ディスカバリーナイト   作:雪亜

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また文章長めです


第2話

前回のあらすじ

 

王様との契約によりお姫様と旅をすることになったロモは旅に必要なものを最低限揃えるために商店区までやって来た。

 

 

 

「…傷薬は乾燥しているもので良いな、後は干し肉と着火材とマッチ、ナイフと…日持ちする缶詰で良いな。」

 

ある程度購入したら以前使っていた小道具をしまっている小屋に向かうことにした。

 

 

 

 

「有った!ランタンと遠征用バッグ、雨風しのげる特殊マント!これがなきゃ辛いんだよな…。」

 

 

以前、これ無しで遠征に行ったときは酷かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前、騎士の訓練の一つとして遠征に行くことが多々あった物だから一人で行くなんてざらだったんだか運悪くスコールが降り続いていた。

 

「くそっ!いきなりスコール降ってくるなんて聞いてねぇよ…ランタンは川に落ちたから今は無理だし…ついてねぇな。」

 

更には本隊と少し離れたルートを通ったもんだから合流は無理そうだ、次の町まではそこまで距離は無いがこの雨じゃ流石にキツイ。

 

「川も結構氾濫し始めてるし…川沿いは止めておく…あっ。」

 

足を滑らせ頭から着水、目を覚ましたときは最終目的地付近の川だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「良く生きてたな俺!」

 

今にして生きている実感を噛み締める、本当に怖かったんだってアレ…。

 

「靴は安全靴!滑って落ちたくねぇ!」

 

更にはランタンの燃料を少し多目に持っていこう。

 

「ロモ、こんなとこで何やってんだ。」

「親父か、ここは俺の小屋なんだが。」

「たまにサボるときに使えるんだよ…あっ。」

「ほぉう…今のはお袋に喋っても良い内容だよな?」

「勘弁してくれ!何でもすっから!」

「じゃあ明日から暫く旅に出るからよろしくな、多分2ヶ月は帰ってこねぇから。」

「え?」

 

唖然とした顔をした後に親父の顔がどんどん青ざめていく。

 

「ま、マジで?」

「ああ、王様からの直々の仕事だ、キャンセルは出来ねえよ。」

「嘘だろおい…。」

「暫くはサボれねぇよな?なぁ親父。」

「クソ…が…。」

 

余りのショックにより失神してしまったようだ、どんだけサボりてぇんだよこいつ。

 

「さーてと、取り敢えずお袋に報告に行くか。」

 

小屋から出ると数人の黒服の男達がぞろぞろと出てきた。

 

「…お前らか、アイツの命を狙ってた奴は。」

 

一言も言葉を話さず、戦闘態勢に切り替わった。

 

「そうか…じゃあ相手してやるよ。」

 

ボウガンを一発放ち一人の足に打ち込むとすかさずコンバットナイフで腕に切り付ける。

 

「まぁ、殺さないと言う慈悲は与えるが…逃げれると思うなよ。」

 

ボウガンを更に打ち込み続け、僅か5分足らずで制圧は終了した。

 

「さて…。」

 

まだ意識の有るやつの頭を掴み首元にナイフを押し立て尋問を開始する。

 

「…お前らは組織的な連中か?それとも日雇いの傭兵か?」

「ひっ…お、俺はただ頼まれただけで…。」

「質問に答えろ、何処の傭兵か裏組織かを聞いている。」

「が、ガルグ傭兵団だ!言っとくが俺は…。」

「そうか、それだけ聞けたのならもう十分だ。」

 

後頭部に一撃を食らわせ失神させる。

 

「傭兵便りとなるとちと厄介だな…行動範囲が広すぎる。」

 

恐らく他の傭兵団にも依頼を出すだろう…更にはガルグ傭兵団は陰湿な奴等である上にある国と繋がっていると言う噂が有る、潰そうにも手配を掛けられてないから迂闊に手を出せないな。

 

「…考えんのも面倒だ、成り行きでやれば正当防衛に当たる。」

 

買った荷物を一纏めにし家に帰ろうとするが、何かを忘れている気がする。

 

「あっ…あのスナイパーを仕留め損ねた!ありゃ後々しつこく狙ってくる奴だぞ…。」

 

更に面倒なものを残してしまった…。

 

「バーで軽く飲んでから帰ろう、流石に疲れた。」

 

それから行きつけのバーの近くに軽い甲冑を着た騎士が立っていた、この軽装だとスナイパー辺りか初級騎士だな。

 

「…貴方がロモ殿ですね。」

「…さぁな、少なくとも俺には女のスナイパー何て知り合いには居ねぇよ。」

「今日の昼、貴方を狙撃した者と言えば分かりますか?」

「マジで!?」

 

迂闊だった、こりゃ意図返しか?

 

「…どうやらロモ殿で合ってるようで。」

「けっ、そうだよ。」

 

降参するように両手を上げるふりをする。

 

「どうせ疲れたからそこのバーで飲もうと来たのでしょう、一杯奢る代わりに話が有ります。」

「…何でもお見通しって訳か、良いぜ。」

 

背中を向けるふりをしてボウガンを手に取る。

 

「さっきからその溢れ出ている殺意を止めてくれるって言うんならな。」

「…ふっ、流石に気付きますか。」

「そりゃあな、さぁ…第2ラウンドをおっ始めるか。」

「望むところです!」

「さっきから喧しい!店の近くで騒ぐな!」

 

怒鳴る方向を見るとアトが鋭利で大きい包丁を手に叫んで居た。

 

「な、何ですか貴女は。」

「お前こそ何!?営業妨害もそこまでにしろ!」

「おーキレてるキレてる、マスター!居るー?」

「ロモか、今日は何にする?」

 

この人がこのバーのマスター、アトの親父さんだ。

 

「取り敢えずビール、これは面白いものが見れそうだ。」

「そうだな、俺も見てるか。」

 

マスターが瓶と氷の入ったグラスを持ってきてくれた。

 

「さっさと立ち去りな、死にたいのか?」

「…邪魔立てするならば貴女から排除します!」

 

ライフルを構え、引き金を引くがもう遅い。

 

「喋ってる暇が有ればさっさと構えて撃たないと…な!」

「かはっ…。」

 

既に腹付近に入り込み甲冑の隙間を縫い右ストレートを鳩尾に決め、よろついた所で腕を切り落とそうと大きい包丁を振りかぶった。

 

「そろそろ止めるか。」

 

ビールの入ったグラスを片手にボウガンで包丁を撃ち弾き止める。

 

「そろそろ止めとけー、さっきの鳩尾パンチで結構ダメージ食らってるからな。」

「…はぁ、やる気も失せたわ。」

「おう、なんだったらお前も飲むか?」

「貰う。」

 

瓶を拾いイッキ飲みした。

 

「…本当に容赦無いなお前。」

「当然の報酬よ。」

 

取り敢えずダウンしている騎士に近寄る。

 

「もしもーし、大丈夫か?」

「心配…ご無用…ぐっ!」

「お前鳩尾パンチ以外に何発か入れたろ。」

「ああ、甲冑の薄い部分にこう…ドスドスって。」

「やっぱりな。」

 

回復魔法を掛け、肩を貸す。

 

「何を…。」

「話をすんだろ?すぐそこに座るところが有るからそこで話そう。」

 

ベンチに腰掛けさせバッグの中に入ってた乾燥回復材を飲ませ落ち着かせる。

 

「…ありがとうございます。」

「別に、どうせエウナ案件だろ?話してみろ。」

「…本当にお見通しと言うわけですね、では…。」

 

地に膝をつき頭を垂れる。

 

「どうか…エウナ様をお守りするために、私を旅に同行させて下さい、もし無理だと言うのであればこの体を…。」

「構わねぇよ?旅準備を怠らないならだかな。」

「…え?」

 

唖然とした顔で俺を見上げる、断られると思ったのだろう。

 

「お前、どうせエウナのお守りだろ?狙撃のタイミングがエウナが俺から五メートル以上離れた瞬間から撃ち込んで来やがったからな。」

 

盾にでもされる危険性を感じたんだろう、続けて喋る事にする。

 

「もっと狙撃するタイミングが有ったにも関わらずそれを敢えてスルーしてエウナに極力当たらないために試行錯誤した結果がそれだしな。」

「…仰る通りです。」

「ったく…それにさっきお前何て言おうとしてた?」

「体を…。」

「バカか、そう簡単に純潔を捨てようとするんじゃねぇよアホ。」

「っ…!」

「あのな、騎士ってのはただ守れば良いって訳じゃねぇんだ、主君の誇りを汚さぬ為に誇りを持って守らなきゃそれは最早騎士とは呼べねぇよ。」

 

そう、かつて俺がしてしまったようにこいつにもこんな所で誇りを擲つなんてそんな事はして欲しくない。

 

「良いか?騎士が誇りを擲つのはこんな所じゃねぇ、主君に絶対的な危険を感じた時に逃がさせる為に誇りを擲て、良いな!」

「は、はい…。」

「ったく…取り敢えず今日はさっさと帰って安静にしとけ、出発は明日だからな。」

「明日…?早すぎませんか?」

「何だお前知らないのか?エウナを暗殺しようとしている奴等が居るんだぞ?」

「なっ…!」

「更にはさっき俺も狙ってきやがった、傭兵を使ってな。」

「そ、それでは旅どころでは…。」

「逆だ、むしろ旅に出た方がまだ安全だ。」

「…どういう事ですか?」

「エウナを狙ってる奴等は内部の王族だ、王位を奪うためにけしかけたんだろう。」

「そんな…私が付いていながらそんな事に気付けないとは…。」

 

本当に残念そうに俯く、だが続けて話す。

 

「だが外なら確実に奴等はボロを出す、それに俺には幾らか伝が有る、何かあったらそれを頼れば良い。」

「…色々教えて下さってありがとうございます、では城の前門でエウナ様とお待ちしております。」

「ああ、気を着けてな…ちょっと耳貸せ。」

「…?」

「―――。」

「!!?」

「…分かったなら早く行け。」

「は、はい…では失礼します。」

 

小走りで去っていくのを確認するとグラスに残っていたビールを飲み干し、一息つく。

 

「…今夜が勝負時だな。」

 

グラスを戻すためにバーに戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

それから家に帰りお袋に事情を話してから城からちょっと離れた搭でボウガンの手入れをしていた。

 

「…うし!準備完了だ!」

 

磨き終えたボウガンを片手に可変スコープで城付近を見る。

 

「やっぱりか。」

 

黒ずくめの集団が何やらごそごそと設置をしていた、アレは…爆弾か。

 

「そー簡単には行かせてくれないよなぁ…あっちの準備は大丈夫か?」

 

城の横路で眠って居るエウナを背負って居るあのスナイパーが居た。

 

「よし、無事に届いたみたいだな。」

 

数刻前、作戦を伝えるため鳩に届けさせたんだが上手く行ったみたいだな。

 

「じゃあ…こっちも始めるか。」

 

ボウガンを構え、あの設置されている爆弾目掛け撃ち放つと、盛大に爆発したみたいだ。

 

「よし、俺も移動すっかな。」

 

タバコを吹かし、エウナ達が脱出する東側の大門前に向かった。

 

 

 

 

 

住宅街を抜け、大門前まで来ると寝巻きを着たエウナと厳重装備のスナイパーが居た。

 

「よう、上手く行ったみたいだな。」

「ご助力、ありがとうございます。」

「あれ…?お兄ちゃん…?」

「おう、お前よくあの爆発音で起きなかったな。」

「それより…なぜ王もこのような事を仕掛けていると分かったのですか?」

 

王が黒幕…それを伝えるために耳打ちをしたのだ。

 

「そりゃあ普通命を狙われている娘を旅に出させる親は居ねぇ事と、こいつの姉には何かしら秘密があると言う事だ、この国をひっくり返しちまう程のな。」

 

タバコを踏み消し、リュックを背負い直す。

 

「…これからどうしますか?恐らく手配が掛けられてしまうと思いますが…。」

「そりゃあねぇよ、俺を手配したら奴等の素性がバレちまう、だったら不審な者が爆弾を設置し、暴発したって事にした方が楽だからな。」

 

それで相手側のデメリットが最小限に押さえれるはずだ、それに動けば此方が有利になる事になる。

 

「成る程…ではエウナ様が居なくなったと言うのは隠蔽されると?」

「ああ、この国には色々と探られたらまずい部分が色々と有るらしいからな。」

「…ではこれからの目的地へのルートはどうしますか?」

「そう聞かれると思って地図にルートを書いてきた、お前の分だ。」

 

地図を手渡し、他にも何枚か別ルート用の地図を纏めて渡す。

 

「あ、ありがとうございます…本当に準備万端なのですね。」

「伊達に旅をしてきた訳じゃねぇからな。」

 

そういや相当長いこと旅してたな…もうどれ位歩いたか忘れちまってた。

 

「さて!まずはこの近くの村に行くぞ、ここで馬車を長期間借りる事が可能だ。」

「それは本当ですか?」

「ああ、奴なら貸してくれるさ。」

 

 

 

 

警戒しながら城門をくぐり抜け最初の目的地、コノク村にたどり着いた。

 

「悪いな、こんな夜遅くに。」

「いやいや、こちらもロモさんには沢山貸しが有りますからね、それでどれくらい借りますか?」

「一ヶ月から三ヶ月、支払いは…俺達、友達だろ?」

「え、ええと…それは…。」

「…なーんてな!冗談だよ!一ヶ月十万、短く終わっても固定で頼む。」

「ほっ…今本気で焦りましたよ、それより十万は高くないですか?」

「あいつを指名するからな、指名料ってことで。」

「ああ…あのじゃじゃ馬ですか。」

「まだ現役だろ?つかあいつが現役降りるとか考えられないんだけど。」

「そりゃあそうですけど…覚えて居るか分かりませんよ?」

「まだ一年も経ってないから大丈夫…だと思いたい。」

「はは…取り敢えず馬小屋の鍵です、後でここに戻しておいてください。」

「おう、ちょっくら行ってくる。」

 

鍵を受け取り、馬小屋に足を運ぶ。

 

 

 

 

 

 

「えーと…おっ、居た居た。」

 

1頭だけ異様な雰囲気を纏った白馬が一匹佇んで居た。

 

「ディー、久しぶりだな。」

 

突然の事に驚き、目を見開いている。

 

「覚えて居るか?」

「ブルルッ!」

 

立ち上がりこっちに向かって歩いて来ると確かめるように匂いを嗅いだ。

 

「悪いな、また一緒に旅に着いてきて欲しいんだ。」

「ブフッ!ブフッ!」

 

まるで今まで何処ほっつき歩いて居たんだと言わんばかりの頭突きをしてくる、だが痛くない。

 

「ははっ、これはOKサインで良いのか?」

「ブフッ!」

 

もし喋れたら察せと言わんばかりに鼻を鳴らした。

 

「そうか、じゃあ行くか!」

 

手綱を引き、外に出る。

 

「じゃあちゃちゃっと取り付けるか。」

 

少し広目のキャラバンを取り付け乗り込む。

 

「結構綺麗にされてるな、このままでも大丈夫そうだ。」

 

軽く埃を払い馬車から飛び降りる。

 

「準備は終わりましたか?」

「おう、バッチリだ。」

 

恐らくシャワーを浴びてきたであろう…えーと…。

 

「…そういやお前の名前を聞いてなかったな。」

「今更感半端ないですね、まぁ…では名乗らせて頂きます。」

 

ビシッと姿勢を整え大声で名乗り上げた。

 

「銀級第7番隊副隊長メイクレイ・シュレイン!気軽にメイクと呼んでもらって結構です!」

「近所迷惑になるから大声は止めろ。」

「あっ…す、すみません。」

 

天然かコイツ。

 

「ま、じゃあ俺も名乗るかね…元水晶級エリュレン国騎士団長ロモ・ファゴール、死にかけた回数は覚えてない、これから宜しくな。」

「…今水晶級と言いましたか?」

「ああ、なんか勝手にそこまで上がってた。」

「黄金級も白銀級もいともしないあの階級ですよ?流石に有り得ない…。」

「ほれ。」

 

何一つとして装飾を施していない無色透明なバッジを小箱の中から取り出す。

 

「ホァァァァァ!?ちょっ…ちょっ!」

「落ち着け。」

 

後頭部をコツンと叩き正気を保たせるが全く興奮が収まっていない。

 

「ふっ、ふたぇっ…二重の極み…。」

「あーはいはい、混乱してんのは分かったから落ち着け。」

「ま、まさかそこまでの実力者だったとは…すみませんでした!腹を斬って詫びさせていただきま…。」

「落ち着け!」

 

孤○のグルメよろしくアームロックを決める。

 

「がぁぁぁぁ!」

「いいから落ち着け、腕をへし折るぞ。」

「すみません!本気で痛いので離して頂けますか!?」

「やっと落ち着いたか…。」

 

アームロックを外し関節に異常が無いか確かめさせる。

 

「大丈夫か?」

「は、はい…取り乱してしまいすみません。」

「ったく、先が思いやられるぞ。」

 

こんな調子では進むものも進まない。

 

「それにしても本当に驚きました…何故無色の勲章を?」

「結構人助けしてきたからかねぇ…騎士辞めて旅に出てもなーんか厄介事に巻き込まれんだよ。」

「成る程、だから伝が多いのですね。」

「まぁな…うし、エウナ連れて来い、

出発だ。」

「分かりました、早速連れて参ります。」

「おう、早目にな。」

 

タバコを一本取りだして噴かすと村の外に多数の影が多数見えた。

 

「…はぁ、またか。」

「…貴様がロモだな、排除させてもらう。」

「おう、やれるものならやってみな。」

 

 

ショボい暗殺者をメイクレイが戻ってくるまで叩きのめすにはちょっと時間が欲しいかなーと思いつつボウガンを構え、戦わざるをえない状況に苦笑するロモだった。

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