遠野咲は勇者であった   作:はにゅー

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乙女のはにかみ

 ??? 

 

 

 光が少しずつ収まっていく。私はおそるおそる目を開くとそこは見慣れた学校ではなかった。周りは見たことのないような木で覆われていて、自分が今どこにいるのかわからなくなった。

 

 

 

 「何なのここ・・・?携帯は・・・流石に圏外か」

 

 

 

 もしかしたら携帯は使えるのではないかと思ったが流石に甘過ぎる考えのようだった。そろそろ移動しないとなと思った瞬間、ズドンという音が遠くのほうから響いてきた。それも一回ではなく連続で聞こえてきたのだ。

 直ぐに周りを見回し、高い丘のようなものを見つけ、音がした方角のようすを見ることにした。

 

 音がした方角を見るとまるで魚のような形をしたナニカが人をはね飛ばしているのが見えた。なんだあれは自分は夢の世界(ワンダーランド)にでも迷い混んだのかと思い、自分の頬をつねってみたが夢落ちは望めそうにはなかった。うん?ちょっと待て。人をはね飛ばした(・・・・・・・・)

 

 

 

 「ちょっと待って人!?人がいるの?ここに」

 

 

 

 余りにも非現実的すぎてそらしかけてた目線をあの奇妙な怪物に戻すと、こちらにむかって人影がまるで砲弾のように飛んでくるのが見えたと思ったらちょうど私が立っていた崖の下に轟音と共に着弾した。

 

 

 

 「げほげほ・・・。と、とりあえず助けなきゃ!」

 

 

 

 着弾の衝撃で舞った土煙に咳き込みながら、私は急いで崖下に向かって走り出した。だが、このときの私は恐らく飛んできた人はもう助けられないのだろうなと頭の端にはそんな考えが浮かんでいた。そう、駆けつけるまでは

 

 

 

 「いたたた・・・・。あの魚野郎め、こんなところまで飛ばしてくれちゃってって、咲!?どうしてここに!?」

 

 

 

 結果から言えば人間砲弾は私の想像とは真逆で何の怪我もしていなくて、私の姉だった。しかも変なコスプレをしていたのだ。

 

 

 

 

 「え?は???何でお姉ちゃんがここに?というかここどこなの?お姉ちゃん何で怪我してないの?あの魚みたいなやつなんなの?ここど・・・」

 「ちょっと待って待って待って。私だって混乱してるのよ・・・。何で勇者じゃないのに咲がここにいるのよ。こんなの聞いてないわ」

 

 

 

 姉の未来は頭をガリガリとかきむしり、あーだうーだとひとしきり唸った後、何かを決意したのか『落ち着いて聞いて、手短に済ませるから』と前置きを置いて私に語りだした。

 姉の話を要約するとここは神樹様の結界の中でお姉ちゃん達はここで神樹様を守るために戦っていたとのこと。神樹様を守るために神樹様から与えられた力が勇者という力でこれはコスプレではないということ。そして敵であるバーテックスの進攻を許すと世界が滅ぶということ。

 私は自分の中にあった常識が音を立てて崩れ落ちていくのを感じながら必死になって呑み込もうと努力した。

 

 

 

 「咲がどうしてここにいるのかは分からないけどここにいるということはきっと神樹様の御意志に違いないと思うの。だから・・・・・・・」

 

 

 

先ほどからお姉ちゃんは誰かと電話しているようだった。私は『このメモリに入っているアプリをダウンロードして』と指示されていたので大人しくダウンロードしていたのだが、だんだんと大きな音が近づいてきていることにお姉ちゃんも気づいているのか少し焦っているような感じがした。

 と思っていた矢先に何処からともなく眼鏡をかけた生真面目そうな感じの人が現れた。

 

 

 

 「未来、いつまで時間をかけてるの?」

 「ちょっと待ってよ。私は」

 「あなたの意見なんて聞いてないわ。ただあなたの妹は使い物になるのか聞きたいだけ」

 

 

 

 余りに酷い物言いに、私はいらっとした。急激な環境の変化にストレスがたまっていたのだろうか、姉をないがしろな扱いをされたのが嫌だったのだろうか。どちらかは分からないけど、私は眼鏡の少女に掴みかかる勢いで近づいた。

 

 

 

 「心配しなくても私は戦えますよ!偉そうに見下すあなたよりもね!」

 「・・・・へぇ、いってくれるじゃない。」

 

 

 

 眼鏡の少女は苛ついたように目を細目ながら私の胸ぐらを掴んだ。

 

 

 

 「だったら証明してくれるかしら。あなたが私よりも強い証拠を」

 

 

 

 そのときピコン、と場違いな電子音が鳴り響いた。私は目だけで音の発信源に向けるとそこには『ダウンロードが完了しました』という文字が画面に浮かび上がったと思ったら、種子のようなものが画面に写し出された。

 

 

 

 「証明してあげますよ。私が戦えるという証拠を!」

 

 

 

 私は眼鏡の少女の手を振りほどくと同時に種子のアイコンを力強くタップした。

 

 体が光に包まれて、身に纏っていた服が変化を始める。光が止んだときにはお姉ちゃんの纏う服と同じ意匠の服になっていた。ただ違うのはお姉ちゃんの服は紫色を基調とした服に対して私はピンクと黒が基調の服だった。

 手を前に出し、先程教えられたように武器を念じると手に武器が収まった。それは、私にとって使い馴れている武装の太刀だった。

 

 これなら殺れるな(・・・・・・・・)

 

 何時も通りの思考がクリアになって、一切の雑念が消えた。私は現実世界に残っているだろう友達と家族の事を心に思い浮かべ、お姉ちゃんに振り返った。お姉ちゃんは何処か後悔が残っているような悲痛の顔だった。

 

 

 

 「お姉ちゃん、私は大丈夫だから」

 「咲・・・。えぇ、行きましょうか!」 

 

 

 

 二人で目配せをした後、目標のバーテックスに対して大きく跳躍した。

 

 

 

 





〇遠野咲
年齢は十三歳。誕生日は八月二十日。好きなものはうどん。嫌いなものは虫と夏と秋と冬。花のモチーフは桜草

〇遠野未来
年齢は十五歳。誕生日は七月十六日。好きなものは恋愛小説と肉うどん。嫌いなものはホラー。花のモチーフは紫苑。咲とは容姿がかなり似ているため髪型で区別できるようにしている。咲はショートヘアーで、未来はロングヘアー
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