緑谷出久。現在中学3年生で、かの有名な雄英高校のヒーロー科に入りたいと思っている。
とても気弱そうな、しかし優しそうな少年である。
そして彼は【無個性】だった。
世界総人口の役8割が何らかの特異体質になった。その力が【個性】。
しかし、やはりというかその力を悪用する者はいる。それがヴィラン。さっきの下水みたいなやつだな。因みに形は様々である。
そしてそいつを倒す職業、【ヒーロー】が出来たと。
まぁいわゆる、警察みたいなものか。警察は別にいるらしいが。
この時代、【無個性】というのは珍しいらしい。確かに力がなければヒーローは勤まらない。かといって、力だけではないと僕は思うが。
「このヒーローはね、ブラックホールっていう個性でね、」
緑谷はヒーローにすごく詳しかった。
さすが幼少期から憧れているだけはある。というか普通に分析がすごくて聞き入ってしまう。
「そしてなんといってもやっぱりオールマイト!!」
さっきのアメリカンだな。
「No.1ヒーローなんだ!って、僕すごく話しちゃってるね、ごめん」
本当に表情も心の中も申し訳なさそうだ。やれやれ。彼には自信というものがないようだ。
謝ることはない、僕も楽しかったからな。
「そ、そうだと嬉しいんだけど!」
照れくさそうに笑う。本当に純粋な奴だ。ここまで裏表のない奴はそうそう見かけないぞ。
「あの、斉木くんは、何か個性持ってるの?」
どうしよう、どう答えればいいのだろうか。
さっきの緑谷の話を聞くと、個性は大体一つ。多くて二つだ。
それに対して僕は超能力全般が使える。どう考えても普通じゃない。
云々考えていた結果、内緒ということにした。
「え、えぇと、なんかごめんね!」
いや、むしろこっちがすまない。気を使わせてしまったようだ。
緑谷はいきなり真剣な顔になった。
「あ、あのね僕...ヒーローになりたいんだ!無個性だし運動神経だってよくないし、それに弱虫で。みんなに僕には才能がないって言われるんだ。それでも、憧れのヒーローになりたいんだ!」
それは話を聞いていてわかっていた。寧ろ、なりたいと思わなきゃここまで分析しない。
「でも、今悩んでて。やっぱり僕にヒーローは無理なんじゃないかって」
ふむ、そうだった。励ましてやろうというのが話しかけるきっかけだったな。
さて、どう答えてやるべきか。いや、ここは正直に言うだけでいいかもしれない
「ごめん、いきなりこんなこと話しちゃって。その」
緑谷はヒーローになれるんじゃないか。
そういったら、緑谷は驚いた顔をした。
「え?」
確かにヴィランを倒すには力が必要かもしれない。ヒーローには強さが必要かもしれない。
でも、ヒーローになるために必要なのはそれだけなのか?
一番大事なのは、なりたいっていう強い気持ちと、人を助けたいっていう正義感じゃないのか?
【無個性】だからってなんだ。僕は緑谷には、ちゃんとヒーローになれる資格を持っていると感じているぞ。
まぁ、さっきまでこの世界のヒーローというものを知らなかった僕が言うのもなんだが。
「斉木くん...」
なんかひどいことを言ってしまっただろうか。泣いていた。
「僕、絶対に!ヒーローになってみせるよ!」
悲しくて泣いていたわけではなかったようだ。
まったく、こんなのは僕の仕事じゃないんだがな。こういうのは僕のクラスメートの灰呂という熱い男がするべきだ。
そんなことを考えているうちに、緑谷は少し落ち着いたようだった。
「斉木くん、その。携帯って持ってる?」
?持ってはいるが...
「良ければ、なんだけど...アドレス交換しよ!僕、もっと斉木くんと仲良くなりたいんだ!」
随分と懐かれたものだ。まぁ、こういうのも悪くはない。