もう一つのペダル
第7話 沼津南高校自転車競技部! 結成!!
山中と北上のクライム対決から一週間後。
放課後の学校。四月の暖かい風が吹き夕焼け空が綺麗で、少し先には海が見え、絶景。
誰もいない教室で山中大地は外を見ながらたそがれていた。
「なんか…。落ち着く…。」
「山中さん!! 」
「なんだ? 中嶋か…。もう少し1人でいたい気分なんだよー。」
「今日も綺麗ですね。」
「ああ。ここから見る景色は好きなんだ。」
「山中さんにゆう君! 」
「なんだ。竜司も来たのか…。」
「佐々木! 補習おつ!!」
「大変だったよー。数B苦手だからさー。」
「ちゃんと勉強しないとダメだぞ。」
「大地。なんだ。話とは。」
「山中さん!! お疲れ様です!」
「菅原兄弟か。それはまだだ。」
「遅れてすみません!! お疲れ様です!!
山中先輩!!」
「僕も遅れてすみません。北上に勉強を教えてたため遅れました。」
「…………。」
「北上に熊野に多村か。みんな自転車は得意なのに、勉強は苦手なんだな…。」
「よし。集まったな。 では… そろそろ自転車競技部。結成する。」
「この日が来ましたね!! ついに!!」
「ああ。ちなみに顧問の先生も決まってる。といっても… 形だけな。」
「大地。たしかにな。日本はヨーロッパとは違いロードレース競技人口者が少ない。だから、指導者も数少ない。」
「ああ。一応顧問はつけないと部活作れないから… 自分達で考え自分達で部を作っていくんだ。 なんか… 楽しいと思わないか?」
「はい! 山中さん!」
「そうですねー。」
「そうだな。大地。」
「早速だが… 部長を決めようか。」
「はい!! 」
「中嶋?」
「もちろん!! 山中さんでしょ!! みんなはどう思う?」
「賛成ですー。」
「大地が適任だな。」
「兄さんと一緒です!」
「山中先輩が良いと思います!」
「そうですね。僕も賛成です。」
「………。 やだ。」
多村と山中以外の6人はビビる。
「!!!!???」
中嶋と北上はキレた口調で言う。
「いつもは無口のお前が急になにをいいだすんだ!!?」
「純太郎!! 山中先輩以外に他に誰が部長をやるんだ? 逆に聞くが! 」
「………。 僕。」
山中は思わず笑ってしまった。
「ははは!!! 多村。謎多き男。お前…。オールラウンダーだろ!! 」
他の6人は驚いていた。
「多村純太郎…。ロードは経験ないんじゃ?」
「話が違いますよ! 菅原さん!!」
「………。 なんでわかったんですか。」
「実はな…。昨日の夜お前が裏山を登った姿を見ちまったんだ。」
「隠し通そうと思ったが…… 無理だ……。あえてバラした……。」
「なんだ。隠し通せば良かったのに… なぜ?」
「僕がこのチームを1番にしたいからです。」
「そうか。昨日のバイト終わりにお前を見かけたから追っかけてみたんだ。竜司のように平坦も山も力強く走ってたからな。追いつけなくて諦めたがな ww。 」
「そうなんですか…。バレてしまったら仕方ないですね…。僕は去年。富士山の向う側の中学生山梨県自転車競技部大会で優勝した…。 」
「勘太よ。お前の情報網はこんなもんか?」
「大地。俺のミスだ。山梨県のデータは… なかった…。」
「ほう!! 多村純太郎!! 佐々木のライバルだな!! 」
「ゆう君…。そうだね…。」
「多村純太郎よ。何故… あん時経験者じゃないと言った?」
「僕は……道の上で証明したかった…。自分が…このチームにエースだって…。」
「なるほど。自転車乗りらしい答えだな。」
「しかし! 僕も含めてオールラウンダーは3人いますよ! インターハイは6人出場! この中から1人落選…。そうなりたくない!! 僕は!! 」
「熊野君……。佐々木君も僕も…エース級の実力者…。熊野君はエース級の実力あるの?」
「あります!! 僕だって!!」
「まぁまぁ… そう騒ぐな。クライマーもだ。1人落選する。いまのところオレが落選候補だ。」
「僕は山中さんと一緒にインターハイにいきたいんだ!」
「僕も山中先輩を全力でサポートしたいです! 中嶋となんてごめんだ!!」
「純太よ。お前も落選候補になるかもしれんぞ。いくらスプリンターが2人いても安心するな。」
「わかってるよ。兄さん。レースコースの地形によってメンバーを変えることもあるからね。」
「みんなの士気はありそうで安心したよ。話を戻すが… オレか多村か。部長を決めないといけないからな。」
「山中さん…。あなたの実力もそうですが… ロードレースにおける作戦やセオリー。相手の分析やメンバーの調子など管理することができますか?」
「多村…。 オレはお前に譲りたい…。」
この山中の一言で周りがざわつき始める。
「何言ってるんですか!!? 部長は2年生の誰かじゃないといけないですよ!」
「山中先輩!! あなたが良いです!」
「おいおい…。北上は速い奴が1番なら上下関係は関係ないって言わなかったか?」
「たしかにそうですか!! でも…。周りを魅了する何かをあなたが持ってるんです!! チームを作るために必要なのは…あなたみたいなチームの精神的支柱な人! いくら… 実力者であってもチームの輪を乱すことがあってはなりたたない。インターハイは! 6人で3日間走る!! チームの結束は不可欠です!」
「僕も北上君の言う通りだと思います。個人戦なら己の実力しかありませんが…チーム戦はそれぞれの力が結束し勝利を掴む。それがインターハイですからね。」
「それは…。君たちの意見…。僕はエース…。エースをゴールに叩き込む走りを君達はできるの…?」
「それは……。」
「わかった…。こうしよう。 オレがインターハイまで強くなったらオレが部長になるいうのはどうだ? 多村?」
「……。 といいますと?」
「たしかに多村の言う通り… 実力も経験もない… 初心者だ。 そんな初心者に部長なんて任せられないのはわかる。しかし、オレがお前より強くなればまた話は変わるだろ?」
「………。なるほど。このチームのエースを越したら山中さんがエースになるということですか? 面白いですね…。 わかりました。」
「なら…。決まりだな。」
「くっ…。」
「沼津南高校自転車競技部の部長は多村純太郎だ。1年だが… 頑張れよ! 多村!」
「………。 はい。」
周りは納得していない様子で普段は無口で何を考えているかわからない。ミステリアスな多村純太郎が部長になる。副部長は菅原勘太に決まった。
多村と菅原は理事長室や生徒会室に行き部活申請の手続きのために行く。 他のメンバーは帰らずに教室に残っていた。
「なんで…。山中さんは多村に譲ったんですか!!! 」
「山中さ…ん。あなたが適任だったのに…。」
「山中先輩!! そうですよ!」
「私も残念です…。」
「山中さん!! 兄さんも… あなたのことを慕っているのに…。なんでですか?」
「おい。お前ら。矛盾してるぞ。」
「「「「「!!!!????」」」」」
「自転車競技は実力があるやつが称賛されるスポーツじゃないのか? お前らはオレを慕ってくれてるしそのほうがチーム的に良いだろう。しかし、オレはこのチームの最弱だ。初心者だ。この間の勝負で…すげー感じたんだ。実力がなきゃ… インターハイに出場もできないし、優勝もとれない。楽しいだけじゃ…勝てないて。それを教えたのはお前らだろ?? 」
「………。」
「だからよ…。オレが強くなってインターハイに出場し、全国の実力者に負けない走りをするんだ!そして!オレ達が優勝する!! 」
〔山中さんは… はるか先の目標を見据えて…。かつ… 自分を追い込んでる!〕
「なぁ。 インターハイに行くぞ!! オレ達の力で! やったろうぜ!!」
「はい! 山中さん!」
「はい!」
「山中先輩!」
「はい!」
「山中さん! やりましょう!」
6人でハイタッチをして決意を固めた。 手続きを終えた2人は教室の外で見守っていた。
「なぁ。多村純太郎。アレが山中大地という人間だ。ヤツの想いは周りを巻き込みチームの雰囲気を良くするヤツだ。お前も。あんな風にできるか?」
「……。僕のやり方と。山中さんのやり方は違うので。 僕なりにやるつもりです。」
「そうか。万が一…。チームの輪を乱すことがあればお前を部長から降ろすからな。」
「わかっています……。」
こうして沼津南高校自転車競技部としてスタートをきる。