僕の名前は斉木楠雄。超能力者だ。
何を言ってるんだと思うかもしれないが、これは妄想でも何でもない、事実だ。
テレパシー、サイコキネシス、透視、予知、千里眼、テレポート、etc
僕はあらゆる超能力を使うことができる。
一つでもそんな能力が欲しいとお前らは思うだろうが、こんなものあっても厄介なだけだ。
例えば【テレパシー】。これは基本的にオンオフが効かず、半径200m以内にいる他人の声が聞こえる。つまり、どんな時でもフードコートにいるような煩さを体験しているのだ。
そんなわけで、僕は今見知らぬ道で迷っている。
は?と思うだろう?僕もそう思っている。全く、この超能力もいざというときは役に立たない。
普通に学校に行って、帰ってきて、寝た。
そして起きたら外にいた。僕の家も見当たらない。
【お寝超】をしたわけでもない。
【お寝超】とは、僕が寝ているときに超能力を発動してしまうことだ。
しかしそれは制御装置が外れたときに起こるもの。
僕の頭には、妙なアンテナがついているのだが、それが制御装置である。それが外れていないということは【お寝超】をしていないということだ。
では一体なぜこんな場所にいるのか。まったくもって謎である。
とりあえず彷徨ってみよう。人がいれば聞けばいいことだ。
そして歩き始めた時だった。
どかーん!!
近くで爆発音がした。なんだ?テロか?
やれやれ仕方がない、様子を見に行くとしよう。
面倒くさいが、この町について何かわかるかもしれない。
「きゃー!ヴィランよ!(早く逃げないと!)」
「ヒーローはまだなのか!(あぁ、俺の家が燃えていく...)」
家が巻き込まれたのはご愁傷様としか言えないが、なにやら聞きなれない単語が聞こえたな。
ヴィラン?ヒーロー?
まだヒーローはわかる。いやわからない。そんな漫画みたいな存在がいていいのか。
そしてヴィランというのはあの排泄物みたいな化け物のことだろうか。
確か、ヴィラン(villain)というのは悪役という意味があったな。
とするとさっきの爆発もこいつか。
ここ僕のいた世界じゃないな
そのことに気付いた。
僕は確かに超能力というあり得ない力を持っているが、一応日常系ギャグ漫画だ。
決してバトル系漫画ではない。
「ヒーローよ!!」
「あれは、Mt.レディ!!」
なんだあれでっか!
現れたのは仮面?のようなものを付けた巨大な女性。せいぜい1000㎝くらいだろうか。
いや確かに僕もあれくらいの大きさになれないことはないが...
この世界どうなってるんだ。まさか超能力者がたくさんいる世界なのだろうか。
「バックドラフトも来たぞー!」
THE・消防士みたいな人。いや人かあれ。もう何が何だかわからない。
「あ、あれは!!」
まだ来るのか。何人がかりであの下水は倒せるんだ。
「はーっはっはっは!もう大丈夫だ!なぜかって?」
周りの人がこの状況で安堵する様子が見れた。
かなり腕の立つ、ヒーロー?らしい。実にアメリカンな男だ。
「私が来た!!」
もう何でもいいから倒せよ、と思ってしまったのは申し訳ないが、さっきから
「(俺の家が...もう終わりだぁ...)」
と嘆いている男がかわいそうすぎて仕方がない。
まぁ、今更もう家は助からないだろうがな。
そうしてこのヒーローたちとヴィランとの戦いは終わった。
「(やっぱりすごいなぁヒーローって!)」
右にいた緑の癖毛の少年...いや、年は僕と同じくらいか。
彼がヒーローを見て目を輝かしていた。
ヒーローそんなかっこよかったか?いやまぁそういうもんか。
「(無個性の僕でも、ヒーローになれるかなぁ)」
無個性?って何だろうか。
「(やっぱりこんな僕じゃ、無理なのかな)」
これは、励ましてやればいいのか。そういうフラグがたってたりするのか。
いや、励ますのは後にして、彼にこの世界の話を聞いてみるのがいいかもしれない。
ポン、と彼の肩を叩く。
「え?」
少し、話を聞いてもいいだろうか。ヒーローに詳しいようだから。
そう言えば、目の前の彼は目を瞬いた。