんも5人でいる。つまり、5vs9で数的有利で優勢では確かであるが、だだし協調するのに条件があります。」
「条件とは?」
「まず、1つ目は協調するまでの区間は四ツ谷までとする。2つ目は総北さんからエースアシストとエースを各1名を今ここで決めてもらう。3つ目は四ツ谷までの区間は沼津南は先頭で誘導しないという3つの条件を守れるのであれば交渉成立とします。どうしますか?真中さん?」
(さすが…多村君。この子は曲者だからそんな簡単に協調には乗ってくれないか…。だが…僕らなりにプランはあるからそれは隠しておこう…。)
「わかったよ。多村君。まず今日のアシストは永山さんでゴールは僕が狙いにいくよ。それに四ツ谷までの区間は宇津木さんと翔、桐人の3人でローテーションしながら筆頭に箱学まで追いつく。これなら大丈夫かな?」
多村は少し考えるが了承する。
「わかりました。なら協調にのりましょう。」
「ありがとう。なら…宇津木君。この先にいる箱学までなるべく距離を縮めていこう。」
「わかったよ。真中さん。あの…多村君と山中さん。僕の引きについてこれますかね?」
「ああ。問題ですよ。宇津木さん。」
「同じく。」
「じゃ…久々にやりますか…。田所さん直伝肉弾列車!」
宇津木は空気を深く吸い込むと胸が膨れ上がり息を止める。
「さんそー!!!!」
一気に加速した為、多村と山中はついていくかのようにケイデンスを上げる!! 多村は宇津木の肺活量に驚きを隠せなかった。
(なんだ!この人の肺活量!!尋常じゃない!!)
そして、総北と多村、山中は先にいる箱学に追いつく為に協調を組むのであった。
その頃。
箱学はリザルトラインを追加した3km先で先頭でスプリントリザルトを競ってた菅原兄弟に追いつく。宮崎は純太が負けたことに気分はよろしくなかった。
「あれれ〜。純太くーん?何故、負けちゃったのかな?かな?」
純太と勘太は宮崎に対して痛い視線を送る。
「宮崎。来年、僕がハコガクでエーススプリンターをやるのはやめるよ。僕は兄さんと共に沼津南の仲間としてやっていくんだ!」
「はい〜?今?なんていった?」
「だから!沼津南でやってくんだよ!耳悪いのかよ!」
「うっさいんじゃ!!ぼけ!!」
「キミについていくつもりはないし…ついていきたくもない。」
すると宮崎は不気味な笑みで菅原兄弟を見下すかのように見つめた。
「宮崎。お前は間違えている。先輩や後輩、同期までも兵器のように扱い…。そして、お前の欲望の為に動かされる!!そんなお前のやり方には許さない!!」
「リザルトラインをとったぐらいでイキってるんじゃねーよ!!このブラコンやろうが!!キモすぎなんだよ〜。やっぱり君たちは〜。あ〜あ。君達をハコガクから追放して正解だった…。そんな君達はここでご退場しようか!!」
宮崎は菅原兄弟に肘打ちしようとするが、菅原兄弟は咄嗟の判断でツインスプリントの体制に入り逃げ切る。
「ざまぁ〜みろ!!なんならこのまま大手町まで2人でゴールしちゃうかもな!!追いつけるなら追いついてみろよ!箱学!!」
「ふん…。相変わらずキモいな〜!君達は!!」
菅原兄弟とハコガクの一騎打ちが開幕する!!
次回話に続く…。