とうとうやってきた雄英高校の実技入試。
筆記試験は簡単で、実技まで通ったのだ。
因みに緑谷も受かった。あとは実技だけ!と、張り切って今日も鍛えている。
さて、みんなに聞いてほしいことがある。
この僕が、自分の意志で、わざわざヒーロー科などにいくと思うだろうか?
答えは否、だ。本当は普通科を受けるつもりだった。
そう、あろうことか、この僕がドジったのだ。間違えてヒーロー科をうけることになってしまった。
なんという災難。
ピーンポーン
家のチャイムが鳴った。緑谷だ。
以前の筆記試験で一人で試験会場に行ったとき、実技は一緒に行こうと誘われたのだ。
断る理由もなかったし、知り合いがいると安心できるところもあるからそれを了承した。
とりあえず扉を開けた。
「斉木くん!おはよう!」
あぁ、おはよう。
挨拶を返したところで、カバンを持って外へ出た。
「今日は頑張ろうね!」
そうして、一日が始まった。
――――――――――――――――
「ついた!」
そこには大きく、〈入学試験会場〉と書かれている。
緑谷は少し不安そうな顔をしていた。
「(オールマイトの力を試さずに来ちゃったけど...本当に力は授かったんだろうか」
オールマイトの力。授かる。
それを聞いて理解した。
今まで鍛えてきたのはそのためだったのか。
「おいデク!」
後ろから声が聞こえた。振り向くと、少し怖そうな顔をした少年。
「かっちゃん!」
「俺の前に立つな殺すぞ」
そう威嚇してきた。ひぃ、と緑谷は小さく悲鳴を上げる。
ふむ、俺様は~って感じのキャラか。いるよねー()。
「おおおおはよよう!がががんっばろうねお互い!」
怖がりながらも挨拶をするその精神はなかなかすごいな。
まぁ、無視されているわけだが。
「え、えぇとね、かっちゃんは爆轟勝己、っていうんだけど、すごく強いんだ!かっちゃんもヒーロー科を受けるんだよ!」
あれでヒーロー科か...ヒーロー感0なんだが。
寧ろ殺すとか言ってたんだが。
「(つい癖でビビっちゃったけど)」
ビビるのって癖なのか。
「(以前とはちがうんだ!思い出せ、この十か月間を。踏み出せ、ヒーローへの第一歩を!)」
きりっとした顔になったが、かなり力んでるな。
あ。つまずいた。
ポケットに手を突っ込んでいたせいで支えることができなかった。
その時、一人の女の子が緑谷に触れ、緑谷は浮いた。
「う、あ、えぇ?」
テンパっている緑谷の足を地面につかせ、手を合わせる。
「私の個性!ごめんね、勝手に。でも、転んじゃったら縁起悪いもんね!」
そういって笑う、茶髪の、マフラーを付けた女の子。
緑谷は案の定照れている。
「緊張するねー!お互い頑張ろう!じゃ!」
そう言って去っていった。
「(女子としゃべっちゃったー!!!)」
しゃべってないぞ。お前一言も言葉発しなかっただろ。
まぁ喜んでいるから言わないでおくが。
僕たちも行くぞ。
――――――――――――――――
「よーし、じゃあサクッと試験の概要を説明するぜ!」
わぁああああああぁああと場が盛り上がった。
ここはヒーロー科、試験会場。
全員緊張して、しかし自信があるように見える。
しかし、このすごい人数のせいでものすごく煩かった。
心の声とか普通に声とか。頭が痛くなりそうだ。
「じゃあ各自、指定の会場に向かってくれぇい!」
パパっと説明された後、紙に書いてあるのはアルファベット。
「つまり、ダチとは協力させねぇってことか」
確かに爆豪、緑谷、僕は違う会場だった。
そのあとの説明はよくわかんなかったがとりあえずロボット的なやつを倒せばいいという。ポイント制らしい。
緑谷にはサイコキネシスって言ってるし、サイコキネシスだけでやるか。
「斉木くん、頑張ろうね」
その言葉で僕たちは別れた。