もう一つのペダル   作:ユーチャロー

8 / 48
もう一つのペダル 第8話 初練習!!

 

第8話 初練習!!

 

放課後。沼津南高校自転車競技部の初練習が始まる。顧問の岩本は練習開始時に挨拶し、生徒達に自由にやらせる方針で任せた。部長の多村純太郎は紹介したいやつがいるということで2人紹介する。

 

「みなさん…。マネージャー希望の女の子が2名いますので紹介します。」

 

「はじめまして! 坂田有未です! よろしくお願いします!! 簡単に自己紹介しますが…女子自転車競技の社会人チームに今も所属しております!! 」

 

「……。みほでーす! しくよろです!」

 

「これからもよろしくお願いします。僕が部長の多村純太郎に副部長は菅原勘太さんです。現在部員は8人いてマネージャーを含めて10人です。」

 

「あっ!! 山中さんの彼女さんじゃないですか!!? 」

「えっ…。 そうなんですか? 」

 

「恥ずかしいからやめろ。中嶋。」

 

「では…。 みなさん早速ですが…。レースを行います。8人いるので4人1組になってほしいです。誰と組むかはみなさんの自由です。」

 

「多村…。コースは?」

「そうですね…。学校前の県道144号線を走り380号線にぶつかったら…沼津駅のほうに向かい、国道414号線を曲がりまた戻る感じで…。」

 

「多村君。山岳区間があまりないのではないのか。」

 

「僕は先に言いますが… 皆さんをエース級の選手に育成したいと思います。あと、出来れば平坦も山も走れるようにしてもらいたいのです。」

 

「多村純太郎。お前は何が狙いだ? ロードレースはそれぞれの役割があり…それにあったオーダーを出す。クライマーやスプリンターもいなきゃダメだ。」

 

「皆さんをオールラウンダーにしたいと言ってるのではなく… 箱学に勝つためには皆さんがエースにならなきゃいけないのです。」

 

「なるほど。あの福富さんが良く言っていたな。6人全員がエースだって…。」

 

「箱学出身の菅原さん達は良くわかるはずです。インターハイに優勝するというのはそういうことなんです。」

 

「なら。俺が決めていいか? 多村よ。」

「任せます…。」

 

勘太がメンバー編成を決めることにする。

 

「では。多村。熊野。中嶋。純太。この1組。

佐々木。北上。大地。オレ。 この編成でいく。」

 

「……。理由はありますか? 勘太さん。」

「そうだな。まず。おまえの実力を見たいのが一つ。自分がエースと名乗ってるからな。あとは、なんとなくバランス良くした。」

 

「……。そうですか…。」

 

「始めようか。大地はレーパンとか持ってないからこの間貸したヤツ持ってきたから着てくれ。」

「ああ。ありがとな。」

 

「ねぇ…。大地…。 自転車頑張ってね。」

「ああ。やるって決めたから頑張るよ。」

 

〔大地…。少したくましく見えるよ。〕

 

坂田が山中に話しかけてくる。

 

「山中先輩! みほさんと付き合ってるんですね!! 羨ましいです!」

「おう…。 坂田さんだっけ? 自転車経験者なのになんでマネージャーやりたいの?」

 

「この学校はまだ女子自転車競技部がないので……。 私の経験をみんなに伝えたいなと思って……。」

「そうか。 ありがとうな。女子がいると華があっていいからな w 」

「それほどでも…。 あっ…。 あと。練習終わったら時間ありますか?」

「えっ…? なんで?」

「それは後ほど!! 早く着替えたほうが良いですよー!」

「ああ……。」

 

他のメンバーも着替えてボトルに水を入れて自転車に乗りスタート地点の校門前に立つ。

 

「改めて言います。さっき言ったコースを3周走ります。街中とかも走るので信号は厳守でお願いします。事故だけはおきないように走ってください。あと… タイムで競いたいと思います。信号で止まった場合は時間を止めてください。走っている時のタイムでお願いします。 時間を測るのは各組のエースが持参してください。僕が測ります。」

 

「このチームは佐々木が頼む。」

「はい! 」

 

「ではいきますか。皆さん。」

 

スタートをしようとした時… 山中がみんなを止める。

 

「待て。みんな。このスタートが俺たちの自転車競技部の始まりだ。みんな!! 」

 

「ですね!! 山中さん!」

「山中さん…。」

「はい!山中先輩!!」

「山中さん。」

「………。」

「そうだな。大地。」

「山中さん!! 」

 

そして。ミニレースが始まる。

最初は少し下り平坦区間に入る。

それぞれのスプリンター達が先頭を走る。

各組指揮をするのはタイムを測るエースの2人。 多村と佐々木。

 

「純太さん…。引いてもらっていいですか?」

「勘太さん!! 引いてください!」

 

「純太さんはどちらかいうとルーラータイプですよね。平坦をある一定の速度で走ることができる。それがツインスプリントで勘太さんを引いて走る理由。 あってますか?」

 

「……。そうですね。」

 

「おいおい。多村純太郎よ。何が言いたい?」

 

「兄の勘太さんはどちらかというとゴール前で勝負する。天性のスプリンタータイプですよね。優れた瞬発力と力強い走り。しかし、あなたはゴール前で競う選手なので純太さんみたいに一定の速度で長く走ることはできませんよね。」

 

「……。お前。 見抜いてるのか?」

「当たり前です。脚を見ればわかりますよ。こちらはエースとアシスト。ルーラーにクライマーがいますよ。どう対抗しますか? 勘太さん!! 」

 

〔たしかに…。こっちは…エースとスプリンター。クライマー2人…。 アシストとルーラーがいる多村チームは平坦道が多いこのコース。かなり有利。しかし、 多村よ…。 なぜ、オレがこの編成にしたか… 後々わかる。〕

 

「純太さん。差をつけます。お話はここまでにします。レースなんで。」

「わかった…。 兄さん…。ごめん!!」

 

「しかけたか。純太。今なら追いつく!」

 

勘太は追いつこうとしたが、信号が赤になる。

 

〔しまった!! これを狙っていたのか!〕

 

佐々木が指示する。

 

「勘太さん。ここから先は全力で引いてもらっていいですか。そのあと僕が引きます。」

「しかし、お前はエースだ。序盤で脚を使ったらダメだ。」

「僕に考えがあります。しかし、まだ早いです。とっておきは最後に出します。」

「お前も同じ考えをしてるのか。佐々木。」

「当たり前ですよ。」

 

「追いつきますよ。勘太さん!」

「ああ。クライマーの2人!! ついてこれるか?? 少し頑張ってくれ。」

「勘太。頼むわ。」

「はい! 大丈夫です!!」

 

「仕方ないか…。純太がいないからできるが…オレも1人でこっそり開発した…。 鬼引きを見せてやる!! うらうらうらー!!!」

 

勘太は険しい顔をし、力強くかつ大胆にメンバー達を引いていく。

 

〔多村純太郎よ。お前は… 少し誤解してるぞ。たしかにお前が言う通りにスプリンタータイプだ。ゴール前でしか競えないし純太みたいに一定の速度で平坦は走れないが… そんな俺だからこそ!短時間だが全力でメンバーを引くことができる!〕

 

後ろで走っていた山中も北上もついていくのに精一杯である。

 

「勘太……。早すぎて脚が…。」

「勘太先輩。すごい!! 」

 

目の前に走る多村チームをとらえ、あっという間に追い抜き佐々木チームが有利になる。

追い抜かれた多村チーム。多村は次のオーダーを出す。

 

「なるほど。勘太さんの能力を使い僕達の差をこのタイミングでひらくということか。しかし、長くは続かないし全力で引いてたから脚が使えなくなります。おそらく、勘太さんはもう無理でしょう。次はエースが引くんですか。クライマー2人に使えなくなったスプリンターを連れて。」

 

「なぁ…。多村よ。」

「なんだ? 中嶋君。」

「お前…。 慢心してると負けるぞ。オレら」

「なぜ? 」

「ぶっちゃけな。1人ダークホースがいますよ。むこうは。」

「ほう。だれですか?」

 

「山中さんだ。」

 

「ほう。皆さん… 山中先輩のことを相当信頼してますね。彼はクライマーですよ。平坦が多いこのコースはクライマーの活躍の場はあまりありませんし、初心者ですよ。」

 

「お前にはわからないか。」

「僕も山中さんを警戒してます。」

「兄さんも僕もある意味山中さんがダークホースだと思います。」

 

「なら。潰してやりますよ。1周目は捨てます。2周目から追いかけます。3周目で追い抜き、終盤でゴールします。プラーンは頭の中で練りました。では、皆さん脚を休めてください。」

 

 

勘太の引きで沼津の街中を通り、登り区間の手間まで引いた。勘太の引きのおかげで多村達とだいぶ差をひらいた。

 

「…………。はっはっはっ……。」

「勘太さん…。よくここまで…。北上君! お願い!! 」

「わかった! ついてきてください!」

「多村達と差はひらいた…。勘太さんのおかげです…。 1周目はなんとか大丈夫そうです。」

 

〔しかし… なんでむこうは追いつこうとしない? メンバーは恵まれているのに…。なぜだ? ひっかかるが… このまま何も問題がなければいけると思うが…。〕

 

 

1周目は佐々木チームが先に通り、2周目目に突入。5分ぐらい遅れて多村チームも通過する。 2周目に入った多村はオーダーを出す。

 

「2周目に入りました。ここまで休めたと思うので5分もある差を目標1分まで縮めます。純太さん。限界まで2周目は引いてください。それで1分差まで縮めることできます。」

 

「まさか…。多村君。君は…。」

「そうです。ルーラータイプを2周目で捨てます。ロードレースは誰をどう使うかが勝敗を分けます。いけますか? 純太さん。」

 

「……。やるよ。」

「あと…あなたは兄さんを超えたくないんですか? 今のままでは満足いきませんよね?」

「……。 兄さんはすごいからいいんだ…。」

 

「本来のスプリンターなら…誰よりも速く強く走りたいと思いますが… ずっと兄に利用されるがままに…兄に勝ちを譲ってしまう。そんなんでいいんですか?」

 

「………。いやだ。」

 

「ですよ。純太さんなら兄を超えることはできます。あなたならできる!」

 

後ろで走っていた中嶋は感じる。

 

〔この人… 自分がゴールするために人をうまく利用する! その人の弱みを話しいいように誘導する!! 彼は…頭もキレるペテン師!〕

 

「皆さん…。大丈夫ですか? ついていけますよね? 」

 

純太の今まで以上にすごい引きを見せ2周目の平坦区間が終わる時に、純太は力を使い果たし多村チームから離れる。

 

〔多村君…。君は少し…考え方はズレているが… たしかに君に言われたとおりに僕は兄さんを超えたい気持ちはある…。でも。兄さんと仲良く走れることが出来れば1番良いかな…。今は少し疲れた…。〕

 

純太が離れ登り区間は中嶋が引いて走る。

 

「あと10秒。縮められますか? 中嶋君。」

「おい。多村。一つ言うが… オレはお前の召使いではないと言っとく!!!」

「召使い? そんなことないです。キミは捨てないで最後まで残しますから。」

「てめっ…。」

 

多村チームは先頭を走る佐々木チームとのタイム差を40秒まで縮める。

 

「3周目に入りました。下りが終わったら熊野君。キミがこの平坦区間を走り佐々木君達を追い抜き、登りで中嶋君が僕のアシストで僕がゴールをとる。これで勝てますよ。」

 

「なんで…僕が平坦を走るのですか?僕はこのレースのアシストなんです!! 多村君!!何か考えでもあるのですか?」

 

「僕はインターハイで熊野君をエースアシストにしたいと思ってます。キミの持久力はこのチームで1番だと思っています。アシストはゴール前の数キロまで走らなきゃいけませんし、エースを最高の位置まで運ぶ役割があります。キミが今やる最高の位置は僕達を登り区間前まで運び、佐々木君達を抜くこと。それが… このチームが勝利するのためのアシストではないんですか?」

 

「……。たしかにそうですね。君に期待されるのは意外でした。本当に僕をインターハイのエースアシストとして走れるのですか?」

 

「この勝負に勝ったらキミをエースアシストとして走ることを約束します。」

「わかりました! ならやりましょう!」

 

〔くっ…。またかよ…。多村…。お前というヤツはどこまで人をうまく利用して…。〕

 

「では。行きましょう。」

 

「この熊野友成。ありあまる体力に根気の走りを見せましょう。皆さん来てください。」

 

熊野が先頭に2人を引いて前と差を縮める。

 

 

先を走っていた佐々木チームは佐々木を先頭にずっと引いていた。

 

「平坦区間ももうすぐで終わります。あとはクライマー達が引けば僕達の勝ちです。」

「ああ…。佐々木。よく引いてくれた。」

「竜司。すまんな。オレらを引いてくれて。」

「佐々木!! ありがとな!!」

 

「なぁ…。このまま俺達が勝って終わると思うか? 佐々木。」

「そうですね…。1周目終えたあたりからずっと気になってるんです…。」

「ああ。なんか胸騒ぎがするんだ。さっきから。」

 

その時うしろを振り返った勘太。100m前に熊野が先頭で引いている姿が見えた。

 

「おい。どうゆうことだ。3人しかいない。しかも、熊野が引いてる。」

「やはり…。なにか策があったみたいですね。話してる場合じゃない!! 行きましょう!!」

「ああ。来るぞ!」

 

 

「ついに……。捉えました!! 先頭!」

「よくやった。熊野君。このまま抜いてください!! 」

 

両者が並ぶ。 佐々木もペダルを更に回そうとするが、今までずっと引いていたため疲労が溜まっていた。

 

「代われ。オレが残り引く!! 充分休めたぞ!! このために脚を休めていた!!」

 

佐々木に代わり勘太が再び引きの体勢に入る。しかし、熊野は並んで走る。

 

〔なんだ。こいつ!! オレのスプリントによくついてきてる!! 熊野!!〕

 

〔僕はこの勝負に勝ち…。インターハイでエースアシストとして多村君をゴール前まで運びます!!〕

 

「お前…。なかなかやるな…。」

「インターハイに出たいからです!! 多村君の期待に裏切らない走りをします!」

 

平坦区間残り300m 。

両者とも互角に走り、山岳区間まで運ぶ。

 

「あとは… 頼むぞ!!佐々木!大地!北上!」

「最高の位置まで……運びました…。あとは…頼みました…。多村君。中嶋君。」

 

「北上君。頼む!」

「中嶋君。頼みますよ。あとは君次第です。」

 

「よう。中嶋!!! 」

「どチビ!!」

「相変わらずイライラさせるね。キミは…。」

「まさかな…。お前と再び勝負する時きたか…。」

 

「ごめんね…。北上君…。山中さん…。あとは頼むよ…。」

 

佐々木は今までずっと引いてたせいか…脚に少し痛みがきてた。

 

「???」

「えっ…。佐々木…?」

「どうして!! 佐々木!! 」

 

「やはり… 予定どおりでしたね。勘太さんと佐々木君がこの平坦区間でずっと引いてたから脚にきてるのは…わかっていました。エースが堕ちた今… 僕達の勝ちですね…。」

 

「誰がエースっていった?」

 

「???」

 

「このチームのエースは… オレだ!!」

「そうですよ! 多村!!」

 

「なぜ!! 佐々木君がエースじゃないのか!!? なぜ! 初心者のあなたがエース!!? 」

 

「エースはこのハンドルについてある時計を身についてる。最初からこれが狙いで竜司も勘太も引いてくれた。」

 

「……。なるほど。あなたはずっと脚をためていたのか。勘太さんは最初からこれが狙いだったのんですね…。」

 

「さぁ… 学校まで残り2km!! やろうぜ!我がチームのエースさんよ!!」

「ほうー。面白いですね。その心意気消してやりましょう。」

 

「山中先輩!! 僕が最高の位置までアシストしますよ!! なんかエースアシストになった気分ですわ!!! 今!!」

 

「キタキタ!! この高揚する気分!! 最高です!! どチビに負けてたまるか!!」

 

「いくぞ!! 中嶋!! ハイケイデンスクライム第1弾!! 」

 

「最大!! ギア!! うららららーー!!」

 

中嶋と北上は両者とも一歩も譲らずに思い切りペダルを回し、エースを最高の位置まで運ぶ。 山を登り終えて学校までの信号もない平坦道を残り400m地点まで運ぶ! 両者とも並んでいた。

 

「あとは…… お願いします!! 勘太さんや佐々木や僕の想いを届けてください!!」

 

「お前のやり方に気に食わなかったが…… 我がチームのエースと名乗るなら山中さんを超えてみせろ!!! このペテン師やろう!」

 

両者ともエースの背中を押しゴールを託す。

 

「ありがと!! 北上! 行ってくるわ!」

 

「誰が……ペテン師ですか…。僕は…… あなた達を利用したからね!!! 己の勝ちのためにね!!! 」

 

「やっと…本性見せやがったな。多村!」

「そうです。僕がエース。エースを勝利を導くのが弱者達の仕事ですから。」

 

この発言に笑う山中。

 

「ならよ…。その弱者に負けた気分をお前に今ここで感じてもらうよ!!」

 

「ふん…。僕はあなたが気にくわないです。他の弱者とは違い…目立っていますから。更に気にくわないのはその目です。弱者のクセに強者に食らいつくその目。僕は今…あなたのその目を絶望の目に変えてやりますよ!!」

 

多村が思い切りダンシングして山中を離す。

 

〔オレはな…。 あの日のバイト終わりにお前を追いかけたが… 追いつけなかった…。なんかよくわかんねーが…悔しかった。だから!今回は負けるわけにいかねーんよ!! 〕

 

〔弱者の叫び…。醜いです。兄を超えようと必死になる人やバカ真面目で走りが凡人な人。弱者のクセに悪口を言う人。弱者は強者にふれ伏せば良いのです。〕

 

〔オレは…… こいつに勝ちたい!!みんなの想いを背負ってるんだ!! 〕

 

山中は更にペダルを回し多村に追いつく。

 

「弱者のクセに… 生意気なんだよ!!! 山中大地!!! 」

 

「オレは… 勝つんだ! みんなのために!」

 

残り50m。 先についたやつが勝者になる。

 

「うおお!!!!」

「カスが!!!!」

 

 

ついに決着がつく。

 

 

勝者は両手を上げて天をみる。

敗者は呆然で勝者を見つめていた。

 

「やったぞ!!! 竜司!勘太! 北上!」

「………。」

 

すぐに北上と中嶋がゴールする。結果をマネージャー達に聞いてすぐ山中のところにいく。

 

「山中先輩!! やりましたね!!」

「山中さん!! おめでとうございます!! 今回は敵でしたが… 心の底では応援してました!! 」

 

その後他のメンバーも戻り山中の勝利を祝った。負けた多村は近くのベンチに座りたそがれていた。

 

「みなさーん。クールダウンしてください!

あと、皆さんが走ってる時にウィダーを買ってきましたー!! お金は徴収しますよー 」

 

「えー!! 奢りじゃないんすかー?」

「運動後のエネルギー摂取は大事ですよ!!あと、なんか食べてくださいね!」

 

山中は多村の横に座る。

 

「ほらよ。ウィダー飲めよ。」

「……。ありがとうございます。」

「オレはちょっと着替えてくるから。」

「あの…。一ついいですか?」

「なんだ?」

「オレ… やめます。」

「どうしてだ?」

「弱者だからです…。あなたが強者です…。弱者に存在価値はないと思うので…。」

 

「おい。そんな理由でやめるのかよ。」

「ロードは強者が勝つスポーツです。弱者はやっても意味ないです。」

 

バジ!!! 山中は多村の頰を叩く。

その様子を見た他のメンバーは驚いていた。

 

「おい。お前。なんか勘違いしてるよな…。弱者に存在価値がない? ふざけんな!!

たしかにロードレースは実力がある奴が勝つっていうのは… わかってる。だから… みんな練習して強くなりたいって思うんじゃないのか? 弱者とか強者とかそんなんにとらわれるなよ…。ロードレースはチームスポーツだろ。そうやって人のことをバカにするようなことはするんじゃね。あと、今回の勝負だけで部活やめるのか? まだ…始まったばかりなんだぜ。沼津南高校自転車競技部はな。」

 

「………。 少し頭を冷やしてきます。あと…勘太さんに総括よろしくお願いします。」

 

多村は自転車に再び乗り校門を出てどっかに行ってしまった。

 

「大地。何があった?」

「いや。多村が部活やめるっていうからさ。」

「そうか…。ヤツなら戻ってくるよ。」

「だといいがな…。」

 

 

こうして自転車競技部始めての練習が終わる。

 

「あっ… 山中さーん!! まだその格好でいてもらっていいですか? 」

「えっ… なんで? 坂田さん?」

「私はこれからあなたと勝負したいんです!」

「あっ…! 思い出した!! 練習後時間あるって聞いたのはそういうことかい!! 」

「はい!!! わたし… こう見えて… この近辺の自転車レースで1番なんですよ!! 」

「えっ? オールラウンダー?」

「そうです!!」

「マジか!! 」

「はい!! 勝負を挑みます!! 今日のゴールスプリントを見て山中先輩は練習すればオールラウンダーになれると思いましたから!!」

 

 

次回話に続く!!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。