就職やら、仕事やらでバタついておりました!
待ってくださっていた方々ごめんなさい!(何回目か忘れた。いるかなぁ(汗))
今回は提督の過去がわかります!それではどうぞ!
5年前……思えばそれが『彼女』との初対面だったかもしれない。突如として現れた陸上型の怪物……。奴らは群れを成して行動し、あらゆる物、人を破壊。国民を恐怖のどん底に陥れた。
マシンガン、ミサイル、戦車……。いかなる武器をもってしても、怪物たちには一切効かず、軍人たちをあざ笑った。
『陸上棲艦』と名付けられたそれに対して、軍部はなす術もなかった。むろんそれは、長岡たち第13連隊も同じであった。
正式名称『特殊精鋭第13連携部隊』軍上層部が陸上棲艦に対抗するため、軍人たちに骨や筋肉の一部を金属に変えさせたものたちを集めて結成した部隊であるが、それでも敵には敵わなかった。
「隊長、このままでは敵に攻め込まれます!」
「分かってる!だが、武器も効かない相手にどうやって戦えと言うんだ!上の連中は、何を考えていやがる!」
砲撃が止まない中、まだ若かった長岡はいら立ちを隠しきれずにいた。ここは戦闘地域の中でも特に激しい場所で、これまでにも多数の死者が出ていた。
「隊長、司令部より緊急入電です!」
長岡は嫌な予感がした。今まで熱くなっていたのがウソのように声を落とした。
「……読み上げろ」
「はっ……。『第13連隊は撤退するべからず。最後の一兵たりとも退くこと、許すべからず。なお、本決定に従わず、撤退した場合には、極刑に処すものとする。……総員、玉砕せよ』……以上です」
部下は静かにファイルを閉じた。長岡は乾いた笑い声をあげた。
「は、ははは……。お前ら、聞いたか?上は俺たちを捨てたらしい」
その言葉に部下たちは全員顔をしかめた。長引く戦いのさなか、上層部は兵士の体に爆弾を巻き付けて敵に特攻させる戦法をとっており、長岡たちの部隊にも遂行するように命じてきた。
当然ながら、彼はこれを拒否。そのため、このような命令が出されたと思われた。
「隊長、このままでは……」
焦る部下の言葉を手で遮り、長岡は小さく言った。
「……撤退だ」
「しかし……!」
「このまま戻っても、俺たちは五体満足じゃすまないことは分かってる。お前らはここから裏道を通って海に出ろ。ボートは人数分あるか分からんが、お前らが水泳に強いことは俺がよく知ってる」
長岡の言葉に、部下たちは押し黙る。
「さぁ行け!これが俺の最後の命令だ。さぁ!」
部下たちは彼に敬礼すると、部屋を出ていった。
「……無事に逃げろよ……」
長岡は静かにそういうと、雨のように降り注ぐ砲撃の中を走っていく。
やがて海岸沿いにまで来た時だった。凄まじい痛みが足に走り、よく見るとくるぶしに血が付着している。
「くっ……!おい、これは何の真似だ……!」
長岡はそう言って後ろを睨んだ。横一列に人間が並び、それぞれの銃で彼を狙っている。
その中央を歩くサングラスをかけた男。葉巻を咥え、天に向かって煙を吐く。
「長岡隊長……どこに行かれるおつもりか?指令書を読んでいないわけではあるまい?」
「……部下は全員、撤退させた。責めを負うのは俺一人だけでいい」
「そうか。……なら、死ね」
男がそう言うが早いが、彼の視界は真っ暗になった。
「……血を急いでください!輸血を急いで!」
暗闇の中から声がして、彼はまだ自分が死んでいないことを理解した。目が覚めた時、最初に映ったのは、ぼんやりとした白い何かだった。
「あっ、気が付きましたか?大丈夫ですか?わかりますか?」
女の子の声がする。しかし、顔がよく見えない。確認できたのは、白いセーラー服姿であることと、黒のおさげ髪であることだけだった。
「あっ、動かないほうがいいですよ。まだ傷が塞がってませんから。……大丈夫!すぐに良くなります」
彼女は長岡を励ますかのように、こぶしをぐっと握った。
「……君は?」
「私ですか?すみません。先に名乗らないとですね。私の名前は……」
彼女が名乗ろうとしたところで、図太い怒号が部屋中に響く。
「おい、○○はいるか!?」
その声の大きさに彼と彼女は思わず体がはねた。
「……すみません、呼ばれているようなので、失礼しますね」
「あっ、おい!」
呼び止めようとしたが、彼女はすぐに走って行ってしまった。改めて部屋を見回してみる。
ここは病室なのだろうか?カーテンで仕切られたところからは、荒い息遣いが聞こえる。
ふと、自分のベッドに置かれている新聞の見出しが目に留まった。
「何っ!?」
彼は痛みに耐えながら、何とか新聞を手元に寄せた。
『○○県 壊滅【大本営=○○記者より】大本営によると、○○県沖に現れた陸上棲艦を陸軍が迎撃するも、壊滅。隊員全員が死亡した。同軍大臣の鈴木正孝氏は『多くの死傷者を出しながらも、敵を迎撃できなかったことを、心よりお詫び申し会えます』と述べた。記者から、『殉職した隊員たちの遺族への補償は?』と聞かれると、『検討中』だと強調した。』
「壊滅……だと……?」長岡は新聞を握りつぶした。
それなら、部下たちはどうなった?攻撃に激しく抵抗し、奮闘した彼らにはあまりにも残酷すぎる言葉だった。
彼は何とかベッドから立ち上がり、病院の電話を借りた。
「もしもし。こちら第13連隊隊長、長岡だ。あの報道はどういうことだ!?説明しろ!」
『失礼だが、かけ間違いではないか?第13連隊など、我が国には存在しない』
電話の男は淡々と言った。
「なっ!?」
長岡は絶句した。そんなはずはない、何かの間違いだと思った。だが、そうではなかった。
上層部から支給されているスマートホンからは、いつの間にか部隊のウェブページが削除されていた。
上層部は第13連隊そのものを抹消した。その日以来、彼は『生きる意味』さえ失ったのだった。
今回はここまでですが、回想編はしばらく続きます。
読んでくださりありがとうございました!次回をお楽しみに!←はよ書けや